初めての少年事件ですが,おかげさまで何とかうまく行きました。
初めての犯罪被害者との示談交渉は,ボスの都合で私ひとりですることになりました。
示談交渉は,本人や親の資力の問題や事件の重大性から難航が予想されました。
しかし,被害者が人間的にとてもすばらしい方だったので何とかうまく示談することができました。
被害者の方は,私の説明をじっくり聞いて下さり,私と2,3時間じっくり議論をして下さり,一緒になって一所懸命少年の更生を考えて下さりました。
そして,最後は,「示談金は少年の更生のために使ってくれ,すべては先生に任せる。」とまで言って下さいました(最後は意気投合)。
ほんまありがたいことです。
この示談に成功したのは,少年が猛省したこと,少年が頑張っていい謝罪文を書いたこと,少年がしっかりした将来の目標を立てられたこと等少年自身の努力も大きかったです。
また,この少年はとても運がよく,調査官の人がとてもよい方で,少年にも何回も会いに行ったり,積極的にこの少年に適した補導委託先(試験観察中少年を預ける施設や人)を見つけてきたりとご尽力下さいました。
お陰で,成年者なら数年間の実刑をくらってもおかしくない事件(幸い被害者は大きな怪我等はしてません)にもかかわらず,少年は何とか少年院に行かずに済み,補導委託付きの試験観察を得ることができました。
審判は,少年も親も我々付添人弁護士も泣き(裁判官・調査官・書記官はおそらく泣いていませんでした。ちゃんと見てないが少年を連れてきた鑑別所の先生も泣いておられたように感じました。),いいものになりました。
試験観察とは,少年院か保護観察か悩ましいときに,とりあえず様子を見ようという中間処分です(後で,最終審判があり,そのとき改めて少年院送致か保護観察かなど処分を決められます)。
在宅(自宅等)でやる場合もありますが,裁判所が補導委託先として指定している場所(農家,教会,老人ホーム,店等各種ある)で働きながらやる場合もあります。
この少年の更生に一番適していると私が信じる処分でしたので,ひとまずうまく行ったというべきでしょうか。
ただ,試験観察が無事終わるまでは何ともいえないし,少年にとっては最終処分後が人生の本番です。
被害者の方が望んでおられるように,この少年が「死ぬときに1点の曇りがないような生き方」ができるかは,まさにこれからです。
少年は,犯罪を犯しているときの自分の異常な心理状態や警察に捕まった後の境遇,私とボスに出会ったことなどから,頑張って働きながら勉強して将来弁護士になりたいと言ってくれました。
本当にうれしい限りです。弁護士冥利につきます。
おそらくこの少年は,少年事件で審判を受ける少年の中ではかなり恵まれているほうだと思います。
こんなにうまく行くことも少ないのではないでしょうか。
私は修習生のときの家庭裁判所修習で,とてもいい裁判官にあたり,審判という限られた時間と空間の中で,少年が変わっていく姿を目の当たりにしたり,親子の愛を見て,法廷で感動し涙を流して,少年事件をやりたいと思うようになりましたが,今となっては,少年事件をやって本当によかったと思っています。
さて,表題の少年事件のやりがいについてですが,
少年事件は,やはり悪いことをした者の更生を第一に考えるということで,刑事事件より将来に対する期待があります。
少年も可塑性があり,更生に対する期待可能性も高いのですし,目に見えて,少年がいい方向に変わっていく,成長して大人になっていくのを短時間のうちに見れるので,とてもやりがいがあります。
また,処分のメニューもたくさんあり(不開始,逆送,少年院送致,児童自立支援施設等の施設送致,保護観察,試験観察等々),頑張って努力すれば,少年に適した処分を勝ち取ることもできることがあります。
頑張れば頑張った分成果が得られることが多いことも,少年事件のやりがいの一つだと思います。
また,いい審判だと審判廷で泣けます。
これもいいです。ていうか私は涙もろくすぐ泣くんですけどね。
なかなか仕事やってて泣けることなど少ないですからね。
そして,早く更生して立派になったかつての少年から手紙をもらいたいな。
ただ,それにとりかえしのつかないことをした事件の場合には,このような甘いことばかり言ってられないのでしょうね。
とにかく少年事件は短期決戦でやることが多く,非常に大変ですが(当分はいいですが),やりがいはたくさんあります。
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初めての犯罪被害者との示談交渉は,ボスの都合で私ひとりですることになりました。
示談交渉は,本人や親の資力の問題や事件の重大性から難航が予想されました。
しかし,被害者が人間的にとてもすばらしい方だったので何とかうまく示談することができました。
被害者の方は,私の説明をじっくり聞いて下さり,私と2,3時間じっくり議論をして下さり,一緒になって一所懸命少年の更生を考えて下さりました。
そして,最後は,「示談金は少年の更生のために使ってくれ,すべては先生に任せる。」とまで言って下さいました(最後は意気投合)。
ほんまありがたいことです。
この示談に成功したのは,少年が猛省したこと,少年が頑張っていい謝罪文を書いたこと,少年がしっかりした将来の目標を立てられたこと等少年自身の努力も大きかったです。
また,この少年はとても運がよく,調査官の人がとてもよい方で,少年にも何回も会いに行ったり,積極的にこの少年に適した補導委託先(試験観察中少年を預ける施設や人)を見つけてきたりとご尽力下さいました。
お陰で,成年者なら数年間の実刑をくらってもおかしくない事件(幸い被害者は大きな怪我等はしてません)にもかかわらず,少年は何とか少年院に行かずに済み,補導委託付きの試験観察を得ることができました。
審判は,少年も親も我々付添人弁護士も泣き(裁判官・調査官・書記官はおそらく泣いていませんでした。ちゃんと見てないが少年を連れてきた鑑別所の先生も泣いておられたように感じました。),いいものになりました。
試験観察とは,少年院か保護観察か悩ましいときに,とりあえず様子を見ようという中間処分です(後で,最終審判があり,そのとき改めて少年院送致か保護観察かなど処分を決められます)。
在宅(自宅等)でやる場合もありますが,裁判所が補導委託先として指定している場所(農家,教会,老人ホーム,店等各種ある)で働きながらやる場合もあります。
この少年の更生に一番適していると私が信じる処分でしたので,ひとまずうまく行ったというべきでしょうか。
ただ,試験観察が無事終わるまでは何ともいえないし,少年にとっては最終処分後が人生の本番です。
被害者の方が望んでおられるように,この少年が「死ぬときに1点の曇りがないような生き方」ができるかは,まさにこれからです。
少年は,犯罪を犯しているときの自分の異常な心理状態や警察に捕まった後の境遇,私とボスに出会ったことなどから,頑張って働きながら勉強して将来弁護士になりたいと言ってくれました。
本当にうれしい限りです。弁護士冥利につきます。
おそらくこの少年は,少年事件で審判を受ける少年の中ではかなり恵まれているほうだと思います。
こんなにうまく行くことも少ないのではないでしょうか。
私は修習生のときの家庭裁判所修習で,とてもいい裁判官にあたり,審判という限られた時間と空間の中で,少年が変わっていく姿を目の当たりにしたり,親子の愛を見て,法廷で感動し涙を流して,少年事件をやりたいと思うようになりましたが,今となっては,少年事件をやって本当によかったと思っています。
さて,表題の少年事件のやりがいについてですが,
少年事件は,やはり悪いことをした者の更生を第一に考えるということで,刑事事件より将来に対する期待があります。
少年も可塑性があり,更生に対する期待可能性も高いのですし,目に見えて,少年がいい方向に変わっていく,成長して大人になっていくのを短時間のうちに見れるので,とてもやりがいがあります。
また,処分のメニューもたくさんあり(不開始,逆送,少年院送致,児童自立支援施設等の施設送致,保護観察,試験観察等々),頑張って努力すれば,少年に適した処分を勝ち取ることもできることがあります。
頑張れば頑張った分成果が得られることが多いことも,少年事件のやりがいの一つだと思います。
また,いい審判だと審判廷で泣けます。
これもいいです。ていうか私は涙もろくすぐ泣くんですけどね。
なかなか仕事やってて泣けることなど少ないですからね。
そして,早く更生して立派になったかつての少年から手紙をもらいたいな。
ただ,それにとりかえしのつかないことをした事件の場合には,このような甘いことばかり言ってられないのでしょうね。
とにかく少年事件は短期決戦でやることが多く,非常に大変ですが(当分はいいですが),やりがいはたくさんあります。
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