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海峡

2014年11月05日 00時35分14秒 | 邦画1981~1990年

 ☆海峡(1982年 日本 142分)

 staff 原作/岩川隆『海峡』

     監督/森谷司郎 製作/田中友幸、森岡道夫、田中寿一、森谷司郎

     脚本/井手俊郎、森谷司郎 撮影/木村大作

     美術/村木与四郎 衣裳/川崎健二 音楽/南こうせつ

     主題歌/南こうせつ『友ありて』作詞:阿木燿子、作曲:南こうせつ 

 cast 高倉健 三浦友和 森繁久彌 吉永小百合 大滝秀治 笠智衆 藤田進 伊佐山ひろ子

 

 ☆1985年(昭和60年)3月10日、青函トンネル本坑全貫通

 無性に、この映画が好きだ。

 世の中にはいろんな人がいて、

 ただトンネル掘ってるだけじゃねーかといわれそうだけど、

 でも好きなものは仕方がない。

 森谷司郎の作品では『八甲田山』と双璧なくらい好きだ。

 だから、数年おきに無性に観たくなる。

 まあ、そういう映画があってもいいわけで、

 たぶん、ぼくの中でいちばん感受性のつよい時期に観た映画だからかもしれない。

 竜飛岬には行ったことがないから、

 この映画で描かれてる風の強さや海の荒さは想像がつかないけど、

 おそらく、撮影も大変なんてもんじゃなかっただろう。

 当時、ぼくはまだ大学生で、

 周りの連中は、ゴダールだ、トリュフォーだ、ベルトルッチだ、ルイ・マルだ、アラン・レネだと、

 ほんとにわかってるのかどうか怪しいものながら、

 いっぱしの映画通を気取ってたりしてたのに、

 ぼくだけが、黒澤明や森谷司郎の新作を楽しみにしてた。

 なんとなく時代から置き去りにされたような気分だったけど、

 そんなことは趣味なんだから仕方がない。

 サントラも買ったし、ビデオなんて何度観たかわからないくらいで、

 まあそれはこの作品にかぎらず、当時の東宝のシャシンはどれもこれもよく観た。

 健さんの演じるストイックな主人公の映画や、

 吉永さんの演じるひたむきで健気なんだけどどことなく薄幸な女性の映画や、

 森谷司郎の演出するどでかそうに見える映画はことのほか好きだった。

 ところが、ふしぎなもので、

 熱病のようなこの趣味はにわかに始まりわずか数年で途切れた。

 たぶんこの作品のあたりが頂点だったんじゃないかしらね。

 ただ、思春期に観た映画にはなにかしら影響されるもので、

 いまでも実話をもとにした物語は嫌いじゃないし、大いに興味もある。

 あ、でもさ、ここ数年、こういうたぐいの映画ってないよね。

 ぼくたちの世代はもう化石の世代になっちゃったんだろか?

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