祐さんの散歩路 Ⅱ

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・ 国家公務員制度改革に関する緊急提言

2014-04-16 00:05:10 | 日本を変える制度作り
2013年10月30日に脱藩官僚が出した声明を転載します。
あくどい官僚たちは、レベルの低い政治屋たちを上手にこき使って、自分たちの都合の良い法律を作らせます。また、自分たちにとって都合の悪い法案は、潰すか、ダメならあの手この手で骨抜きの法案にして提出します。この骨抜きにする法案を見破れるためには、政治屋レベルでは能力的に無理です。それを見破り訂正できるのは、やはり官僚ですが組織内にいては、下手に動くと潰されるだけです。そこで脱藩した元官僚が最適となとなるでしょう。


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(参考)【国家公務員制度改革に関する緊急提言】 2013年10月30日
(古賀茂明、高橋洋一、原英史、岸博幸氏ら脱藩官僚が出した声明と解説)

 国家公務員制度改革法案が月内にも国会提出の見通しと報じられているが、政府から提示されている法案骨子を見ると、本来あるべき改革とはかけ離れた内容と言わざるを得ない。

 国家公務員制度改革については、第一次安倍内閣のときから集中的な検討がなされ、2008年には与野党協議を経て「国家公務員制度改革基本法」が制定された。ところが、今回の法案骨子は、かつて議論されていた改革プランとは異質の内容になっている。

 2008年基本法に基づき、2009年に麻生内閣のもとで提出された法案(いわゆる甘利法案)は、十分とは言えないまでも、一定程度の改革を前進させる内容だったが、これと比べても、大幅に後退している。改めて、かつての改革プランに立ち返り、法案を抜本的に再検討すべきだ。

(1)「内閣人事局」について
「人事院の機能を温存したまま内閣人事局も作る」のではなく、2008年基本法及び2009年甘利法案のとおり、「人事 院、総務省等の機能を統合して内閣人事局を作る」ことにすべき。

(2)幹部公務員制度について
かつて野党時代の自民党が提出した「幹部公務員法」のように、幹部公務員の身分保障の緩和に踏み込むべき。

(3)「国家戦略スタッフ・政務スタッフ」について
2008年基本法及び2009年甘利法案のとおり、内閣主導の政策立案をサポートすべく制度化すべき。

(4)公募制度について
2008年基本法及び2009年甘利法案のとおり、内閣主導で公募導入を推進できるよう制度化すべき。

(5)天下り・現役出向について
今回の法案骨子で新たに追加された、現役出向拡大のための規定(2010年退職管理基本方針の法制化)を削除し、 第一次安倍内閣以来の「天下り禁止」 の方針を堅持すべきだ。

 なお、以上のいずれの事項も、2008年から2009年の法案策定過程で、霞ヶ関官僚及びそれと連携する自民党議員ら から強硬に反対のあった点である


<解説>

(1)「内閣人事局
かつての改革プラン(2008年基本法、2009年甘利法案)では、「内閣人事局」は、人事院、総務省等に分散された人事 関連の機能を統合し、内閣主導の幹部人事を支えることのできる体制を作ることを目指していた。9月時点で政府が示した法案骨子では、2009甘利法案の「内閣人事局」関連部分どおりとされていた。つまり、人事院・総務省の機能は相当程度統合することとし、当初プランに照らし、満点とは言えないまでも十分評価できる 内容だった。ところが、その後の調整を経て、10月時点で示された政府の法案骨子をみると、
・任用、採用その他の事務につき、内閣人事局と人事院との間で複雑怪奇な業務分担を設定
・幹部職員の級別定数の設定につき、内閣人事局の権限としつつも、「人事院の意見を尊重」との規定を追加といった変更が加えられた。すなわち、「人事院の機能を統合して内閣人事局を作るのでなく、「人事院の機能を温存したまま内閣人事局も作る」という話にすり替えられてしまった。これでは、単に新しい組織を作るだけであり、人事機能の分散した無責任体制をさらに悪化させるだけになりかねない。

(2)幹部人事制度
幹部人事の一元管理を実効あらしめるためには、単に内閣人事局という器を作るだけでは足りず、幹部人事制度の改革が必要だ。現行の公務員制度では、次官・局長などの幹部職員も、係員レベルの職員と 同じ身分保障の対象であり、よほどのことがない限り免職も降格もされない。この結果、民間人や若手を幹部に起用しようとしても、幹部ポストに ある職員の身分保障に阻まれ、結局、年功序列型の順送り人事によるしかない...というのが実態だった。かつて、自民党が野党だった際には、この点を改めるべく、幹部の身分保障を緩和する「幹部公務員法案」を提出し、法案審議にも臨んでいた。ところが、今回の政府の法案骨子には、「幹部公務員法」は含まれていない。これでは、「内閣人事局」だけ作っても、これまでどおりの幹部人事を追認するだけの機関になってしまう。

(3)「国家戦略スタッフ・政務スタッフ
2008年基本法及び2009年甘利法案では、内閣主導の政策決定を推進するため、官邸に「国家戦略スタッフ」、各大臣のもとに「政務スタッフ」をおき、重要政策の企画立案をサポートすることとしていた。また、人数にも制限を設けず、 政権の判断で実効性のあるチームを形成できることとしていた。しかし、今回の政府の法案骨子では、
・「国家戦略スタッフ」は既存の総理補佐官をもって置き換えることとし(人数の増員は行わない)
・「政務スタッフ」は、各省1名の大臣補佐官としている。政策の企画立案サポートは一定規模のチームで行うことが
 不可欠であり、こうした制度では到底実効を伴わない

(4)公募制度
2008年基本法及び2009年甘利法案では、公募制度の導入は、重要な柱のひとつと位置付けられていた。2009年甘利 法案では、内閣主導で公募の導入を進めるため、
・公募の手続(総理が公募ポストを指定すること等)を法律で定めるとともに、
・数値目標を定める等の規定を設けていた。
しかし、今回の政府の法案骨子では、これらの規定が削除され、単に公募指針を定める程度のことになっている。これ
では、公募導入の推進は期待できない。

(5)天下り・現役出向
政府の法案骨子では、かつての2009年法案にはなかった「人事交流の対象となる法人の拡大、手続の簡素化」という規定が盛り込まれている。2010年に民主党政権のもとで、いわば天下りに代わる抜け道として、現役出向を拡大する方針を示す「退職管理方針」が決定されたが、この規定は、同方針に沿って現役出向を拡大するための規定と考えられる。「退職管理基本方針」は、かつて野党時代の自民党から批判があったとおり、「天下り禁止」という第一次安倍内閣 以来の方針を覆そうというものである。これでは、「天下り禁止」という方針に全く逆行することになる。