デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

危険な関係

2006-08-20 06:34:32 | Weblog
 終戦記念日の15日に、小泉首相が靖国神社を参拝し、例年の如く賛否両論が渦巻く。15日という公約を守るのも政治家の務めなら、外交に配慮し、15日以外を選ぶのも政治家の任だとも思う。韓中国を刺激して危険な関係に発展するのは国益の損失に繋がる。公人ともなれば「心の問題」という括りでは解決できないものがあろう。

 その15日の新聞に、デューク・ジョーダンの訃報が伝えられていた。15年ほど前にライブを聴いたが、一曲終わるたびに椅子から立ち上がり客席に礼をする真摯な態度に驚いた。チャーリー・パーカーと熱いバップシーンを生き抜いてきたとは思えない程、温厚な人柄で、握手をして頂いたその手の温もりは忘れられない。その長い指から数々の名演を生みだしたと思うと感慨もひとしおだ。

 写真は名刺代わりの「ジョードゥ」と並ぶジョーダンの傑作「危険な関係のブルース」(原題 No Problem ~だいじょうぶ)で、ロジェ・バディム監督のスワッピングをテーマにしたフランス映画「危険な関係」の主題歌として使われている。この映画のサントラ盤はアート・ブレイキー名義で出ているが、この時はジョーダン作曲にもかかわらず他人名義で登録されており、印税が入ってこなかったそうだ。パーカーの未亡人、ドリスが見かねて自己のレーベルに吹き込ませ、ジョーダン作曲であることを表明している。このアルバムでは表題曲を様々なヴァージョンで3曲吹き込んでいて、ジョーダンの入れ込みようが伝わってくる。

 マイルス・デイヴィスの自伝に、「パーカー・バンド時代、デューク・ジョーダンがコードを間違うので頭にきた」と書かれている。今頃、「マイルス、もう間違えはしないぜ、 No Problem バードを呼んで一曲やろうぜ」とピアノに向かっているのかもしれない・・・合掌
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10 コメント

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静と動 (25-25)
2006-08-20 08:47:43
>韓中国を刺激して危険な関係に発展するのは国益の損失に繋がる。



中韓両国の内政干渉に屈して要求を呑めば、

「ああ、日本はやはり叩けば折れる」とばかりに

別な難題を持ちかけてくるのは見え見えです。

国益上はそのほうが、まずいのでは?



また、15日の各TV局のキャスターやコメンテイターが

一様にしたり顔で「コイズミ内閣はこれで、アジア外交の

改善という大きな課題を後継内閣に残したことになります!」と

コメントしていましたが、これは私に言わせれば逆で、何故

「中韓両国は、対日政策の変換を迫られることになりました」

と報じないのか、不思議でなりません。

私の感覚、変ですかね?



ま、そんなことはともかく、ジョーダンは

私も大好きです。

不遇時代には、タクシードライバーをやりながら

生計を立てていたとも仄聞しています。

「静のジョーダン」の代表が「Flight to Denmark」なら

「動のジョーダン」は、RCAのバルネ・ウィラン、ドーハムとの

共演盤で決まりでしょうか?

ここでのジョーダンは、無茶苦茶弾け飛んでいます。

「ありゃりゃ?○○でもやってたんかいな?」

て思うくらいです。



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フライト (duke)
2006-08-20 19:11:46
25-25 さん、こんばんは。



>「中韓両国は、対日政策の変換を迫られることになりました」



世界の眼で見ると、確かに仰る通りでして、感覚が変なわけではないと思います。コメンテイターは、ポスト・コイズミがA氏だという確かな前提のうえでの発言なのでしょう。アジア外交は大きな課題でして、中国に寄れば寄るほど、アメリカとの距離が離れるという国際情勢があるだけにA氏の手腕が問われるところです。



ジョーダンのカムバック後は瞠目するものがあります。「Flight to Denmark」はブランクを感じさせない傑作でした。ジョーダンはフライトが好きなようでして、ブルーノートに「Flight to Jordan」がありますが、シングル・タッチが美しいですね。RCA盤は○○でもやってフライトしたのでしょうか(笑)
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No Problem (KAMI)
2006-08-20 21:13:11
duku様、こんばんは。

「ノー・プロブレン(No Problem )」と言う曲名には、著作権問題で勝訴して、これからは問題なく自由に演奏できると言う、ジョーダンの強い思いが込められている様に思います。

名曲ですね。



では、では、
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ロリンズの No Problem (duke)
2006-08-21 18:28:48
KAMI さん、こんばんは。



「クール・スラッティン」と同様、「危険な関係のブルース」はアメリカでの受けは良くないそうです。日本人好みのワビ、サビの感性を持った曲だともいえます。



ロリンズのマイルストーン盤に同名異曲があり、最初に聴いたときはA面とB面を間違えたかと思いました。(笑)
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泣き節 (25-25)
2006-08-21 21:40:20
>「パーカー・バンド時代、デューク・ジョーダンがコードを間違うので頭にきた」と書かれている。



そのパーカーはコンボに入りたてのジョーダンに、

「君のピアノは、なかなかいいね!」と賛辞を贈り、

ジョーダンは甚く感激したと聞いています。

もしかすると、ジャズの世界で息の長い活動を

続けられた秘訣は、そのパーカーのたった一言の

褒め言葉だったのではないか、とすら思いますね。



>「クール・スラッティン」と同様、「危険な関係のブルース」はアメリカでの受けは良くないそうです。日本人好みのワビ、サビの感性を持った曲だともいえます。



「ジョードゥ」「スコッチ・ブルース」など、彼のオリジナルには

日本人好みの佳曲が多いですが、やはり独特の

「泣き節」が共通してあるように思います。

米国人には、もう一つ受けないかもしれませんね。



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日本での人気、アメリカでの評価 (duke)
2006-08-22 21:50:50
25-25 さん、こんばんは。



神様パーカーの一言は、仰る通りブランクを含めた長い音楽生活の支えになっていたようです。ジョーダン、マル・ウォルドロン、ベンチャーズ(笑)は、日本人に好まれますが、やはり「泣き」「ワビ」「サビ」を持っているのでしょうか。逆に日本では人気が今ひとつですが、アーマッド・ジャマール、モーズ・アリスンはアメリカでは評価が高いですね。感受性の違いでしょうかね。



「泣き節」といえば、日系二世パット・スズキの「Miss Pony Tail」(RCA)を聴いて笑ってしまいました。「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」や「レディ・イズ・トランプ」を唄っているのですが、「こぶし」がまわる、まわる。血は争えない。(笑)
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ひばりのジャズ (25-25)
2006-08-24 21:37:41
>「泣き節」といえば、日系二世パット・スズキの「Miss Pony Tail」(RCA)を聴いて笑ってしまいました。「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」や「レディ・イズ・トランプ」を唄っているのですが、「こぶし」がまわる、まわる。血は争えない。(笑)



この人の歌うジャズも、きっとコブシを利かせ

まくりか、と思って身構えていたら・・・



   ↓



http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005EL9L/sr=1-2/qid=1156422580/ref=sr_1_2/249-0566176-3260322?ie=UTF8&s=music



いや、意外にあっさり、すっきりで好感度大!

演歌は演歌、ジャズはジャズでちゃんと歌唱法を

変えて唄うところが、大歌手たる所以でしょうか?



>逆に日本では人気が今ひとつですが、アーマッド・ジャマール、モーズ・アリスンはアメリカでは評価が高いですね。感受性の違いでしょうかね。



ブルーベック、ガーナーも日本ではあちらほどの

人気はないようですね。



ところで、私がジャズを聴き始めた4半世紀前に

比べて、飛躍的に本邦での人気が上昇し、店頭での

アイテム数も急増しているジャズメンが一人。

チェット・ベイカーです。

この人気の鰻登りの秘訣は、なんでしょうね?





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ひばりの時代、ベイカーの時代 (duke)
2006-08-25 19:59:36
25-25 さん、こんばんは。



ひばりさんのこのアルバムは聴いておりますが、江利チエミさんと違って曲により歌い分けのテクニックは大したものです。やはり稀に見る天才です。本田靖春さんの著書「戦後 ひばりとその時代」には、天才たる所以と、昭和という時代のスター性が描かれておりました。



ベイカーのペットはともかく、ヴォーカルは妙な魅力があるのですが、昭和という硬派のジャズファンが多かった時代には受け入れ難い面があったことは確かです。ジャズ界のジェームズ・ディーンと持て囃されたアメリカのそれとは大きな違いでしょうか。近年、ゲイ、ニューハーフ、トランスジェンダーという言葉が普通に使われ、陰の部分がオープンになったことも中性的なヴォーカルのベイカーが受け入れられる一面かもしれません。決定的なのは小林桂さんの出現でしょうね。
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江利チエミwithカウント・ベイシー (25-25)
2006-08-26 01:34:39
>ひばりさんのこのアルバムは聴いておりますが、江利チエミさんと違って曲により歌い分けのテクニックは大したものです。



そうですね、江利さんのジャズも悪くはないのですが、

やはりひばりさんや弘田三枝子さんのほうに

一日の長があるでしょうか?



江利さんが、初来日したカウント・ベイシー楽団を

バックにジャズを歌ったライブ音源を持っていますが、

御大を目の前にやや緊張しながらも、初々しく溌剌と

「我が恋はここに」や「キャリオカ」を歌っていて、

なかなか好感が持てましたけどね。



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ジャズ向きの声質 (duke)
2006-08-26 19:31:20
25-25 さん、今日も暑かったですね。



ベイシーの初来日というと71年でしょうか。残念ながらチエミさんとベイシーのセッションは聴いたことがありません。ひばり、いづみ、チエミの三人娘の中ではチエミさんが一番ジャズに適した声質だと思いますが、どうも演歌もポップスもジャズも同じ感覚で歌っているような気がするのは私の耳が悪いのでしょうかね。



以前、森山良子さんがあちらのブルーノートで唄った画像を見ましたが、声が美しすぎてジャズには向かないですね。今一番ジャズ向きの声質だと思うのは、KAMI さんのページで紹介した早風美里さんです。松尾和子さんスタイルの正統派(笑)です。聴かなきゃあ~一生の損ですぞ。(笑)

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