目くそ鼻くそ

「そりゃ男だって、イケメンで金持ちの家に生まれりゃ人生イージーモードでしょ」という会話を耳にして、ふと大庭葉蔵を思います。

金持ちの家に生まれたイケメン、でも厳格な父という事もあってか人が怖く、生きる術として「表向き」明朗快活なお調子者を演じる癖が身についてしまいます。幼少期には乳母や下男の慰み者にされ、学生時代は様々な女性と関係を持つことで精神不安は助長し、心中未遂、薬におぼれ、最終的には20代後半にも拘わらず40過ぎに見える風貌に変容、自宅に引き取られ、不幸も幸福もない、老女に犯されただ時間が過ぎていく中に、真理の様なものを感じるようになる。
・・・これってイージーモードかなあ？小説ですけど。

1948.5/12太宰治「人間失格」脱稿。そのひと月後に入水自殺。

「下は苦しいし、上はツレェんだよ」（京極夏彦　先巷説百物語）

憧れたり羨んだりされるポジションにいる方には、それはそれで、見ている方からは解らない苦労や問題はいっぱいあるものかと。