弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

民事の尋問

2011年10月09日 | ⑤法律問題について
先日,午後いっぱいを使って,民事事件の尋問をやりました。

民事事件の尋問はよく法廷ドラマで出てくるシーンで(白い巨塔など),民事訴訟の山場であり,弁護士の腕の見せ所の一つです。

その日のは,他の事務所の先生2人と共同でやっている先物まがい取引の事件の依頼者本人と相手方営業担当者本人の尋問でした。

私は,営業担当者本人の反対尋問(敵の弁護士がやる尋問)の担当でした。

民事の尋問は,主尋問(味方の弁護士の尋問)⇒反対尋問⇒再主尋問⇒(再反対尋問,再々主尋問・・・)⇒補充尋問(裁判官がやる尋問)という順番で行われます。

私のその日の仕事は,うまく突っ込んで,相手の矛盾点や不合理な点をあぶり出し,相手の嘘を明確にしたり,相手からこちらに有利な事実を言わせることです。

普通の民事事件では,尋問以外の書証で,尋問の前にほとんど訴訟の結果が決まっていると言われていますが(たまに事実が書証だけでは明らかでなく,勝敗が微妙な事件があります),投資被害関係の訴訟では,過失相殺(交通事故でよく出てくる過失割合のこと)がメイン争点の一つとなることが多く,相手業者の勧誘の悪質性,顧客の判断能力や落ち度などにより,損害賠償額が大きく左右しますので,とても重要です。


今日の営業担当者は,嘘の下手な人だったので,比較的反対尋問は楽でした。

それより,普通営業担当者だった知っておくべきである契約書記載​内容の知識を全く知らず(取引の仕組みの根幹部分),あまりにびっくりしすぎて,とっさに突っ込んだ説明ができませんでした(笑)
気持ちをすぐに切り替えて,どうせ他の先生が補充の反対尋問をするだろうから,その最中に整理して,後でがつんと聞いてやろうと​思い直し,後回しにしました。
予想どおり,もう一人の先生が補充の尋問をしてくれ,その間に,戦闘態勢を整え,突っ込んだら,やはりトンチンカンなことを言って,最後には「わかりません」とまで言ってくれました。
(どうやって契約書の説明をしたのだろうか。というか説明していないんだよね。)

反対尋問の時間を多めに取っておいてよかったです(時間があまり取れない事件や,時間をくれない裁判官だとしんどいんですよね~)。

しかし,依頼者はそういう玄人的な機転は当然ほめてくれず,自分の反対尋問のとき,僕が異議を出したのが一番うれしかったようです。
(あまりその担当者自身には恨みはなかったようだったので,相手を追い詰めていること自体には特に特別の感情を持たなかったようです。それより,自分が相手の弁護士に責められているのを助けてもらったという感覚があったようです。特にタイミングが良かったと言われました。)

一緒にやっている先生には,僕が一瞬動揺していたことを見抜かれ,笑われちゃいました(笑)

今一番反対尋問が楽しい時期ですね(しかし,もっとゆっくり準備の時間が取れたら最高なんですが・・・)



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