光速

早朝、市民運動場脇の用水路をわずかに流れる水をたどれば、小さなため池にたどり着きました。。
水面は何もかもすっかり凍り付いて、そう、時間までも。

ああ、ひょっとしたら凍り付いているのではなく、ボクの視覚処理が光速に近づいただけなのかもしれません。

目では測れない微細な変化が、表層に浮かびかけた気泡の輪郭辺りでうごめいています。
そこが涅槃でない以上、停止はせず常に変化は継続します。が、瞬間事別のものであるという理解の手助けにはなるかもしれません。

涅槃もまた他者によって課されるのであるなら、記号化されるものの、場合によっては意味が変化するものであるのかもしれませんが。

あこがれ

春も寒き春、こんな時節にはピークを過ぎた鄙びた温泉宿にでも行って、2,3日籠ってゐたいと思う年齢になりました。
それもできれば、動物の住む洞穴の様に円く包まって居られる空間、例えば押し入れの中のような。

　屋根ひくき宿うれしさよ冬ごもり　（蕪村）

誰にも介入されない狭い小さな空間で、逆に思い切り自由にあれこれ物思いにふけり、いつの間にかうたたねして。
その居心地の良さを蕪村さんもご存じだったのかもしれません。

屋根には真白な雪が丸く降り積もり・・・

大鴉

今朝も冷えますね。
電線に留まっているカラスに、寒波はまた来るのでしょうかと恭しく尋ねたのに、無視されたうえ向かいの病院の屋根に飛んで行っちゃいました。

愛想ないなあ。「Never more」ぐらい言ってみろ！今日はエドガー・アラン・ポーの「大鴉」が発表された日だそうで。

あ、ドレとマネの関係点、追加で見つけました。
ドレは木版画で、マネはリトグラフで「大鴉」の挿絵作ってました。

セレンディビティ

厳寒が続く今日この頃。エアコンが利かない！いやお宅もですかという話題になり、旧型だから仕方ないねとお帰りになったお客様。5分もしないうちにお戻りになられて、「違った！ヒートポンプだからじゃん」と。

へ？ああそうか、熱交換か！室外機をめぐる冷却剤の温度より外気が低ければ、そりゃ暖かくはならんでしょう。温暖な静岡ですからすっかり失念していました。寒さに首をすくめて外に出て、ふと見たエアコンの室外機を見てピンと来たというお客様。捨て目が利く御仁であります。

英貴族で政治家、幻想小説「オトラント城奇譚」を執筆したゴシック趣味で有名なウォポールが、「セレンディブ（セイロン島、スリランカ）の3人の王子」という物語から命名したという「セレンディビティ」。偶然による予想外のラッキー的な意味合いかと。捨て目捨て耳との親和性を感じます。ただボケーとしていては見逃してしまいますから、無意識にでも常時対応可能な体制を維持するという割と高度な技術だと思います。

フレミングがアオカビを間違えて混入したことで発見された抗生物質、レントゲンのx線等々。ノーベルのダイナマイトも確かそうだった気がします。

そう云えば土木工事用として開発されたダイナマイト、当時その強力な破壊能力から、ノーベルは既に軍事用への転用を予測していたとか。但しその破壊力の大きさが、戦争抑止につながると考えていたそうです。

結果はご存知の通り、戦争の拡大と激化を生み出し「死の商人」という称号を頂戴するに至りました。

問答

熱々のご飯に納豆かけると言ったら、ナットウキナーゼは熱に弱いから、卵やキムチなんかと混ぜて冷まさないと意味ないよと言われたんだよね。

血液をサラサラにするといわれているナットウキナーゼ。血液凝固のたんぱく質フィブリンを分解する酵素です。が、経口摂取した場合、胃腸でアミノ酸や消化できる短いペプチド結合に分解され酵素としての役割は果たせなくなるかも。加えて腸で吸収するには大きすぎるんじゃないのかと。

ならば納豆摂取の目的を強いてあげるなら、血液凝固や骨代謝のビタミンK2(メナキノン）４，７の獲得。カルシウムの沈殿を防ぐことによる動脈硬化防止、メタボ発生の抑止、内臓脂肪の低減、インスリン感受性の上昇（ビタミンk全般）。

他との関連性で一概には言えないけど、k1,k2には過剰摂取による危険性はなかったと思うし・・・どう思う？

さあね、僕らには胃腸はないからね。光合成に使うだけだし・・・底冷えする公園で大して興味がないクスノキ。
アンタさー、このクソ寒いのに、どーでもいい知識ひけらかしてつまんねーこと聞いてくんじゃねえよ！

そりゃそうか。ま、普段から付き合いあるわけでもないのに、こんな時だけ頼るってのも都合よすぎますよね。