弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

贈る言葉~これから法曹を目指す方々へ~

2006年10月02日 | ⑫雑談
無事二回試験も合格し,ようやく明日私の長年の夢であった弁護士になれます。
苦しい時代を側でずっと支えて続けてくれた妻,暖かく見守っててくれたり励まして続けてくれたりした家族,受験時代の職場の上司と同僚,友人たち,司法研修所の教官,実務修習地の裁判官,検察官,弁護士の方々,修習仲間,そして,当ブログを見て私のことを応援して下さった方々,本当にありがとうございました。
おくればせながらではありますが,ようやくスタート台に立つことができました。
明日からいよいよ「弁護士の卵NOBIのぶろぐ」から「弁護士NOBIのぶろぐ」に新装開店したいと思います。

新装開店に先立ち,自分自身や,これからの修習生,旧司法試験受験生,新司法試験受験生,法科大学院受験生,法曹を志そうかなと少しでも思っている人に以下の言葉を贈りたいと思います。

私の大好きな言葉です。
一休宗純*禅師(通称「一休さん」)の言葉とも噂されている言葉で(清沢哲夫*氏の「道」という詩がオリジナルとも言われています。),アントニオ猪木氏が好んで使われる言葉です(ここまで言えば,わかる人にはわかると思いますが)。

『この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる』

これからの司法試験,司法修習制度,法曹界,本当にどうなるかわからず先行き不安は多いかとは思います。とりあえず法曹界にとって不遇の時代が来ることはほぼ間違いないでしょう。

今後,折角入った法科大学院は淘汰されるところが出てくる可能性があります。法科大学院の入学金・授業料の上,さらに予備校代もかかるなど収入の少ない家庭の子どもにとっては敷居がますます高くなります。法科大学院のカリキュラムの厳しさから他の業種から仕事をしながら司法試験を受けようとする人の門戸もどんどん狭くなります。司法修習生になっても二回試験に今よりたくさんの人が落ちるかもしれません。司法修習生の給与もなくなり,貸与制になり,弁護士登録前に数百万円の借金を背負う人も大勢出ます。弁護士の就職状況がますます悪くなり,法曹資格を得ても弁護士になれない人やいきなり個人で開業する人が増えたり,弁護士の初任給が少なくなることでしょう。弁護士間・他の士業との間の過当競争が激しくなり,全体的に弁護士個々の収入が減り,どこやらの国みたいにタクシードライバーなど他の職と兼業して弁護士をする人が増えたり,法律事務所の倒産が増えたりすることでしょう。その他法曹界を取り巻く将来の不安はまだまだたくさんあります。
今まさに,法曹界,特に我々弁護士や弁護士になろうとする人にとって,不遇の時代が来ようとしています。

今までの弁護士は,既得権の上にあぐらをかいていました。高級料亭のように一見の客を断ったり,面倒な事件や依頼者を断ったりしてきました。企業の多い大都市にばかり弁護士が集中し,弁護士過疎地もたくさんあります。
そのため,本来一番弁護士を必要としている人が弁護士に相手にされず泣き寝入りをしたり,事件屋に食い物にされたりしていました。2割司法や3割司法と言われる状況が続いています。

しかし,2割司法,3割司法という現状を考えると,多くの弁護士の取り組み,司法制度のあり方いかんによっては,今後も仕事は十分あるはずです。
弁護士人口は現在2,3万人で,30年後には約10万人まで増えることでしょうが,そのときでもなんとかやっていけることでしょう。

また,司法は国の要です。ハイレベルな司法制度とその信頼の維持は,国民全体の幸福につながりますし,先進国の必須条件です。これまで以上に優秀な人材が必要です。
現在の司法制度改革が中途半端なものとしても,いずれ見直しされ,改善される可能性も十分あります。
また,人材の確保がきちんされ続け,個々の法曹関係者の絶え間ない努力と創意工夫があれば,いつか不遇の時代にも夜明けがくるはずです。

我々は,自らこの道を選んだ以上,一歩一歩前に足を踏み出して行くほかありません。
まじめにおごらず勉強や仕事に励めば,不遇の時代でも絶対に仕事に困ることはないと信じてこの道を行くほかありません。
明けない夜はない,冬時代もいつか終わり必ずまた春が来ると信じてこの道を進んで行くほかありません。決して南極大陸が数億年かけて再び温かいところまで大陸移動するまで待つようなものではないはずです。

上述したように,司法が国の要であり,国民ひとりひとりが笑って生きていけるように,また,日本が世界を先駆ける先進国であるためには,優秀な人材確保が必要です。
また,法曹の仕事は,目の前の人の幸せ,社会正義の実現などとてもやりがいのあるものでお金ではとても買えないもので,一生の仕事として誇りの持てるものです。
今司法試験を現に目指している人も,よき時代であれば法曹を目指しただろうという人も,法曹界を安易に見捨てず,是非迷わずこの法曹界に進んで来てほしいです。

目の前の道が先行きが見えなくても,仮に道の先が草むらや森になっていて行き止まりでも,その草むらや森に一歩一歩踏み出せば,また道はできます。

私は多分一生この業界で生きていきますので,迷わずこの道を進んで行きます。
仮にこの道の先が,行き止まりであっても,道があったとしても道が狭くなって私をはじめ多くの弁護士が通れる道がなくなろうとも,先を行く弁護士達は,草むらや森に踏み込んで道らしいものを作って行くことでしょう。目の前に橋のない川が目の前に現れても,川に石を投げ込んで少なくとも橋を作る礎を作って行くことでしょう。
ただ,後から道を踏み固めたり,その道を舗装したり,橋を架けたりしてくれる人が大勢続いて来てくれなければなりません。
いい世の中やいい国を作るため,今後も多くの優秀な人がこの法曹界という道に迷わず踏み出して来ることを切に願います。

アントニオ猪木氏も,東京プロレスが旗揚げ3ヶ月で破産,復帰した日本プロレスからの追放,その後旗揚げした新日本プロレスの苦しい経営状態からスタートなど先の見えない苦境が続きました。猪木氏は,決して諦めず,彼の通り名どおり燃える闘魂でその苦境を乗り越え,彼に続く若者たちも彼の元に集まり,結果周知のとおり新日本プロレスに黄金時代をもたらし,格闘技界全体の活性化にも貢献し,スポーツ平和党を作り国会議員にまでなり,道なきところに道を作りました(詳しくは,フリー百科事典『<ウィキペディア(Wikipedia)*』アントニオ猪木参照)
我々法曹界の人間やこれからこの道を選ぶ者も,猪木氏のように燃えるような気持ちを持ち続け,道なきところに道を作って行く気概が必要です。

この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となる
迷わず行けよ
行けばわかる
ボンバイエ!!

平成18年10月2日 NOBI

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ララ)
2006-10-03 19:49:20
「この道を行けばどうなるものか

危ぶむなかれ

危ぶめば道はなし

踏み出せばその一足が道となる

迷わず行けよ

行けばわかる」



いい言葉ですね。

不思議と自信と決意がわいてくる言葉です。



私は法曹界とは関係がないのですがNOBIさんのお書きになった言葉を読んで自分の道を切り開いていこうと思いました!



奥様やご友人、皆さんも弁護士NOBIさんを応援なさっていたんですね。



NOBIさんの誠実なお人柄が応援に結びついたと思います。



これからも弁護士NOBIさんのご活躍を応援しています!

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Unknown (NOBI)
2006-10-03 21:44:07
ララさん,まいど応援おおきにです。



お互い自分の道を頑張っていきましょう。
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出典 (NOBI)
2006-10-09 09:42:40
私は,この「この道・・・」を一休さんの言葉として伝えましたが,実は,清沢哲夫氏の「道」という詩であるとの指摘を受けました(少し言い回しが違いますが)。



安易に一般の風聞から一休さんと断じてしまったことお詫び申し上げます。
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