弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

弁護士と報酬の問題~受験生さんのコメントへのご回答の続き~

2006年10月19日 | ⑥弁護士等法曹情報
受験生さんからの再コメントを期待していたんですが,何もなしで少し寂しかったです(勉強で忙しいのでしょうから,こう言われたからと言って無理してコメントしないで下さいね。寂しいというのは半分冗談ですし)。

前回の補足で少し,多くの弁護士が報酬を高く取る理由(言い訳)についてもう少しふれます(必ずしも全員ではないですが)。

弁護士は,手弁当で事件を受けることがあります(報酬は少し若しくは全く頂かずに赤字状態で事件を行うこと。自腹を切って経費を出して事件すること)。
折角,社会正義のため弁護士になった以上,営利追求だけでなく,世のため人のため,金に関係なく仕事もしたいわけです。

そういう事件をするためにも取れるところからはできるだけ取っておきたいという気持ちはあります。

まあ,どちらにしろ,弁護士は社会の平均よりは多くの人が収入多いので,偽善的と批判されそうですが。

しかし,私は,例え偽善者であっても,よいことをすることはいいことだと思っています。
かく言う私も,自分のために(自己満足や人にほめられたい等の理由から)いいことをときどきしようという偽善者です(もはや開き直りっぱなし状態です(笑))。

私も事務所入所の日から早速,大勢の弁護士が手弁当でやっている,国相手の訴訟の弁護団に入りました。

また,私は,合格する前,ある神社に合格祈願のため祈祷してもらいに行ったら,神主さんが頼んでもないのに,「この男は司法試験受かったら,世のため人のために働くので,何卒司法試験に受からせてくれ給え。」と私の代わりに神様に祈ってくれました。
そして,その御利益かどうかはわかりませんが,とにかくその年に司法試験に合格してしました。
もし合格していたのが,神様の御利益としたら,私が世のため人のために働かなければ神様との約束を破ったことになっちゃうんですよね(約束破るとバチが当たりそうでこわい)。

というわけで,世のため人のためにも働かなければならない弁護士になってしまいました(笑)。
別に嫌々じゃないですけどね。

ちなみに,事務所もどっちかというと,そういう系の事務所です。

あの神主さんには本当にしてやられました。名前聞いておくんだった。

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初の有料法律相談

2006年10月16日 | ⑫雑談
今日,朝ボスのひとりに「よく相談を受けている人の紹介で法律相談あるけどやってみない?」と言われ,「やります!!」と二つ返事で引き受けました。
私は,まだ新人で他の弁護士より忙しくないので,今はとりあえずボスから頼まれたことはすべて何でもやりますと言うようにしています。
ボスと2人で相談に入ると思いきや,ボスは「(ひとりで)頑張ってね~♪」と早々にどこかに消えて行きました。

前回の電話相談は,ごく簡単なものですぐ終わるものだったので無料でやったんですが,今回は,事務所に来訪頂き,面と向かって相談を受け,相談料を頂くもの。
相談が有料・無料関係かでやることは違わないのですが,やはり相談者から直接お金を頂くとなると,やはり緊張感が違います。

相談内容は詳しく守秘義務の関係から述べられませんが,強制執行と破産手続等についての相談でした。

かなりテンパリながらも,私の知識,六法・書籍・インターネットを駆使して一生懸命お答えました(汗だくでした)。

なかなか要領をがわからなかったので,相談者のおっしゃりたいことをとりあえず丁寧に聞くようにこころがけました。
おかげで相談時間は1時間30分程度もかかってしまいました。

相談者の方から「相談料はいくら?」と聞かれ,30分の料金である「5250円」と申し上げたところ,「それだけでいいの?」と言われました。
とりあえず満足頂けたようで,頑張った甲斐がありました。

今はすべてが初物でとても新鮮ですが,初心をいつまでも忘れないようにしたいと思い,今日ブログを書きました。

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弁護士バッジゲット!!

2006年10月10日 | ⑫雑談
今日(10月10日),弁護士会に行って弁護士バッジを頂きました。
これでようやくバッジのない弁護士を卒業できました。

うれしがってすぐつけようと思ったら,なぜかスーツのバッジをつける穴がすべて縫い付けられており,バッジをとめるネジを差し込むところがありませんでした。
お陰で,バッジつけられず。
修習生時代は,バッジをとめるところはネジではなく針だったので,穴がなくても刺してとめられていたんですよね。穴が開いてなくても全く気にしていませんでした。

ところで,弁護士バッジは,ひまわりの花をイメージしたもので,花びらの中には天秤の絵が描いてあります。
花びら部分は金色で,中央の天秤部分は銀色です。
長年弁護士をやっていると,金メッキが剥げ銀色になります。
金色バッジは新米で,ベテランは銀バッジで,ドラマでベテラン弁護士も金バッジなのはおかしいと指摘されているのは,有名な話ですね。
早くベテランに見られたい人は,金メッキを剥がすべく,小銭入れにバッジを入れておくとか聞いたこともあります。

ちなみにバッジの裏面には,自分の弁護士登録番号が書かれています。

バッジの色が金色だろうが銀色だろうが,依頼者・相談者・相手方・裁判所の前では同じ一人前の弁護士。決して甘えは許されません。
まだ襟につけられないバッジですが,手に入れて改めて責任の重さを痛感したのでした。

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H18年旧司法試験論文試験合格発表

2006年10月06日 | ①司法試験について
10月6日,平成18年度旧司法試験論文試験の合格発表がありました。
合格された方おめでとうございます。

論文受験者3717人中,論文合格者542人でした。
論文競争率約6.86倍,論文合格率約14.6%でした。
詳しくは,コチラ*

去年の口述落ちた人を合わせて,口述試験を行い,約600人にするつもりでしょうか。どうなんでしょうね。

合格点は,133.75点以上で,去年の132.75点以上を1点上回りました。

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受験生さんのコメントへのご回答(マチ弁について)

2006年10月06日 | ⑥弁護士等法曹情報
とてもするどい内容のコメントでしたので記事にしました。

>こんにちは (受験生)

>2006-10-06 15:12:39

>はじめまして。法曹を目指している学部生です。

>失礼かもしれないのですが、現役の弁護士さんに質問したいことがあります。

>NOBIさんの町弁の定義なのですが、国民の立場からすれば、法律家が、高額な料金を請求する限り、
>>>近所の町医者のように「ちょっとNOBIさんのところに相談行ってくるわ」

>というような弁護士さんは難しいのではないでしょうか?
>冷めた目でみると、あくまで弁護士は高い所から物をみてるので、自分たちの敷居の高さが分からなくなっている印象が残ります。
>町弁志望なので、自分でも悩んでることなので、NOBIさんの考えを良かったら聞かせていただけませんか?

>私の定義では、町医者のような弁護士=自分のできる仕事なら、嫌な仕事でも断らない弁護士です。


するどい質問ですね。

弁護士の報酬が高額なのは,ある種収入が不安定であるので仕方のないところがあるんですよね。
なかなか清貧とはいかないのが現状です。
医者みたいに保険制度があればもう少し楽になり安くなると思います。

また,考え方次第では,そんなに弁護士費用って医者より高くないと思います。
病気で言うと風邪ぐらいの症状の事件なら相談程度(30分5250円)ですみます(医者で保険使うと初診だと10分で1000円くらいですが(保険がないとすると10分3000円強。保険も高い保険料を毎月払っているので実質的には自己負担),分給からすると弁護士の方が安い)。
少しぐらい病状が進んでいても内容証明一本ですんだりすることもあります(数万円。これは高いか?)。

訴訟とか10万以上かかる事件は,保険のきかない手術みたいなものだと思います。
そう考えるとそんなに高くないと思います。

といっても何十万はやはり高いです。

収入が一定以下の人は,法律扶助という制度もあり(法テラス),弁護士費用の立替えができ(しかも通常の弁護士費用より相当安くなる),月々1万円程度の分割弁済ができます。
この点は医者より恵まれていると思います。

なんか自己正当化というか開き直り的になってしまいました。
医療費もそもそも高すぎると言われたらおしまいのことですね。

ただ,これから弁護士増えるので,過当競争が始まり,弁護士費用が今より下落することも考えられます。
そうすれば,気軽に弁護士を雇えることになります。
どうなるかわかりませんが。

受験生さんのおっしゃるとおり,弁護士は上から目線の人が多く(私もそうかもしれない),嫌な仕事も断る人多いのも確かです。

ただ,絶対負ける事件を受けると着手金ドロボーにもなりかねないので,説明の上,お断りすることもあります(ただし,ご本人は勝てると思っていることもよくあり,ご不満を持たれる方も多いと思います。)。そういうこともあることもご理解頂きたいと思います。

また,嫌な事件には,勝つことは勝てそうだが,労だけ多く,実入りが少ない事件もあります。こういう事件は,経済的余裕があって,仕事量が限界来ておらず(限界超えている人はかなり多い。だから,弁護士には受任義務が原則ないと思われます。),社会貢献を目指している弁護士なら受けてくれると思いますが,そうでない人は断ることが多いと思います。

折角弁護士になったのなら,まさにこういう事件をやりたいものですが,なかなか現実は厳しいところもあります。私は,イソ弁で収入的には少ないが安定しているので,そういう事件でも仕事量が限界を超えていない限りやって行きたいと思っています。

受験生さん,死ぬほど勉強して,できるだけ早く,希望の法科大学院の既習コースに入り,新司法試験をクリアし,弁護士になって下さい。
そして,今の気持ちをずっと忘れないでください。

私も初心を忘れないように振り返りながら頑張って行きたいと思っています。

また,ときどきこのようなコメントを下さい。

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新司法試験の合格者の官報掲載

2006年10月06日 | ①司法試験について
今日の官報*に新司法試験の全合格者の受験番号と氏名が掲載されていました。

インターネットの官報は1週間くらいしか見れないので,もし官報掲載がほしい方は,早めに下記リンクのページのpdfファイルを保存するか,官報を買いに走ってください。
pdfファイルは検索機能がついているので,人探しには便利です。

合格者1*
合格者2*
合格者3*
合格者4*

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仕事初日

2006年10月06日 | ⑫雑談
いよいよ弁護士として仕事がスタートしました。

朝9時弁護士・事務員全員に挨拶をしました。
事務員さんたちには,「先生」ではなく「さん」付けで呼ぶよう周知徹底。
先輩イソ弁が既にそれをしているので,すぐに「さん」づけで呼ばれるようになりました。

そして,右も左もわからないうちに,事件を6件配点されました。うち新件は1件,弁護団事件1件。訴状を3本,内容証明2本,記録読み2本(2つとも膨大な量)。実力以上に期待されているので,早いうちに仕上げないとまずいです。

また,いきなり電話で簡単な法律相談をさせられました。
ほんとうちの事務所は人づかいが荒いです。

昼過ぎ,弁護士会に挨拶に行きました。
謄写館と法テラスも合わせた職員7人(実際はもう少しいる)に名刺を配りました。
ここでは,さすがに「先生」と呼ばないでといちいちお願いするのも疲れるので,我慢しました。
しかし,7人の人に「センセ」「センセ」と言われ続けるのは,はっきり言って面食らいました。自分より一まわり以上の人が多いですし,私には実績も全くないでので,違和感を感じてやみませんでした。
そのうち慣れるのでしょうが,それに慣れる自分も少し嫌です。
今度弁護士会の職員さんたちと弁護士で旅行に行きますので,そのときは「さん」付けに変えるようにお願いしようかなと思っておりますが,周知徹底はかなり難しそうな気がしました。

やることや覚えることが多くて,とても忙しいです。しかし,一行にやるべきことが進んでいません。
そういう苛立ちばかりのスタートですが,一歩一歩前に進んで行くしかないですね。
とにかく頑張ります。みなさん是非こんな私を応援してください。

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今日から弁護士

2006年10月03日 | ⑫雑談
昨日1年半の司法修習が無事終了し,今日から私の職業は弁護士になりました。

と言っても,まだ埼玉県和光市の司法研修所内のいずみ寮にいるし,弁護士バッジももらってないですし,実際に弁護士として実働するのは今日からではありません。

いつから弁護士として実働するかは事務所と新人弁護士との話し合いによって決まります。
多くは,今月の10日か16日からでしょうか。みんなしばらく修習の疲れを癒し,リフレッシュしてから弁護士として活動を開始する人が多いです。
中には,10月いっぱいは旅行して11月から働くという人もいれば,なんと今日からと言う人もいるそうです。

同期の新人検察官たちは,今日から「法務省浦安総合センター」(司法試験の口述会場。最寄駅JR新浦安駅)で,研修が開始するそうです。
検察官も大変ですな。
ちなみに来年3月末までは,浦安で,各地方の地検に配属されるのは来年4月からだそうです。

同期の新人裁判官たちは,明日10月4日のお昼に内定の電報が届き,今月半ばから今月末まで司法研修所で研修を受けるそうです。
こちらは,研修が終わり次第,各地方の地裁に配属されることになります。

ついでに昨日の修習の最終日についても書きます。
午前中から50分ずつ休憩時間をはさんで5科目の講義がありました。
二回試験の合格留保者,不合格者は講義には出ません(空席がちらほら見え,とても切ない気持ちになりました)。
授業の内容は,各教官のこれから法曹として生きる僕らに対し,先輩としてのはなむけの言葉です。教官の体験談などを交えとてもためになる講義でした。
5つの講義の終了後は,修習の終了式。
まず,所長の挨拶があり,修習生代表による終了証書の授与(ちなみに代表は単に出席番号で選ばれていました),その後各教室で教官による二回試験合格した修習生への修了証書の授与がありました。

授業終了後は,各クラス毎が任意で開く打ち上げ又は謝恩会(任意といっても全クラス開く)。

こうして僕たちは,昨日を終え,修習生の身分を喪失し,今日から弁護士の身分を取得しました(検察官も今日から。裁判官希望者は現在無職)。

ちなみに,合格留保者は,今年の12月末にある追試を受け,その合格を待って,来年1月に弁護士登録することになります(以前は,もう少し早い時期に追試がありましたが,新修習の開始に伴い時期が少しずれました)。
また,不合格者は,来年の旧60期の二回試験を受け,その合格を待って法曹資格を得ることになります(以前は,次の期の後期修習に編入していましたが,今回から編入制度はなくなり,ぶっつけで二回試験を受けるそうです)。

私は今日は実務修習地に帰り,お世話になった裁判官に挨拶をしようと思います。
その帰りに就職事務所に挨拶に行き,新しい名刺でも受け取って来ましょうかね。
私も仕事は今週中に始まります。
気合いが入る。いよいよ弁護士だ。これからが本番。

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法テラス業務開始,被疑者国選弁護スタート

2006年10月02日 | ⑥弁護士等法曹情報
本日,平成18年10月2日,司法支援センター通称「法テラス」の業務がスタートします。法テラスHP*

法テラスは,「あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービス提供が受けられる社会を実現する」ことを基本理念とする法人で,①法的トラブルの解決に役立つ情報の「無料」の提供,②民事法律扶助,③司法過疎対策,④犯罪被害者支援,⑤国選弁護関連業務を業務内容とします。

法トラブルで困ったときは,0570-078374(語呂合わせは「おなやみなし」)まで。電話すれば無料で相談できます(但し電話代はかかります。PHSとIPフォンからは03-6745-5600まで。)。
なんか,和田アキ子さんが出てるどこかの会社のCMみたいですね(笑)。
利用時間は,平日9:00~21:00 ,土曜日9:00~17:00,祝休日と年末年始(12月29日~1月3日)は,休業日です。

犯罪被害に遭われた方は,犯罪被害支援ダイヤル0570-079714(語呂合わせは「なくことないよ」まで。


また,今日から,「被疑者の国選弁護」が重大事件で勾留されている被疑者に限りスタートします。
国選弁護人とは,裁判所が選任する弁護人で,その弁護報酬は国が支払います(もっとも,被告人に資力がある場合などには弁護報酬を支払うよう判決されることもあります。)
被疑者とは,簡単にいうと犯罪の容疑者であり,まだ,犯罪を犯したと疑われるが,起訴されていない人のことをいいます。
今までは,起訴後でないと国選弁護人をつけられず,捜査段階は私選の弁護人(自分で弁護報酬支払う)しかありませんでした。
これで,お金がない場合でも捜査段階で弁護士をつけやすくなります。

上記の重大事件とは,死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁固に当たる事件です(短期とは,「●年以上,■年以下の懲役に処する」と言う場合の,刑の下限,ここでは●年のこと。ちなみに刑の上限,ここでは■年のことは,「長期」といいます。)。

とりあえず,逮捕・勾留された場合,当番弁護士制度により弁護士を呼べますので(初回は無料),詳しいことは,その弁護士に聞いてみるとよくわかります。
なお,重大事件でない場合は,資力ない方でも,私選で弁護人を雇うしかありませんが,その場合でも,法律扶助制度を使えば負担を軽減できる場合があるでしょう(刑事扶助制度がある地方とない地方があるそうなので,ご注意を)。

今は上記の重大事件に限られますが,これから徐々に対象事件が拡大するそうです。

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後期修習における裁判官,検察官,弁護士の就職の手続

2006年10月02日 | ⑦法曹就職情報
現在過渡期にあり今後どうなるかは全くわからないので,今後の参考になるかどうかわかりませんが,我々59期の就職についての後期修習中の手続について紹介します。

6月末に実務修習を終え,和光の司法研修所に戻りましたが,後期始まってすぐに進路についてのアンケートを書かされました。

そして,7月に入るか入らないかくらいのほぼ同時期に,全員に,裁判官任官のための申込手続に関する書面と検察官任官のための申込み手続に関する書面がそれぞれ配布されました。
申込み期限も,ほぼ同時期のだいたい7月20日前後でした(微妙に期限はずれてました)。
さらに,二回試験後発表直前に,裁判官と検察官はそれぞれ最終面接をしました。
これらを無事肩たたきさんれることなくクリアでき,二回試験に合格すれば,やっと内定がもらえることになります。
内定は,検察官は二回試験合格発表当日夕方に出ました(発表直後)。裁判官の内定は修習終了後おそらく10月5日くらいに出ます。
なお,裁判官は,二回試験の成績によっては肩たたきをされ(上位3分の1とか4分の1以上という噂),志望を撤回しないと任官拒否されることがあるそうです。

弁護士登録手続については7月すぎに,日弁連の登録手続案内及び用紙等の入った封筒が研修所に置かれますので,希望者が取りに行くことになります。
地方の弁護士会への登録については,弁護士会によっては,司法研修所に案内等の入った封筒を送付してくれそれを各自が取ったり,自分で弁護士会に取り寄せたりと,各地方によって異なります。
申込み期限も,弁護士会によって異なりますが,多くは7月の下旬から末で,中には8月末というところもあるようです。
日弁連の登録申込み関係書類は,各弁護士会への申込みと一緒に各弁護士会に提出します。
日弁連の登録諸費用は合計9万円で,各弁護士会への登録諸費用は各弁護士会によって異なりますが数万円から数十万円とかなり幅があります。
それぞれの諸費用の支払いは,各弁護士会への申込みと同時のところが多いので,お金を貯めておかないといきなり借金をしてしまうことになります。
戸籍など各行政機関からもらう証明書類等が必要なので,ちんたらしていると申込み期限に遅れてしまうおそれがあるので注意が必要です。

手書きで記載しなればなりませんが,大事な書面なので,なるべく丁寧に記載したいものですね。

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贈る言葉~これから法曹を目指す方々へ~

2006年10月02日 | ⑫雑談
無事二回試験も合格し,ようやく明日私の長年の夢であった弁護士になれます。
苦しい時代を側でずっと支えて続けてくれた妻,暖かく見守っててくれたり励まして続けてくれたりした家族,受験時代の職場の上司と同僚,友人たち,司法研修所の教官,実務修習地の裁判官,検察官,弁護士の方々,修習仲間,そして,当ブログを見て私のことを応援して下さった方々,本当にありがとうございました。
おくればせながらではありますが,ようやくスタート台に立つことができました。
明日からいよいよ「弁護士の卵NOBIのぶろぐ」から「弁護士NOBIのぶろぐ」に新装開店したいと思います。

新装開店に先立ち,自分自身や,これからの修習生,旧司法試験受験生,新司法試験受験生,法科大学院受験生,法曹を志そうかなと少しでも思っている人に以下の言葉を贈りたいと思います。

私の大好きな言葉です。
一休宗純*禅師(通称「一休さん」)の言葉とも噂されている言葉で(清沢哲夫*氏の「道」という詩がオリジナルとも言われています。),アントニオ猪木氏が好んで使われる言葉です(ここまで言えば,わかる人にはわかると思いますが)。

『この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる』

これからの司法試験,司法修習制度,法曹界,本当にどうなるかわからず先行き不安は多いかとは思います。とりあえず法曹界にとって不遇の時代が来ることはほぼ間違いないでしょう。

今後,折角入った法科大学院は淘汰されるところが出てくる可能性があります。法科大学院の入学金・授業料の上,さらに予備校代もかかるなど収入の少ない家庭の子どもにとっては敷居がますます高くなります。法科大学院のカリキュラムの厳しさから他の業種から仕事をしながら司法試験を受けようとする人の門戸もどんどん狭くなります。司法修習生になっても二回試験に今よりたくさんの人が落ちるかもしれません。司法修習生の給与もなくなり,貸与制になり,弁護士登録前に数百万円の借金を背負う人も大勢出ます。弁護士の就職状況がますます悪くなり,法曹資格を得ても弁護士になれない人やいきなり個人で開業する人が増えたり,弁護士の初任給が少なくなることでしょう。弁護士間・他の士業との間の過当競争が激しくなり,全体的に弁護士個々の収入が減り,どこやらの国みたいにタクシードライバーなど他の職と兼業して弁護士をする人が増えたり,法律事務所の倒産が増えたりすることでしょう。その他法曹界を取り巻く将来の不安はまだまだたくさんあります。
今まさに,法曹界,特に我々弁護士や弁護士になろうとする人にとって,不遇の時代が来ようとしています。

今までの弁護士は,既得権の上にあぐらをかいていました。高級料亭のように一見の客を断ったり,面倒な事件や依頼者を断ったりしてきました。企業の多い大都市にばかり弁護士が集中し,弁護士過疎地もたくさんあります。
そのため,本来一番弁護士を必要としている人が弁護士に相手にされず泣き寝入りをしたり,事件屋に食い物にされたりしていました。2割司法や3割司法と言われる状況が続いています。

しかし,2割司法,3割司法という現状を考えると,多くの弁護士の取り組み,司法制度のあり方いかんによっては,今後も仕事は十分あるはずです。
弁護士人口は現在2,3万人で,30年後には約10万人まで増えることでしょうが,そのときでもなんとかやっていけることでしょう。

また,司法は国の要です。ハイレベルな司法制度とその信頼の維持は,国民全体の幸福につながりますし,先進国の必須条件です。これまで以上に優秀な人材が必要です。
現在の司法制度改革が中途半端なものとしても,いずれ見直しされ,改善される可能性も十分あります。
また,人材の確保がきちんされ続け,個々の法曹関係者の絶え間ない努力と創意工夫があれば,いつか不遇の時代にも夜明けがくるはずです。

我々は,自らこの道を選んだ以上,一歩一歩前に足を踏み出して行くほかありません。
まじめにおごらず勉強や仕事に励めば,不遇の時代でも絶対に仕事に困ることはないと信じてこの道を行くほかありません。
明けない夜はない,冬時代もいつか終わり必ずまた春が来ると信じてこの道を進んで行くほかありません。決して南極大陸が数億年かけて再び温かいところまで大陸移動するまで待つようなものではないはずです。

上述したように,司法が国の要であり,国民ひとりひとりが笑って生きていけるように,また,日本が世界を先駆ける先進国であるためには,優秀な人材確保が必要です。
また,法曹の仕事は,目の前の人の幸せ,社会正義の実現などとてもやりがいのあるものでお金ではとても買えないもので,一生の仕事として誇りの持てるものです。
今司法試験を現に目指している人も,よき時代であれば法曹を目指しただろうという人も,法曹界を安易に見捨てず,是非迷わずこの法曹界に進んで来てほしいです。

目の前の道が先行きが見えなくても,仮に道の先が草むらや森になっていて行き止まりでも,その草むらや森に一歩一歩踏み出せば,また道はできます。

私は多分一生この業界で生きていきますので,迷わずこの道を進んで行きます。
仮にこの道の先が,行き止まりであっても,道があったとしても道が狭くなって私をはじめ多くの弁護士が通れる道がなくなろうとも,先を行く弁護士達は,草むらや森に踏み込んで道らしいものを作って行くことでしょう。目の前に橋のない川が目の前に現れても,川に石を投げ込んで少なくとも橋を作る礎を作って行くことでしょう。
ただ,後から道を踏み固めたり,その道を舗装したり,橋を架けたりしてくれる人が大勢続いて来てくれなければなりません。
いい世の中やいい国を作るため,今後も多くの優秀な人がこの法曹界という道に迷わず踏み出して来ることを切に願います。

アントニオ猪木氏も,東京プロレスが旗揚げ3ヶ月で破産,復帰した日本プロレスからの追放,その後旗揚げした新日本プロレスの苦しい経営状態からスタートなど先の見えない苦境が続きました。猪木氏は,決して諦めず,彼の通り名どおり燃える闘魂でその苦境を乗り越え,彼に続く若者たちも彼の元に集まり,結果周知のとおり新日本プロレスに黄金時代をもたらし,格闘技界全体の活性化にも貢献し,スポーツ平和党を作り国会議員にまでなり,道なきところに道を作りました(詳しくは,フリー百科事典『<ウィキペディア(Wikipedia)*』アントニオ猪木参照)
我々法曹界の人間やこれからこの道を選ぶ者も,猪木氏のように燃えるような気持ちを持ち続け,道なきところに道を作って行く気概が必要です。

この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる
ボンバイエ!!

平成18年10月2日 NOBI

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