弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

法テラス業務開始,被疑者国選弁護スタート

2006年10月02日 | ⑥弁護士等法曹情報
本日,平成18年10月2日,司法支援センター通称「法テラス」の業務がスタートします。法テラスHP*

法テラスは,「あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービス提供が受けられる社会を実現する」ことを基本理念とする法人で,①法的トラブルの解決に役立つ情報の「無料」の提供,②民事法律扶助,③司法過疎対策,④犯罪被害者支援,⑤国選弁護関連業務を業務内容とします。

法トラブルで困ったときは,0570-078374(語呂合わせは「おなやみなし」)まで。電話すれば無料で相談できます(但し電話代はかかります。PHSとIPフォンからは03-6745-5600まで。)。
なんか,和田アキ子さんが出てるどこかの会社のCMみたいですね(笑)。
利用時間は,平日9:00~21:00 ,土曜日9:00~17:00,祝休日と年末年始(12月29日~1月3日)は,休業日です。

犯罪被害に遭われた方は,犯罪被害支援ダイヤル0570-079714(語呂合わせは「なくことないよ」まで。


また,今日から,「被疑者の国選弁護」が重大事件で勾留されている被疑者に限りスタートします。
国選弁護人とは,裁判所が選任する弁護人で,その弁護報酬は国が支払います(もっとも,被告人に資力がある場合などには弁護報酬を支払うよう判決されることもあります。)
被疑者とは,簡単にいうと犯罪の容疑者であり,まだ,犯罪を犯したと疑われるが,起訴されていない人のことをいいます。
今までは,起訴後でないと国選弁護人をつけられず,捜査段階は私選の弁護人(自分で弁護報酬支払う)しかありませんでした。
これで,お金がない場合でも捜査段階で弁護士をつけやすくなります。

上記の重大事件とは,死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁固に当たる事件です(短期とは,「●年以上,■年以下の懲役に処する」と言う場合の,刑の下限,ここでは●年のこと。ちなみに刑の上限,ここでは■年のことは,「長期」といいます。)。

とりあえず,逮捕・勾留された場合,当番弁護士制度により弁護士を呼べますので(初回は無料),詳しいことは,その弁護士に聞いてみるとよくわかります。
なお,重大事件でない場合は,資力ない方でも,私選で弁護人を雇うしかありませんが,その場合でも,法律扶助制度を使えば負担を軽減できる場合があるでしょう(刑事扶助制度がある地方とない地方があるそうなので,ご注意を)。

今は上記の重大事件に限られますが,これから徐々に対象事件が拡大するそうです。

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後期修習における裁判官,検察官,弁護士の就職の手続

2006年10月02日 | ⑦法曹就職情報
現在過渡期にあり今後どうなるかは全くわからないので,今後の参考になるかどうかわかりませんが,我々59期の就職についての後期修習中の手続について紹介します。

6月末に実務修習を終え,和光の司法研修所に戻りましたが,後期始まってすぐに進路についてのアンケートを書かされました。

そして,7月に入るか入らないかくらいのほぼ同時期に,全員に,裁判官任官のための申込手続に関する書面と検察官任官のための申込み手続に関する書面がそれぞれ配布されました。
申込み期限も,ほぼ同時期のだいたい7月20日前後でした(微妙に期限はずれてました)。
さらに,二回試験後発表直前に,裁判官と検察官はそれぞれ最終面接をしました。
これらを無事肩たたきさんれることなくクリアでき,二回試験に合格すれば,やっと内定がもらえることになります。
内定は,検察官は二回試験合格発表当日夕方に出ました(発表直後)。裁判官の内定は修習終了後おそらく10月5日くらいに出ます。
なお,裁判官は,二回試験の成績によっては肩たたきをされ(上位3分の1とか4分の1以上という噂),志望を撤回しないと任官拒否されることがあるそうです。

弁護士登録手続については7月すぎに,日弁連の登録手続案内及び用紙等の入った封筒が研修所に置かれますので,希望者が取りに行くことになります。
地方の弁護士会への登録については,弁護士会によっては,司法研修所に案内等の入った封筒を送付してくれそれを各自が取ったり,自分で弁護士会に取り寄せたりと,各地方によって異なります。
申込み期限も,弁護士会によって異なりますが,多くは7月の下旬から末で,中には8月末というところもあるようです。
日弁連の登録申込み関係書類は,各弁護士会への申込みと一緒に各弁護士会に提出します。
日弁連の登録諸費用は合計9万円で,各弁護士会への登録諸費用は各弁護士会によって異なりますが数万円から数十万円とかなり幅があります。
それぞれの諸費用の支払いは,各弁護士会への申込みと同時のところが多いので,お金を貯めておかないといきなり借金をしてしまうことになります。
戸籍など各行政機関からもらう証明書類等が必要なので,ちんたらしていると申込み期限に遅れてしまうおそれがあるので注意が必要です。

手書きで記載しなればなりませんが,大事な書面なので,なるべく丁寧に記載したいものですね。

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贈る言葉~これから法曹を目指す方々へ~

2006年10月02日 | ⑫雑談
無事二回試験も合格し,ようやく明日私の長年の夢であった弁護士になれます。
苦しい時代を側でずっと支えて続けてくれた妻,暖かく見守っててくれたり励まして続けてくれたりした家族,受験時代の職場の上司と同僚,友人たち,司法研修所の教官,実務修習地の裁判官,検察官,弁護士の方々,修習仲間,そして,当ブログを見て私のことを応援して下さった方々,本当にありがとうございました。
おくればせながらではありますが,ようやくスタート台に立つことができました。
明日からいよいよ「弁護士の卵NOBIのぶろぐ」から「弁護士NOBIのぶろぐ」に新装開店したいと思います。

新装開店に先立ち,自分自身や,これからの修習生,旧司法試験受験生,新司法試験受験生,法科大学院受験生,法曹を志そうかなと少しでも思っている人に以下の言葉を贈りたいと思います。

私の大好きな言葉です。
一休宗純*禅師(通称「一休さん」)の言葉とも噂されている言葉で(清沢哲夫*氏の「道」という詩がオリジナルとも言われています。),アントニオ猪木氏が好んで使われる言葉です(ここまで言えば,わかる人にはわかると思いますが)。

『この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる』

これからの司法試験,司法修習制度,法曹界,本当にどうなるかわからず先行き不安は多いかとは思います。とりあえず法曹界にとって不遇の時代が来ることはほぼ間違いないでしょう。

今後,折角入った法科大学院は淘汰されるところが出てくる可能性があります。法科大学院の入学金・授業料の上,さらに予備校代もかかるなど収入の少ない家庭の子どもにとっては敷居がますます高くなります。法科大学院のカリキュラムの厳しさから他の業種から仕事をしながら司法試験を受けようとする人の門戸もどんどん狭くなります。司法修習生になっても二回試験に今よりたくさんの人が落ちるかもしれません。司法修習生の給与もなくなり,貸与制になり,弁護士登録前に数百万円の借金を背負う人も大勢出ます。弁護士の就職状況がますます悪くなり,法曹資格を得ても弁護士になれない人やいきなり個人で開業する人が増えたり,弁護士の初任給が少なくなることでしょう。弁護士間・他の士業との間の過当競争が激しくなり,全体的に弁護士個々の収入が減り,どこやらの国みたいにタクシードライバーなど他の職と兼業して弁護士をする人が増えたり,法律事務所の倒産が増えたりすることでしょう。その他法曹界を取り巻く将来の不安はまだまだたくさんあります。
今まさに,法曹界,特に我々弁護士や弁護士になろうとする人にとって,不遇の時代が来ようとしています。

今までの弁護士は,既得権の上にあぐらをかいていました。高級料亭のように一見の客を断ったり,面倒な事件や依頼者を断ったりしてきました。企業の多い大都市にばかり弁護士が集中し,弁護士過疎地もたくさんあります。
そのため,本来一番弁護士を必要としている人が弁護士に相手にされず泣き寝入りをしたり,事件屋に食い物にされたりしていました。2割司法や3割司法と言われる状況が続いています。

しかし,2割司法,3割司法という現状を考えると,多くの弁護士の取り組み,司法制度のあり方いかんによっては,今後も仕事は十分あるはずです。
弁護士人口は現在2,3万人で,30年後には約10万人まで増えることでしょうが,そのときでもなんとかやっていけることでしょう。

また,司法は国の要です。ハイレベルな司法制度とその信頼の維持は,国民全体の幸福につながりますし,先進国の必須条件です。これまで以上に優秀な人材が必要です。
現在の司法制度改革が中途半端なものとしても,いずれ見直しされ,改善される可能性も十分あります。
また,人材の確保がきちんされ続け,個々の法曹関係者の絶え間ない努力と創意工夫があれば,いつか不遇の時代にも夜明けがくるはずです。

我々は,自らこの道を選んだ以上,一歩一歩前に足を踏み出して行くほかありません。
まじめにおごらず勉強や仕事に励めば,不遇の時代でも絶対に仕事に困ることはないと信じてこの道を行くほかありません。
明けない夜はない,冬時代もいつか終わり必ずまた春が来ると信じてこの道を進んで行くほかありません。決して南極大陸が数億年かけて再び温かいところまで大陸移動するまで待つようなものではないはずです。

上述したように,司法が国の要であり,国民ひとりひとりが笑って生きていけるように,また,日本が世界を先駆ける先進国であるためには,優秀な人材確保が必要です。
また,法曹の仕事は,目の前の人の幸せ,社会正義の実現などとてもやりがいのあるものでお金ではとても買えないもので,一生の仕事として誇りの持てるものです。
今司法試験を現に目指している人も,よき時代であれば法曹を目指しただろうという人も,法曹界を安易に見捨てず,是非迷わずこの法曹界に進んで来てほしいです。

目の前の道が先行きが見えなくても,仮に道の先が草むらや森になっていて行き止まりでも,その草むらや森に一歩一歩踏み出せば,また道はできます。

私は多分一生この業界で生きていきますので,迷わずこの道を進んで行きます。
仮にこの道の先が,行き止まりであっても,道があったとしても道が狭くなって私をはじめ多くの弁護士が通れる道がなくなろうとも,先を行く弁護士達は,草むらや森に踏み込んで道らしいものを作って行くことでしょう。目の前に橋のない川が目の前に現れても,川に石を投げ込んで少なくとも橋を作る礎を作って行くことでしょう。
ただ,後から道を踏み固めたり,その道を舗装したり,橋を架けたりしてくれる人が大勢続いて来てくれなければなりません。
いい世の中やいい国を作るため,今後も多くの優秀な人がこの法曹界という道に迷わず踏み出して来ることを切に願います。

アントニオ猪木氏も,東京プロレスが旗揚げ3ヶ月で破産,復帰した日本プロレスからの追放,その後旗揚げした新日本プロレスの苦しい経営状態からスタートなど先の見えない苦境が続きました。猪木氏は,決して諦めず,彼の通り名どおり燃える闘魂でその苦境を乗り越え,彼に続く若者たちも彼の元に集まり,結果周知のとおり新日本プロレスに黄金時代をもたらし,格闘技界全体の活性化にも貢献し,スポーツ平和党を作り国会議員にまでなり,道なきところに道を作りました(詳しくは,フリー百科事典『<ウィキペディア(Wikipedia)*』アントニオ猪木参照)
我々法曹界の人間やこれからこの道を選ぶ者も,猪木氏のように燃えるような気持ちを持ち続け,道なきところに道を作って行く気概が必要です。

この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる
ボンバイエ!!

平成18年10月2日 NOBI

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