性と愛の極地?
羽根と血
公園に飛び来る鳥
近づけば飛び立つ
はなれれば羽根をやすめて
何かを探す
あんたの羽根はきれいな羽根
車にひかれて羽根はちぎれて
飛び散る血は
あたしの足にかかる
白いくつ下が汚れる
はだしで歩いて行こう
あんたの羽根を背中につけて
飛び立つことはできないけれど
by レンゲ
『極私的詩集 (その2)』より
デンマンさん、これって、あたしが書いた詩ですよね。
そうですよ。レンゲさんの詩は、なかなか読み応えがありますよ。
そう言ってくださるのはうれしいのですけれど。。。
なんですか。。。?奥歯に物が挟(はさ)まったような言い方ですねぇ。。。あまり嬉しそうでもなさそうですね。どうしてですか?
デンマンさんは必ずあたしが気になることを言うでしょう?今度も必ず何かあたしが落ち込むようなことを言いますわ。。。きっと。。。
僕は何度も言いますが、レンゲさんは僕の心の恋人なんですよ。僕はレンゲさんのことを愛しているんですよ。
でも。。。でも。。。
なんですか?
日本人の男の人って、そうやって面と向かって“愛しています”なんて言いませんわ。
だから、僕は言ったでしょう。。。僕は日本人に生まれたけれど、一度日本人の自分を解体して、改めて国際人としてのデンマンを構築したと。。。
ええ、聞きましたわ。でも、国際人であろうが、火星人であろうが、あたしに面と向かって“愛しています”なんて言った人、これまでに一人も居ませんわ。
僕がレンゲさんに向かって“愛しています”と言うのはいけませんか?
いけないことはありませんけれど。。。でも。。。こういう時に言われても。。。
レンゲさんが言おうとしていることは分かりますよ。。。もしね、レンゲさんでなくジューンさんなら、僕はここでジューンさんを抱きしめてキスしますからね。。。そうしながら、愛しているよ。。。と、甘くささやきますからね。うへへへへ。。。
その笑いは余計ですけれど、あたしに対しては、そうなさらないのですか?
この話を続けると、レンゲさんは必ず人種差別と言い出しますからね。。。、僕は、もうこれ以上言いませんが、とにかくね、これまで僕が書いた記事を読んでもらえば分かりますが、僕は一度でも悪意からレンゲさんを落ち込ませようとしたり、心を傷つけようとしたり。。。そのようなことは一度としてした事はありませんよ。
分かりますけれど。。。あたしが気になることをデンマンさんはズケズケと言いますわ。
愛なき批判は空虚にして、
批判なき愛は盲目なり
何ですの? またこんな標語を持ち出してきて?
僕はこの標語を座右の銘にしているんですよ。レンゲさんにも意味は充分に分かりますよね。
ええ、分かりますわ。
だったら、僕は説明する必要はありませんよね。
デンマンさんの言おうとしていることは分かりますわ、でも、あたしは、いつでもナイフを心にグサリと突き刺されているような痛みを感じるのです。
“良薬口に苦し”とも言いますよね。レンゲさんは、歯の浮くような甘い言葉をかけられて、チヤホヤされるのが好きなんですか?
そうではありませんわ。
でも、レンゲさんは僕に批判めいたことを言われるのがイヤなんでしょう?
デンマンさんは、あたしに厳しすぎますわ。
“厳しさ”と“愛”とは表裏一体なんですよ。愛には必ず厳しさがなければならないんですよ。その事は定さんも予審調書の中で次のように言っていますよ。
「お前は淫売をしても人の亭主を取っても俺は驚かない。初めから良い事をしている女ではないと思っていたが何とか救ってやりたい、ぜひ真面目になれ。俺は名前こそ話さないがお前の将来は必ず引受けてやる」
そう言って、夜通し意見してくれました。
初め先生に対する気持は一時の浮気程度でしたが、非常な潔癖性で寝間での女の扱いもうまくはなく、面白くなかったので私は頼りなく思って居たのです。でも、今度もわざわざ私を尋ねて来てくれたのだし、万事親切で私と会うと誠心誠意私を良くしようと意見してくれるので、この時シミジミ有難く思いました。先生の気持ちに動かされて将来は真面目になって先生に頼ろうと決心し、翌日沼津まで送り涙で別れました。
。。。
昭和10年11月下旬から今年1月10日頃まで草津に行っておりました。
草津に一度先生が来ましたが、私が煙草を吸わなくなったのを知って驚いておりました。
先生は一晩泊りましたが布団2つ敷き、私が寄っても今日は疲れて居ると言い関係しませんでした。
その時、私に夫婦や女の道を話して聞かせてくれました。
「夫婦は生活本意で、色事は夫婦の交りのためとは言え第二の問題である。
男女間でも色事は第二でなければならない。
心と心と触れ合って居ればそれで満足しなければならない。
俺はお前を見ればそれで安心するのだ。
お前は手を握っても直ぐ眼の色を変えるほど色情が強過ぎる。
男女一緒に寝ても自制出来るぐらい修養しなければならない。
俺は関係しないと思えば絶対関係しない」
私は実につまらないと思いましたが、意志の強い立派な人だとも思いました。
『自伝・阿部定の生涯 その2』より
定さんは大宮先生に愛されていると思っていますよ。だからこそ “つまらないと思いましたが、意志の強い立派な人だ”と思ったんですよね。
デンマンさんは、何がおっしゃりたいのですか?
つまりね、石田吉蔵さんに、もし10分の1でもいいから大宮先生のような厳しさがあったら、あの事件はなかったと僕は言いたいんですよ。つまり、次の標語で言っていることですよ。
愛なき批判は空虚にして、
批判なき愛は盲目なり
この標語で言っている事とは。。。?
だから、定さんと吉蔵さんの愛は“盲目の愛”だったんですよ。大宮先生が定さんに言ったような“愛の厳しさ”がない限り愛は盲目になってしまう。そして行き着くところは愛の破綻、それから死ですよ。大宮先生は分かっていた。分かっていたからこそ定さんとの愛にのめり込んでいかなかった。
つまり、あたしと洋ちゃんの愛は盲目の愛だと言うのでしょう?
僕は断定しているわけではありませんよ。
でも、それがデンマンさんのおっしゃりたいことですわ。上のあたしの詩もその事が言いたくて持ち出したのですわ。
やっぱり分かりますか?
デンマンさんとのお付き合いも長くなりましたから。。。
それもそうですよね。レンゲさんと清水君は毎日、ベッドの中で愛し合っているけれど、僕とレンゲさんは心で強く結ばれていますからね。うへへへへ。。。
そうやって、からかわないでくださいな。んも~~
実は、上の詩については僕はすでに次のように書いていたんですよ。
僕はこの詩の中にも
『不倫の悦びと苦悩』の影を見る様な気がします。
つまり,「羽根」というのは「不倫」によって得られた「愛」なのです。
この「羽根」は背中につけても飛ぶことが出来ないんですよ。
こういうことは、人間、「不倫」に足を踏み込まなくても分かるものなんですね。
レンゲさんも、そのように書いています。
しかし、人間というのは、やはり不完全なんですね。
僕も、そしてレンゲさんも。。。
人間は、往々にして、
一歩を踏み出してはならないと分かってはいても、
つい踏み出してしまうことがよくある。。。。
若いということはそういうことですよね。。。。
レンゲさんは、「まだ若いです」とプロフィールで書いていましたよ。。。
でも、これは取り返しのつく若さです。。。
by デンマン
『愛は大海の如く、心はすみれの花のように』より
でも、あたしは洋ちゃんと不倫しているわけではありませんわ。
分かっていますよ。分かっています。。。でもね、今度の愛の「羽根」を背中につけても飛ぶことはできませんよ。
どうしてですか?
盲目の愛だからですよ。定さんと吉蔵さんの愛とあまり変わりがありませんよ。
走行中、愛し合う事は危険です
【ベルリン 2003日7月5日 AP通信】
ドイツの高速道路で時速100キロで走行中に金髪女性とセックスした男(23)が道路標識に突っ込んだ揚げ句、現場から逃げたため、裁判所に当て逃げの罪で、罰金刑を言い渡された。
コトに没頭した前方不注意が原因とみられるが、「高速道路のセックスを取り締まる法律はない」との理由で、行為そのものの罪は問われなかった。
ドイツ西部の都市ケルンの裁判所は、この「交通事故」に対する判決を下した。
事故現場から逃亡した事実を認めた男(23)に対し、600ユーロ(約8万4000円)の罰金刑を言い渡したのだが、事故の“原因”は「高速道路を走行中に運転席でHしたため」だった。
地元警察などによると男は事故前、ヒッチハイクの金髪女性を乗せた。
2人はすぐに意気投合したため、時速100キロで高速道路を走行していたにもかかわらず、助手席にいた女性が男の上にまたがる形でコトを始めてしまったというのだ。
だが、男は行為に没頭したせいか、車が道路標識に衝突。幸い大事には至らなかったが、標識などが大破したため、男は「警察に捕まる」と考え、現場から逃走した。全裸だった女性も衣服を車内に残したまま、男と別れて現場から姿をくらました。
あたしと洋ちゃんも、いつかこのような事故を起こすと言うのですか?
そうですよ。今まで事故が起こらなかったことが不思議なほどですよ。レンゲさん、。。。車の中で清水君が運転している最中に愛し合うことだけは絶対にやめた方がいいですよ。事故を起こしたらどうするんですか? その時の状況を思い浮かべると目も当てられませんよ。レンゲさんだって、想像が付くでしょう? 『カップル専用パンツをはいた男女が走行中にエッチに夢中になってガードレールに激突。つながったまま昇天!』 こういう見出しが新聞に出ますよ。
もう、していませんてばああああ~~