弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

未公開株式・社債、リゾート会員権等被害110番の実施について

2010年08月20日 | ⑨投資被害
前の記事で告知していました電話110番の詳細がわかりましたので,ご報告いたします。

下記のとおりです。
               記
1 日時
 2010年(平成22年)8月24日(火)午前10時~午後3時

2 相談方法
 電話相談のみ(相談料無料)

3 電話番号
 078-351-2231
 ※当日のみの臨時専用回線です。

4 相談担当者

 兵庫県弁護士会消費者被害救済センター委員
 神戸先物・証券取引被害研究会会員
                      以上


ちなみに私は上記の時間帯全部いるわけではなく2時間だけです。

被害がなく電話が全然かかって来ないことが望ましいです。
でも被害は現実にたくさんありますから,やはりたくさんかかってほしいですね。

未公開株商法については,金融庁のHP等でも詳細に紹介されています。




未公開株商法(社債等も含む)の電話110番

2010年08月19日 | ⑨投資被害
平成22年8月24日(火)の午前10時から午後3時までの間,未公開株(社債等の金融商品も含む)を扱った詐欺的商法の電話110番を,私が幹事と務めている兵庫県弁護士会の消費者救済センターと私が会員となっている神戸先物・証券被害研究会の共催で行うことになりました。電話番号については,追って本ブログでも紹介しようと思います。

電話110番の目的は,これらの詐欺的商法防止のための広報と被害救済です。

すべての未公開株商法がそうだというわけではないですが,一般の投資の素人の消費者,特に高齢者に無差別的に電話勧誘するものの多くは,振り込め詐欺同様のものですので,この記事を読んだ方は,十分注意をして頂きたいのと,近くの高齢者には振り込め詐欺同様こういうものには注意してほしいと口づてでもいいので,広めていただきたいと思います。



未公開株商法は,株式を上場(東証一部等の証券市場,店頭公開等)をしていない会社の株式を,「もうすぐ上場する」「上場は確実」「上場すると株価が2倍にも3倍にもなる。」と言って,売りつける商法です。

将来有望な会社で上場する可能性の高い会社の株を,青田買いしておくのは一つの投資の形だと思います。株式発行会社としても資金調達ができるというメリットがあり,社会的な必要性もあります。

しかし,有望だという予想が外れた場合には,株式の価値は下落し,結果上場もできなければ流通性も低いので,「紙切れ同然」にもなりうる取引で,極めてリスクが高く,そもそも,何も知らない素人が手を出すような取引ではありません。
未公開株式は,基本的には,その会社の関係者(経営者,従業員,株主,取引先等)や投資のプロ(例えば,村上ファンドみたいなプロ集団)だけが手をだすものです。
そもそも一般の素人を相手に無差別で電話をかけて勧誘されることはごく稀だと思います。

以上は,本当は実態がある会社の場合で,詐欺とはいえない場合です。


現在,高齢者を中心に狙った,振り込み詐欺の同様の手口の詐欺が横行しています。

そのほとんどは,実態のない会社の株式,転換社債(新株予約権付き社債),普通社債等,またはそれらに投資するファンドの持分権といった無価値の有価証券を売り付ける詐欺です。

そして,発行会社と消費者の間に,第三者が入ることが多いです。
それは取引を仲介する会社だったり,販売する会社だったりしますが,最近は「一部の限定された人しか買えないもので,公開されると価値が何倍にでもなる。2,3倍で買い取るので,手に入ったら教えて欲しい。」等と言ってくるサクラを使うパターンが多いです。
これは発行会社の詐欺と言いにくくするための,彼らなりの工夫のようです(しかし,実態は詐欺以外の何物でもないですが)。

その後,なぜか自分はその限定販売を受ける権利に当たるという偶然が起きたことになります。

そして,何も知らない人は,口だけで何の根拠もない「近々公開して,値上がり確実」というサクラ等の勧誘の話を鵜呑みにして,命の次くらいに大事な何十年もかけて貯めたお金をびっくりするほど簡単に出してしまいます。


取り返すためには,我々弁護士を雇うコストもかかりますし,相手方の破産等で返って来ないリスクもあるので,まずは,引っかからないことが肝心です。

引っかからないためには,自分のよくわからない儲け話,それも知らない人からの話は載らないことです。
特に電話で顔も見えない人の話に乗るというのは,本当に恐い話です。

いい話と思うのであれば,まずだれかに話して相談してみましょう。ただ,詐欺師達は,「すぐに買わないと売り切れる」と急かしますが,大事な大金を預けるのに,即決することなどあり得ないです。なぜなら,嘘だったら,ゼロになる可能性があるからです。数日たって売り切れたのなら,縁がなかったとあっさりあきらめるべきです。

それと,発行会社や第三者の言うことだけを根拠に信じてはいけません。嘘というのは簡単につけるものです。まず,言ってることについて必ず裏を取りましょう。
しかし,公開準備を本当にしているかどうかなどの裏など取れるわけはありません。

パンフレットは彼らが作っているので,言っていることと同じです。
パンフレットには,発行会社の資本金,資産,純資産,売上,損益などの実績が載っていることはほとんどありません。
商業登記簿を見ると,資本金額自体も嘘をついていることもあります。
そもそも公開間近なのに資本金が1000万円しかないというあまりに不自然な話です。

発行会社のホームページはパンフレットと同じなので,それだけでは信じられません。

インターネットを調べると,前からやっているものは大概未公開株商法として紹介されているものもありますので,それらでヒットしたなら,徹底的に信用できるか調べるべきです。



一度,引っかかると,詐欺会社の顧客リストに載ってしまいます。これはいわゆる「カモリスト」です。
カモリストに乗ると,自宅に,詐欺会社から次々電話や郵便が届くようになります。

「買った未公開株を買い取ってやるが,その前にうちで取引をして実績を作ってほしい」と言ってさらに未公開株式を売り付ける手口(後でやっぱりその株は買い取れないと言われます。),「被害者の会を作って,取り返す。その費用を払え。」「顧問弁護士に」と言って,その後放置するか,最後に取り返せなかったという手口(顧問弁護士の名前すら教えてくれません。),「探偵だけど,取り返すための調査をしよう。そのための費用を払え」と言う手口(これも被害者の会とかと同じ結果になります。)などといろいろ言われます。

さらに,最近の手口は,「お金は1円も出さなくてもいいから,未公開株を買う名前を貸してくれ」とか「お金を出すから,代わりに買ってほしい」と言われ,申込だけすると,何らかの理由で買うのやめたと言われたり,お金を出さなかったりして,発行会社等から,「注文した以上買え。買わないとどうなるかわからないよ。」と脅されるパターンも出てきます。

あと,今は,株式だけではなく,社債(転換社債,新株予約権付き社債も含む)だったり,ゴルフ会員権だったり,不動産だったり,絵画だったり,イラン等の外国の通貨だったりと投資の種類も多様化しています。


投資被害を受けないためには,①自分の大事なお金を預けるのだという自覚を持つこと(詐欺師にお金を預けると1円も返って来なくなる可能性があります。),②安易に業者の言うことを信じないこと(全く信じるなという意味ではありません。),③自分のわからないものには手を出さないこと(目をつぶって外を出歩くようなものです。)です。

ただ,詐欺集団や悪徳業者は,これらができない人を狙ってきます。
人のいうことをすぐに信じてしまういい人や年をとって判断力が鈍ってきた人が狙われるのです。


こういう詐欺商法もだいぶ有名になってきているようですが,まだまだ周知が徹底していません。
このブログを読んだ方は,あなたやあなたの短かの人が騙されないように,周知して頂きたいと思います。

あと,騙されたと思ったら,まず弁護士に相談しましょう。最近,弁護士でない者が弁護士がやるべき事件を解決するといういわゆる「事件屋」が増えています。
「事件屋」はいわゆる「非弁行為」という犯罪です
結果的にうまく解決する場合もあるかもしれませんが,二次被害を受ける場合もありえます。

というわけで,8月24日火曜日に電話110番やりますので,よろしくお願いします。