弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

平成24年度司法試験の発表がありました。

2012年09月12日 | ①司法試験について
NOBIです。
ご無沙汰していました。久々に投稿します。

本日というか,もう昨日ですが,9月11日火曜日の午後4時に,本年度の合格発表がありました。

2102人の方が合格されたようです。
そして,新しい司法試験制度ができてから,はじめて,合格率が上昇し,25.1%となったそうです。

合格された方はおめでとうございます。
しかし,合格はスタートラインに立っただけで,まだまだ道の途中ですので,新しい目標をしっかり定めて,これからも頑張ってください。

惜しくも不合格だった方は,とても残念でした。まだチャンスがある方は,敗因をしっかり分析して,来年確実に受かるよう頑張ってください。
天才以外の方は,完璧な答案を書くことにこだわりすぎず,まず落ちない答案を固めてから,よりよい答案を目指す方がいいでしょうね。
答案検討では,ついよりよい答案の書き方の説明がなされがちですが,そんな答案は現場で書くのはかなり難しいです。
落ちない答案を目指すのはもっと簡単です。
また,合格者の方法論をまねることは大事ですが,なぜ合格者がその方法論を取ったかを合格体験記や合格者から直接聞くなどした方がよいでしょう。
たくさんのそういう意見を聞いたり,法務省が発表している合格に必要な能力,採点基準,出題趣旨などを見ていると,おのずと見えてくるはずです。

残念ながら,チャンスがなくなってしまった方は,何と申し上げてよいかわかりませんが,ダメでも頑張ったうえで落ちたのなら,きっとその経験はどこかで生きるはずです。司法試験だけが人生でもないし,くじけず,謙虚に,他の道で頑張れば,ほよど運が悪くない限り,きっといつか芽が出るはずです。


長々とお説教みたいなことを書きましたが,この記事で本当に書きたかったのは,うちにバイトで来てくれていた受験生2名が無事合格したことです。
本当によかったです。
ちなみに,昨年うちの事務所にエクスターンシップで来ていた方も今年合格しました。
これでうちの事務所関係者は,昨年のバイトの方も合わせると,4戦全勝です。
この合格に少しでも私が貢献で来ていたのでしょうか。
そうだとうれしいですが,だれも「先生のアドバイスのおかげです。」とは言わないので,きっと違うんでしょうね(T_T)。
ともかく,私が役に立ったかどうかはおいていて,今年前厄でいいことないかな,ラッキーをたくさん集めたいなあと思っていたのもあって,本当にうれしい限りです。
何より自分の周りの人がハッピーなのは,本当にうれしいですね。


司法試験予備試験と今後の大学生の司法試験等に対する考え方のあり方

2011年10月16日 | ①司法試験について
先日10月13日に司法試験予備試験の論文試験の合格発表があったようです。

予備試験は,新司法試験(私が受けていた旧司法試験が今年からなくなったので,この表現は適切ではないかもしれませんが,旧司法試験と区別するためあえてそういう表現を使います。)の受験資格を得るための試験です。

新司法試験の受験資格は,原則として,法科大学院の卒業したこと(受験回数が3回未満,法科大学院卒業後5年以内)ですが,予備試験の合格は法科大学院卒業と同じ効果を与えるものです。

そして,予備試験自体の受験資格は,原則として,
制限がありません。だれでも受けることができます。

つまり,旧司法試験のように,大学の卒業資格,大学の一般教養の一定以上の単位の取得,司法試験一次試験の合格,など一定の一般教養資格も何らないということです(新司法試験受験回数や法科大学院の卒業年によっては一部制限される場合があるので,ご注意を)。

というと,どういうことかというと,大学生や大学卒業者でなくても,受けることができるということです。

実際にはなかなか困難ですが,理屈上は,高校に行っていない人が,大検を取っていなくても受けることができるわけです。

試験は,旧司法試験同様,短答式試験⇒論文試験⇒口述試験とあります(各試験を合格すれば次の試験に進める)。

受験科目は次のとおりです。
①短答式試験
 法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法)
 一般教養科目(人文科学,社会科学,自然科学及び英語)
②論文式試験
 法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法)
 一般教養科目(人文科学,社会科学及び自然科学)
 法律実務基礎科目(民事訴訟実務,刑事訴訟実務及び法曹倫理)
③口述試験
 論文式試験の法律実務基礎科目と同様

まあ,法科大学院の既習者コースの受験科目とほとんどかぶるのではないでしょうか。

今年の受験状況は,
出願者 8971人
短答式試験受験者 6477人
短答式試験合格者 1339人
論文試験合格者 123人
でした。

ちなみに,今年の新司法試験は
出願者 11891人
受験者 11686人
合格者 2063人
でした。

このことから何が言えるかというと,これからの時代,本気で法曹を目指すのであれば,志望大学に合格した者は,高校卒業前でも,直ちに,予備試験の受験勉強を始め,大学1年生の5月から予備試験を受けるべきである。
1年生のときにはさすがに受からないでしょうが,本番の雰囲気がわかるし,本気で受けるのは2年生からでもいいでしょう。
うまく4年生までに合格すれば,法科大学院に行かずに,いきなり新司法試験を受けられることになります。
そして,これだけ狭き門を通り抜けたものは,おそらくすぐに新司法試験も合格する可能性が高いでしょうから,うまくいけば人より2年以上早く,司法修習生になることができます。

大学卒業資格も要らないので,中学生・高校生から受けても良いと思われるかもしれませんが,予備試験に受からなかったときのことを考え,一応大学に行って,4年生までに予備試験に合格しない場合のすべり止めとして,大学4年時に法科大学院の受験をすべきです(司法試験と大学受験と二兎追うのはリスクが高いので,大学受験勉強に専念すべき)。
おそらく,予備試験の受験科目と法科大学院の受験科目はかぶるので,問題は少ないでしょう。
しかし,大学4年生で予備試験に不合格になったら,予備試験にこだわり続けると,受験が長引く可能性があるので,大学卒業後就職しながら受験を続けるのでなければ,法科大学院に行くべきでしょう。法科大学院の卒業自体はそれほど難しくないですから,2年くらい我慢した方がいいと私は考えます(あくまで私個人の見解です。)。

要するに,大学在学中は,法科大学院の受験をすべり止めにして,予備試験を受けるということです。

私は,司法試験受験を長くやっていましたが,はっきり言って,長い受験生活は人生にとって得るものは少なかったです。これはできるだけ短い方がいいです。
大学時代ならではの人生経験(大学時代の人間関係,遊び,勉強,読書,人脈など)については,大学4年間で十分ですし,それ以上の人生経験は社会人になって得た方がいいです(というものの,何も得なかったわけではないですが)。
私が受験が長引いたのは,大学4年間を受験以外のことばかりしていたこと,司法試験は超難しくなかなか受からないので,急いでやらなくてもいいと甘く考えていたからです。

しかし,受かってみると司法試験はそれほどは難しくなく(もちろん競争率が高いので,受験技術としては高度なものが要求されますが,法律の知識や思考力については実務に比べるとそれほどでもなく,初歩の初歩です。法律論が難しいと感じるのは勝手に難しく考えすぎて迷宮に迷い込んでいるだけなのです。),何年もやるべきものではありませんでした。
(競争率についても,記念受験している人もいれば,受かる実力もほとんどついていない状態で受けている人もいるので,実質的な競争率はそんなに高くないはずです。私が受けていた旧司法試験も,4~5万人が受け,短答式試験合格者約7000人,論文式試験合格者1500人でしたが,感覚的には,短答式で勝負になる人の実質競争率は2~3倍くらい,論文式でも2~3倍くらいだったと感じていました。)

以上の私の考え方がいいと思うのは,大学受験が終わってからすぐテンションが落ちる前に勉強を開始できることとです。
そもそも高校受験,大学受験と勉強で食べていこうと思った瞬間,勉強しないことを諦めるべきなのです。
私は勉強しない人生を送るということが諦めきれず,勉強をなるべくせず,楽をしていい成績を取ることばかり考えていました。確かに効率が良い勉強方法は考えるべきですが,それは勉強をしないために考えるのではなく,他のこと(趣味,交友関係,息抜き,恋愛など)をする時間を作るために考えるべきものでしょう。
結局,大学に行っても,社会人になっても,第一線で頑張るには(法曹以外のどの分野でも),勉強(受験教科に限らない。その時の目標に応じたもの)は一生続けなければなりませんし,他のこと(趣味,人づきあい,息抜き,恋愛等)も同時にしなければなりませんから。
他のことができないと,勉強だけの頭でっかちの人間となります。人との交渉が仕事の大半となる法曹をするには他のことをすることも大事なことだと思います。
もちろん,受験直前は他のことをする時間は当然に減らすべきでしょうが(笑)

受験は,情報の収集,傾向と対策の検討,勉強です。
そして,勉強は理解⇒暗記⇒演習です。暗記・演習は技術と反復です。
要は,受験は,①情報の収集(随時)⇒②傾向と対策の検討(随時修正)⇒③勉強計画の立案(随時修正),勉強方法の確立⇒④反復して,教科書,参考書を読み,問題集をやることです。

①~③をやってくれ,自分の使う時間を④だけに集中させてくれるのが塾,予備校です。
逆にいうと,良い予備校,講師は①~③についてきちんとわかるように説明でき(実際に説明するかどうかは別),具体的に実践できるところと言えます。
司法試験の場合には,論文の採点基準がわかりづらく,大学受験までのように予備校が進んでいるわけではないかもしれないですが,うまく予備校を使って,時間短縮を図るべきです。ただ,ある程度は自分でも①~③を真剣に検証した方がいいでしょうね。

大学在学中に予備試験,新司法試験に合格すると,以下のメリットがあります。
まず,法科大学院・卒業後の新司法試験の受験の時間・費用が浮きます。
うまく大学2,3年生で合格すると,大学を中退して,司法修習に行け,実質的に飛び級が日本でも可能になるかもしれません(ここは予想で書いているので,ご自分で間違いないかしっかり調べて下さい。)。
人生経験が足りないと思えば,大学卒業後,別の職業についても2年間は大した時間のロスになりません。

大学生の方,これから大学生になろうと言う方で,裁判官,検察官,弁護士などの法曹に興味のある方は,ぜひ,私の考えを参考にして頂ければ幸いです。



平成18年旧司法試験合格者「官報」掲載

2006年11月27日 | ①司法試験について
平成18年11月22日付の官報(号外 第264号)に今年旧司法試験の合格者の一覧が掲載されていました。

〔官庁報告〕平成十八年度旧司法試験第二次試験合格者(司法試験委員会)*

語句検索ができるので,知っている人を探すのに便利です。
ただ,あと2,3日(おそらく11月29日まで)しか掲載されていませんので,早めにダウンロードしておきましょう。

残念ながら,私のよく知っている人は合格していませんでした。

私は,平成16年に合格してから翌年に修習に入るまでの間,某Wセミナーの論文答練の採点をしていました。
そのとき,よく答案の最後に細かく質問を書いて来られる研究熱心な方がおられました。
その人は近いうちに受かるなと思っていたのですが,今年その人が受かっていたのを見て,知らない人ながら勝手に喜んでいます。

あの答練には印象に残った人は2名いて,一人は去年合格して,一人はこの人で今年合格(この2名以外の方のお名前は忘れてしまっています)。
私の予想が当たったのと,もしかすると私の添削コメントが役に立ったのかなと思うとなんとなくうれしいものです(もしかすると足を引っ張っていたりして・・・だったらごめんなさい)。

いつか会ったときには,私の添削はどうだったのか聞いてみたいものです。
当時は自分なりに一生懸命添削しましたからね。
ただ,おそらくイチ添削者すぎない私のことなど全く覚えていらっしゃないでしょうね。

そういえば,私も昔答案を採点したことがありますと,修習後知り合った方から言われたことがあります(怖くて,出来については聞いてませんが)。
もちろん私は彼がどの採点者だったのかはわかりませんでした。

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平成18年度旧司法試験合格発表

2006年11月10日 | ①司法試験について
昨日平成18年11月9日水曜日午後4時に旧司法試験の最終合格発表がありました。
法務省HP合格発表*
合格された549人の方本当におめでとうございます。
私が個人的に応援していた76歳の方は残念ながら合格されなかったようです。

ところで,私の平成15年に総合B判定で落ちた論文試験の再現答案を,この前欲しいとメールをしてこられた方がいましたので,すべて公開するのはさすがに大変だったので個人的にメールに添付して送らせて頂きました。

来年以降も旧試験を目指される方で,他にも平成15年の再現答案が欲しいという方がおられましたら,その方にも送りたいと思いますので,遠慮なくメール下さい。
どこらへんが評価につながるかなど参考になるのではないでしょうか。
ちなみに合格したときのH16の再現答案はコチラ*

ところで,私は,個人的には,旧試験などさっさと見切りをつけて法科大学院→新司法試験というコースが急がば回れでおすすめだったんですが,ここ数年の旧試験の合格点などを見てると,択一が得意な人ならもう少し旧試験で頑張るのもいいかもしれないと思いました。

まあ,基本的にはやはり法科大学院→新司法試験というコースがベターだと思うのは変わりませんが。
法科大学院などは金がかかってとても行けないと諦めている人も多いかもしれませんが,旧試験に受けようという根性,近いうちに旧試験を受かるだけの実力を備えることができる人なら,きっと法科大学院も優秀な成績で合格し,特待生になれたり,奨学金をゲットできると思うからです。
その自信がなく,だらだら旧試験を受けている人はさっさと司法試験自体やめた方がいいと思っているからです。
もっとも,家族などを養うために働きながら受けられている人は別ですが。
法曹は,事件により法律も手続も違うので,どんなことにも柔軟に対応する能力が問われます。
試験の形式が違うくらいでへこたれてはいけません。

とにかく,今年新・旧司法試験で惜しくも不合格だった方も,これから新・旧司法試験を受ける方も,自分に厳しく勉強して行って頂きたいものです(ヘラヘラ遊びながら短期で受かるほど甘い試験ではありません。たまにはいましたし,今もそういう人も増えているかもしれませんが・・・)。
それに,人生に一度は死ぬほど勉強するのも,これからの人生決して損はないと思います(そう簡単に人間は死なないですが,くれぐれも本当に死んでしまうぐらい過激に勉強しすぎないように。自己の健康管理も重要な能力です。)。

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H18年旧司法試験論文試験合格発表

2006年10月06日 | ①司法試験について
10月6日,平成18年度旧司法試験論文試験の合格発表がありました。
合格された方おめでとうございます。

論文受験者3717人中,論文合格者542人でした。
論文競争率約6.86倍,論文合格率約14.6%でした。
詳しくは,コチラ*

去年の口述落ちた人を合わせて,口述試験を行い,約600人にするつもりでしょうか。どうなんでしょうね。

合格点は,133.75点以上で,去年の132.75点以上を1点上回りました。

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新司法試験の合格者の官報掲載

2006年10月06日 | ①司法試験について
今日の官報*に新司法試験の全合格者の受験番号と氏名が掲載されていました。

インターネットの官報は1週間くらいしか見れないので,もし官報掲載がほしい方は,早めに下記リンクのページのpdfファイルを保存するか,官報を買いに走ってください。
pdfファイルは検索機能がついているので,人探しには便利です。

合格者1*
合格者2*
合格者3*
合格者4*

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新司法試験の合格発表と修習地選び

2006年09月22日 | ①司法試験について
昨日,9月21日新司法試験の合格発表がありました。法務省HP
合格された方,本当におめでとうございます。

今から司法修習の願書を出すことになりますが,私のときもそうでしたが,その際の修習地の選択について,情報がほとんどなく,とりあえずで修習地を選ぶことになり,後でとても後悔することにもなりかねませんので,参考程度に少し書きます。
書いていることが全く正しい訳ではなく,あくまで私の主観的に感じしていることなので,他の人の意見も聞きながら,本当に参考程度に読んで下さい。

まず,修習地には,東京・大阪などの大規模庁と,過疎地などの小規模庁,その他の中規模庁などがあります。

大規模庁については,大都市での就職に有利ですが,人が多すぎで,マンツーマンの指導体制が形成しにくく,個別修習によって実務感覚をつかむにはベストとはいえません。その代わり授業形式の修習などは充実しており,教科書的な事例など二回試験対策は少しは役に立つと思います。まあ,就職すると言っても,旧60期とかぶる以上,大都市には人が集中するので,あぶれる人がその分多くなるので,本当に就職に有利とは言えない可能性が高いです。また,修習生同士の付き合いも希薄になりがち。

中規模庁については,比較的都市が近かったり,交通の便がいいなど就職するのには少し便利で,ある程度実務修習での指導体制は確保できているかもしれませんが,新60期・旧60期と合計2500人もいるので,中規模といってもそこそこの都市であれば,大規模庁と同じことになると思われます。

小規模庁も,今までない人を受け入れるので,どこまで実務修習を実あるものとできるかは未知数ですが,少なくとも大規模庁よりはましだと思います。しかし,みなが就職したがる都市は遠く,就職活動には往復旅費等時間的・金銭的・労力的コストはかかります。遠くの就職活動は苦にならない人や過疎地で就職したい人などバイタリティー溢れる人,既に修習前に就職が決まっている人などには,マジでお薦めしたいです。修習生同士の付き合いは濃いものになる点においても充実しましすし(但し,嫌な人がいれば逃れにくいので,その場合少しストレスは溜まるかも),1年間だけの田舎暮らしもオツなものですし,絶対いい思い出ができます。

私なんかは,就職に便利と安易に大都市を選び,要件事実の勉強や模擬裁判や裁判修習(刑事・民事)はそれなりに充実しましたが,それ以外ではなかなか大きな事件に触れる機会はなく,修習生同士の付き合いの濃さなど少し物足りなさを感じました。
今から思えば,一生のうちそんなに縁がなくてご飯のおいしいところに行けばよかったなあと後悔してやみません。

新旧60期の人は,選べる修習地に制限がありますが,他にも先輩などからよくよく情報を集めて,後悔なきよう修習地を選んで下さい。

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平成18年度旧司法試験論文試験の問題の感想

2006年07月21日 | ①司法試験について
今週の頭7月16日日曜日,17日月曜日に旧司法試験二次試験の論文式試験(いわゆる「論文試験」)がありました。
受験された方お疲れ様でした。

問題については法務省のHPに公表されています。
法務省HP平成18年度旧司法試験試験論文試験問題*

以下,私が初見で感じた各問題の感想を書きます。
とりあえずの感想・意見なので間違っているところは多いと思います。
あまり気にしないようにして下さい。
また,明らかな間違い等に気付いたら密かに訂正しようと思います。

【憲法第1問】
営利的言論の制限の可否。広告放送を1時間ごとに5分以内に制限することによって得られる多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスと利益の程度と,制限されることにより失われるテレビ局の経済的利益とスポンサーの営利的表現の自由との,利益衡量がとても難しい。

【憲法第2問】
地方政治における拘束力ある住民投票の可否を,国政における拘束力ある国民投票の場合と比べつつ論じるという典型問題です。
あくまで住民投票の可否を聞いているので,答え方注意です。
国民投票はこうやけど住民投票はこうと淡々と書くのが無難だけど,うまく両者の本質を突きつつ,住民投票の可否についてうまく論じると跳ねる感じでしょうか。
言うはやすく行うは難し。私では最低限守ることしかできないか。

【民法第1問】
小問1(1)詐欺取消後の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
 (2)追奪担保責任(Cが背信的悪意のときはどうするのかもいるのかな?)。
小問2 詐欺取消前の第三者の保護と即時取得による第三者保護の比較
 典型論点なので,書き負けないよう注意。
※以前ここで法律構成と学説を勘違いして書いてましたので訂正しました。

【民法第2問】
小問1 原則Aは保護されないが,例外的にAが94条2項類推適用などによって保護されないかなど。
 Aの主観的事情によって場合分けして,悪意又は有過失で保護されないときはCは,Aにさらに何かCに主張できないか。
 まず,Bの不法行為に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権の主張ができるかを論じ,それができないとして,さらに場合分けして,善意有過失の場合は,善意占有者として必要費・有益費償還請求と留置権,悪意の場合は,有益費償還請求と留置権について述べるのかな。
小問2(1) 他人物賃貸借における所有者が追認拒絶をした後に,他人物賃貸人が所有者を単独相続した場合における賃借人は信義則上追認拒絶を否定できないか。117条の無権代理人の責任の類推適用で履行請求できないか(94条2項類推は書いちゃダメ)。
小問2(2) Bに対する不法行為責任,債務不履行責任,他人物賃貸借についての担保責任(559条,561条)の追求。それらの請求権を被担保債権とした留置権主張の可否。敷金返還請求と留置権の主張。賃貸人が有責な場合でも敷金返還請求は明渡しと先履行関係に立つのか。その他。

【商法第1問】
旧法の知識でいける感じでしょうか。新会社法まだ勉強してないので自信はないけど,おそらく旧法の通常の株式会社と同じ処理になるのではないでしょうか。それで淡々と書いて行くという感じでしょうか。
小問1
・Aに対しては,362条4項違反,善管注意義務・忠実義務違反等を理由に株主代表訴訟により会社に対する損害賠償責任追及(423条),第三者に対する損害賠償責任(429条)と不法行為に基づく損害賠償責任の直接追求。
・B,Cに対しては,取締役の取締役監督任務の懈怠があったか。株主に対する報告義務(357条。358条の株主検査役選任権行使,360条の株主の取締役の行為差止権行使等の株主の取締役監督権行使の機会提供義務を前提として)等の不行使の善管注意義務・忠実義務違反があったか。あったとしたら,Aと同じ責任追及。ただ,B・CはAの従業員で弱い立場だったら事実上断れないときもありますよね。保証を断れなかった場合近いものあるが,実質無限責任を負わされるので少し配慮できないでしょうかね。まあここまで論ずる必要はないかも。
・Eに対しては,Eに監査役の監査職務懈怠責任があれば,Aと同じ責任が生じるでしょうか。
小問2
 Dについては,Aに対する解任請求(339条)や,株主の取締役の行為差止権行使(360条)。 Eについては,監査役の取締役の行為差止権行使(385条)かな?

【商法第2問】
見せ手形,振出の無権代理無効,白地手形,裏書連続などでしょうか。とにかく処理と書く順番等書き方がややこしそうですね。

【刑法第1問】
間接正犯と共同正犯と共犯者間の錯誤の処理問題。Aへの働きかけは,過失犯Aを道具にした間接正犯の実行行為。甲には殺人既遂の間接正犯が成立することには問題がない。乙は甲とAへの働きかけを共同した共同正犯。しかし,乙は,殺意がないので,傷害致死にしかならない。共犯者間の罪名異なるので,行為共同説・犯罪共同説などについて論じなければない。といった感じでしょうか。
ただ,乙が傷害の故意しか持たなかったのは,甲の乙に対する働きかけがあったからで,甲は乙という故意犯を道具とした間接正犯が成立するのか気になります。
間接正犯が成立すると,乙に対する甲の行為の帰責はどうなるか,乙に共同正犯を成立させないと一部行為全部責任を問えなくなり処理が難しくなりそう。一応乙を道具とする間接正犯も軽く論じて乙の道具性を否定してから,共同正犯を論じるべきでしょうかね。よくわかりません。

【刑法第2問】
甲については,不正カード所持,同行使,有印私文書偽造,同行使,詐欺未遂。
乙については,業務上横領,偽造私文書行使&一項詐欺。たんたんと処理するのでしょうか。

【民訴第1問】
当事者・法定代理人・請求の趣旨・原因の定義と趣旨(訴訟要件と訴訟物の設定?)。裁判長の訴状の補正命令・却下命令,裁判所が訴状却下決定できるか,訴え却下判決との違いなどかな?よくわかりません・・・

【民訴第2問】
小問1は,(1)は請求原因の自白と抗弁(障害),(2)は自白の撤回と理由付否認,自白の撤回の可否。
小問2は,当該主張の信義則による制限と,前訴の理由付否認を後訴の自白と信義則上捉えることができるか,また,XがZではなくYから債務名義がほしい場合にどうするか任意的当事者変更でき,できるとして後訴での理由付否認を再訴の自白とできるか,また,XがY・Zどっちでもいいときは追加的任意的当事者変更を認めた場合に,両理由付否認&自白をどう扱うかでしょうかね。とてもややこしい処理ですね。さらに上のことをどこまで書くかが判断難しいです。膨らませすぎ感が少しあります。

【刑訴第1問】
法111条1項の必要な処分の範囲。出てきたものが差し押さえるべき物の以外の物で粉末が覚せい剤であることをどう調べるか。無令状で強制的に調べたとしてその可否。違法な場合の現行犯逮捕の可否が問題になるのかでしょうか。どこまで膨らませるか悩みますが,ある程度膨らませないと書くことなくなりそうですね。

【刑訴第2問】
伝聞証拠の定義,伝聞法則の趣旨。不同意の場合は原則証拠能力なし。現場指示と現場供述の違い(近年の最高裁判例の基準)。前者なら321条3項で証拠能力が認められる。後者なら,Aの署名押印があるかどうか,Aの署名押印があれば,321条1項3号の要件について書くのでしょうが,現場供述かどうかが難しいですね。

とりあえずこんな感じでしょうか。

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平成18年度旧司法試験択一試験発表

2006年06月08日 | ①司法試験について
本日6月8日午後4時に今年の旧司法試験の択一試験の発表がありました。→法務省HP内発表(平成18年度旧司法試験第二次試験短答式試験の結果*短答式正解等*年度別旧司法試験第二次試験出願者数及び短答式試験合格者数調*

合格者3820人(昨年度7637人,約50%減)で,出願者35713人,実際の受験者数30240人という,実際の受験者数から見ると競争率約10.70%の超難関でした。
合格点も46点と問題の難易度からすれば非常に高いものでした。
合格点も私の予想を上回っており,また,合格者数も私の予想より1000人ばかり少なかったようです。
残念ながら不合格だった人の落ち込みは,半端なものではないと思いますが,なるべく早く立ち直って,早く次の道(来年の旧試験なり,今年の法科大学院受験なり,その他の道なり)に向かって歩き出しましょう。
きつい言い方ですが,時代は待ってくれませんので,落ち込んでいる時間はありませんよ(法科大学院受験の人は特に。大学入試センターの法科大学院適性試験は6月25日(日)です。)。

平均年齢は30.43歳で(昨年度30.00歳),合格者最高年齢はなんと76歳でした。
H13年は65歳,H14年は63歳,H15年は63歳,H16年は68歳,H17年は69歳で,近年の合格者最高年齢を大きく上回りました。
それにしても76歳で,H11年,H14年並の難しさだったと言われる今年の択一問題を,3時間半でしかも46点以上の高得点を取るなんて,はっきり言ってすごすぎます(このすごさは択一を受けたことがある人しかわからないでしょうね)。

今年の論文試験の合格者は500~600人といわれています。択一合格者3820人から見れば合格率は13%から15%です。今年受かった人も,大変だとは思いますが,悔いの残らないよう最善を尽くして下さい。
特に,76歳の択一合格者の方には,合格すれば高齢化社会の希望の光となるに違いないので,是非論文試験もこの勢いで合格していただきたいものです。

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旧司法試験の論文の書き方について

2006年05月20日 | ①司法試験について
論文の勉強には過去問の研究が不可欠であるということで,少しでも皆さんの役に立てればとの思いから,私は本ブログに自分の合格したときの論文を載せています。H16再現答案*
今年の論文試験でも全体的に私と同じレベルの答案を12通そろえることができれば,おそらく合格できるのではないでしょうか(よく読まれた方はわかると思いますが,それほどレベルが高いものではありません)。

そこで,各答案につきリクエスト等があれば,自分の主観的な出来やなぜこういう答案を書いたかや答案を書いているときの思考(どこを攻め,どこを守ったか等)などを公開したいと思っています。

また,実は平成15年のB評価で落ちた答案も再現していたので,リクエストあればそれについても公開しようかなと思います。

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平成18年旧司法試験択一試験解答速報

2006年05月17日 | ①司法試験について
早稲田セミナー解答速報*(第2版・5月15日午後1時現在)
 ※No.54の正解番号を当初の発表から変更していました。

伊藤塾解答速報*(2006年5月15日 13:00現在)

LEC解答速報*
 →正解一覧表*(2006年5月15日15:00現在)
  ※54問の正解を当初の発表から変更。

辰巳解答速報*(5月16日9時現在,pdfファイル)

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平成18年旧司法試験択一試験

2006年05月14日 | ①司法試験について
今日5月14日日曜日,旧司法試験の択一試験がありました。

解答速報は,早稲田セミナーが一番早く出したようです。
早稲田セミナー平成18年度司法試験 択一本試験解答速報(第1版・5月14日19:30現在)*
合格推定点は,受験者数の大幅減と最終合格者数が発表されていない関係から,現在,鋭意調査中とのことですが,仮に合格推定点が出ても,例年よりはかなり本当の合格点の誤差は大きくなることでしょう。

今年,旧試験と法科大学院受験の併願を考えている人の多くは,平成18年6月8日(木)午後4時の択一試験の合格発表までどっちつかずの勉強になるかもれませんね。
ちなみに,大学入試センターの法科大学院適性試験は、平成18年6月25日(日)に,旧司法試験の論文試験は,平成18年7月16日(日),17日(月)に行われます。
また,今年旧試験にかけている人は,少々点数が悪くても,合格発表まで何が起こるかわかならいので,あきらめず論文の勉強頑張って下さい(論文合格者のレベル維持のため択一の競争率は前年と変えないこともありえますからね。あくまで推測ですが,新司法試験の受験者は2125人しかいないので,旧試験の論文試験終了までには新試験の採点が終わっている可能性は大です。司法試験考査委員の数が去年と変わっていないなら旧試験の択一合格者があまり減らない見込みも高いかもしれませんね)。

あと,来週の金曜日5月19日から5月23日火曜日まで,いよいよ新司法試験が始まります。
択一試験・論文試験両方ある5日間の長丁場(間の日曜日はお休み)で大変でしょうが,受験される方には,悔いの残らないよう全力で頑張ってきてほしいです。

LECも解答速報だしたようです。ネットではアンケートに答えなければならないようですが,今年や来年以降のデータになるので,自己採点しない人もアンケートだけは答えたみてはどうでしょう。LEC司法試験サイト*

辰巳もアンケートやってます。解答速報をメールでくれるサービスもあるそうです。辰巳司法試験サイト*

さらに,伊藤塾は,択一試験を受験された方へ*というのを出しています。伊藤塾長の手紙やアンケート等が載っています。

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平成18年度の司法試験の出願状況について

2006年05月03日 | ①司法試験について
法務省の発表を見つめましたので掲載しておきます。
ちなみに,法務省も,従来の司法試験のことを「旧司法試験」,法科大学院卒業者が受ける新しい司法試験のことを「新司法試験」と呼んでいるようです。
公式に私が受けていた司法試験は「旧司法試験」と呼ばれることになっているようで,なんだか少し少し哀しいです。

まず,旧司法試験の出願者数ですが(法務省のHP内発表*参照),
3万5782人(昨年比1万0103人減)

次に,新司法試験の受験予定者は(法務省のHP内発表*参照),
2125人(出願者2137人)
なお,選択科目別受験予定者は,
倒産法465人
租税法111人
経済法212人
知的財産法356人
労働法692人
環境法106人
国際関係法(公法系) 48人
国際関係法(私法系) 135人 です。

旧司法試験は去年合格者が約1500人でしたが,今年は,500人~600人しか合格しないということで,1万人とは言わずもっと減ると思っていたのですが,法科大学院の入学者が1万人もいない以上,そんなに受ける人が減るわけないのでしょうね。
このまま旧司法試験が先細りで合格者を減らしていくと,司法試験浪人ならぬ「法科大学院浪人」が増えていくだけなのではないかと思わず危惧してしまいます。
まあ,法科大学院に金がかかり(といっても司法試験予備校に長年支払う授業料も幾分か減るでしょうが),司法修習の給与がなくなり,司法試験全体の志望者自体が減る可能性もあるのでなんともいえないようにも思えますが・・・・。

ともかく,今年の旧司法試験は,競争率約60倍(対出願者合格率約1.68%)と少なくとも平成以後でもっとも競争率が高い試験になってしまいました(法務省HPの表*参照)。
いくら新しい受験生が法科大学院に行き,近年の実力者がここ4年で約5400人抜けたといっても,非常に厳しい試験であることは間違いないでしょう。

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平成17年司法試験最終合格発表がありました

2005年11月13日 | ①司法試験について
先日(11月9日),今年の司法試験の最終合格発表がありました。
http://www.moj.go.jp/PRESS/051109-1/17-4soku.html*
合格された方本当におめでとうございます。

知人も何人か受かってて少し安心したりしました。
でも,私と親しい人は,落ちてる人が多かったので,とても残念でした。
なんと声かけていいかわからないし,前に言ってたことと矛盾しますが,法科大学院に方向転換しろとは正直少し言いにくいですね。
でも彼らには早く立ち直って,冷静に自分にとってベストな道を選んでほしいです。
相談あれば,何でものるのですが,こちらからはいいにくい・・・。
少し複雑です。

法科大学院に対しては,未だ法曹業界で賛否いろいろ意見があるようですが,当事者である受験生にとってははっきり言って受かれば新旧どっちも同じですよね。
法科大学院に対する疑問を持っている人も,必ずしも法科大学院に対して正確な情報をもって言っている人ばかりではないようです。
学生の方々の勉強,教員の方々の指導の努力もさることながら(既に死ぬ程の努力をされている方はとても多いと思います),法科大学院は,国民や将来採用する側になる法曹業界等に対して,情報提供(法科大学院生のレベルや勉強の達成度など)をもっともっと積極的にやるべきだと思います。
法科大学院の関係者はただでさえ大変だと思いますが,今の状況だと知りたい人から動かないと現状があまり見えてきません。
でも,その説明をしっかりしてこそ,国民や関係者の理解や協力を得られ,将来の法曹の質の向上があるのではないでしょうか。

適当な思いつきの意見ばかりですが,将来同じ業界となるものとしては,他人事ではないので,これからしっかり見すえていきたいと思います。

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平成17年度司法試験 論文試験発表

2005年10月08日 | ①司法試験について
昨日,司法試験の天王山の論文試験の発表がありました。
http://www.moj.go.jp/PRESS/051007-1/17ron-sokuhou.html*

合格された方,おめでとうございます。口述試験頑張ってくださいね。
口述試験は,落とす試験ではないので,最低限基本(条文,判例,定義,趣旨,要件,効果等)と口述プロパーを勉強して,あとはできるだけ楽しんで受けてみてください。
(といっても,普通の人はどうしても緊張してしまうでしょうね)
ただ,司法試験は,法曹実務になるための就職試験なので,最低限の常識とマナーだけは押さえている方がいいと思います。

来年からは,従来の司法試験の合格者は,500人~600人と減り,少数派になってします。
今年残念ながら落ちられた方は,来年はロースクールと併願する方が無難かと思います。
ロースクールもいい成績で受かれば,学費免除や奨学金が受けられるところもあると聞きます。
来年論文受かるよりは簡単な気がします(根拠がない無責任な意見ですが)。
先細りの現行司法試験を受かるかどうかわからないまま数年受け続けるよりかは,2年ロースクール行って,1,2回で新司法試験に合格する方が,「急がば回れ」で安全で安心のような気がします。
学費さえ浮けば,生活費がかかるのは,どっちを選んでも同じですからね。
ただ,働きながら受けていた人には・・・・さらに厳しい選択が待っていますね。
当事者にとっては,人生最大の選択を強いられるときかと思いますが,もう来年の司法試験は始まってます。
じっくり考えて選択しなければなりませんが,あまりゆっくり考えてばかりもいられません。
もちろん落ち込んでいる暇も何日もないと思います。
去年合格した私にとっては,今となっては他人事ですが,当事者でない分,冷静で厳しい意見が言えているのではないかと思います。
とにかく合格された方も,不合格になった方にも頑張ってほしいと思います。

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