昼下がりのコーヒー豆のあくび アーリーアフタヌーンコーヒー日記

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コーヒー豆屋のちょっとだけゆっくり流れる時間

虚勢

2023-07-31 07:58:33 | 日記
御高祖頭巾に向かって「二本刺しが怖くて蒲焼が喰えるか!気の利いた奴なら3,4本刺さってら」と、どこかで聞いたような啖呵を吐けば、ふと聴こえてくるヒグラシの音・・・夢と現実がシンクロして、空しい寝覚めであります。

お通夜の帰りに土用の丑の日であることに気づき、今晩はウナギでもと立ち寄ったスーパー。あまりの値段の高さに回れ右して帰ってきたルサンチマンが見せた連想か?内心刀相手にビビっていて、つい大声で開き直ったのか?考えれば考えるほど、穴があったら入りたくなります。

実際のところ、暴力にも権力にも恐怖感を持っているんでしょうね、きっと。おもいっきり小心者です。

1703,7.31、政治運動と政治的主勢力になった非国教徒絶滅の主張に対する皮肉を込めたパンフレットの出来の良さ?によって、英ジャーナリストダニエルデフォーはピロリー(さらし台、立ったまま頭と両手を器具に拘束され、横に罪状の書かれた看板が置かれ放置される)刑に処されます。見物人は物を投げつけるのも可。でも彼には、花や飲食物が捧げられました。話術、叙述の天才で人心を掴むのがうまかったのでしょう。

権力側に見初められ引き立てられますが、不安定な時代、権力構造の変化の度、その浮沈は激しいもののようでした。
が、その能力は相手方権威者、政治家にも高く評価され実質的政府広報官になり、秘密諜報員まがいの命を受けスコットランドに潜入、その広報力でグレートブリテン王国を成立させたといわれます。

ま、例えば表向き権力批判のジャーナリストが、やがて裏では権力の前に屈し、代わりに富と名声を得る賢い選択をした的話なのか。
或はイメージや理屈でなく、現実的に暴力、権力の恐ろしさを体験すれば、やむを得ない選択だったという話なのかもしれません

59歳で「ロビンソン・クルーソー」を書き作家としても大ブレイク、その後も作家活動を続け、経済理論や宗教的側面からも高い評価を受けた後半生。何故か70歳の時謎の失踪、翌年死去。

何があったのか、何を想ったのか。本人にしかわかりません。


真言立川流

2023-07-30 07:28:53 | 日記
1961,7,30のスクリーン上で、モスラを孵化させようと男女混合で時に絡み合う、インファント島原住民の壮大にして躍動感あふれるダンス。京極夏彦氏の「狂骨の夢」を読んだ学生時代、浮かんだのはカーマスートラではなくこれでした。

ダキニ天を奉じ、髑髏本尊、性交を教義の中核に据えた淫祠邪教の二つ名で呼ばれる真言立川流の存在を、この本で初めて知りました。で、時は流れ、つい最近です、真言立川流と彼の法、内三部経流とも呼ばれるこの宗教?が別物だと知ったのは。真言立川流は逆に批判する立場をとってました。

何故このような誤解が広まったのか。時は13世紀南北朝時代。政治的に北朝優勢となり、宗教的にも優位となるチャンスと見た北朝側僧宥快は、南朝側難敵、知識豊富な高僧文観を攻撃することを考え、文観と触媒として真言立川流そして「彼の法」を皆が結びつけるイメージ操作技法を思いつきます。

意図的に本来関係ないものを混同するような説明の仕方をし、纏めて邪とみなし貶める方法。その後は中身の検証を「防ぐため」、行為の目的と結果のみを示す公文書「目録」として成立させ、議論反論が起これば、目録により効率化の大義名分で即否定できる体制を構築しました。

今でいう処のレッテル貼りでしょうか。ちょっと前まで、国会や米国議会でもよく、いや基本方法として見られた技法です。
現在も本質的には変わってそうもない気もしますけど。

明治より前の歴史を義務教育で蔑ろにしたいのには、そういう意図もあるかもしれないと思うのは勘ぐりすぎでしょうか

居場所

2023-07-29 07:23:40 | 日記
暑い処では花をつけることができず、もとより5月は遠くなりにけり。藤枝街路樹のセイヨウトチノキの長年の想いが通じたのか、あの僅かに朱を含む白い小花群を天に届く大きさで咲かせていました。いつもは所在なさげに漂う雲も居場所を与えられ、心なしか胸を張っているようにも見えます。

 風景自身が寂しがっているから 一コマに身を置いただけで自分が救われる さだまさし「鳥辺野」

ふと朧気なる雲の存在が、よどみのない青一色だった空に幾分目に見えぬ波を生じさせている、そんな気がしました。ただ存在するだけで何かに影響を与えることができるという発見、つながる喜び、不安の低減。それが思い込みに過ぎないとしても。

星月夜以降、彼の描く空の表現は黄色から青になり、波打ち、渦巻いています。最晩年の作品の1つである、手折って花瓶に挿されたマロニエの白い小花たちの背景の空も、青く波打っていました。

若い時分に人を救いたいと宣教師を目指したとも伝わります。
救いたかったのは、救われたかったからだったのかもしれません。

1890年7月29日、フィンセント・ウィレム・ファン・ホッホ(ゴッホ)永眠。

遺伝子命令の拒否

2023-07-28 08:43:15 | 日記
「千と千尋の神隠し」で大きな石炭を運んできたススワタリが、重さに耐えかねて潰されているのを千尋が助け、代わりに炉にくべます。それを見た周りのススワタリ、一斉に石炭に潰されて助けを求め、カマ爺に一喝されてました。「仕事がなくなりゃ、元の埃に戻っちまう」

秩序の崩壊、バラバラになりやすさであるエントロピー増大は、物理の根底を成す決まり事で不可逆性。自然はその理に従って動くとされています。が、生物はそれに反し細胞組織の維持、つまりエントロピー増大を防ぎ減少を図ることで存在します。

ここだけ見ればエントロピーの法則に逆らっているのですが、他者を喰らい燃焼させエネルギー化するという他者のエントロピーを増大させることで、トータル的に物理法則を破綻させていません。

これは遺伝子のプログラムによる命令であり生物の基本原理なのでしょう。物質でもあるのですから、本質的にはエントロピーを増大させ消滅に向かう指向性をも持つと思いますが。

少子化対策に躍起になる政府政策に対し若年層の自殺は増えています。これは各個が行う現在と未来の国指向する環境判断において、生物としての生きるという根本命令プログラムより、消滅を求める物質としての欲求が勝っている結果であるとは考えられないでしょうか。

苦痛を伴い他者の犠牲により成り立つ「秩序」より、安楽な自然に則った消滅、拡散への希求の増加。開かれた系より閉ざされた系を目指す方向に導く社会構造。完璧はあり得ませんから一定数の自殺者は必ず存在しますが、現社会及び政府推奨の未来社会構造は、人口が減らなければバランスが取れないものかもしれません。

なのに進める外国人転入促進。一部の経済的なメリットは大きいかもしれませんが。

この矛盾した政策が、新たな社会環境を構築するのでしょう。




Mitleid(共苦)

2023-07-26 07:46:20 | 日記
今までにない本能寺の変の描かれ方で、また賛否両論に溢れる大河ドラマ。個人的にこのドラマは歴史的人物家康を役者が演じるのではなく、アイドルキャラクター松本潤さんがもし家康として生まれたら、という全く異なる意味付けの、ライトノベル的異世界転生物語だと思っております。

事情に疎いボクなどは、キリスト教はユダヤ教より派生したという、特に根拠を持っているわけでもない一般的な説を当たり前のように受け入れているわけですが、ワーグナーは違ったようです。彼にとってキリスト教の根幹をなすものはMitleid(共苦)とか。ユダヤ教とキリスト教を其々因数分解したとき、ユダヤ教にはない要素であり彼はインド仏教にその源泉を見たとか。

非論理的であるがゆえにカントは排除し、同時に衝動的であるがゆえにショーペンハウアーは道徳の根源であるとしたMitleid(シンパシー)に、ワーグナーはキリスト教の本質を感じ取ったのかもしれません。論理の破綻した衝動に捕われた、愛おしいドラマチックさに刺激されたとも思えますが。

キリスト教的なモチーフ(聖槍等)をとりながらユダヤ教的でなく、寧ろインド大叙事詩ラーマーヤナを参考にしたともいわれる歌劇「パルジファル」。舞台はスペイン郊外モンサルバート城。別歌劇で白鳥の騎士ローエングリンが城の主パルチヴァ―ルの息子を名乗りました。初上演1882.7,26。

現前にある対象に対し、どう意味づけして物語化するかは、もちろん個人の自由であると考えます。