今週の頭7月16日日曜日,17日月曜日に旧司法試験二次試験の論文式試験(いわゆる「論文試験」)がありました。
受験された方お疲れ様でした。
問題については法務省のHPに公表されています。
法務省HP平成18年度旧司法試験試験論文試験問題*
以下,私が初見で感じた各問題の感想を書きます。
とりあえずの感想・意見なので間違っているところは多いと思います。
あまり気にしないようにして下さい。
また,明らかな間違い等に気付いたら密かに訂正しようと思います。
【憲法第1問】
営利的言論の制限の可否。広告放送を1時間ごとに5分以内に制限することによって得られる多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスと利益の程度と,制限されることにより失われるテレビ局の経済的利益とスポンサーの営利的表現の自由との,利益衡量がとても難しい。
【憲法第2問】
地方政治における拘束力ある住民投票の可否を,国政における拘束力ある国民投票の場合と比べつつ論じるという典型問題です。
あくまで住民投票の可否を聞いているので,答え方注意です。
国民投票はこうやけど住民投票はこうと淡々と書くのが無難だけど,うまく両者の本質を突きつつ,住民投票の可否についてうまく論じると跳ねる感じでしょうか。
言うはやすく行うは難し。私では最低限守ることしかできないか。
【民法第1問】
小問1(1)詐欺取消後の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
(2)追奪担保責任(Cが背信的悪意のときはどうするのかもいるのかな?)。
小問2 詐欺取消前の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
典型論点なので,書き負けないよう注意。
※以前ここで法律構成と学説を勘違いして書いてましたので訂正しました。
【民法第2問】
小問1 原則Aは保護されないが,例外的にAが94条2項類推適用などによって保護されないかなど。
Aの主観的事情によって場合分けして,悪意又は有過失で保護されないときはCは,Aにさらに何かCに主張できないか。
まず,Bの不法行為に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権の主張ができるかを論じ,それができないとして,さらに場合分けして,善意有過失の場合は,善意占有者として必要費・有益費償還請求と留置権,悪意の場合は,有益費償還請求と留置権について述べるのかな。
小問2(1) 他人物賃貸借における所有者が追認拒絶をした後に,他人物賃貸人が所有者を単独相続した場合における賃借人は信義則上追認拒絶を否定できないか。117条の無権代理人の責任の類推適用で履行請求できないか(94条2項類推は書いちゃダメ)。
小問2(2) Bに対する不法行為責任,債務不履行責任,他人物賃貸借についての担保責任(559条,561条)の追求。それらの請求権を被担保債権とした留置権主張の可否。敷金返還請求と留置権の主張。賃貸人が有責な場合でも敷金返還請求は明渡しと先履行関係に立つのか。その他。
【商法第1問】
旧法の知識でいける感じでしょうか。新会社法まだ勉強してないので自信はないけど,おそらく旧法の通常の株式会社と同じ処理になるのではないでしょうか。それで淡々と書いて行くという感じでしょうか。
小問1
・Aに対しては,362条4項違反,善管注意義務・忠実義務違反等を理由に株主代表訴訟により会社に対する損害賠償責任追及(423条),第三者に対する損害賠償責任(429条)と不法行為に基づく損害賠償責任の直接追求。
・B,Cに対しては,取締役の取締役監督任務の懈怠があったか。株主に対する報告義務(357条。358条の株主検査役選任権行使,360条の株主の取締役の行為差止権行使等の株主の取締役監督権行使の機会提供義務を前提として)等の不行使の善管注意義務・忠実義務違反があったか。あったとしたら,Aと同じ責任追及。ただ,B・CはAの従業員で弱い立場だったら事実上断れないときもありますよね。保証を断れなかった場合近いものあるが,実質無限責任を負わされるので少し配慮できないでしょうかね。まあここまで論ずる必要はないかも。
・Eに対しては,Eに監査役の監査職務懈怠責任があれば,Aと同じ責任が生じるでしょうか。
小問2
Dについては,Aに対する解任請求(339条)や,株主の取締役の行為差止権行使(360条)。 Eについては,監査役の取締役の行為差止権行使(385条)かな?
【商法第2問】
見せ手形,振出の無権代理無効,白地手形,裏書連続などでしょうか。とにかく処理と書く順番等書き方がややこしそうですね。
【刑法第1問】
間接正犯と共同正犯と共犯者間の錯誤の処理問題。Aへの働きかけは,過失犯Aを道具にした間接正犯の実行行為。甲には殺人既遂の間接正犯が成立することには問題がない。乙は甲とAへの働きかけを共同した共同正犯。しかし,乙は,殺意がないので,傷害致死にしかならない。共犯者間の罪名異なるので,行為共同説・犯罪共同説などについて論じなければない。といった感じでしょうか。
ただ,乙が傷害の故意しか持たなかったのは,甲の乙に対する働きかけがあったからで,甲は乙という故意犯を道具とした間接正犯が成立するのか気になります。
間接正犯が成立すると,乙に対する甲の行為の帰責はどうなるか,乙に共同正犯を成立させないと一部行為全部責任を問えなくなり処理が難しくなりそう。一応乙を道具とする間接正犯も軽く論じて乙の道具性を否定してから,共同正犯を論じるべきでしょうかね。よくわかりません。
【刑法第2問】
甲については,不正カード所持,同行使,有印私文書偽造,同行使,詐欺未遂。
乙については,業務上横領,偽造私文書行使&一項詐欺。たんたんと処理するのでしょうか。
【民訴第1問】
当事者・法定代理人・請求の趣旨・原因の定義と趣旨(訴訟要件と訴訟物の設定?)。裁判長の訴状の補正命令・却下命令,裁判所が訴状却下決定できるか,訴え却下判決との違いなどかな?よくわかりません・・・
【民訴第2問】
小問1は,(1)は請求原因の自白と抗弁(障害),(2)は自白の撤回と理由付否認,自白の撤回の可否。
小問2は,当該主張の信義則による制限と,前訴の理由付否認を後訴の自白と信義則上捉えることができるか,また,XがZではなくYから債務名義がほしい場合にどうするか任意的当事者変更でき,できるとして後訴での理由付否認を再訴の自白とできるか,また,XがY・Zどっちでもいいときは追加的任意的当事者変更を認めた場合に,両理由付否認&自白をどう扱うかでしょうかね。とてもややこしい処理ですね。さらに上のことをどこまで書くかが判断難しいです。膨らませすぎ感が少しあります。
【刑訴第1問】
法111条1項の必要な処分の範囲。出てきたものが差し押さえるべき物の以外の物で粉末が覚せい剤であることをどう調べるか。無令状で強制的に調べたとしてその可否。違法な場合の現行犯逮捕の可否が問題になるのかでしょうか。どこまで膨らませるか悩みますが,ある程度膨らませないと書くことなくなりそうですね。
【刑訴第2問】
伝聞証拠の定義,伝聞法則の趣旨。不同意の場合は原則証拠能力なし。現場指示と現場供述の違い(近年の最高裁判例の基準)。前者なら321条3項で証拠能力が認められる。後者なら,Aの署名押印があるかどうか,Aの署名押印があれば,321条1項3号の要件について書くのでしょうが,現場供述かどうかが難しいですね。
とりあえずこんな感じでしょうか。
【ホームに戻る】
受験された方お疲れ様でした。
問題については法務省のHPに公表されています。
法務省HP平成18年度旧司法試験試験論文試験問題*
以下,私が初見で感じた各問題の感想を書きます。
とりあえずの感想・意見なので間違っているところは多いと思います。
あまり気にしないようにして下さい。
また,明らかな間違い等に気付いたら密かに訂正しようと思います。
【憲法第1問】
営利的言論の制限の可否。広告放送を1時間ごとに5分以内に制限することによって得られる多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスと利益の程度と,制限されることにより失われるテレビ局の経済的利益とスポンサーの営利的表現の自由との,利益衡量がとても難しい。
【憲法第2問】
地方政治における拘束力ある住民投票の可否を,国政における拘束力ある国民投票の場合と比べつつ論じるという典型問題です。
あくまで住民投票の可否を聞いているので,答え方注意です。
国民投票はこうやけど住民投票はこうと淡々と書くのが無難だけど,うまく両者の本質を突きつつ,住民投票の可否についてうまく論じると跳ねる感じでしょうか。
言うはやすく行うは難し。私では最低限守ることしかできないか。
【民法第1問】
小問1(1)詐欺取消後の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
(2)追奪担保責任(Cが背信的悪意のときはどうするのかもいるのかな?)。
小問2 詐欺取消前の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
典型論点なので,書き負けないよう注意。
※以前ここで法律構成と学説を勘違いして書いてましたので訂正しました。
【民法第2問】
小問1 原則Aは保護されないが,例外的にAが94条2項類推適用などによって保護されないかなど。
Aの主観的事情によって場合分けして,悪意又は有過失で保護されないときはCは,Aにさらに何かCに主張できないか。
まず,Bの不法行為に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権の主張ができるかを論じ,それができないとして,さらに場合分けして,善意有過失の場合は,善意占有者として必要費・有益費償還請求と留置権,悪意の場合は,有益費償還請求と留置権について述べるのかな。
小問2(1) 他人物賃貸借における所有者が追認拒絶をした後に,他人物賃貸人が所有者を単独相続した場合における賃借人は信義則上追認拒絶を否定できないか。117条の無権代理人の責任の類推適用で履行請求できないか(94条2項類推は書いちゃダメ)。
小問2(2) Bに対する不法行為責任,債務不履行責任,他人物賃貸借についての担保責任(559条,561条)の追求。それらの請求権を被担保債権とした留置権主張の可否。敷金返還請求と留置権の主張。賃貸人が有責な場合でも敷金返還請求は明渡しと先履行関係に立つのか。その他。
【商法第1問】
旧法の知識でいける感じでしょうか。新会社法まだ勉強してないので自信はないけど,おそらく旧法の通常の株式会社と同じ処理になるのではないでしょうか。それで淡々と書いて行くという感じでしょうか。
小問1
・Aに対しては,362条4項違反,善管注意義務・忠実義務違反等を理由に株主代表訴訟により会社に対する損害賠償責任追及(423条),第三者に対する損害賠償責任(429条)と不法行為に基づく損害賠償責任の直接追求。
・B,Cに対しては,取締役の取締役監督任務の懈怠があったか。株主に対する報告義務(357条。358条の株主検査役選任権行使,360条の株主の取締役の行為差止権行使等の株主の取締役監督権行使の機会提供義務を前提として)等の不行使の善管注意義務・忠実義務違反があったか。あったとしたら,Aと同じ責任追及。ただ,B・CはAの従業員で弱い立場だったら事実上断れないときもありますよね。保証を断れなかった場合近いものあるが,実質無限責任を負わされるので少し配慮できないでしょうかね。まあここまで論ずる必要はないかも。
・Eに対しては,Eに監査役の監査職務懈怠責任があれば,Aと同じ責任が生じるでしょうか。
小問2
Dについては,Aに対する解任請求(339条)や,株主の取締役の行為差止権行使(360条)。 Eについては,監査役の取締役の行為差止権行使(385条)かな?
【商法第2問】
見せ手形,振出の無権代理無効,白地手形,裏書連続などでしょうか。とにかく処理と書く順番等書き方がややこしそうですね。
【刑法第1問】
間接正犯と共同正犯と共犯者間の錯誤の処理問題。Aへの働きかけは,過失犯Aを道具にした間接正犯の実行行為。甲には殺人既遂の間接正犯が成立することには問題がない。乙は甲とAへの働きかけを共同した共同正犯。しかし,乙は,殺意がないので,傷害致死にしかならない。共犯者間の罪名異なるので,行為共同説・犯罪共同説などについて論じなければない。といった感じでしょうか。
ただ,乙が傷害の故意しか持たなかったのは,甲の乙に対する働きかけがあったからで,甲は乙という故意犯を道具とした間接正犯が成立するのか気になります。
間接正犯が成立すると,乙に対する甲の行為の帰責はどうなるか,乙に共同正犯を成立させないと一部行為全部責任を問えなくなり処理が難しくなりそう。一応乙を道具とする間接正犯も軽く論じて乙の道具性を否定してから,共同正犯を論じるべきでしょうかね。よくわかりません。
【刑法第2問】
甲については,不正カード所持,同行使,有印私文書偽造,同行使,詐欺未遂。
乙については,業務上横領,偽造私文書行使&一項詐欺。たんたんと処理するのでしょうか。
【民訴第1問】
当事者・法定代理人・請求の趣旨・原因の定義と趣旨(訴訟要件と訴訟物の設定?)。裁判長の訴状の補正命令・却下命令,裁判所が訴状却下決定できるか,訴え却下判決との違いなどかな?よくわかりません・・・
【民訴第2問】
小問1は,(1)は請求原因の自白と抗弁(障害),(2)は自白の撤回と理由付否認,自白の撤回の可否。
小問2は,当該主張の信義則による制限と,前訴の理由付否認を後訴の自白と信義則上捉えることができるか,また,XがZではなくYから債務名義がほしい場合にどうするか任意的当事者変更でき,できるとして後訴での理由付否認を再訴の自白とできるか,また,XがY・Zどっちでもいいときは追加的任意的当事者変更を認めた場合に,両理由付否認&自白をどう扱うかでしょうかね。とてもややこしい処理ですね。さらに上のことをどこまで書くかが判断難しいです。膨らませすぎ感が少しあります。
【刑訴第1問】
法111条1項の必要な処分の範囲。出てきたものが差し押さえるべき物の以外の物で粉末が覚せい剤であることをどう調べるか。無令状で強制的に調べたとしてその可否。違法な場合の現行犯逮捕の可否が問題になるのかでしょうか。どこまで膨らませるか悩みますが,ある程度膨らませないと書くことなくなりそうですね。
【刑訴第2問】
伝聞証拠の定義,伝聞法則の趣旨。不同意の場合は原則証拠能力なし。現場指示と現場供述の違い(近年の最高裁判例の基準)。前者なら321条3項で証拠能力が認められる。後者なら,Aの署名押印があるかどうか,Aの署名押印があれば,321条1項3号の要件について書くのでしょうが,現場供述かどうかが難しいですね。
とりあえずこんな感じでしょうか。
【ホームに戻る】