弁護士の費用は,一般に高いと思われ,料金体系が不明確と思われています。
そこで,概ねの弁護士費用の体系と,ほとんどの弁護士が自分の事務所の報酬規定として使っていると言われる「(旧)日弁連報酬等基準」を当ブログで掲載することにしました。
まず「旧日弁連報酬等基準」については,ここをクリックして,ご確認ください⇒旧日弁連報酬等基準規程*
(1)弁護士費用の体系
弁護士費用には,とりあえず思いつくものを列挙しますと(①~⑥までの説明は日弁連HP内の説明文によるものです。),
①着手金・・・着手金は弁護士に事件を依頼した段階で支払うもので、事件の結果に関係なく、つまり不成功に終わっても返還されません。着手金はつぎに説明する報酬金の内金でもいわゆる手付でもありませんので注意してください。
②報酬金・・・報酬金というのは事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払うものです。成功というのは一部成功の場合も含まれ、その度合いに応じて支払いますが、まったく不成功(裁判でいえば全面敗訴)の場合は支払う必要はありません。
③実費、日当・・・実費は文字どおり事件処理のため実際に出費されるもので、裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代、記録謄写費用、事件によっては保証金、鑑定料などがかかります。出張を要する事件については交通費、宿泊費、日当がかかります。
④手数料・・・手数料は、当事者間に実質的に争いのないケースでの事務的な手続を依頼する場合に支払います。手数料を支払う場合としては書類(契約書、遺言など)作成、遺言執行、会社設立、登記、登録などがあります。
⑤法律相談料・・・依頼者に対して行う法律相談の費用です。
⑥顧問料・・・企業や個人と顧問契約を締結し、その契約に基づき継続的に行う一定の法律事務に対して支払われるものです。
⑦タイムチャージ・・・弁護士へ仕事の依頼を費やした時間で手数料で支払う旨契約した場合の時間給
があります。
通常,弁護士に事件を依頼する場合には,前提として⑤がかかり,委任契約後は①~③がかかります。受任中の受任事件についての相談や書面作成は別途定めを置かない限り①の着手金の中に含まれます。
④は遠くの弁護士を頼むと弁護士が裁判所等に出頭するたびにかかるので注意が必要です。
ただ,最近は電話や書面だけで手続できる事件もありますし,訴訟でも,1回目と最後の弁論と尋問期日だけ出頭すればよい場合がありますので,どうなるか予め弁護士に相談したらよいと思います。
(2)旧日弁連報酬等基準と弁護士費用の相場
旧日弁連報酬等基準規程は,平成16年4月1日に廃止されましたが,現在においても,ほとんどの弁護士がこれかこれを基にした報酬規定を使っています。
一応弁護士費用の相場のようなものになります。
あと,弁護士費用の相場を調べるのに,日弁連のHPの「弁護士報酬(費用)*」の「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版]」等がとても参考になると思いますので,ご確認ください。
(3)弁護士費用は高いか
弁護士費用は,金額としてはほとんどが10万円を越え,安くはないのは事実です。
(法律相談料は5000円以上とそんなには高くないですが)
ただ,本来は依頼者が自分自身でやるべきことを,自分でやるには難しかったり,面倒だったり,時間がなかったりと,プロに代わって事件処理をやるわけですから,ある程度の費用がかかるのは当然のことだと思います。
それが自分にとって高い費用か安い費用かを,各々が考えて,弁護士をつけるかどうか,だれをつけるか決めたらいいと思います。
訴額が低い事件では取り返したお金の2~3割を,着手金と報酬の合計でもらう場合もあります。
これって高いようにも感じますが,自分では絶対にできず7割も取り返すことができなったというのであれば,当然安かったということになります。
また,自分だけでやるのは不安で精神的にしんどいということもあり,弁護士をつけて安心できましたと喜びの声をいただくこともありますので,安心料といいう側面も考えると必ずしも高いとはいえない場合もあると思います。
でも,一般の方の「弁護士は高い」という先入観は強いと思います。
そんなに高くないと思っている事件でも「高いなあ」と言われ,悲しい思いをすることもあります。
私の主観では,ものによっては異常に高く,ものによっては異常に安いです。
たとえば,貸金業者に対する過払金返還事件は,その労力から見ると異常に高いです(これだけ過当競争になっているのに)。
これに対し,通常の家事,民事の事件は,何回も裁判所に出頭して,尋問など大変な思いをしてフルコースでやって,さらに勝訴しないと過払事件と同じような割合がもらえないので,その労力からみると,安いです。
いい弁護士を探すのは,お金の高い安いだけで決めてはいけないと思います。この業界でも,安かろう悪かろうというのは当然あるわけです。
ただ,弁護士の場合は,高かろう悪かろうもありうるので,気をつけないといけません(とはいうもののそこまで悪い弁護士は今はまだ少数かと思いますが)。
よくよく弁護士を見て,信用できそうか頼りがいがあるかなども見て,決めないといけません(よく離婚に強い弁護士を紹介してくださいと言われますが,特許・医療・建築・先物等の特別な専門的知識を要する事件以外の一般の民事事件や家事事件は特別な専門家はいません。普通の弁護士ならだれでもできます。ただ,刑事も弁護士ならだれでもできますが,よくやっている人は強いと言われます。)。
いずれにせよ,自分が受けるサービスに見合ったお金を出すのかどうかを冷静に考える必要があるでしょう。
ちなみに,弁護士の中には,この事件やりたくないと思うけど,自分から断りづらいときに,わざと高い弁護士費用を言って,相手の方から断ってもらう人もいるらしいと聞いたことがあります。
そこで,概ねの弁護士費用の体系と,ほとんどの弁護士が自分の事務所の報酬規定として使っていると言われる「(旧)日弁連報酬等基準」を当ブログで掲載することにしました。
まず「旧日弁連報酬等基準」については,ここをクリックして,ご確認ください⇒旧日弁連報酬等基準規程*
(1)弁護士費用の体系
弁護士費用には,とりあえず思いつくものを列挙しますと(①~⑥までの説明は日弁連HP内の説明文によるものです。),
①着手金・・・着手金は弁護士に事件を依頼した段階で支払うもので、事件の結果に関係なく、つまり不成功に終わっても返還されません。着手金はつぎに説明する報酬金の内金でもいわゆる手付でもありませんので注意してください。
②報酬金・・・報酬金というのは事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払うものです。成功というのは一部成功の場合も含まれ、その度合いに応じて支払いますが、まったく不成功(裁判でいえば全面敗訴)の場合は支払う必要はありません。
③実費、日当・・・実費は文字どおり事件処理のため実際に出費されるもので、裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代、記録謄写費用、事件によっては保証金、鑑定料などがかかります。出張を要する事件については交通費、宿泊費、日当がかかります。
④手数料・・・手数料は、当事者間に実質的に争いのないケースでの事務的な手続を依頼する場合に支払います。手数料を支払う場合としては書類(契約書、遺言など)作成、遺言執行、会社設立、登記、登録などがあります。
⑤法律相談料・・・依頼者に対して行う法律相談の費用です。
⑥顧問料・・・企業や個人と顧問契約を締結し、その契約に基づき継続的に行う一定の法律事務に対して支払われるものです。
⑦タイムチャージ・・・弁護士へ仕事の依頼を費やした時間で手数料で支払う旨契約した場合の時間給
があります。
通常,弁護士に事件を依頼する場合には,前提として⑤がかかり,委任契約後は①~③がかかります。受任中の受任事件についての相談や書面作成は別途定めを置かない限り①の着手金の中に含まれます。
④は遠くの弁護士を頼むと弁護士が裁判所等に出頭するたびにかかるので注意が必要です。
ただ,最近は電話や書面だけで手続できる事件もありますし,訴訟でも,1回目と最後の弁論と尋問期日だけ出頭すればよい場合がありますので,どうなるか予め弁護士に相談したらよいと思います。
(2)旧日弁連報酬等基準と弁護士費用の相場
旧日弁連報酬等基準規程は,平成16年4月1日に廃止されましたが,現在においても,ほとんどの弁護士がこれかこれを基にした報酬規定を使っています。
一応弁護士費用の相場のようなものになります。
あと,弁護士費用の相場を調べるのに,日弁連のHPの「弁護士報酬(費用)*」の「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版]」等がとても参考になると思いますので,ご確認ください。
(3)弁護士費用は高いか
弁護士費用は,金額としてはほとんどが10万円を越え,安くはないのは事実です。
(法律相談料は5000円以上とそんなには高くないですが)
ただ,本来は依頼者が自分自身でやるべきことを,自分でやるには難しかったり,面倒だったり,時間がなかったりと,プロに代わって事件処理をやるわけですから,ある程度の費用がかかるのは当然のことだと思います。
それが自分にとって高い費用か安い費用かを,各々が考えて,弁護士をつけるかどうか,だれをつけるか決めたらいいと思います。
訴額が低い事件では取り返したお金の2~3割を,着手金と報酬の合計でもらう場合もあります。
これって高いようにも感じますが,自分では絶対にできず7割も取り返すことができなったというのであれば,当然安かったということになります。
また,自分だけでやるのは不安で精神的にしんどいということもあり,弁護士をつけて安心できましたと喜びの声をいただくこともありますので,安心料といいう側面も考えると必ずしも高いとはいえない場合もあると思います。
でも,一般の方の「弁護士は高い」という先入観は強いと思います。
そんなに高くないと思っている事件でも「高いなあ」と言われ,悲しい思いをすることもあります。
私の主観では,ものによっては異常に高く,ものによっては異常に安いです。
たとえば,貸金業者に対する過払金返還事件は,その労力から見ると異常に高いです(これだけ過当競争になっているのに)。
これに対し,通常の家事,民事の事件は,何回も裁判所に出頭して,尋問など大変な思いをしてフルコースでやって,さらに勝訴しないと過払事件と同じような割合がもらえないので,その労力からみると,安いです。
いい弁護士を探すのは,お金の高い安いだけで決めてはいけないと思います。この業界でも,安かろう悪かろうというのは当然あるわけです。
ただ,弁護士の場合は,高かろう悪かろうもありうるので,気をつけないといけません(とはいうもののそこまで悪い弁護士は今はまだ少数かと思いますが)。
よくよく弁護士を見て,信用できそうか頼りがいがあるかなども見て,決めないといけません(よく離婚に強い弁護士を紹介してくださいと言われますが,特許・医療・建築・先物等の特別な専門的知識を要する事件以外の一般の民事事件や家事事件は特別な専門家はいません。普通の弁護士ならだれでもできます。ただ,刑事も弁護士ならだれでもできますが,よくやっている人は強いと言われます。)。
いずれにせよ,自分が受けるサービスに見合ったお金を出すのかどうかを冷静に考える必要があるでしょう。
ちなみに,弁護士の中には,この事件やりたくないと思うけど,自分から断りづらいときに,わざと高い弁護士費用を言って,相手の方から断ってもらう人もいるらしいと聞いたことがあります。