E表現研究所の「Eから始まる」

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老人介護と映画と 「戦い」 BY 「チョコレート工場の秘密」

2010-05-09 09:23:42 | 絵本

テレビ番組で、坂本龍馬が暗殺された歴史のダビンチ・コードのようなことを興味深く観ました。
あの時代は「戦い」が当たり前。
戦争が当たり前でしたね。そこを平和に解決した無血だったからこそ龍馬の価値が高いと思いました。

次週の土曜洋画劇場は、NNさんがご紹介してくださったティム・バートンの『チョコレート工場の秘密』です。私はこの映画を映画館で観ました。

原作は作家ロアルド・ダールです。大好きな作家で、いままで新聞や専門誌に彼の作品の書評を何度か書かせていただきました。

小さな子供たちにこの本をタイムリーにいつ、また、どう伝えようかと、大きな期待と、成長を待つまどろっこしさを感じながら暮らしておりました。

あっという間に至福の時は過ぎ去り、今はもう、孫にどう伝えようか楽しみが続いています。

映画ではどうも戦いがクローズアップされて本当に大事なメッセージが薄らいでいました。その上、ジョニー・ディップ演じる役に心が奪われてしまいましたが、児童文学ではしっかり主人公の少年に同化しゆっくり人生を考えました。体に染み込んでゆく喜びがあり読み終わってしまうのがもったいないとさえ思いました。

児童文学ですが、この本で私は「老人介護の本質」を学びました。


今日はおじいちゃん(舅)の17回忌です。
仏壇に合掌しながら感謝しました。
病に何度も倒れるたびに介護が私の手に委ねられました。
数年後には寝たきりになりましたが、毎日私は病院の階段を駆け上る時エレベーターを使わず体操教室でエクササイズをしていると自分に言い聞かせました。
おむつ交換のときには手の指先にウンチがつきます。そのたびに運がついていっていると、考えると、講演や講師の仕事がうまく回っていきました。
爪の間を石鹸でなんども清潔にしながら、この本を思い出すと勇気がわいてきました。充実感を覚えました。

おまけにてきぱきした看護婦さんのお仕事ぶりに刺激されました。

ところがよくみると、大勢の患者さんを抱えて当時の看護婦さんはそういうときにはいつもビニールの手袋をはめていました。私にはそれを真似することができずに、いつも素手の温かい手でじかにおじいちゃんのお尻を清潔にしてあげたいと思いました。
ビニールは薄くて精巧でボケていくおじいちゃんには感じる差はないでしょうが、おじいちゃんの肌と遮断するようで、私の気が済まなかったのです。

こういう気分にさせてくれたのが『チョコレート工場の秘密』の本でした。私の心を耕してくれた文学性がありました。だから文学なのです。

たぶん映画だけでは違ったでしょう。そう思えなかったでしょうね。
その代わりに、別の展開を味わったでしょう。

前々回のブログでNNさんが「○リス・イン・ワンダーランド」で
さすが鋭く書いていらっしゃいました。下記に抜粋します

この映画の宣伝を番組にしたものがありましたが、
宣伝担当のプロデューサーの方が、この映画の宣伝の柱は
「戦うアリス」だと言っていました。
確かに、最後に戦う場面があり、少女から大人に変わっていく成長が見られ、そこに大きなコンセプトがあると思いました。】

私はやっぱり『不思議の国のアリス』は戦いの視点で読めませんでした。主人公アリスになりきって想像力や知恵を働かせたものです。

先日評判のNHKのハーバード大学の講義で白熱教室「富はだれのものか」「お金で買えないもの買えるもの」を聞きました。さすがです。上手な授業のお手本になりそうです。
兵士を確保するための解決策で、傭兵を外部に委託する話で、お金と兵士を交換する話がありました。教授は「戦い」を前提に進めていましたが、どうしてハーバードの学生から戦いではなく龍馬のような無血解決の意見が出ないのでしょうか?

ちらほらお金より意志や愛国心で戦うほうが力が出るという意見がありましたが・・・。富を戦わないことに使おうという発想は微塵もなかったです。

アメリカの国だからかしら・・・。

超有名な大教授だったら、南北戦争時代をベースにしながらの意見交換でしたが、現代の戦争を憂い「現代は戦わない」というひと言も入れてほしかったです。

「戦い」が公然とありすぎます。残念です。
今の文化は戦いで仕上げないと、儲けや発展をしないのでしょうか?

もちろん飛び越えて平和を提唱するのも気が早すぎます。
中間をとって「戦わない」をお勧めします。
カリカリした人間が多すぎます。
かっと激怒する人も多いです。
先日もマーケットで女と見知らぬ二人の男たちがけんかしていました。

E表現研究所が10年続いたのは「戦わない」があったからこそです。
もっと、「許し愛・認め愛・支え愛」を勧めたいです。
これがE表現企画の【E光プロジェクト】です。

海外の方々にこの【光プロジェクト】をいつか実行したいと思っています。
2日前に恩師と、教育論で盛り上がりました。

表現の授業の本質を恩師と話していて、今の中学校の指導要領にダンスが必須科目に入って嬉しいが、現場で指導する先生が表現を限定している授業が多いようでもったいない話だと結論が出ました。

でき得る限りに想像力を全開した自由な表現の授業は生徒に染み込むでしょう。力になるでしょう。実力が蓄積されます。

このようにいつも、表現の自由を願いますが、しかし、最近の映画もアニメも漫画もちょっと違います。せっかくいいものを作っているのに、このままひどい性表現の自由を主張しつづけると、大きな日本の富を逃しそうです。
そうそう、子供対象の性描写も禁止してほしい。

そこをクリアできると海外に自慢できます。
その点で、今回の
東京都の動きに賛同します。
都の公務員さん議員さんありがとう。

最近の例で漫画のひどい性描写を、ギリシャの公務員のデモに例えてみます。表現の自由が度を越しすぎると、世界を震撼させてしまう怖さが重なってきます。
ギリシャの破滅を救うのは「公務員が許し愛・戦わない」でしょう。
それが世界平和に近付くのだから・・・。


漫画のひど過ぎる性描写を漫画家が少し遠慮すれば、
漫画文化は世界に良い文化として浸透していくのに・・・。

ここまで書いて今この文は、「映画宝箱」の範疇を抜けて「絵本」

の分類に入れていただきたいと改めて思いました。

TTT


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3 コメント

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チョコレート工場の秘密 (N.N)
2010-05-10 20:50:16
私がこの本を読んだのは、小学校6年生の時でした。
ちょうど長い休みの課題図書になっていたので、感想文を書く目的で買ってもらいました。
でも、読んでみてびっくり!!
世の中にこんな面白い本があるだなんて・・・
何度も何度も読み返しました。
いまでも、オーガスタス・グループという名前は、すらすらと出てきますから・・いかに好きだったかがわかるでしょう?

映画は私も観ましたが、
工場見学する幸運なチケットを当てるその他の子ども4人の描き方が薄いので、
そこは残念だなあと思いました。
まあ、110分くらいの映画にするためには、
クローズアップさせる部分と、ばっさりと切る部分があるのはしかたがありませんが・・・
だから、本で読むのがいいのですよね、TTTさん!!

チャーリーと同行するおじいちゃんも、好きな登場人物でした。
老人力という言葉が何年か前に流行りましたが、この物語にも、表れていますね。
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アリスのはなし (N.N)
2010-05-10 21:00:03
映画「アリス・イン・ワンダーランド」は、アリスが大きくなって17歳の時の話です。なので、原作とは全く違うものと考えていいと思います。

映画でアリスは怪物と戦いますが、
実はこれは、自分で自分の運命を切り開いていくため、
自分自身の弱さと戦うという意味での「戦い」だったと思います。
心象心理が、「怪物との戦い」という映像で描かれていたと私は理解しました。

その結果、現実の世界に戻ったアリスが、決断できる大人に成長します。
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アリスの成長 (M.H)
2010-05-10 23:59:04
戦うアリスというコンセプトはどうかと思いました。戦うという意味が、娯楽的な意味での宣伝になってしまうのではないかと思ったので。
実際に観て、成長する意味での戦いだったと理解できますが、私の中でのかわいいアリス、不思議な冒険をするアリスのイメージからは、ちょっと違うなあと思いました。
とはいえ、映像の美しさや、ジョニーデップの面白さ、作品の出来など、充分に楽しめましたよ。3D初体験で、映像の奥行きが素晴らしいと思い興奮しました。
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