26日、佛立研究所と佛立専門学校の共同開催による発表大会が行われました。
今回、その開催記念の講演が「生物と無生物の間」の著者、福岡伸一先生によって行われました。
また、研究所はすばらしい講師に交渉してお話ししていただき感謝いたします。
福岡先生はこの本がベストセラーで一躍、一般の人にも名前が知られ、さまざまなメディアに取りあげられました。超多忙な方ですがこころよくお引き受けいただいたわけで、また、研究所のヒットですね。
以下は記憶するまま、当日のお話の要点を描きました。
人間の思い込みがいかに強いかというお話。
人間のパタン認識の能力は高いだけに危険。間違いを犯す。
生命を単なる機械仕掛けのもので、部品の集まりだと思うのも思い込みであり、デカルトやメルロ・ポンティなどの思想の影響が大きい。
鼻は鼻を形成している表面の部分だけを移植すれば、鼻として機能するか。
嗅覚を受容する細胞、神経、そして脳に至るまで、すべてが関わることによって鼻は鼻として機能する。
人間の一部の臓器を移植しても、それはこの鼻と同じようなこととなる。全体との
の関連に着目しなくてはならない。
身体の中のある細胞が欠損しても、それは周囲の細胞との相補性というものがはたらいて補っていく。細胞には膨大な情報量を持つDNAがあり、どこかの細胞が欠損した場合、DNAの設計図にしたがって細胞が復元されるが、その細胞がもっているDNAはその個体では皆同じである。それが肝臓なら肝臓のその部位の細胞となっていくのは相補性による。
生命とは何か、自己を複製し増殖するというのも一つの特徴だ。その自己増殖性という特徴を色濃く備えているのがガン細胞。また、今日、話題となっているES細胞とかPIS細胞なども増殖していくが、相補性によって、周囲との関係で必要とされる細胞となっていくのであるが、はたして人間が本当にこれらの細胞をコントロールできるかどうか。
また、生命は、単なる機械論的に成り立っている固定的なものではなく、自己同一性をたもちながら、しかも変わっていく、流れていくものである。これを動的平衡状態にあるものと私は言う。
同じ人間に数ヶ月後に会って私たちは、お変わりありませんね等というが、実は分子レベルでいえば、まったく入れ替わっているのである。
ネズミを使ってある生物学者が実験した。同位性元素を使って、摂取した食べ物の中に重チッソを含ませ、どの程度の重チッソが残留しているか調べた結果、驚くほど長く、重チッソは身体にとどまり、そしてまた、出て行くことが判明した。
前半は以上のような話でした。その後、現代の私たちに警鐘を鳴らすお話をなさいましたが、長いので次回。
とにかく、ずしっとくる講演でした。研究所の方々、感謝しています。
今回、その開催記念の講演が「生物と無生物の間」の著者、福岡伸一先生によって行われました。
また、研究所はすばらしい講師に交渉してお話ししていただき感謝いたします。
福岡先生はこの本がベストセラーで一躍、一般の人にも名前が知られ、さまざまなメディアに取りあげられました。超多忙な方ですがこころよくお引き受けいただいたわけで、また、研究所のヒットですね。
以下は記憶するまま、当日のお話の要点を描きました。
人間の思い込みがいかに強いかというお話。
人間のパタン認識の能力は高いだけに危険。間違いを犯す。
生命を単なる機械仕掛けのもので、部品の集まりだと思うのも思い込みであり、デカルトやメルロ・ポンティなどの思想の影響が大きい。
鼻は鼻を形成している表面の部分だけを移植すれば、鼻として機能するか。
嗅覚を受容する細胞、神経、そして脳に至るまで、すべてが関わることによって鼻は鼻として機能する。
人間の一部の臓器を移植しても、それはこの鼻と同じようなこととなる。全体との
の関連に着目しなくてはならない。
身体の中のある細胞が欠損しても、それは周囲の細胞との相補性というものがはたらいて補っていく。細胞には膨大な情報量を持つDNAがあり、どこかの細胞が欠損した場合、DNAの設計図にしたがって細胞が復元されるが、その細胞がもっているDNAはその個体では皆同じである。それが肝臓なら肝臓のその部位の細胞となっていくのは相補性による。
生命とは何か、自己を複製し増殖するというのも一つの特徴だ。その自己増殖性という特徴を色濃く備えているのがガン細胞。また、今日、話題となっているES細胞とかPIS細胞なども増殖していくが、相補性によって、周囲との関係で必要とされる細胞となっていくのであるが、はたして人間が本当にこれらの細胞をコントロールできるかどうか。
また、生命は、単なる機械論的に成り立っている固定的なものではなく、自己同一性をたもちながら、しかも変わっていく、流れていくものである。これを動的平衡状態にあるものと私は言う。
同じ人間に数ヶ月後に会って私たちは、お変わりありませんね等というが、実は分子レベルでいえば、まったく入れ替わっているのである。
ネズミを使ってある生物学者が実験した。同位性元素を使って、摂取した食べ物の中に重チッソを含ませ、どの程度の重チッソが残留しているか調べた結果、驚くほど長く、重チッソは身体にとどまり、そしてまた、出て行くことが判明した。
前半は以上のような話でした。その後、現代の私たちに警鐘を鳴らすお話をなさいましたが、長いので次回。
とにかく、ずしっとくる講演でした。研究所の方々、感謝しています。