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泉南アスベスト訴訟 係争8年半 国が責任認め謝罪、賠償

2014年12月27日 | アスベスト

毎日新聞2014年12月26日(金)18時29分配信
<泉南アスベスト訴訟>係争8年半 国が責任認め謝罪、賠償
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00000063-mai-soci

 大阪・泉南地域のアスベスト(石綿)健康被害を巡る集団訴訟が26日、終結した。最高裁が国の石綿対策の不備を初めて認めて、審理を大阪高裁(山田知司裁判長)に差し戻した第1陣原告27人がこの日、国と和解した。大規模な石綿健康被害を巡る集団訴訟は提訴から約8年半を経て、国が責任を認めて原告らに謝罪、賠償することで決着した。

 国は今後、今年10月の最高裁判決の条件に合う被害者が新たに同種訴訟を起こせば賠償に応じる方針だ。新たな訴訟は来年2月にも提起される見通し。

 原告弁護団によると、和解内容は(1)国が謝罪する(2)国は責任割合を2分の1とした最高裁判決に沿い、約2億7300万円を賠償する(3)被害者を掘り起こすために厚生労働省が周知する(4)泉南地域の工場跡に残る石綿の除去を進めるよう厚労省が関係省庁に伝える--の4点からなる。

 (3)は最高裁判決で国の責任が生じるとされた1958~71年に石綿工場で働き、肺がんなどを発症した人が対象。(4)の石綿除去は環境省や自治体が取り組む。原告側の要望を受けて環境省は今月16日、全ての都道府県と政令市に適切な処理を求めた。

 原告は泉南の石綿紡織工場の元労働者とその遺族ら計88人。1陣と2陣に分かれて、2006年以降に計約15億円の賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

 高裁では1陣と2陣で国の責任を巡り判断が分かれた。1陣と2陣を合わせた最高裁判決は、71年に実現した工場内の粉じん排気装置の設置義務化が13年遅かったと国の不備を認定。2陣原告を勝訴とし、高裁で敗訴した1陣については賠償額算定などのために審理を差し戻していた。

 国は最高裁判決を受けて和解の方針に転じ、塩崎恭久厚生労働相が原告らと面会、謝罪した。国は計約6億円を原告側に賠償する。

 弁護団副団長の村松昭夫弁護士(大阪弁護士会)は「原告の思いが届いた和解だ。国は今後、一人残らず被害者を救済する責任がある」とコメントした。【服部陽】

 ◇塩崎厚労相「改めて深くおわびする」

 和解成立を受け、塩崎恭久厚労相は26日午後3時半から記者会見し、「最高裁で国家賠償法の適用上違法と判断されたことを厳粛に受け止め、被害者、遺族ら関係の皆様に改めて深くおわびする。和解を誠実に履行したい」と語った。原告や遺族から現地での謝罪を求められていることについては「速やかに実現できるよう検討したい」と述べた。一方で建設アスベスト訴訟については、「(泉南訴訟とは)争点、事実関係が違うので、裁判を通じて対応していく」と答えた。【東海林智】