脱ケミカルデイズ

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発がん性 魚の焦げ、日焼けは心配するほどのことはない

2012年08月01日 | 化学物質

週刊新潮2012年7月26日号 特集・日本中に蔓延する「ガン常識」どれが本当か

(一部抜粋)

「秋刀魚の塩焼き」焦げたところを食べるとガンになる!

さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか――。詩人・佐藤春夫が詠んだように、秋刀魚は日本人が愛してやまない魚の1つである。だが、この青魚の塩焼きの焦げたところを食べるとガンになる、そう長らく信じられている。果たしてこの話は本当か。

焦げた焼き魚は危険だ。多くの目本人がそう信じていることを改めて証明したのが、2009年9月に内閣府が調査した『がん対策に関する世論調査』だった、この調査によれば、ガン予防のために日頃からどんなことを実践しているかとの問いに、"煙草を吸わない"や"食事のバランスを考える"を抑えて、43・4%(複数回答)の人が"(食事の時には)焦げた部分は避ける"と回答している。

だが、「肉でも魚でも、焦げた部分を食べても大丈夫です」こう断言するのは、本誌でもお馴染みの東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授である。

「日常的な食事の中で食べる程度の量では、ガンになることはありえません。確かに、焦げた物には、ベンゾピレンなどの発ガン性物質が含まれています。ですが、大量に摂取しない限りは問題はありません」

因みに、体重60キロの男性がドンブリ一杯毎日食べ続けて、それが約1トンになればガンを発症する危険性が生じるという……。なぜ、こんな迷信とも、妄信とも言える愚説が日本中に蔓延したのか。「かつて国立がん研究センターが提唱していた『がん予防12カ条』の中に"ひどく焦げた物は食べない"という項目が入っていたことが、誤解を招く原因になっているのだと思います」(同)

35年ほど前、この12カ条はパンフレット化されて全国にばら撒かれ、最高峰の医療機関が策定した"昭和の養生訓"として幅広く読まれていた。しかも、それに前後して新聞もと不安を煽るように報じたことで、国中に誤った知識が植え付けられる結果となったのだ。

「ただ、今は国立がん研究センターも以前の12カ条を引っ込めて、"焦げ"の部分を削除した新12カ条を砒しています」(同) 一方、秋刀魚と大根おろしを一緒に食べると体に良いというのは事実。今年はチト高いようだが、秋には大根おろしと一緒に心ゆくまで召し上がれ。

 

真っ黒に日焼けしたから「皮膚ガン」が心配だ

真っ黒に日焼けした小麦色の肌が、健康美人と持て囃された時期もあった。だが、古来、美白を理想とする大和撫子たちは、日に肌を晒すことを極端に嫌う。彼女たちは紫外線がシミ、ソバカス、そして皮膚ガンの原因になると心配しているのである。1980年代半ばに南極でオゾンホールが発見されて以降、オゾン層の破壊が叫ばれて久しい。温室効果ガスでもあるフロンによってオゾン層が壊され、有害な紫外線の影響で皮膚ガンの発症率が高まったとされている。特に、皮膚ガンの中でも、悪性度の高いメラノーマ(悪性黒色腫)の発症者が急増し、国連環境計画(UNEP)は、2007年にオゾンレベルが10%減少すると、毎年13万2000人が発症すると発表した。

ただし、「日本人は日焼けをしても、ガンの発症をそれほど心配する必要はありませんよ」新渡戸文化短大の中原英臣学長は、こう女性たちの懸念を払拭する。「そもそも黄色人種と白人ではメラニン色素の量がまるで違います。ですから、日本人が紫外線を浴びても白人のような皮膚ガンのリスクはないのです」

メラニン色索には、紫外線による炎症や細胞の破壊を防ぐ働きがある。米国国立がん研究所によると、メラノーマの発症率を見ると、メラニン色素の少ない白人は10万人中25人だが、黄色人種と黒人は1人。白人ほど心配する必要はなさそうだ。更に、先の中川准教授は、「日光を浴びることで、紫外線によって皮膚内のビタミンDが活性型ビタミンDに変化します。この活性型ビタミンDが、骨を強くする働きがあるのです」

現在、中高年の撫子たちを悩ます病の1つに、些細なことで骨折してしまう骨粗しょう症がある。国内の推計患者数は約1300万人で、女性が男性の3倍に上るともいわれる。厚労省はその予防に食事と運動、そして日光浴を挙げているのだ。

「多少日焼けした方が、ガンの発症率が低下するというデータもあるほど。日照時間の短い北国は消化器系のガンの発症率が高いことでもわかるように、活性型ビタミンDは大腸ガンの予防にも繋がります」(同)日焼けすれば、確かにシミ・ソバカスは増える。だが、皮膚ガンの心配は無用だ。