脱ケミカルデイズ

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無人ヘリでドローン社会の先取りをする日本

2015年02月11日 | その他

今話題のドローン(無人航空機:Drone)。もともと軍事用に開発されたものだが、民間用の普及がもくろまれている。様々な物体が人人の頭上を飛び交う社会が果たして素晴らしいものかどうか。 

 無人ヘリでそれに先行する日本では、農地や住宅が接近している地域で、住民の頭上から農薬がふり撒かれる事故が絶えない。その無人ヘリの実態について、週刊ダイヤモンドのドローン特集から。

 

週刊ダイヤモンド2015年2月14日号
農業分野では先頭を走る日本 ヤマハ発動機の空中散布ヘリ (一部抜粋)

 世界中でドローンの技術開発、用途開発が盛り上がる中、農業用の無人ヘリの分野では世界の先端を行くのが日本だ。その主役は、30年近い歴史を誇るヤマハ発動機である。

 実は、日本はごく限られた分野においては「ドローン先進国」である。ヤマハ発動機が産業用無人ヘリの開発を始めたのは1983年。農林水産省の外郭団体「農林水産航空協会(農水協)」からの、農業用薬剤の空中散布を行うリモコン操作のラジコンヘリを作れないか、という依頼がきっかけだった。

 それに応え、模型ヘリのトップメーカーであるヒロボー(本社・広島県)と組み、得意とするエンジン技術を提供して、87年に第1号機を完成。モニター販売を経て、88年から本格販売を開始した。

 そして今や、日本の稲作農家にとって無人ヘリは欠かせない存在となっている。従来の手持ち型の薬剤散布機であれば1ヘクタール当たり160分かかる作業が約10分で済む。農業の担い手の高齢化や人手不足が問題となる中、病害虫防除の"救世主"となったわけだ。

 現在、薬剤散布機器の形態別で無人ヘリは36%を占める。手持ち型や乗用型機器を上回り、冒頭のように、食卓に上がるご飯の3分の1強が無人ヘリの活躍によって生産されているというわけだ。

 国内で今、産業用無人ヘリは約2700機が稼働しているが、そのうち1800機がヤマハ発動機のもので、残り900機弱はヤンマーへの0EM(相手先ブランド名での製造)だ。国内独り勝ちであるだけでなく、世界を見渡しても、競合メーカーはないに等しい。

 その背景には、農家に対して無人ヘリ散布に関するアドバイスや、実際の散布作業を請け負うのはもちろん、操縦者の養成事業といったサポート体制も構築してきた歴史がある。

 産業用無人ヘリの操縦に関しては、操縦や薬剤散布に関する技能と知識を学び、農水協の発行する「産業用無人ヘリコプター技能認定証」を取得する必要がある。ヤマハ発動機は農水協の指定教習施設も運営、これまでに約1万4000人もの登録オペレーターを輩出してきた。まさに、自ら市場をつくってきたわけだ。

 そして昨年から取り組んでいるのが「用途拡大プロジェクト」。例えば稲作なら、種もみをヘリで直まきする農法を提案している。苗を育てて田植えする必要がないので、労働時間が格段に短縮される。また、水稲だけでなく畜産農家の口蹄疫消毒の散布に使ったり、スギ花粉の飛散を抑える薬剤をスギ林に大規模にまくというプロジェクトもある。

 米国カリフォルニア州では12年から、ワイン用のブドウ畑での除草を目的に試験的に2機が稼働しており、連邦航空局(FAA)に本格的な商業利用の許可を申請中だ。「遅くとも3月初旬までには何らかの返答があるはず」と石岡部長は期待する。ドローンの使用に関して国際ルールはまだ存在しない。日本の稲作はほぼ制したヤマハ発動機だが、関連法の整備次第では活躍の場を一気に世界に移すことになる。

 

薬剤散布機器別水稲防除カバー率 ヤマハ発動機

産業用無人ヘリ    36%
動力防除機       28
乗用管理機           22
無散布              12
有人機                2