弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

アイフルの業務停止のニュースを見て

2006年04月19日 | ⑤法律問題について
少し古くなったニュースですが,先週末に金融庁*が消費者金融大手アイフル*に対し,強引な取り立てなどの法令違反が相次いだとして,全約1700店を対象に、3日から25日間(店舗により異なる)の業務停止命令を出したそうです。アイフルは5月8日から業務を停止するそうです。新聞記事*はこちら。
具体的には,職場や家族に繰り返し電話するなどの強引な取り立てや、契約者から無断で委任状を取るなどの法令違反をしていたようです。

上記の事実関係を前提としてみるに,今回のアイフルに対する業務停止は,貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)*36条1号,同法21条1項2号(正当な理由ない職場等への連絡の禁止),同項5号(債務者以外の者への返済要求の禁止)に基づくものでしょう。21条1項の解釈については,金融庁の事務ガイドラインの第三分冊金融会社関係の3金融業関係*の3-2-6(取立て行為の規制)が参考になると思います。

一般にサラ金(最近は消費者金融を言っているようですが)等を規制する法律には,利息制限法*出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)*貸金業規制法*,同法の施行令*施行規則*や,上記金融監督庁のガイドライン*等があります。

利息制限法によって,民事上金利が年15%~20%とされ,出資法によって,金融業者が年29.2%を超える金利を取ると刑事罰を科されることになります。
ほとんどのサラ金がとっている利息は,この利息制限法により民事上違法になるが,年29.2%以下の刑事上は違法とならないいわゆる「グレーゾーン」の利率です。
もっとも,貸金業規制法43条のいわゆる「みなし弁済」の要件を具備すれば,民事上もグレーゾーンの利息が有効となってしまいます。
ただ,この「みなし弁済」になる要件ついては近時新しい最高裁判例(平成18年01月13日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件*)が出て,とても厳しくなり,これをクリアーすることは事実上ほとんど不可能に近いものとなりました。
サラ金の取立行為の規制については,>,前述した貸金業規制法*21条1項や金融庁事務ガイドライン*の3-2-6を参考にして下さい。
威圧的な取立,債務者が困惑する方法による取立(職場への連絡して取り立てること,午後九時から午前八時までの取立,自宅のドア等に張り紙や落書きをしたりすること等),弁護士や司法書士の受任通知後の取立等が禁止されています。

この前の日曜日の関口宏さんが司会をされているTBSのサンデーモーニング*を見ていると,このニュースについて報道していました。
この報道は少し言葉足らずな点が少し気になりましたが,なかなか思い切ったことを言っており,とても感心しました。
まず,サラ金はテレビ局にとってお得意さんであるにもかかわらず,サラ金のグレーゾーン金利を取ることについて「処罰されなければ何をやってもいいのか」みたいな批判をしていたこと,サラ金の高金利・厳しい取立により自己破産する人が増えて社会問題になっていることなど,サラ金に対して痛烈な批判をしていました。
また,利息制限法の15%~20%の金利が高いと言っていたのも,なかなか思い切った発言だったのではないでしょうか。確かに,この超低金利時代において(今後はわかりませんが),15%~20%の利息は高すぎるようにも思えますからね。
マスコミが極端にならない程度にスポンサーや政府やその他の有力者・団体を恐れず思い切った発言をするのはよいことではないでしょうか。スポンサーや政府やその他の有力者・団体も暖かくそれを見守ってもらいたいものです。

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