ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

阪神連敗脱出

2021年04月29日 | 阪神タイガース応援したで
 呪いの館ナゴヤドーム(なんか球場名が替わったらしいけどワシはあそこを今までどおりナゴヤドームと呼ぶぞ)の呪いがまだ生きてたのかと思う連敗をして心配したわ。ピッチャーは打たれるバッターは打てへん。
 でも、ま、杞憂やったな。打つべき人が打てば勝てるんや。やっぱ8番ショートは中野に固定した方がええな。木浪がショートしとるあいだは負けとったんちゃうか。ま、中野もエラーしたけど。

火の鳥 大地編

2021年04月28日 | 本を読んだで

原案 手塚治虫  著 桜庭一樹     朝日新聞出版

 小生は手塚信者で「火の鳥」は全作読んでいる。一番好きなのは「未来編」次に「鳳凰編」かな。この「火の鳥」シリーズまだいくつかの作品の構想が手塚さんの頭の中にあったそうだが、手塚さんのご逝去によって幻となった。幻は幻のままおいておけば良かった。手塚さん以外の人の手になる「火の鳥」は「火の鳥」じゃない。本作を読んで、ということを認識したしだい。
 桜庭さんはよく書いたと思う。いっしょうけんめい手塚さんの「火の鳥」を再現しようと執筆したのであろう。彼女は文字で手塚漫画を書こうとしたのではないか。桜庭さんは原案だけ手塚さんにもらって、桜庭さんの「火の鳥」を書けば良かったのだ。桜庭さんが文字で書いた、この手塚漫画は失敗している。

バニシング・ポイント

2021年04月27日 | 映画みたで

監督 リチャード・C・サラフィアン
出演 バリー・ニューマン、クリーヴォン・リトル

 よく車のバックミラー周辺に小さな人形をぶら下げているのやら、後ろの窓の前にぬいぐるみなんぞを乗せている人がいるが、車はわたしのペットでも、動くわたしのリビングではない。かようなご仁はこの映画を観てもなんのこっちゃ判らんだろう。不愛想なおっさんが車を走らせているだけの映画じゃないの。この映画の主人公にとって車は自己を表現するモノなのだ。
 もう時効だから白状するが、小生も同じようなことをしたことがあった。畏友石飛卓美が存命のころ毎年出雲に車で行ってた。出雲でSF関係のイベントがあったからだ。
 大阪の梅田で友だちと待ち合わせ。友だち3人を乗せて梅田を出発したのが午後6時。おかげ様ブラザースをガンガン鳴らしながら中国道を走る。並走するのはテコンドーの達人リュウさんが駆るスカイライン2000GT。深夜12時に出雲大社の門前に到着。大阪から出雲まで約600キロを6時間で走った。途中で夕食を食べたし2度休憩した。中国道を平均130キロ一般道を平均70キロから100キロぐらいで走ったかな。小生とリュウさんはほぼ同時に着いた。リュウさんのスカGは2000小生の愛車インテグラは1600。400のハンデがあるが同着ということは小生の方が少しだけ運転がうまかったのかな。
 コワルスキーは車の陸送屋。白いダッジ・チャレンジャーをデンバーからサンフランシスコまで走らす仕事を請け負う。友人とデンバーからサンフランシスコまで2000キロを15時間で走れるか?賭けをする。時速200キロ近くで走らなくては賭けに勝てない。
 コワルスキーは走る。警官が停車を指示するが無視して走り続ける。ジャガーEタイプの男が挑んでくるが勝つ。コワルスキーは元レーサーだ。
 警察が本気になってくる。あの白いダッジをそのまま走らせておけば警察のこけんにかかわる。必死になってコワルスキーを止めようとする、どうしても逃げられる。
 警察無線を傍受したラジオ局の盲目の黒人DJスーパー・ソウルはコワルスキーに共感する。「彼こそアメリカの最後のヒーローだ」と叫び応援する。そのスーパー・ソウルはトランプ支持者みたいな連中に暴行される。
 白いダッジが走る。コワルスキーの過去がフラッシュバックで描写される。恋人が聞く「この傷がイヤなの」「傷の原因がイヤなのだ」彼はベトナムで負傷した。その恋人も死んだ。警官になった、ろくでなしの警官ばかりだった。レーサーになった、事故にまきこまれた。トップレーサーになれる実力があったがならなかった。そして陸送屋になった。コワルスキーにとって車だけが裏切らない相棒だ。
 前に光が見える。コワルスキーは微笑みながら光に向かって飛翔した。

それまでの明日

2021年04月22日 | 本を読んだで

原尞        早川書房

 探偵がある料亭の女将の身辺調査を依頼される。ところが調査対象の女将は死んでいた。依頼主は行方不明。そうこうしているうちに探偵は金融会社の強盗事件に巻き込まれる。それがどうした。

新・冒険スパイ小説ハンドブック

2021年04月21日 | 本を読んだで

 早川書房編集部編              早川書房

 1992年に発行された「冒険スパイ小説ハンドブック」は手元において折りにふれてパラパラ読んでいる。冒険小説ファンにとっては常に座右に置くべき本だ。それから24年後の2016年に出た新しいハンドブックが本書である。
この24年間の一番の違いは敬愛する内藤陳師匠が亡くなったこと。日本の冒険小説好きのカリスマ内藤師匠がいるのといないのとは冒険小説シーンがまったく違う。
 それはさておき、こんどの新版では面白い企画が採用されていた。北上次郎など5人のブックレビュアーは架空の冒険小説全集全20巻を選出するというもの。なかなか面白い企画である。小生が読んだ作品もあるし未読の作品もある。再読また初読するには大いに参考になる。
 かような企画でアレが選ばれてないと異をとなえるのはヤボなことであるが、あえて異をとなえよう。西村寿行と稲見一良がないのはがてんがゆかん。

謀殺のチェスゲーム

2021年04月20日 | 本を読んだで

山田正紀        角川春樹事務所

 小説巧者山田正紀の冒険小説を1本選べといわれたら「アグニを盗め」か本書か迷うところだ。
 SFもんで冒険小説好きの小生のツボを突きまくる小説である。こういう小説では、いかなる登場人物を創り、それをどういう設定で、どういう舞台で、どう動かすかが肝要だ。
 まず、舞台。北海道から沖縄県の宮古群島の稲穂見島までの日本列島全域。設定、日本の最新鋭哨戒機PS-8が行方不明。何者かが盗んだ。どこへ運ぶ。どう運ぶ。主たる登場人物は6人。自衛隊のエリートでゲーム理論の天才新戦略専門家の宗像。自衛隊を辞めた宗像に勝るとも劣らない天才新戦略専門家の藤野。レインジャー部隊の教官立花。元CIAの非合法工作員佐伯。日本最大の暴力団の組長を狙撃した若い敬とその恋人弓子。
 チェスの盤は日本列島。キングはPS-8。プレイヤーは宗像と藤野。駒は立花と佐伯。宗像と藤野が指すチェスゲームに暴力団と警察の追っ手から逃げる敬と弓子がからむ。
 宗像と藤野の頭脳戦。立花と佐伯のアクション。敬と弓子の必死の逃避行。これで面白くなければ、この手のエンタティメントを読むのをやめた方がいい。

レベッカ

2021年04月19日 | 映画みたで

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリビエ、ジュディス・アンダーソン

 映画の製作費の内訳は知らないが、俳優のギャラは大きな割りあいをしめるだろう。それが主演女優ともなると、かなりのギャラが必要。そういう観点で見ると、この映画は製作費を大きく節約している。なんせこの映画の主演女優のギャラはゼロなのだから。
 主人公は若い女性。イギリス人の大富豪マキシムと出会い、結婚する。マキシムの屋敷は大豪邸。執事や多くの使用人がいる。マキシムの前妻レベッカは1年前に海で死んだ。このレベッカ大変な美人であった。家柄、美貌、品性、どれをとっても非の打ち所がない女性。夫マキシムは亡き妻の面影を忘れがたい。使用人たちもレベッカを忘れていない。特に女中頭のダンヴァース夫人はレベッカに対する尊敬と思慕の念が強い。
 主人公は味方が一人もいない大きな屋敷で、なにかと前妻レベッカと比べられ、あたかもレベッカの亡霊に悩まされているようになる。
 おもての主人公はマキシムの若い後妻だが、うらの真の主人公はレベッカなる女性だ。このレベッカ、名前だけ出てきて画面には全く登場しない。美人で聡明とされるレベッカとはなにもの?これがこの映画の一番の興味どころである。もちろんヒッチコックだから素直に終わらない。

静かな終末

2021年04月16日 | 本を読んだで

眉村卓 日下三蔵編        竹書房

 眉村卓初期のショートショート集である。これまで単行本未収録の作品が集められている。これらの作品を初めて目にする読者も多いだろう。
 前半は比較的軽めの作品で、ひとつ読むと次が読みたくなる、やめられない止まらないのかっぱえびせん状態となる。
 中盤から後半にかけては、戦記雑誌「丸」に掲載された戦争をテーマにした作品で、重く、読みごたえがある。
 豊饒な眉村卓世界を手軽に満喫できるショートショート集である。



定吉七番シリーズ2 ロッポンギから愛をこめて

2021年04月15日 | 本を読んだで

東郷隆         角川書店

 大好評(ワシ的に)の定吉セブンシリーズ第2作。今回は映画の007シリーズ屈指の名作「ロシアより愛をこめて」のパロディだ。
 関東の秘密結社「NATTO」の暗殺集団「KIOSK」は関西の大阪商工会議所秘密会所のエース殺人丁稚定吉七番を亡き者とせんと「KIOSK」のエース赤坂1号を送り込む。
 その「KIOSK」から足抜けしようとする戦う芸者(ファイティング・ゲイシャガール)桃千代こと立穴裕子をガードする定吉七番。
 007ファンならにやりとするところ満載。本家のボンドガールはロシア美人タチアナだが、定吉ガールは立穴。協力者の肩に銃を置いてボンドが狙撃するシーンもあった。こっちは定吉が田中安雄の肩を借りて吹き矢を吹く。
 列車内でのボンドとロバート・ショーふんする殺し屋グラントとの格闘もありいの、靴の先の毒針で攻撃してくるばあさんもちゃんと出てくる。
「なんとなくクリスタル」の田中康夫や「見栄講座」のホイチョイの馬場康夫らしき人物も出てきて1980年代のあの時代の雰囲気もいっぱい楽しめる。 

井戸のうちわ

2021年04月14日 | 上方落語楽しんだで
落語に「井戸の茶碗」という噺がおます。古今亭志ん生師匠や志ん朝師匠が得意としてはった噺です。上方でも演じられ、ワシは桂文我師匠や桂文華師匠の「井戸の茶碗」を聞いたことがおます。人情話です。
 美しい娘がいる浪人。貧乏はすれど清廉潔白なご仁。手元不如意につき父の残した仏像をクズ屋に売る。このクズ屋もバカ正直。この仏像が細川藩の若い侍に売れた。この若い侍も生真面目バカ正直。正直もんが3人そろうわけですな。
 その仏像の中から50両出てきた。「仏像は買ったが50両は買った覚えはない。返してまいれ」「あの仏像はもう拙者とは縁が切れたものだ。なにが出てこようと知らぬ」貧乏浪人は受け取らん。困ったクズ屋は浪人から預かったきたない茶碗を持って若侍に。その茶碗は「井戸の茶碗」というたいへんなお宝やったという噺でおます。
 それからしばらくして、摂津の国で大きな疫病が流行りました。妖怪あまびえのご利益も多少はありますが、疫病のまん延は拡大の一途です。その疫病は、人の口の中に目に見えない頃奈の虫がいて、その虫が人から人へと病をうつしていると考えられていました。
 摂津の国のお代官で井戸敏左衛門さまが、頃奈の虫が人の口から出るのを防げばいいんだと考え、うちわを民に配りました。摂津の国では人々は会話をするときはうちわで口元をおおって会話をすべしとのお達しが代官所から発せられました。これが功を奏したのでしょう。摂津の国では疫病は早々に収束いたしました。お代官井戸敏左衛門さまは名代官として後の世まで語り伝えられました。また、この時配られたうちわは「井戸のうちわ」といって大変なお宝として珍重されるようになりました。
 時は流れ、明治、大正、昭和、平成、そして令和の御世となりました。現存する井戸のうちわは3本だけといわれています。いずれも国宝です。1本は摂津の国、今の兵庫県西宮市の井戸家の菩提寺鷲山寺にあります。このお寺の境内には名代官井戸敏左衛門の銅像があり、今も花を手向ける人が絶えません。2本目は東京の双振堂文庫、3本目は大阪の藤山美術館で所蔵されています。4年ほど前、テレビの「どうした鑑定団」で4本目が出て、本物かと騒がれましたが、ニセ物である確率が高いそうです。
 ここに松本留五郎という人がおります。極端なケチです。カネはできれば一銭も出したくないという生活を送ってます。もちろんエアコンなんてもんは持ってません。扇風機さえありません。冷房器具はうちわ1本。そのうちわも動かすといたむからと、うちわはじっとさせて首を動かしてました。
 地球温暖化の影響でしょうかその年の夏も猛暑です。さすがの留五郎も熱中症が心配です。せめて扇風機なと買わねばなるまいと、あす三宮の蛍電社に行こうと思いながら、うちわを手に持って例によって首を振りました。猛暑です。いっそうはげしく首を振りました。グキ。プチン。そのままあの世。留五郎さんのご遺体のそばにうちわが落ちてました。そのうちわは、なんと井戸のうちわだったのです。4本目の井戸のうちわでした。

行かなくっちゃ

2021年04月13日 | 作品を書いたで
ああ、夢か。おかしな夢を見た。お、こんな時間か。急がなくては。二七分の電車に乗らなくてはならない。西行電機に出す見積もり。今日の午前中の約束だった。早く会社へ行って見積書仕上げなくては。
 ん、立ち上げれない。いてて。おかしい。身体のあちこちが痛いぞ。うう。足に大きなけがをしている。なんで俺はこんな大けがをしているんだ。
 こんなことをやっとられん。着替えて出かけなくっちゃ。とりあえず洋服タンスの前まで行こう。おや、おかしい。背広にネクタイをしてるぞ。ははあ。昨夜、酔っぱらってそのまま寝てしまったんだ。
 どこで飲んだんだろ。記憶がさだかでない。うう。俺、確か、出張に行ったんだ。関西空港から飛行機に乗ったんだ。あれは夢ではなかったんだ。すると、ここはどこだ。どこでもいい。ともかく会社に行かなくっちゃ。

 ん。寝てしまったんだわ。会社を出るまぎわに電話がかかってきた。海山シールの植田部長からコピーの修正指示。あのコピーでレイアウトとデザインがもう出来てるんだ。あわててデザイナーとコピーライターに指示を出して会社を出たのが五時二五分。大あわてで地下鉄の駅まで走って、来た電車に飛び乗って座ったのまでは覚えている。どうもそれから寝てしまったらしい。
 いかん。三〇分の遅刻だ。保育所は親が迎えに来るまで子供を預かってくれるが、最近、あたしは遅刻続き。そうたびたび保育所に迷惑をかけられない。
 インドに単身赴任している夫が帰国すれば、夫も子育ての戦力になるのだが、あと一年は帰国できない。しばらくは私一人でがんばらなくっちゃ。
 いてて。イスから立ち上がれない。どうしたんだろう。うん、これ、飛行機のシートじゃない。あたし地下鉄に乗ってたはずだけど。
そんなことはどうでもいい。早く子供を迎えにいかなくっちゃ。

 ふううう。できたぞ。締め切りは少し過ぎたが、これでなんとか編集さんに顔向けができる。三度推敲したから完璧な原稿といえよう。これは間違いなくオレの代表作になる。
 さて、これを封筒に入れて送ろう。書留速達にしなくては。信じてもらえないかも知れないが、オレはパソコンを持ってない。スマホも持っていない。家に黒電話が一台あるだけだ。別に理由はない。そんなモノの必要性を感じないだけだ。
 さて、郵便局に行こう。ん。どうしたんだ。立ち上げれないぞ。それにしてもオレはなんで飛行機なんかに乗っているんだ。それにここはどこだ。オレは郵便局に行って原稿を送らなくてはならないんだ。

 ここはどこだ。ぼくはだれだ。なぜかわからないけど、ぼくはとってもあせっている。ぼくはなにをこんなにあせっているのだろう。
 よおく考えよう。それに子供のぼくが、なんで一人でこんなところにいるんだろう。
 んんん。思い出した。ぼくは学校の職員室に行かなくちゃならないんだ。
 思い切って白状するけど、アレを壊したのはぼくなんだ。ぼくが職員室に行って先生にいわなければいけないんだけど、ぼく、妹を幼稚園に迎えにいかなくてはいけないんだ。
 おかあさんは出張でいない。で、友だちのユウキくんに頼んだんだ。
「ぼくの身代わりになって職員室に行ってよ」
 ユウキくんはうんといってくれた。
「妹を幼稚園からウチまで送ってったら必ずぼくが行くから」
 ともかく走ろう。せいいっぱい走って職員室に行かなくては。ぼくが行かないと身代わりにユウキくんが先生に、きついお仕置きを受けてしまう。
 うう。足が痛い。どうしたんだ。ぼくがいま座っているこのイスなんだろ。ともかく、ぼくは行かなくっちゃ。

 無人島に不時着した小型旅客機が発見された。乗員乗客二六名死亡。生存者が四名。
 会社員 石本直樹さん(四五歳)
 会社員 浅葉直子さん(三二歳)
 作家 小森直太さん(五〇歳)
 小学生 瓦林悠馬くん(一二歳)
 四人とも救助されたとき「行かなくっちゃ」とつぶやいていた。






ウエストワールド

2021年04月12日 | 映画みたで
監督 マイクル・クライトン
出演 ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジョームス・ブローリン
 
筒井康隆師匠がいってはったと記憶するが、「SFの面白さはまじめな顔してヨタ飛ばす面白さである」さすが筒井師匠、慧眼であるが、そのデンでいくと、この映画の監督脚本のマイクル・クライトンなんてお手本みたいな作家ではないか。クライトンは稀代のホラ吹きといってもいい。そのクライトンの小ボラが「アンドロメダ・・」だとするなら、大ボラで大成功したのが「ジュラシック・パーク」だろう。その小ボラと大ボラのあいだ中ボラがこの映画だろう。
 中世、古代ローマ、西部。三つの世界を体験できるテーマパーク。そのうちの西部の世界に遊びに行った主人公。そこではロボット相手に銃の決闘を体験できる。ロボットは絶対に人間に勝てない。人間は必ずロボットに勝てる。「オレは6人も撃ち殺したと」満足してるおっさんもいた。
 主人公は「荒野の七人」のクリスみたいなガンマンにケンカをふっかけられる。みごとクリスを撃ち殺す。夜は女性型ロボットがSEXの相手もしてくれる。「いやあ。楽しい所だ。来て良かった」
 ところがこのテーマパークを管理制御している裏方は、トラブルが起こりつつある。そして、とうとう中世の世界では客がロボットの騎士に剣で殺される。人死にが出た。
 異変は西部の世界でも。主人公の友だちがクリスに撃たれ死ぬ。そしてクリスは、どこまでも追いかけてきて殺害しようとする。
 どっちかというと大根な役者のユル・ブリンナーの大根ぶりが、不気味なロボットによくあっていてなかなか良かった。
 ロボットがどこまでも追いかけてくるというのを見て、ジョームス・キャメロンがシュワちゃんに「ターミネーター」をやらせたのではないだろうか。またクライトンはテーマパークが制御不能になって大さわぎというネタをロボットを恐竜に替えて「ジュラシック・パーク」を考えついたのではないか。
 何かが追いかけてくるというのは怖いもんです。筒井師匠の「走る取的」は相撲取りが、「ジュラシック・パーク」は恐竜が、スピルバーグの「激突!」はタンクローリーが「ターミネーター」やこの映画ではロボットが、スピルバーグの「AI」もロボットが追いかけてくるが、あれは子供のロボットが「ママ、ママ」といって追いかけてくる。あんがいアレが一番怖かったりして。

一度も撃ってません

2021年04月07日 | 映画みたで

監督 阪本順次
出演 石橋蓮司、桃井かおり、岸部一徳、大楠道代

 この4人の主要登場人物を演じた俳優で一番若い桃井が69歳。あとの3人は70を超えている。お年よりムービーといえよう。脇役が多い超ベテラン俳優の円熟の演技が楽しめる映画となっている。
 市川は作家。といっても売れてない。大昔純文学で2冊ほど本を出したが今はまったくさっぱり。別のペンネームでハードボイルドを作品を書いているが、北方謙三の亜流で担当編集者からはウケが悪い。
「サイレントキラー」と呼ばれる謎のヒットマンがいるらしい。不審死をした何人かはそいつのターゲットだろうか。市川の書く原稿はその殺人事件を直接取材したとしか思えないリアルなモノ。はたして「サイレントキラー」の正体は市川か。
 と書くと、監督村川透、主演松田優作の映画みたいだが、これは阪本、石橋の映画である。石橋、桃井、岸部、大楠といった昭和な役者たちが、うんとかっこつけて、実に楽しそうにハードボイルドごっこをしているのである。  

お花見弁当

2021年04月05日 | 料理したで

 お花見をするには少し時期がずれました。落花盛んといったところでしょうか。それでもお弁当を作ってお花見をしました。といっても、このお弁当を持って外出し桜の木の下で食べたわけではありません。時節柄、そういうことはしてはいけません。ウチで食べたのです。ウチのマンションのすぐ下は小さな公園になっております。窓からその公園の桜の木がよく見えます。おウチでお弁当を食べ、少しご酒をいただきながらお花見をしたというわけです。
 左上から時計回りに、あさりの佃煮、サワラの西京焼き、アスパラガスの焼き物、マグロと鯛の手まりすしです。家人が新生姜の甘酢漬けを作りましたので。ちょっと添えました。


サイボーグ009

2021年04月04日 | 本を読んだで

石ノ森章太郎        秋田書店

 日本を代表する漫画家石ノ森章太郎の代表的作品。石ノ森章太郎の漫画で1本だけ選べといわれたらこの作品を選ぶ人が多いだろう。石ノ森は石森時代の初期は「ジュン」に代表されるような純文学的な作品を描いていたが、後に職人的な漫画を描くようになった。その漫画職人石ノ森の集大成ともいえるのが、このサイボーグ009ではないだろうか。
 とはいいつつも漫画職人石ノ森のサイボーグ009は、「地下帝国ヨミ編」で完結しているのではないか。あそこで009は002とともに死んでいる。で、あとはSF者石ノ森のSF好きを満足させる作品となっているのではないだろか。
 だいたいが石ノ森はSF大好き、それも1950年代アメリカSFが好きなのはよく判る。「地下帝国ヨミ編」のラストなどは完全にブラッドベリだ。ワシも古狸なSF者で、1960年代からSFマガジンを購読し始めた。石ノ森はワシよりだいぶん上の世代だが、日本SF勃興期を同時代に体験したことが判る。