先週,標記の題で下記のニュースがありました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110106-OYT1T00483.htm
福岡市博多区の投資コンサルタント会社「ワールドゲートカンパニー」が顧客に対し、「絶対にもうかる」とうその説明をして、原油や金などの海外先物取引に勧誘した疑いが強まり、福岡、宮城両県警は6日、特定商取引法違反容疑で本社や仙台市の支店などを捜索した。
捜査関係者などによると、同社は海外先物取引を勧誘する際、「40万円が100万円になる。絶対にもうかる」とうその説明をして、北九州市の女性から120万円を振り込ませた疑いなどが持たれている。福岡県警は、同社が2008年頃から、九州や東北を中心に全国の高齢者らから、少なくとも20億円を集めていたとみて調べている。
同社を巡っては、「話の内容が分からないまま手続きを進められて投資したが、金が返ってこない」「電話で勧誘され、次々と投資したが、金が回収できない」といった相談が08年度に10件、09年度に38件、10年度34件、福岡県内の消費生活センターに寄せられている。宮城県のセンターには10年11月までの約1年間に12件寄せられ、計4000万円を振り込んだ相談者もいたという。
(2011年1月6日14時48分 読売新聞)
この会社は,大阪にも支店があり,私も2回ほど被害者側代理人として戦いました。
神戸先物研究会,全国先物研究会でも,被害報告が少なからず上がっていた会社で,私も個人的に要注意だとマークしていた会社でした。
ニュースでは,「原油・金などの海外先物取引」を勧誘したと言っていますが,私が実際にやった事件では,海外商品先物オプションの買いの相対取引(あいたいとりひき)でした。
※海外商品先物オプション取引・・・一定の海外の商品先物を一定の時期(期限)に,一定の額(権利行使価格。ストライクフライスともいう。)で買ったり,売ったりする権利を売買する取引。
※※相対取引(あいたいとりひき)・・・取引所などを介さず、売り手と買い手が直接に取引すること。銀行対銀行、銀行対顧客といった1対1の取引。取引価格も、取引の方法も、当事者同士の交渉によって決まる。
オプションの価値は,実質的価値と時間的価値とに分類され,前者は,先物の時価とストライクプライスの差(マイナスの場合はゼロとなる)であり,後者は,簡単にいうと,先物の時価がストライクプライスに達して利益を出す期待値のようなものです。
つまり,オプションの買いは,商品先物の時価が決められた期限にストライクプライスに届いていなければ,実質的価値も時間的価値もゼロになってしまい,投資したお金が全部飛んで行くハイリスクな取引なのです。
そして,オプション購入時の先物の時価がストライクプライスに届いていない状態で,その価格の幅が大きければ大きいほど,ストライクプライスに達して利益が出る可能性は低くなり,それだけ価値が低くなります。
この会社は,利益が出る見込みのかなり低い,ほとんど価値のないオプションを客に売り付けてるということを,少なからずやっていたようです。
また,相対取引で,客と会社の1対1の勝負なので,客に利益が出てしまうと,逆に会社が損をしてしまい,会社が困る取引だったのです。
にもかかわらず,この会社は客に「これを買った方がよい。」「あれを買った方がいい。」とアドバイスをしていたわけです。
それも,相対取引で,自社の取引でもあるのにかかわらず,顧客に対し安くない手数料を取った上でです(手数料はオプションの数量に対し一定だったのですが,売り付けたオプションに価値がなかればないほど相対的に手数料が高くなってしまいます。)。
よくわからなくても,何となく変な話って思いませんか。
この海外商品先物オプション取引の相対取引は,商品の仕組みとして,非常に問題がある取引だと私は感じていました。
今年の1月1日から,先物取引を規制する法律である「商品取引所法」が改正され,名前も新たに「商品先物取引法」に変わり,今まで規制がほとんどなかった「海外商品先物取引」「海外商品先物オプション取引」「ロコ・ロンドン貴金属取引」も取り締まるようになりました。
その結果,この分野でも,業者が登録ないし許可制となり,無許可・無登録業者がなくなり,相対取引も,店頭取引・のみ行為が原則禁止されることになりました。
この法改正と,今回の警察の対応で,このような問題のある取引がこの世からなくなるといいのですが・・・
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110106-OYT1T00483.htm
福岡市博多区の投資コンサルタント会社「ワールドゲートカンパニー」が顧客に対し、「絶対にもうかる」とうその説明をして、原油や金などの海外先物取引に勧誘した疑いが強まり、福岡、宮城両県警は6日、特定商取引法違反容疑で本社や仙台市の支店などを捜索した。
捜査関係者などによると、同社は海外先物取引を勧誘する際、「40万円が100万円になる。絶対にもうかる」とうその説明をして、北九州市の女性から120万円を振り込ませた疑いなどが持たれている。福岡県警は、同社が2008年頃から、九州や東北を中心に全国の高齢者らから、少なくとも20億円を集めていたとみて調べている。
同社を巡っては、「話の内容が分からないまま手続きを進められて投資したが、金が返ってこない」「電話で勧誘され、次々と投資したが、金が回収できない」といった相談が08年度に10件、09年度に38件、10年度34件、福岡県内の消費生活センターに寄せられている。宮城県のセンターには10年11月までの約1年間に12件寄せられ、計4000万円を振り込んだ相談者もいたという。
(2011年1月6日14時48分 読売新聞)
この会社は,大阪にも支店があり,私も2回ほど被害者側代理人として戦いました。
神戸先物研究会,全国先物研究会でも,被害報告が少なからず上がっていた会社で,私も個人的に要注意だとマークしていた会社でした。
ニュースでは,「原油・金などの海外先物取引」を勧誘したと言っていますが,私が実際にやった事件では,海外商品先物オプションの買いの相対取引(あいたいとりひき)でした。
※海外商品先物オプション取引・・・一定の海外の商品先物を一定の時期(期限)に,一定の額(権利行使価格。ストライクフライスともいう。)で買ったり,売ったりする権利を売買する取引。
※※相対取引(あいたいとりひき)・・・取引所などを介さず、売り手と買い手が直接に取引すること。銀行対銀行、銀行対顧客といった1対1の取引。取引価格も、取引の方法も、当事者同士の交渉によって決まる。
オプションの価値は,実質的価値と時間的価値とに分類され,前者は,先物の時価とストライクプライスの差(マイナスの場合はゼロとなる)であり,後者は,簡単にいうと,先物の時価がストライクプライスに達して利益を出す期待値のようなものです。
つまり,オプションの買いは,商品先物の時価が決められた期限にストライクプライスに届いていなければ,実質的価値も時間的価値もゼロになってしまい,投資したお金が全部飛んで行くハイリスクな取引なのです。
そして,オプション購入時の先物の時価がストライクプライスに届いていない状態で,その価格の幅が大きければ大きいほど,ストライクプライスに達して利益が出る可能性は低くなり,それだけ価値が低くなります。
この会社は,利益が出る見込みのかなり低い,ほとんど価値のないオプションを客に売り付けてるということを,少なからずやっていたようです。
また,相対取引で,客と会社の1対1の勝負なので,客に利益が出てしまうと,逆に会社が損をしてしまい,会社が困る取引だったのです。
にもかかわらず,この会社は客に「これを買った方がよい。」「あれを買った方がいい。」とアドバイスをしていたわけです。
それも,相対取引で,自社の取引でもあるのにかかわらず,顧客に対し安くない手数料を取った上でです(手数料はオプションの数量に対し一定だったのですが,売り付けたオプションに価値がなかればないほど相対的に手数料が高くなってしまいます。)。
よくわからなくても,何となく変な話って思いませんか。
この海外商品先物オプション取引の相対取引は,商品の仕組みとして,非常に問題がある取引だと私は感じていました。
今年の1月1日から,先物取引を規制する法律である「商品取引所法」が改正され,名前も新たに「商品先物取引法」に変わり,今まで規制がほとんどなかった「海外商品先物取引」「海外商品先物オプション取引」「ロコ・ロンドン貴金属取引」も取り締まるようになりました。
その結果,この分野でも,業者が登録ないし許可制となり,無許可・無登録業者がなくなり,相対取引も,店頭取引・のみ行為が原則禁止されることになりました。
この法改正と,今回の警察の対応で,このような問題のある取引がこの世からなくなるといいのですが・・・