dm_on_web/日記(ダ)

ダンスとか。

山田うん 『テンテコマイ』

2004-01-31 | ダンスとか
三軒茶屋・シアタートラム。
舞台を客席側へ張り出して広々とした空間を作り、下手に巨大なクッションのようなオブジェ。音響も含め簡素な設えだが、ダンスがそれを活かし切るには至らず。振りを作ることへのこだわりは感じるけれども、構成にメリハリがなく散漫、コンディション的にも、体の表面に膜が張って輪郭が曖昧になっているような、迫力に欠ける踊りだった。唯一面白かったのは笛を吹いて音を出しながら体を動かすシーンで、VACAを連想させるのだけれども、単に「音と動きが一致している」とかそんなことじゃなく、音と動きが息や力みを介して絡み合ったまま一つの体の中から出てくるのを見ることで、体の構造の奥行きとか複雑さとかを想像させるところが面白い。即興でやっているようにも見えるのだが、笛を落としてからほぼ同じ振りをもう一度反復するので、ここも振付だったことがわかる。こうやって、客席の受けをとってもすぐ身を翻してストイシズムを見せつける。山田うんの仕事はどこかいつも「自虐的」な感じがしてしまう。そしてそれがすごく女性的に思えたりする。終盤でドスンドスンと粘土の塊が降ってくる、その攻撃的なものへの傾きが、彼女のワーカホリックな仕事ぶりと重なって見える。少なくとも自由気儘な表現者の振舞い方ではなく、観客としてそれにどう反応してよいのかわからない。
コメント