かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠28(アフリカ)

2016年02月14日 | 短歌一首鑑賞

   馬場あき子の外国詠 (2007年12月)
     【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P159
      参加者:N・I、Y・S、崎尾廣子、T・S、高村典子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:藤本満須子
      司会とまとめ:鹿取 未放

28 砂漠のやうな孤独といへば気障(きざ)ながらわれに必ず近づく予感

     (まとめ)
 想像を絶した沙漠の無、それは作者の精神に深い苦しみを呼び起こしたようだ。この世の価値の何もかもを呑み込んで無化してしまうような沙漠に触れて困惑しながら、やがて自分にもそんな孤独が来ることを予感している。(鹿取)


     (レポート)
 たった一日ではあるがサハラへ踏み入ったことによる孤独感や日常では味わえない感興、その上の句を受けて自分自身に引きつけて今に必ず孤独は近づいてくるのだと。否うたっているその時点でも作者は常に孤独を味わっているのだろうか。ここでは老いてゆくもの、死にゆくもの、そのような孤独とは別の次元をうたっているように感じる。(藤本)