◎俺たちに明日はない(1967年 アメリカ 112分)
原題 Bonnie and Clyde
staff 監督/アーサー・ペン 製作/ウォーレン・ビューティ
脚本/デヴィッド・ニューマン、ロバート・ベントン
撮影/バーネット・ガフィ 音楽/チャールズ・ストラウス
cast ウォーレン・ビューティ フェイ・ダナウェイ ジーン・ハックマン ジーン・ワイルダー
◎1930年代、テキサス
クライド・バロウとボニー・パーカーの実話。
その頃、4月になるとまもなく、早稲田松竹ではかならずこの作品が上映された。
ここでいう「その頃」っていうのは、ぼくが大学に入った頃という意味だ。
当時の大学生は、70年安保の時代よりもひと世代下で、
学生運動なんてとうの昔に下火に入ってて、みんながみんな、しらけてた。
けど、なんとなく心のどこにまだ滾るものがあったみたいで、
貧乏で惨めな学生と、そろそろ贅沢を知り始めておしゃれに遊ぼうっていう学生と、
ほぼ二極化し始めた頃なんじゃないかっておもえる。
ぼくは、もちろん、前者だ。
いまだに贅沢もおしゃれも知らない。
ま、それはいいとして、この作品はたぶん前者の連中が、
とぼとぼと名画座に通い、膝を抱えるようにして観たものだとおもうんだよね。
だって、ぼくがそうだったから。
で、内容についていまさら書いたところで仕方ないから書かないけど、
当時も今も、鑑賞後には決まってこんなふうにおもう。
アメリカのニューシネマってやつはこういう映画なのか~と。
それにくわえて、
なんでこれだけ凄まじい銃撃戦をしてても品が無くならないんだろうと小首をかしげる。
当時の映画はいまの映画よりも常に引き気味でキャメラを回し、
リアルさを優先して、どことなくドキュメンタリータッチを匂わせる。
この作品も例外じゃないけど、
なんといってもフェイ・ダナウェイの女優根性にぼくはしびれる。
ラストカット、彼女はギアに足首を固定して、
87発という凄まじい乱射を浴びて、
座席からなかば転げ落ちかけたまま死ぬ。
それまでのインポテンツのビューティとの濡れ場もさることながら、
さすがに胆が据わってる。
こういう場面の積み重ねが、当時の学生連中を刺激したんだろね。
もしかしたら、今も。