弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

債務整理の方法(個人サラクレ事件)① 破産編

2005年05月22日 | ⑤法律問題について
法的整理手続としては,破産,個人民事再生,特定調停があり,
任意の示談の方法としては,任意整理というものがあります。

以下,これらの手続共通のメリット・デメリットと,それぞれの手続についてのメリット・デメリットを説明します(今回は破産のみ)。

【すべての手続の共通の問題】
(1)メリット
・借金がいくらかやすくなる。

(2)デメリット
・信用情報のブラックリストに載り,今後7年間借金ができなくなる(ケースバイケースだけど)。

【破産】
(1)メリット
①借金が0になる(免責される)。

(2)デメリット
①残った財産を失うこと(*1)

②免責不許可事由にあたる人はできない。(*2)

③破産手続中はなれなくなり,現在やっている人はやめないといけない職業・資格がある。例えば,弁護士,保険外交員,警備員,会社の役員など(詳しくは,弁護士等に相談下さい)。

④破産管財人がつく場合だと,裁判所に20万円以上のお金(予納金)を収めなければならなかったり,自己宛の郵便が管財人にすべて検閲されるようになる。(*3)

⑤官報という政府刊行の新聞に破産したことが載る。(*4)

⑥破産者になることが,世間体が悪いし,屈辱である。これは人によると思いますが,特に歳を取った人ほどこのように思うことが多いです。ただ,私は借金地獄よりはマシだと思うし,何より借金が0になる利益は絶大ですから,破産できる人は破産を選んだ方がよいと思います。

(*1)差押禁止財産(現金99万円や生活に欠かせないもの職業にかかせないものなど。民事執行法131条,同法152条参照)以外,財産を失うこと(これは,なかなか難しいので弁護士等に相談するといいでしょう)。

(*2)免責不許可事由(借りた理由が浪費とか,嘘をついて借りるとか,債権者を故意に隠すとか。破産法252条1項各号参照)にあたると,免責されなくなります。ただし,免責不許可事由に当たる場合でも,その程度が軽い場合は,裁判官の裁量によりほとんどのケースで免責されます。また,その程度が少々重くても,債権者に数十万円程度弁償すれば免責されるケースが多いです(これも判断難しいので,弁護士等に相談したほうがいいでしょう)。

(*3)破産管財人が選任される場合とは,処分する財産が多い人(もちろんそれ以上に借金があるけど)や,免責不許可事由が多い人,法人,個人事業者の場合等があります(詳しくは,弁護士等に相談してください)。

(*4)普通の人は読まない新聞なので,まわりの人に破産したことがこれによりバレルことは少ないです。ただ,大きな会社等では,稀に社員が破産してないかチェックしているところもあると聞いてます。また,銀行,貸金業者,闇金業者等はチェックしています。

※選挙権がなくなったり,戸籍に載る等といった偏見を持っている人も未だいるようですが,そのようなことは一切ありませんのでご心配なく。

また,基本的には,債権者か官報を読んでいる人にしか破産したことがバレルことはなく,多くの人が職場や家族や近所の人に知られず破産しています。
しかし,裁判所に提出する資料を集める段階でうまくやらないと,職場や家族にバレルことがありますので,注意しましょう。
私は,家族に対しては正直に話すほうがいいと思います。手続に家族の協力が必要なことも多いし,今後の立ち直りには家族の協力が必要な場合多いですからね。
それに,案外家族はこれぐらいで見捨てたりすることは少ないですしね。自分で言いにくければ,弁護士に家族に説得してもらうのもいいでしょう。

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借金でお困りの方へ②~弁護士に頼むか,司法書士に頼むか,自分でやるか,その他に頼むか~

2005年05月02日 | ⑤法律問題について
以下は,サラ金問題についてだれに頼めのがいいのかを考える目安にして下さい。

1 総論(一般論や注意点)

簡単にいうと,弁護士は金は高いが,その分いい仕事をしてくれる可能性が高くなります。
ただ,弁護士といってもピンからキリまであり,事務員に任せっきりで何もしない人もいるそうです(これがバレルと,提携弁護士ということで,懲戒の対象になります)。
弁護士が事務員にある程度任せつつも大事なところでは前面に出てきて,きちんと誠実にフォローしてくれることが,弁護士の最低限の前提でしょう。
当然,司法書士もピンキリです。

相談に行ったとき,この人は信用できるかを的確に見極めなければなりません。
信用できないと思えば,他の人に頼めばいいです。ただ,相談料は損しますが。
でも,5250円で,変な弁護士に頼んで大損をしないで済むなら,安い話と思います。

あと,債権者に紹介された弁護士・司法書士を選ぶのは危険と言われてます。
弁護士・司法書士は,貴方と利害の対立する債権者から紹介してもらうのではなく,自分で探すか,その事件について貴方と利害対立のない人から紹介してもらいましょう。

弁護士事務所は,従来一見客お断りの事務所が多かったですが,最近は大分一見客を採るようになってきました。
弁護士会のサラクレ相談に行けば,そういうことも少ないし,タウンページで断られても,懲りずに次ぎ次ぎ他の事務所にかけましょう。
昨年弁護士の着手金・報酬が自由化されたことに伴い,各事務所が報酬規則を作らなければならなくなりました。
この事件はいくらかは,正確には相談をしてみないとわかりませんが,サラクレ事件の場合は,大体何ぼかということは答えられなくもありません。
他の事件でもいえることですが,念のため料金の基準を電話で弁護士に聞いておくといいでしょう。
何の基準も教えてくれないところは,相談の予約を後回しにしてもいいかもしれませんね。

あと,弁護士・司法書士を雇う雇わないに関係なく,何らかの法的手段をとると,信用情報に載り信用がなくなり,以後借りれなくなったり,借りれる額が減ったりします。
カードを持っていた人はカードが使えなくなったりして困ることがありますので,注意しましょう。
ただ,どうしても自力では全額返せない状態にあるのに,カードが使えないと困るからと言って,法的手段をとること差し控えないよう気をつけましょう。

弁護士・司法書士に頼むと,仕事をしてて忙しい人でも,法的手続きについて知識がない人でも,なんとかなります。
ただ,弁護士・司法書士を雇ったら,任せていればそれで終わりというわけではなく,裁判所に提出する資料の作成・収集には,弁護士・司法書士の指示をよく聞かないとダメです。
自分自身のことですからね。
ただ,弁護士・司法書士の言いなりになるだけでなく,自分のしたいこと,したなくことははっきり伝えましょう。
変なことをいうと怒られますが,何が変なことから言ってみないとわかりませんからね。
怒られると思っても,意外になんともないこともありますし。
そういう風に希望をいうと,弁護士・司法書士も,きちんとこれはできるできないということをはっきり説明してくれます(してくれない手抜きな先生の場合は,説明を求めましょう。これは,貴方の権利です)。

2 弁護士に頼むメリット・デメリット
(1)メリット
正式に受任してもらえると請求が止まり,弁済をしなくてもよくなる。
一般的に,ややこしい事件でも他の業種と比較して適切に処理できる。
一般的に,訴訟を起こされたときでも的確に対応できる。
裁判所に行ったとき常に横でサポートしてもらえる。
(2)デメリット
一般的に,費用が他の業種より高い(20万~40万。債権総額,債権者数,保有財産額によってはもっと高くなることがあります。)。
(3)NOBIのコメント
ちゃんとした先生についてもらえば,安心です。ただ,勝手なことや借金を作った理由が悪質な場合は,かなり怒られます。
高いと言っても,収入が少ない人は,法律扶助協会を通せば,半額程度にやすくなります(15万~20万。もう少し幅があったかも)。収入がない人は扶助協会に持ち込んでくれるよう弁護士に言ってみるといいでしょう。
相談料は,正式に受任したときはいらないという先生もおられたり,そもそもサラクレ事件については不要とする先生もおられるとか,相談前に聞いてみましょう。

3 司法書士に頼むメリット・デメリット
(1)メリット
正式に受任してもらえると請求が止まり,弁済しなくてもよくなる(弁護士と同じ)。
一般的に,弁護士より費用が安い(相談料が不要など・相談前に事前に聞いてみましょう。)。
(2)デメリット
一般的に,弁護士に比べると,法的処理や訴訟の対応力が落ちる。
裁判所で代理できる範囲が限られており,裁判官との面接があった場合(ややこしい事件など),付き添ってもらえない。
(3)NOBIのコメント
弁護士に張り合っている先生の中にはかなり出来る人がいるそうです。
やはり,ややこしい事件では,不安が残ります。
債権者から訴訟を起こされそうな場合や,財産をまだある程度持っている場合,浪費やギャンブルで借金を作った場合,債権者になんらかの嘘をついてお金を借りた場合,直近に一部の債権者に対してのみ弁済した場合,自分の財産を処分・贈与した場合等と言った事情がある場合は,弁護士のほうが適任でしょうか。
そういったややこしい事情がなければ,司法書士でサラクレ事件を多くやっている先生の方なら安心ですし,弁護士より若干安い分お得かもしれません(もちろん,これも先生によって報酬額は違うでしょう)。

4 自分でやるメリット・デメリット
(1)メリット
非常に安上がりにできる(例えば,破産だと,通常,2万円以内で出来ます。)。
(2)デメリット
自分ひとりで書面の作成,裁判所への行くこともしなければならない。
請求が止まらない。
忙しいと手続きが進まない。
法律をある程度理解する力がいる。
(3)NOBIのコメント
とにかく安上がり,ただ裁判所に書面を出すまでは,請求は止まりません。
任意整理は有利な条件での示談は難しいでしょう。
まあ,本人のやり方次第ですが,難しいです。
ややこしい事件だと,例えば,破産の場合では,管財人が立ち,その報酬として少なくとも20万円はいることになりますので,ご注意を。

5 その他(行政書士など)に頼むメリット・デメリット
(1)メリット
一応一人で書面を作成するわけでなく,他人に手伝ってもらえる。
(2)デメリット
請求が止まらない。
裁判官の面接には,ついてきてもらえない。
ややこしい事件への対応があまり期待できない。
(3)NOBIのコメント
正直よくわかりません。

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