弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

平成18年の司法修習生考試(二回試験)の合格発表

2006年09月29日 | ④司法修習について
平成18年9月28日午後5時15分,第59期司法修習生の二回試験の合格発表がありました。

私は,たくさんの人に支えられ,なんとか二回試験合格しました。
応援して下さった皆様,本当にありがとうございました。

晴れて10月3日から弁護士になれます。

応援して下さった皆様のためにも,今後もいい弁護士になるべく精進を続ける所存です。

今年の二回試験は,合格留保者(追試あり)97人,不合格者(追試なし。編入試験の後60期の後期修習に合流)10名,合計107人が落ちました。
今までの最高記録は2年前の57期ですが(合格留保者43人,不合格者3名),その2倍以上の大差をつけ,前代未聞の人数です。

今日の夕方に発表がありましたが,今実務修習をしている旧60期の修習生,これから修習に入る新60期の修習生の方々は,その情報を知り,戦慄をおぼえられたに違いありません。
これ以上の二回試験落ちを出さないよう,是非とも勉学に励み,必要以上に精神的に追い込まれないよう勉強とプライベートをバランスよくこなして頂きたいものです。
落ちないための極意は(私の主観),どういう起案がよくて,どういう起案がダメかを十分理解すべく,仲間同士の情報交換を密に取り,後期起案でいろいろな失敗をし,あと,勉強以外のところで仲間とほどよく息抜きをすることだと思います。あと,落ちる人が増えたと言っても,落ちる方が少ない試験なので,人と違う奇抜なことを書かず,みんなが書きそうなことを書くことでしょうか。どちらにしろ,仲間との情報交換は不可欠でしょう。

60期以降の方は,決して今回の結果を悲観ばかりせず,頑張って頂きたいものです。

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司法研修所の寮について

2006年09月27日 | ④司法修習について
司法研修所には,司法修習生用のいずみ寮と裁判官・司法研修所教官用のひかり寮の2つの寮があります。

いずみ寮は,A棟とB棟に分かれます。
A棟は,1階39部屋,2階から7階まで各72部屋の個室があり,B棟は,1階13部屋,2階から7階まで各24部屋の個室があります。合計すると最大624人の修習生を収容できます(但し,数室の障害者用の個室があるので,全室埋まっている訳ではありません。)。
各個室は,6畳一間で,ユニットバス,エアコン,小型の冷蔵庫,電気スタンド,本棚,机,いす,クローゼット,電話(内線,外線兼用),ベッド,枕,マットレス,掛け布団,毛布,風呂用の足ふきマット(タオル地)が備え付けてあり,半畳程度の広さのベランダがあります。テレビアンテナの差込口はありますが,テレビはなく,台所もありません。
また,個室以外には,給湯室,ランドリー,リネン室,談話室,セミナー室,資料室,
リネン室は,各階にあり,枕カバー,布団カバーが置いてあり,これらは使い放題です。
給湯室も各階にあり,給湯器,冷蔵庫,電子レンジ,オーブントースターがありますが,ガスレンジなどはなく,寮で本格的な料理をすることはほぼ不可能です。
ランドリーも各階にあり,洗濯機,乾燥機,アイロン,アイロン台,掃除機が置いてあります。
談話室は,A棟には各フロアに,B棟には,半分くらいのフロアにあり,寮で飲み会などをするときなどに使ったりします。使用は午後11時まで。
資料室は,いわゆる小型の図書室で,A棟・B棟に各1室ずつあります。法律関係の本や雑誌がそこそこ置いてあります。24時間使用可。本の閲覧だけでなく,本を借りることもできます。私は判例・学説などの調べ物に結構使っていました。
セミナー室は,自習やセミナー等をする部屋で,A棟,B棟に点在しています。使用は午後11時まで。
A棟もB棟も,1階にロビーがあり,ソファー・新聞・雑誌・テレビ等が置いてあります。
コピー機,自動販売機(パン,つまみ,カップラーメン,ジュース,アルコール,たばこ)もあります。
あと,売店とクリーニング屋もあります。本屋・食堂は寮にはなく,司法研修所内の図書館のある棟にあります。
我々59期の後期修習中の8月からロビーとセミナー室と資料室に,インターネットのホットスポット(NTTコミュニケーションズ)があり,無線LANサービスが受けれるようになりました。
自転車が2,30台あり,寮生は自由に使えますが,平日の夕方,休日の朝にすぐなくなり,なかなか思うように使えません。
寮の出入口はオートロック式で,通退所時間と研修の昼休憩以外は,出入りに暗証番号が必要です。研修のある時間(昼休み以外)は出入りが原則禁止ですが,忘れ物等したときは,研修所の許可があれば出入りすることができます。
家賃は1日500円です。
いずみ寮については大体こんな感じでしょうか。

ひかり寮は,個室の広さは,いずみ寮の1.5倍あるそうです。修習生は原則入ることはできません。

われわれのときは,修習生1500人が一度に司法研修所で修習していたので,寮に入れる人は,東京,埼玉在住の人のほぼすべてと千葉・横浜在住の人の多くが寮には入れず,2時間以上かけて通所する人も結構いて,少しかわいそうでした。

寮の入寮手続は期限に遅れると,絶対に受け付けてくれません。住宅補助は,自分の修習地以外の土地では出ないので,寮に入れないと,経済的にかなりきついことになります。
毎年,合格後修習開始前に入寮申込期間中に旅行に行ってしまっていて申込を出せなかったなど,うっかりしていて寮に入れないという人が結構います。
新しく修習生になられる方は十分気をつけ,期限は守るようにしましょう。

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新司法試験の合格発表と修習地選び

2006年09月22日 | ①司法試験について
昨日,9月21日新司法試験の合格発表がありました。法務省HP
合格された方,本当におめでとうございます。

今から司法修習の願書を出すことになりますが,私のときもそうでしたが,その際の修習地の選択について,情報がほとんどなく,とりあえずで修習地を選ぶことになり,後でとても後悔することにもなりかねませんので,参考程度に少し書きます。
書いていることが全く正しい訳ではなく,あくまで私の主観的に感じしていることなので,他の人の意見も聞きながら,本当に参考程度に読んで下さい。

まず,修習地には,東京・大阪などの大規模庁と,過疎地などの小規模庁,その他の中規模庁などがあります。

大規模庁については,大都市での就職に有利ですが,人が多すぎで,マンツーマンの指導体制が形成しにくく,個別修習によって実務感覚をつかむにはベストとはいえません。その代わり授業形式の修習などは充実しており,教科書的な事例など二回試験対策は少しは役に立つと思います。まあ,就職すると言っても,旧60期とかぶる以上,大都市には人が集中するので,あぶれる人がその分多くなるので,本当に就職に有利とは言えない可能性が高いです。また,修習生同士の付き合いも希薄になりがち。

中規模庁については,比較的都市が近かったり,交通の便がいいなど就職するのには少し便利で,ある程度実務修習での指導体制は確保できているかもしれませんが,新60期・旧60期と合計2500人もいるので,中規模といってもそこそこの都市であれば,大規模庁と同じことになると思われます。

小規模庁も,今までない人を受け入れるので,どこまで実務修習を実あるものとできるかは未知数ですが,少なくとも大規模庁よりはましだと思います。しかし,みなが就職したがる都市は遠く,就職活動には往復旅費等時間的・金銭的・労力的コストはかかります。遠くの就職活動は苦にならない人や過疎地で就職したい人などバイタリティー溢れる人,既に修習前に就職が決まっている人などには,マジでお薦めしたいです。修習生同士の付き合いは濃いものになる点においても充実しましすし(但し,嫌な人がいれば逃れにくいので,その場合少しストレスは溜まるかも),1年間だけの田舎暮らしもオツなものですし,絶対いい思い出ができます。

私なんかは,就職に便利と安易に大都市を選び,要件事実の勉強や模擬裁判や裁判修習(刑事・民事)はそれなりに充実しましたが,それ以外ではなかなか大きな事件に触れる機会はなく,修習生同士の付き合いの濃さなど少し物足りなさを感じました。
今から思えば,一生のうちそんなに縁がなくてご飯のおいしいところに行けばよかったなあと後悔してやみません。

新旧60期の人は,選べる修習地に制限がありますが,他にも先輩などからよくよく情報を集めて,後悔なきよう修習地を選んで下さい。

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今年の二回試験

2006年09月20日 | ④司法修習について
59期司法修習の二回試験について書きます。


具体的に問題や自分が書いた答案について書くと,答案内容が特定されるおそれがあり,特定答案(不正行為)扱いされるおそれが全くないとはいえないので,ここではまだ書かないことにします。

二回試験は,正式には,「司法修習生考試」という名称で,司法修習生考試委員会という司法研修所とは違う組織が主催する法曹資格試験です(厳密には司法修習の卒業試験ではない)。

採点者は,司法研修所の現教官(全員かどうかは不明)と元教官等その他外部の方々。

論文式筆記試験と口述試験に分かれています(来年からは口述試験なくなるらしい)。

試験会場は,司法研修所の各クラスの階段教室と中教室ですが,それぞれの人ごとに「着席番号」を振られており(受験番号は別にあります),必ずしも自分のクラスの教室で受けるわけではなく,同じクラスの人に囲まれて受けるわけでもありません。

合格発表は,9月28日の3限の授業終了後に各教室などで掲示されるそうです。
不合格者及び合格留保者の受験番号が掲示されるそうです。
ちなみに受験番号は,全クラス合わせたあいうえお順でふられているようです。

筆記試験は,まず,9月5日(火)の教養試験から始まりました。これは,1,2限の講義の後,午後3時20分に自分の受ける試験室へ集合して,試験時間は午後4時から6時まで2時間。

次の日から,水木金と刑事弁護,刑事裁判,検察,土日をはさんで,月火と民事裁判,民事弁護でした(他の年は順番は違うとの噂)。

集合時間は,5科目とも午前9時45分,試験時間は,午前10時20分から午後5時50分までの7時間30分。
後期のフル起案より,開始時間が20分遅く,終了時間は1時間遅く,40分長いことになります。

昼食は,午後12時から1時まで,自席で取ることになります。この間は厳密にいうと昼休憩らしいですが,記録を読んだり,答案作成してもいいことになってます。
弁当は,食堂で予約して毎朝取りに行くか,自分で外で買ってくるかで,食堂は使用できません。
昼休憩以外でもアメ等軽いお菓子や飲み物を試験中取ることは許されています。

司法試験とは違い,トイレには試験官はついてきませんが,試験会場内のいたるところに監視員が座って,見張っています。
試験時間中は,トイレやゴミ出しは自由にいけますが,階段,エレベーターの使用は禁止され,他のフロアに行くことできません。
また,喫煙をする人も,予め登録しておけば,喫煙所のあるフロアで試験を受けることができ,試験時間中自由に喫煙所に行き喫煙することができます。
もちろん喫煙所にも監視員はいます。

口述試験は,9月14日,15日,19日の3日間のうちの2日間です。14日,15日で終わった人は,事実上16日から21日の講義までお休みになります。
詳しいことは,来年からはなくなるという話を聞いたので書きません。


次に,二回試験前に流れる噂について書きます。

二回試験前には,色々な人が出題予想し,何が出るかについていろいろ噂が出回ります。

そして,実際に二回試験を受けてみて,噂について言えることは,概ね半々くらいの可能性で出るということでしょうか。
しかし,微妙に似て非なる問題も出ますので,噂に引きずられて,全く違うことを書かないよう十分注意しなければなりません。
実際,我々の二期前の57期のときも,民事裁判で,訴訟物を検討する際,「よって書きを信じるな」「賃貸借終了に基づく返還請求権が出る」という噂が流れ,それに引きずられて,「よって書き」を信じず賃貸借終了で書き,たくさんの人が落ちたと言われています。
「よって書き」とは,原告が訴状の請求原因の結論部分で,自分の請求する訴訟物を明らかにしたりするところです。
処分権主義がある以上,裁判所は原告の訴訟物設定に拘束されますので,訴訟物についての釈明や請求の変更等がない限り,原則訴訟物は「よって書き」のとおりになります。
そして,実際にはこのときは,所有権に基づく返還請求権が出題され,無理に構成すれば,賃貸借終了で書けないこともなかったそうです。
ただ,賃貸借終了と所有権では,攻撃防御の構造が全く違うので,採点者も点のつけようがなく,多くの人が落ちたようです。

今まで二回試験を落ちる人というのは,
①その問題についての出題者が意図する問題点以外のことを書いてしまい,問題点について書いていない又は時間不足で書けなかった人,
②途中答案の人(どの程度の途中答案で落ちるかは不明),
③検察で起訴状を書いていない人(これだけでは直ちに落ちないが,落ちる可能性は高くなる),
④刑弁で被告人の無罪主張に反し有罪で書いた人
⑤試験中パニックに陥り,意味不明のことを書いたり,今まで書いたことを全部消して書き直して時間不足になった人,などだそうです。
あと,
⑥民弁で原告と被告を間違った人も確実に落ちます(これはやったことある人がいるかは不明)。
噂を信じすぎると,上記のようなことをすることをしてしまう可能性が高くなります。

60期以降も二回試験直前になると色々な噂が飛び交うでしょうが,勉強で押さえる程度にして,試験自体は噂どおりか十分疑いながらか,真っ白な気持ちで受けるべきです。
これは司法試験の論文試験で,予想答練などの予想が的中したときも同じことが言えます。
問題文や記録をよく読んで,試験会場で噂や予想に引きずられないようにしないと人生棒に振ることになります。

あと,後期起案は,よく過去の二回試験の問題がそのまま出ることが多いです。
二回試験は絶対大丈夫で,後期起案にいい点を取りたいひとは,予め過去問を検討した方がいいと思いますが,二回試験が少しでも不安な人は,過去問検討はしないほうがいいと思います。
予め何を書けばいいかわかっていると,そのときの起案では大筋で間違うことはなく,比較的いい点が取れますが,問題点や争点を発見する能力は伸びませんで,本番で変なことを書いてしまうおそれがあります。

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久々の更新~二回試験が終わりました。

2006年09月19日 | ⑫雑談
長かった二回試験がやっと終了しました。
長い間更新せず,どうもすみませんでした。

今日以降またちょっとずつではありますが,これはと思うことがあれば更新していきたいと思います(二回試験落ちたらみっともないのでブログ閉鎖するかも)。
また,コメント・トラックバックも制限を撤廃しました。
なにかあれば,遠慮なくコメント等下さい。

二回試験中来訪した方が10000人をはるかに突破していて,12000人を超えているなんて。
本当にありがたいことです。
これからもよろしくお願いたします。<(_ _)>

二回試験の合格発表(不合格者・合格留保者のみ掲示)は,9月28日です。
無事受かってたら,10月3日からようやく小さいころの夢だった弁護士になれます。
そして,本ブログのタイトルも「の卵」が取れ,「弁護士NOBIのぶろぐ」にすることができます。
想像しただけで,うれしい。ホンマメチャうれしいです。
ただ,本当にはしゃぐのは二回試験の発表を見てからにします。

前にコメント頂いた方,ずっとご返事してなくて本当にすみませんでした。
もう見られることはないかもしれませんが,一応後でレスコメントを入れます。

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