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栄光への脱出

2007年07月04日 18時50分38秒 | 洋画1951~1960年

 ◇栄光への脱出(1960年 アメリカ 208分)

 原題/Exodus

 監督/オットー・プレミンジャー 音楽/アーネスト・ゴールド

 出演/ポール・ニューマン エヴァ・マリー・セイント ラルフ・リチャードソン サル・ミネオ

 

 ◇1948年5月15日、イスラエル建国

 ぼくが小学校の低学年の頃、カッパコミックスの『鉄腕アトム』の最終巻で、前後篇からなる『青騎士の巻』というのがあった。ロボットの国をつくるために人間に対して反乱を引き起こす物語なんだけど、子供心にも宗教や人権などの問題が妙にリアルで、やけに興奮した。

 その中で、ユダヤ人がイスラエルを建国する話が例にとられる。青騎士の台詞の中にあって、当時のぼくはイスラエルという国が何処にあるのかも知らなかったんだけど、なんだか、とてつもないことをした人達がいるんだな~とだけおもってた。だからだろう、その後もずっとイスラエルという国名だけは忘れなかった。

 で、なんで、手塚治虫は『青騎士』を描いたのかって話だ。

 もしかしたら、この作品の影響があったんじゃないか?と。時期的には、この作品が封切られて5年後に『青騎士』は書かれてる。つまりは、それだけ、この作品は影響力を持っていたことになるんだろう。ただ、それは1960年代の話で、イスラエルが建国されて半世紀以上を経過した今、果たして、当時の建国の仕方はどうだったんだろうと、ちょっとおもわないでもない。そんなことを考えてる人間が見るもんだから、すこし斜めな意見になる。

 たしかに、イスラエルの建国前夜、流血を伴わないエクソダス号のような事件はあったんだろうけど、映画のラストから英軍撤退と同時に建国されるその日までに、大量の武器がイスラエルに送りこまれるわけだから、映画はあまりにも『十戒』を意識しすぎて、綺麗になりすぎてる気もしないではない。

 もとはといえば、大英帝国の二枚舌が招いたことで、それがこんにちまで災禍を生んでいるというのは、あまりにも辛い事実だ。いくらなんでもこれはないだろうとおもえたのは、アラブ人を組織先導しているのがナチスの残党という設定で、これが事実だったらぼくの無知さ加減が露呈されることになるんだけど、もしも絵空事だったら、ドイツ人は好い面の皮ってことにならない?

 誰かを悪役にしなければおさまらなかったってのもわからないではない。でも、いくらなんでもナチスがここで登場するの?とはおもった。

 ただ、主題曲はぼくが子供のときからよく巷で流れてた。だから、映画を観る遙か前から知ってた。このインストルメンタルは、文句なしに当時の名曲だとおもうんだよね。

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