ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

笑福亭たまお気楽独演会

2019年10月05日 | 上方落語楽しんだで
 昨夜も落語です。仕事を終わって新開地へ。まず、グリル一平で腹ごしらえです。ヘレビーフカツレツを食べました。私は喜楽館での落語会では、たいていこのグリル一平で食事をします。おいしい洋食とおもしろい落語。これ以上なにを望むのでしょうか。
 グリル一平から喜楽館まで、歩いて1分です。喜楽館に入ります。笑福亭たまさんのお気楽独演会です。実はこの落語会、去る8月15日に行われる予定だったのですが、台風のため中止。その振替公演です。真夏の落語会でしたから怪談特集ですが、この暑さですから違和感はなかったです。開演までにもらった落語会のチラシを見ていたのですが、たまさんが精力的に独演会をやったはる。しかもそれぞれ違う演目です。大きな名跡でも襲名するおつもりでしょうか。そうですね。笑福亭たまという高座名はそろそろ改めてもいいころでしょう。
 さて、開口一番は笑福亭智丸さん。会長仁智師匠のお弟子さんです。「平林」をやらはった。オーソドックスな平林でした。
ところで、今回は2階席でした。上から落語家さんを見降ろしてるですが、見台の上の小拍子の扱いなど手の動きが良く見えて興味ぶかかったです。
2番手は桂二乗さん。いま、米朝一門では伸び盛りの落語家さんです。娘さんネタのまくらです。娘さんが小さいので家で落語の稽古ができない。で、真夜中、深夜の街をブツブツ落語をつぶやきながら歩くそうです。で、真夜中の2時にウサギを拾ったそうです。なんともシュールなまくらでした。演目は「写真の仇討ち」です。怪談特集ですから、ちょこっとだけ怪談っぽいネタを選んだそうです。
 さて、仲トリはいよいよ笑福亭たまさんの出番です。演目は私が楽しみにしていた「地獄八景」です。この噺、桂米朝師匠のはもちろん、米團治師匠、文の助さんと、米朝一門のを生で聞いたことはありますが、笑福亭の「地獄八景」は初めてです。この噺の特徴ですが、たまさんも最近亡くなった人をたくさん出さはった。あの世の映画ではアニメが良いらしいです。優秀なアニメのクリエイターがぎょうさんこっちへ来ましたからな。
さて、閻魔の庁のところでたまさん、掟やぶりともいう奇手を使わはった。
「きょうは先代閻魔の1000年忌につき、特別に恩赦を行う。われと思わん者は自己申告せえ」「最初の亡者でませい」
ここで開口一番でしゃべった智丸さんが出てきて、たまさんの隣にチンと座ります。「次の亡者でませい」こんどは二乗さんが出てきました。高座に複数の落語家が出てくる落語なんか初めて見ましたわ。
なにはともあれ大爆笑の「地獄八景」でした。閻魔の庁のくだりで終わり。人呑鬼のパートは割愛しはった。これで良かったと思います。フルでやったら長すきます。
 仲入り前は笑福亭仁智師匠。上方落語協会会長になってなにかと苦労も多くたいへんだそうです。この時の演目は、怪談特集ということで「恐怖の民宿百物語」海外生活の経験が長い女性オーナーが経営する、おしゃれな「レイクサイドプチホテル」にやって来た二人の男。このホテル8時になると停電します。で、そのくだりになると、喜楽館館内の灯りがほんまに全部消えて真っ暗になりました。1本のロウソクの灯りだけで仁智師匠は落語を続けたはる。怪談特集らしい面白い演出でした。
さて、仲入り後の大トリはもちろん。笑福亭たまさん。「死神」です。病人の枕元に死神がおると、その病人はほどなく死ぬ。足元に死神がおると絶対助かる。枕元に死神がおる病人をなんとしてでも助けてくれといわれた主人公。どうしたか。そしてどうなったか。という噺です。
 元気いっぱいの笑福亭たまさんを堪能した落語会でした。