弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

合格発表後司法修習前の状況

2005年03月24日 | ④司法修習について
H16年度司法試験は,11月10日(水)に合格発表がありました。
10月8日に論文の合格発表があり,口述試験は論文合格者のうち約1割しか落ちないので,受かっても論文発表よりうれしくはないですが,やはりうれしいものでした。というより安心しました(なんか言葉ぐだぐだですね。)。
合格発表のイベントとしてまずあるのが,各種合格祝賀会です。
予備校の合格祝賀会ですが,確か11月12日にLEC,14日に辰巳,20日に伊藤塾とあったと思います。今年から早稲田セミナーは合格祝賀会なくなりました。
辰巳については事前の予約は不要ですが,LEC・伊藤塾については,合格発表前に予約が必要です。
近畿では,近畿弁護士会連合会(近弁連)主催の祝賀会が12月9日にありました。

また,口述試験で受講料の代わりにいわゆる義務採点を選んだ場合は(辰巳は義務採点しかない),11月になると義務採点が始まります。

関西では,合格発表後から合格祝賀会や口コミを通じて,合格者の交流を目的とした任意団体「関西の会」が人集めを始めます。今年は,有志が11月下旬頃集まり幹部を決め,12月5日に結成集会(コンパ)を行いました。私は,法律事務員の仕事が忙しいので,名前だけ加入で,結成コンパには参加しました。その他のレクリエーションや社会見学・講演会企画など多々ありましたが,ほとんど参加できませんでした。

最近では,東京の渉外系の事務所を初めとして,青田買いが進んでおり,なんと研修所入所前の3月までに内定が決まることが増えているそうです。また,合格者増大の影響から,合格者も就職に不安を感じており,合格直後から,リクルート活動を始める人が多いです。
関西でも,東京に負けじと大阪の大事務所等は,LEC・伊藤塾の合格祝賀会や近弁連の合格祝賀会でも,リクルート活動をはじめ,合格者に名刺を配りまくります。
東京や大阪の法律事務所に電話・メール・HPからのエントリー等で事務所訪問の申込をし,事務所訪問しまくる合格者も多数おり,正直驚きました。

また,近畿弁護士会連合会では,事前研修を行っており,裁判傍聴・事務所研修を申し込むことができます。この事務所研修先にそのまま就職することが多いという噂から,多くの合格者が事前研修に申込をします。

研修所の入所手続については,
まず,11月下旬までに修習生採用の申込をします(実務地の希望はこのとき出します)。
それから12月中旬頃に,採用内定。なお,今年から研修所に面接や身体検査に行くことはなくなりました。問題ある人だけ,1月中旬に個別に研修所で面接があるようです。
年が明けて1月中旬に修習地の決定や多量の各種案内書類が自宅に届きます。
1月下旬に研修所内の「いずみ寮」の入寮希望の申込期限があり,また,身上報告書・写真等各種書類を提出します。
また,1月下旬に,研修所の教科書,いわゆる「白表紙」を最寄の裁判所に取りに行きます。このとき,裁判所が傍聴や裁判官室等の見学をさせてくれるそうです。私は仕事があったので,白表紙をもらったらすぐに帰りました。
いずみ寮の入寮決定も2月中旬に届きます。
そして,2月下旬にも各種手続書類を提出します。
今年は,いずみ寮の入寮日4月3日で,入所日は4月4日です。
なお,研修所に入る前には,資料を読んだ感想文や刑事裁判のアンケート等の宿題が出ます。
また,白表紙もほとんど全部読むようにという指示が出ます。入所するとすぐに小テストもあるそうです。

私は仕事しながらで忙しかったですが,最近は合格者増大のため予備校のバイトも激減し,多くの合格者が暇をもてあましているようです。多くの合格者は,旅行とかいったりしているそうです。

ざっと殴り書きをしましたが,大体修習前ってこんな感じでしょうか。

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法律事務員になる方法

2005年03月14日 | ②法律事務員(パラリーガル)について
方法としては,
①タウンページや弁護士検索(日弁連や各弁護士会のHPにあります)で調べた法律事務所に直接行ったり電話したりする。
②新聞公告の募集欄を見て,応募する。
③弁護士会に履歴書を出す。
④知り合いに紹介してもらう。
⑤法律事務所のホームページの事務員募集欄をチェックし応募する。
⑥弁護士会のホームページの事務員募集欄をチェックし応募する。
⑦ハローワーク(職安)で探す。
⑧法律事務所用の人材派遣会社に登録する。
⑨その他
があります。

①はかなりむずかしいです。はっきり言ってどこの馬の骨かわからない人から雇ってくれと言われても,はいそうですかとは普通なりません。警戒されます。事務員と弁護士は,運命共同体ですし,守秘義務や依頼者の大事なお金や財産も預かること多いので。

②はマメにチェックしていると結構募集多いです。特に,朝日新聞と日経新聞の日曜版と月曜版の求人広告によく載ってます。

③弁護士会には,半年から1年ぐらいの間事務員の求人登録制度があります。弁護士会に履歴書を持っていくなり,郵送するなりしてみましょう。ただ,これは登録なので,事務員を雇いたい弁護士が弁護士会に見に行ったりして,気にいった人に電話をかけるということものです。したがって,雇って欲しいときにすぐに雇ってもらうことは難しいです。

④紹介はしてもらうと強力かもしれないけれど,なかなか紹介してくれません。よほど太鼓判をおせるような有能且つ誠実な人でないと,紹介する方も紹介される方も後で苦労するからです。

⑤これは最近増えています。インターネットで法律事務所をうまく検索すると,多くの事務所がHPを作っていますので,その中に事務員募集コーナーがないか探して見ましょう。

⑥こういうのをやっている弁護士会がいくつかあります。東京弁護士会や大阪弁護士会のHPにはあります。あとはよく知りませんが。

⑦大阪の裁判所の本庁(地裁・高裁・簡裁)の近くにハローワーク(職安)があり,費用が安いせいか,大阪では,ハローワークで募集をかけてることが多いようです。

⑧LECの子会社のプロキャリアなどがあります。大阪では,リーガルフロンティア21などがあります(最近は東京の方でもやっているみたいです)。

⑨その他はよくわかりませんが,新卒採用で大学を通して募集をかけている場合もあるそうです。

以上,書きましたが,どうしても法律事務所で働きたい人は,ひとつの方法にこだわらず,色々な方法を試すべきでしょう。弁護士事務所のほとんどは個人経営なので,ひとつの事務所の募集人数が少なく,競争率が高いです。実質的に競争率を低くするには,数をあたるしかないでしょうね。
履歴書の書き方・面接の仕方等は基本的には,普通の就職活動と同じです。
言葉遣い・人との応対・接客マナーがきちんとしている人で,事務職能力が高く,ミスの少ない人が歓迎されます。
法律の素養,交渉能力,文書作成能力はあるに越したことはないですが,現在はさほど重視されていません。もっとも今後は重視されていくかと思います。
ただ,弁護士は個性が強い人が多いので,弁護士や事務所によって欲しい人も十人十色です。最低限の常識がある人なら,諦めず数を打てばいつかは雇ってもらえる可能性はあるでしょう。

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法律事務員とは

2005年03月12日 | ②法律事務員(パラリーガル)について
 法律事務員について私の知っていることを書きます。

 法律事務員は,広い意味では,法律事務所で働く弁護士以外の人のことを言います。
 最近は,法律事務所でも,行政書士・司法書士・税理士・公認会計士・弁理士・社会保険労務士等の有資格者も働くことが多くなっていますので,狭い意味でいうと,弁護士の業務の補助を行う人をいうのではないかと思います。
 法律事務員といっても,事務所によっても仕事内容や仕事の態様や制度が異なっていて,弁護士秘書,事務局員,パラリーガル等と色々呼び方があるようです。
 職務内容について,接客・お茶だし・電話番・お使い・郵便管理・コピー・FAX送信・備品管理・掃除等の庶務から事件記録のファイリング・弁護士のスケジュール管理等の弁護士秘書業務,最近では,依頼者からの事情聴取・書面作成・法情報検索等の専門的な仕事(いわゆるパラリーガルとしての仕事)まで様々あります。

 現在において,事務員の主な仕事のは,接客・電話番・ファイリング・郵便管理(郵便の発送や郵便の授受記録をつけること)ではないでしょうか(これらが得意なら,事務所員に向いてます)。
 どこまで事務員にさせるかは,事務所によってまちまちでしょうが,現在では,徐々に専門的な仕事をさせる事務所が増えてきているようです。

 事務員制度については,弁護士一人につく秘書制,秘書制のように弁護士一人専属事務員ではなく,事務局というものを置いている事務局制というものがあります。事務局制といっても,事務員に特定の事件の担当を決める場合は,特に担当者を決めずに事務局全体に補助をさせる場合等いろいろあります。
 秘書制の場合は,弁護士のスケジュール管理や事件内容の把握が比較的しっかりなされることが期待できますが,弁護士と性格が合わないときついですよね(弁護士一人の事務所も同様)。
 事務局制の場合は,弁護士と少々性格が合わなくてもなんとかなります。
 事務局制でのうち,担当者制の場合は,特定の事件については,くわしい内容まで事務員が把握することができますが,他の事件については全くわからないので,代替が困難になります。
 特に担当者制を設けない場合は,事務局全員がすべての事件について広く浅くわかるが,事件の詳しい内容については弁護士がいないとよくわからないことになります。
 弁護士が何十人という大きい事務所では,弁護士数人・事務局数人というチーム制を採り,すべての制度のいい所取りしようとしているところもあるようですね。私の働いている事務所はそれほど大きくないので,具体的にどうなのかはよくわかりませんが。

 事務員にパラリーガルとして専門的な仕事をさせると言っても,書面作成の仕事や交渉等を一任までしてしまうと,いわゆる「非弁行為」(弁護士でないものが弁護士として活動すること),弁護士も事務員も「弁護士法」違反で処罰や懲戒の対象になるので,気をつけないといけません。
このように考えると,結局弁護士は自分の名前でする仕事を自分自身の判断で決定しなければならなくなるので,持てる事件数にも限りが生じ,一事件あたりの単価もどうしても高くなってしまうのでしょうね。

 今後は,司法試験の合格者増員・法律事務の他資格者への門戸開放等の流れから,弁護士の世界も大競争時代になることが予想されます。今後は,事務員の職業内容の多様化・専門化が益々進んでいったりしていくのではないでしょうか。
 従来は事務員を雑用係としか見ていなかった弁護士も多かったようですが,これからは,事務員も弁護士と対等に議論することができるようになっていき,法律事務員の仕事もますます面白くなっていくと思います。
 現に私は,個人の負債整理(破産・個人民事再生・任意整理)や民法・民事訴訟法の基本的な理論的な事項では,弁護士とある程度対等に議論をさせてもらったり,法的観点からの提案・進言,簡単な訴状・準備書面・各種申立書等の法律文書の草案の作成等もさせてもらったりして(もちろん弁護士がチェック・修正を行った上最終意思決定を行っており,上記の非弁行為にならないようにしていました。),非常にやりがいをもって仕事をしていました。

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司法試験について

2005年03月08日 | ①司法試験について
司法試験についてよく知らない人は,法務省のHPを見てください。
http://www.moj.go.jp/SHIKEN/index.html*

一応今年の合格を目指す方の参考になれば,というおせっかいというか自己満足的な気持ちから,去年(平成16年度)の論文試験で私が書いた答案を公開していこうと思います。

一応全部A答案でした。
でも,合計点が約145点だったので,全部ぎりぎり最低限のA(1科目約24点。司法試験の点は1科目の点は2通の平均を取るので,1科目2通の合計点は約48点になります。)だったようです。
内容的には,われながら良く出来たというものから,これはいったい何書いとんねんと思うものまで色々ありますが,すべてAだったということで,すべて最低限は守れている答案だと思います。(おそらく,22点と26点と言った組み合わせもあったのではないでしょうか)

なお,司法試験の各科目評価については,
A 24点以上
B 23点~24点
C 22点~23点
D 21点~22点
E 20点~21点
F 19点~20点
G 19点以下
ではないかと私は推測してます。
ちなみに,平成16年度の合格最低点は,136.5点。
つまり,1科目平均22.75点だったようです。
こう考えると,オールCでも受かるようにも思えますが,自分の評価と実際の付く点は,だいぶ異なりますし,手を抜いた答案か頑張った答案かは採点者はよくわかり,手を抜いたら印象はかなり悪くなると思いますので,決して「こんなもんでええやろ」と手を抜かないようにしたほうが良いと思います。答案において「守る」のと「手を抜く」「逃げる」というのは本質的に異なると思います。
0.1点でも多く点を取るべく,うまく守ってほしいと思っています。

うんちくが長くなりましたが,左の「カテゴリー」の「H16年司法試験論文試験再現答案集」に載せますので、参考にして頂けたらうれしいです。