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ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 エンディングと感想

2015-09-26 09:37:26 | ロード・オブ・ザ・リング
The Lord of the Rings: The Return of the King
2003年
Director:Peter Jackson
Screenplay:Fran Walsh Philippa Boyens Peter Jackson
Based on The Fellowship of the Ring by J. R. R. Tolkien

ガンダルフとの別れ。

「Farewell my brave Hobbits. My work is now finished.
Here at last, on the shores of the sea, comes the end of our Fellowship.
I will not say do not weep for not all tears are an evil.」
お別れだ、勇敢なホビットたち。私の仕事は終わりを迎える。
ついにこの海岸で私たちの仲間としての絆が終わるんだ。
泣くなとは言わない。すべての涙が悪いわけではないからね。

ガンダルフは船の前まで歩きフロドに「時間だよ。」と言います。

「We set out to save the Shire, Sam and it has been saved, but not for me.」
僕たちはホビット庄を救おうとしたよね、サム。救うことができたけど僕は救えなかった。

それを聞いたサム。
「You don't mean that. You can't leave.」
うそでしょ。あなたが行くわけがないです。

フロドはサムに本を渡し、最後のページは君のために。と言います。
そしてメリーやピピンとお別れをします。


サムには額にキスをしてお別れ。


最後に明るい笑顔を見せるフロド。
何も言葉は交わさないけど、お互いに全部伝わってるんでしょうね。
もうこれを書いていても涙で前が見えません。

何か額にキスの場面が多いような気がするんですがこれはなぜなんでしょう・・・・敬愛?祝福?

ラストはフロドがサムに書いたメッセージ。
My dear Sam, you cannot always be torn in two.
You will have to be one and whole for many years.
You have so much to enjoy and to be and to do. Your part in the story will go on.
親愛なるサム。君は2つに裂かれることのないように。
ずっと欠けることなくひとつでいてほしい。
これから楽しい事がたくさんある。
君の物語はこれからずっと続いていくんだ。

ここで物語は終わりますがこの後のエンドロールの長い事。
20分はありそう。


指輪の所持者となったフロドがミッション終了、ハッピーエンドで終わらないのが深いですよね。
指輪の所持者となることがいかに恐ろしいことかがわかります。



王の帰還は張り切りすぎちゃって長くなってしまいましたが
旅の仲間もSEE版を観たらいろいろ書きたい事だらけで、SEE版観てからやれば良かったと後悔(笑)
いつかリベンジしようと思っていますがひとまずここにちょっとだけ感じた事を。

旅の仲間といえばボロミアとアラゴルンの関係ですが(え?違う?)
劇場版よりも深く掘り下げてあったので、ボロミアの最期のやりとりがかなり深い言葉になったように思います。
そして同じようにフロドの不安が大きくなっていく過程もあったので、
突然ひとりで旅立つ決意をしたのではなく、次第に決意を固めていった感じです。

裂け谷の会議でアラゴルンの素性を知ったボロミアは
「Gondor has no king. Gondor needs no king.」ゴンドールに王はいない、必要ないってボロミアが言っています。
裂け谷を発つ時にアラゴルンのお母さんのお墓の前でエルロンドが、
王の剣は鍛え直せるけどその力はあなたにしか扱えないよ、と言われた時にアラゴルンは
「I do not want that power. I have never wanted it.」そんな力欲しくないし欲しいと思った事もない、と否定します。
この時点では王となる運命を受け入れる事に迷い続けているアラゴルンと、
ゴンドールはずっと自分たちが守ってきたんだし今更王なんていらない、というボロミアなんだけど
旅と戦いを通してお互いを認め合っていってるんじゃないかと。


ボロミアも最初こそあんな態度でしたけどホビットたちの面倒をよくみてたし、
ガンダルフがいなくなったあと、みんなを庇いつつアラゴルンに従ってたし、
最後、アラゴルンが駆けつけた時も真っ先にホビットたちを心配してたし(泣)

ロスロリアンの森に行った時にハルディアさんが「You bring great evil」大きな災いをもたらすとか
そんな理由でフロドを拒否しアラゴルンが必死に説得している場面があったのですが、
フロドはこのあたりからみんなと一緒にいてはいけないと思ったようです。

ロスロリアンでボロミアがアラゴルンにちょっと弱音を吐く場面。
ふたつの塔でカットされたデネソールとのやりとりを前提にすると父の期待に重圧を感じていそうです。
だからこそ指輪の力を欲しちゃったし、指輪もわざわざボロミアの前に落ちたりして本気で誘惑しようとしています。
ボロミアのセリフ。
「One day, our paths will lead us there. And the tower guard shall take up the call.
The Lords of Gondor have returned!」
いつか、我々はそこに(ミナスティリス)導かれる。そして塔の衛兵が叫ぶんだ。
ゴンドールの主が帰還したと。

ボロミアの言葉に今はまだただ黙って聞いているしかないアラゴルン。

そしてロスロリアンを発つ時、アルウェンは旅立たせると言うアラゴルンにガラドリエル。
「That choice is yet before her. You have your own choice to make,
Aragorn… to rise above the height of all your fathers since the days of Elendil,
or to fall into darkness… with all that is left of your kin.
Farewell.There is much you have yet to do. We shall not meet again, Elessar.」

選択するのは彼女であなたにはあなたの選択があります。
エレンディルの時代からの父祖全てを超えなければあなたの血族は全て暗闇に陥るでしょう。
お別れです。あなたにはまだやることがあります。もう2度と会う事はないでしょう。エレスサール。
と、背中を押すガラドリエル。

ラウロスの滝に向かう途中の野営でのボロミアとアラゴルンの会話。
ボロミアがミナスティリスに行って体制を立て直しゴンドールの軍隊とモルドールに向かおうと提案しますが
ゴンドールの軍なんて役に立たないからとアラゴルン。
ボロミア:
「You were quick enough to trust the Elves. Have you so little faith in your own people?
Yes, there is weakness. There is frailty.
But there is courage also, and honor to be found in Men. But you will not see that.
You are afraid! All your life, you have hidden in the shadows!
Scared of who you are, of what you are.」
エルフはすぐに信用するくせにあなたの民は信用しないのか?
もちろん弱いし、もろさもある。だが人間には勇気もあるし名誉を重んじる。あなたはそれを見ようとしない。
あなたは恐れているんだ!生まれてからずっと目を逸らしてきたものを。
自分が何者なのか、何なのかを恐れているんだ。
アラゴルン:
「I will not lead the Ring within a hundred leagues of your city!」
あなたの都の100リーグ以内には指輪を近づけさせない!


アラゴルンはボロミアが指輪に誘惑されつつあるという事は知っていたし、
デネソールもいたのでこの言葉なんだと思いますが、
ボロミアに痛いところをつかれちゃって逆キレ気味な部分もありますよね。

元気のないフロドの力になろうとサムが頑張りますが今回は役に立たないとサムを突き放すフロド。
ガンダルフからもガラドリエルからも忠告を受けていたフロドはこの会話を聞いてひとりで旅立つ決心を固めたように思います。


そしてボロミアの最期の場面。
フロドはどこ?と聞くボロミアに「行かせたよ。」とアラゴルン。
Boromir: "Then you did what I could not. I tried to take the Ring from him."
私はそうすることができなかった。指輪を奪おうとしたんだ。
Aragorn: "The Ring is beyond our reach now."
指輪は手の届かないところに行ったよ。
Boromir: "Forgive me. I did not see it. I have failed you all."
許してくれ。私は見えてなかった。皆の期待を裏切ってしまった。
Aragorn: "No, Boromir, you fought bravely! You have kept your honor."
そんな事はない、ボロミア。あなたは勇敢に戦った。名誉を汚さなかった。
Boromir: "It is over. The world of men will fall, and all will come to darkness… and my city to ruin."
終わりだ。人間の世界は滅び全ては闇に包まれ、都は崩壊する。
Aragorn: "I do not know what strength is in my blood,
but I swear to you I will not let the White City fall… nor our people fail!"
私の血にどれだけの強さがあるのかわからないが、白き都を、我らの民を守るとあなたに誓う。
Boromir: "Our people? Our people."
我らの民?我らの民。
Boromir: "I would have followed you my Brother… my Captain… my King!"
あなたについていきたかった、我が兄弟・・・我が大将・・・我が王。
Aragorn: "Be at peace, son of Gondor."
安らかに眠れ、ゴンドールの息子。
Aragorn: "They will look for his coming from the White Tower. But he will not return."
民は白い塔から彼の姿を探すだろう。しかし彼が帰還することはないのだ。


ボロミアの死によってやっと王としての自分の運命を受け入れるアラゴルン。
原作ではアルウェンと結婚とするために王になるべく頑張っていたようなのですが、
映画だとボロミアとの約束を守るために頑張ったのかと思う私が腐っているんですね(涙)

ロスロリアンの森でレゴラスが、ガンダルフがいないのは無暗にモリアに入ってしまったからと言うと
ガラドリエルがガンダルフの行動に意味のないものは何ひとつとしてない、と言っています。
そう思うとガンダルフがモリアで落ちたのは必然だったのかなーと。

ボロミアが誘惑に負けたことによりフロドがみなから離れサムと旅立ち、
メリーとピピンはオークに攫われ、それによって大きな力を動かし
ボロミアの死によってアラゴルンは王となる運命を受け入れ、
そしてガンダルフ自身も白の魔法使いとなる、
どれが欠けても成功はあり得なかったんですよね、きっと。

話がちょっと逸れますがかわいかった場面をふたつ。
ロスロリアンでガンダルフを悼んでいるエルフたちの声を聞いたサムが
ガンダルフの花火も詩にしなきゃ、と自分で詩を作って読むんです。
「The finest rockets ever seen,
They burst in stars of blue and green…Came falling like a… rain of flowers…」
それを聞いていたアラゴルン、隣のギムリのイビキがうるさくて思わずパシッと叩いちゃう場面。


もうひとつは同じくロスロリアンを発つ時にガラドリエルがひとりひとりに贈り物をします。
レゴラスには弓、メリーとピピンには短剣、サムにはロープ。アラゴルンにはケレボルンから短剣。
そしてフロドにはエアレンディルの光。
でもギムリは美しいあなたに会えたので何も要らないと辞退します。
その時のガラドリエルの笑顔がものすごくかわいくて。

結局ギムリはひとつだけもし叶うならあなたの髪の毛を1本くださいって、言うんですけど。
ギムリったら。
で、なぜボロミアには何もないかというと・・・・何で?

それにしてもアラゴルンは知れば知るほど惚れちゃいますねー。
伝説の人物の末裔で正当な王位継承者ってそれだけでも高貴なのに
育ての父がエルロンド卿という育ちの良さ。
なのに本人野伏とかやってていつも薄汚くて、でもみんなに頼りにされてて、
しかも嫁はエルフだし、何だかもー。

フロドを逃がすためにひとり大量のオークに向かっていく時にエレンディール!と叫ぶ場面とか
かっこよすぎー。は・・すみません。



生きるって、自覚があるなしに関わらず常に何かの選択の繰り返しなんですよね。

私は10年ほど前に義姉が死にその2週間後に父が死んだ時に、あの時こうしてればと後悔の繰り返しでした。
そして数年後に母が倒れ余命を宣告された時に、結局何を選択しても後悔はあるんだという事を学びました。
時間を戻すことができてもし違う選択ができたとしてもやっぱりあっちを選べばよかったかも、と。

だから何かを選択しなければならない時には後悔しない選択などない、ということを覚悟して、
選んだ以上はその時にできる限りのことをする、そして経験した事はきっといつか誰かの役に立つから、と
ネガティブなんだかポジティブなんだかわかりませんが、そう思うようになりました。
「旅の仲間」でのガンダルフの言葉を聞くたびにこの事を思い出します。

うまく言えませんが、人生なかなか思った通りの結果が出る事はあまりないので、
出来る事もやらないで更に後悔するよりはせめて力を尽くして後悔したほうがいいかなーと。
簡単ではないですけど。

そうそう、「Run!」と叫ぶガンダルフも大好きです。
ホビットでも「Run」言ってましたね。


この映画ももう10年以上前なんですよね。
今見てもまったく古さを感じさせない、どころか見るたびに気づくことがあってそのたびに感動します。
今回は今までになくじっくりと考えながら観たこともあって、
「指輪物語」がずっと愛されている理由がほんの少しだけわかったような気がします。

主役がホビットなのもいいですね。
身体は小さいけれど勇気と元気と思いやりがあって。
そういえば「ホビット」でのガンダルフのセリフがありました。
「I found it is the small everyday deeds of ordinary folk that keep the darkness at bay...
small acts of kindness and love.」
闇をはらうのは普通の人たちのつつましい日々の営み・・
ほんのささいな親切と愛情だと気づいた。

トーリンの最期のセリフもありました。
原文が見つからないのでうろ覚えですが、
「みんながビルボのように家を愛すれば戦争なんて起こらない。」こんな感じでしたか。
キャラクターのセリフがトールキンさんの思いだったように思います。

クリストファー・リーさん亡くなったんですよね。


そんなわけでここのところガッツリ指輪の世界に浸っておりましたが、
やりたいと思ったときにやれる幸せを噛みしめました。
思いのほか長くなってしまいましたが楽しかったですー。
これからシェイクスピアとその後はホームズの世界に入ると思いますが
絶対に時間を見つけて原作を読みたいと思っています。

それにしても設定が凄いんですけど。
人物の歴史とか国の成り立ちとか家系図まであって本当に凄い。
これはトールキンを研究している方たちが作っていったのでしょうか。
深いです、指輪。

2 コメント

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お疲れ様でした (モグモグ)
2015-09-26 15:44:02
長い三部作、お疲れ様でした。指環物語は、何度みても新しい発見があり、又心に響く言葉に涙します。そして、ありとあらゆる人間ドラマが詰め込んである壮大なスケールのお話なんですよね。トールキンて、凄い学者さんです。宮崎駿夫さんは、階級制度のある、この話がお好きでないと聞いた事がありますが、そんなことを、上回る感動があると思いませんか。dicoさんもうすぐ渡英されるんですよね。お時間があれば、オックスフォードに足を、のばされると、いいでしょうが、シャーロックとハムレットで、一杯一杯になりそうですね。ホント、イギリスの文化は楽しいです。身体に気を付けて、楽しんで来てください。お土産話お待ちしています。
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Re.お疲れ様でした (dico)
2015-09-26 23:58:34
モグモグさん
こちらこそ最後までありがとうございます。
本当に本当に見るたびに発見があり壮大さを感じますよ。
トールキンさんはもちろんの事、PJ監督の手腕にも頭が下がりますね。
宮崎駿、そんな事を言ってるんですか。何を言っているんでしょうね。
それを上回る感動がある、に心底同意しますよ!

オックスフォードは以前から行きたいとは思っていましたが、
これで益々行きたくなってしまいました。
何とか調整して頑張りたいです。
イギリスも知れば知るほど嵌ってしまいますね。
そして、お気づかいありがとうございます!
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