かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠110(スペイン)

2017年05月06日 | 短歌一首鑑賞

馬場あき子の外国詠13(2008年11月実施)
   【西班牙 4 葡萄牙まで】『青い夜のことば』(1999年刊)P65
    参加者:T・K、T・S、崎尾廣子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:T・S
     まとめ:鹿取未放

 ◆ものを書くことや鑑賞に不慣れな会員がレポーターをつとめています。不備が多々ありますが
  ご容赦ください。(レポート)は、全てレポーター表記のママ。


110 くらげなすただよへるなり朝ごとのビザたしかめて今日はグラナダ

       (まとめ)
 「くらげなすただよへる」は古事記からの借用。古事記では天地がまだ混沌としていた時代、地はしっかり固まっておらず海月のように漂っていたのだという。そんなあてどない浮遊感を旅の疲れが出てきた日々の体や心のありようの形容に使って、なるほどと納得させられる。大事なビザが手元にあるか朝ごとに確認して、さて今日はグラナダに出発するという。(鹿取)
 

     (レポート)
 グラナダは、ローマ時代イリベリースと呼ばれて栄え8世紀から始まるモーロ流入の後は、1492年のレコンキスタ完了にいたるまで、イスラム教徒によるイベリア支配の拠点として長く繁栄を誇った古都である。ことにコルドバ王国の分裂と衰亡のあと、イベリア半島におけるイスラム最後の王朝として、レコンキスタの暴風にさらされながら、終末の宴ともいうべきアルハンブラ宮殿を築き、そこに華燭の炎を燃え上がらせた。この城の最後の王ボアブディルは、城を落ちシエラ・ネバタの険路にさしかかる丘の上で宮殿を視界に収めて、惜別の涙を流したと伝えられる。
 110番、グラナダに向かうこの朝くらげなすただよえる心境だという。意表をつく表現に驚きこれとビザをたしかめているところでも楽しみとうれしさがにじみ出ていよう。つけくわえていうと、図書館へ行くとたちまちトイレに行きたくなるという話を聞くが神経の微妙な働きに起こる現象であると、どこかで読んだ記憶がある。くらげなすという表現は神経の期待感の高まりのようでふとそのことを思った。(T・S)


      (当日記録)
★レポートの「グラナダは」で始まる冒頭部分は本かネットか何かからの引用ですか?そういう場
 合は出典を明記しないとまずいです。(鹿取)
★何かから引用したんですが、何かは忘れました。(T・S)