創業350年の金魚問屋を紹介されたことにより、その気になって、『蜜のあわれ』を手掛けたが。おかげで、今後二ヶ月近く制作に手を染めてはならない、という悪魔との契約を交わす羽目になった。よって、これは何も作ろうと言う話しではなく、ちょっとした覚え書きである。 三島由紀夫が会員制同性愛誌に書いた『愛の処刑』というわざと下手くそに書き、念を入れて他人に書き写させた、と言う作品は、新潮社の全集にも入っている。何度か粗筋を書いたからくり返さないが、三島はこんなシチュエーションで死にたい、と願望を書いたかのようでもある。 三島の死の場面を描くなら、作中に死の場面があれば好都合なわけだが、美少年に見つめられながら腹を切る毛深い体操教師。「先生素敵、僕先生のそんな顔が見たかっんだ。確かそんなセリフがあった。 近所にモデルとして母、姉、妹とお世話になってきた一家がいる。そこの次男が、姉さんにイタヅラで化粧された写真を見た事があるが、一家で最も美しくなってしまった。『愛の処刑』を考えないでもなかったが、三島の趣味とは違う。しかしド素人にデジタルって何でも出来るんですね、と言われ金魚娘を捏造した私である。腹を切る三島、先生のそんな顔が見たかったんだ、としがみつく青年。ここは私の創作だが、飛び散る血しぶきが青年の口に入ってしまい、思わずすすってしまう。口のまわりを血だらけにしながら「先生の血は⭕⭕で⭕⭕⭕なんだね。」 柄にもなく、金魚や金魚娘など可愛らしいものを手掛け、傾いたバランスを立て直そうとしているのかもしれない。
タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第15回『美容院には行かないで』
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『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界