97年、最初の作家シリーズの個展に、日本に一台立体をスキャンする機械があり、それで私の作品を映像で動かしたい、という人が来た。当時はワープロすら触ったことがなく興味が持てなかったが、昨今のAIとなると話が違ってくる。私が作った700年前の高僧に説法してもらうことも松尾芭蕉に一句詠んでもらうことも可能だろう。子供の頃観た名場面、雷鳴轟く中「 It's alive!」と叫ぶフランケンシュタイン博士の気分を味わう日も近いだろう。 年齢と共に一度見た過去には興味がなくなり、見たことのないものしか興味がなくなってきた。引越しの時に、生まれた日から記録された私のアルバムを忘れてきたことも遠因となっている気がする。コレクションを一度処分すると、処分したことを後悔するのが嫌で二度と手を出さない。あの心境に近い。