明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



どこかで本を読もうと家を出ると、K本が戸を全開にし、おなじみのモスグリーンの大型冷蔵庫が外に出ていた。冷えなくなったと聞いていたがついにご臨終とのこと。30年近く冷やし続け、氷の入っていない、正調のホッピーや酎ハイを支えてきたわけである。新しい冷蔵庫は背が高くなるらしい。それは女将さんの覚悟のように思われ、決意表明とも思えた。その冷蔵庫が女将さんの引退を遅らせることになるだろう。 本を読むなら多少ワサワサしていた方が良い。かといってコーヒーはミルクを多めに入れないと飲めないので、結局サイゼリアでワインを。一人飲みはどうしてもピッチが早くなる。 そろそろ制作を開始する作家の、この短編を始めて読んだのは中学の時であろう。私は文学作品を読んでも、文章として記憶することは全くなく、画として記憶している。むしろ文章は覚えられないといっても良いであろう。そういえば歌詞を覚えている曲もないし。 小学校の時だったろう。日光に遠足に行った時、始めて来たのにその風景を知っているという不思議な体験をしたが、それはドイルの『失われた世界』を読んで頭に浮かんだ景色であった、と後に気づいた。今日も似たような気分になった。窓から外を眺めていたら奇妙な生き物が山を下りて来る。そんな画が記憶の奥にあったのだが、それは実際に体験したわけではなく、昔読んだこの作品だと気がついた。奇妙というだけで、どんな生き物かは覚えていなかったし、オチも覚えていなかったが。実際に視た風景であろうと頭に浮かんだ風景であろうと、頭の中に在ることはに違いはなく、同等である。 横のテーブルの女性2人の間で、私のピッチの早さが密かに話題になっている気配を感じた頃、斜め読みになり始める。そこへMさんより一杯どうか、とのお誘いのメールが着た。すでに佳境に入っていたが、私の場合江川のボールのように、ここからホップするので、指定のインド料理屋へ。奥さんとも久しぶりにお会いし楽しく過ごした。しかし帰宅しても私の快速球は収まらず、ホップし過ぎて暴投となり、おかげでオリンピック見過ごす。

過去の雑記

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