監督 リチャード・C・サラフィアン
出演 バリー・ニューマン、クリーヴォン・リトル
よく車のバックミラー周辺に小さな人形をぶら下げているのやら、後ろの窓の前にぬいぐるみなんぞを乗せている人がいるが、車はわたしのペットでも、動くわたしのリビングではない。かようなご仁はこの映画を観てもなんのこっちゃ判らんだろう。不愛想なおっさんが車を走らせているだけの映画じゃないの。この映画の主人公にとって車は自己を表現するモノなのだ。
もう時効だから白状するが、小生も同じようなことをしたことがあった。畏友石飛卓美が存命のころ毎年出雲に車で行ってた。出雲でSF関係のイベントがあったからだ。
大阪の梅田で友だちと待ち合わせ。友だち3人を乗せて梅田を出発したのが午後6時。
おかげ様ブラザースをガンガン鳴らしながら中国道を走る。並走するのはテコンドーの達人リュウさんが駆るスカイライン2000GT。深夜12時に出雲大社の門前に到着。大阪から出雲まで約600キロを6時間で走った。途中で夕食を食べたし2度休憩した。中国道を平均130キロ一般道を平均70キロから100キロぐらいで走ったかな。小生とリュウさんはほぼ同時に着いた。リュウさんのスカGは2000小生の愛車
インテグラは1600。400のハンデがあるが同着ということは小生の方が少しだけ運転がうまかったのかな。
コワルスキーは車の陸送屋。白いダッジ・チャレンジャーをデンバーからサンフランシスコまで走らす仕事を請け負う。友人とデンバーからサンフランシスコまで2000キロを15時間で走れるか?賭けをする。時速200キロ近くで走らなくては賭けに勝てない。
コワルスキーは走る。警官が停車を指示するが無視して走り続ける。ジャガーEタイプの男が挑んでくるが勝つ。コワルスキーは元レーサーだ。
警察が本気になってくる。あの白いダッジをそのまま走らせておけば警察のこけんにかかわる。必死になってコワルスキーを止めようとする、どうしても逃げられる。
警察無線を傍受したラジオ局の盲目の黒人DJスーパー・ソウルはコワルスキーに共感する。「彼こそアメリカの最後のヒーローだ」と叫び応援する。そのスーパー・ソウルはトランプ支持者みたいな連中に暴行される。
白いダッジが走る。コワルスキーの過去がフラッシュバックで描写される。恋人が聞く「この傷がイヤなの」「傷の原因がイヤなのだ」彼はベトナムで負傷した。その恋人も死んだ。警官になった、ろくでなしの警官ばかりだった。レーサーになった、事故にまきこまれた。トップレーサーになれる実力があったがならなかった。そして陸送屋になった。コワルスキーにとって車だけが裏切らない相棒だ。
前に光が見える。コワルスキーは微笑みながら光に向かって飛翔した。