全国あちこちで手足口病の流行が聞かれる中、近隣の栃木県と茨城県でも流行警報が発令されました。
今週は当地域でも流行が始まり、複数の保育園で同時多発的に発生しています。
手足口病は夏に流行る風邪の一つで、その原因はウイルス感染です。
「手足口病ウイルス」という名前のものはなく、複数のウイルスが同じような症状を現すので症状でくくった病名となっています。
(例)コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71など
逆に言うと、1回だけではなく複数回かかることがあり得ます。
大人は滅多にかかりません。子どもの時に感染した免疫が残っているため。
ということで「夏風邪=子どもの風邪」です。
症状は文字通り、手と足と口に発疹が出ます。具体的には手のひら・足の裏に水疱を伴う赤い発疹が出ますが痒みはあまりありません。
口内の発疹(=口内炎)のひどさで重症度が決まります。つまり、口の中が痛くて飲み食いができなくなり、脱水傾向になるのですね。
熱は出ることも出ないこともある程度で、高熱が続くことはまれです。
特効薬はなく、抗生物質も無効です。症状を和らげる対症療法で治るのを待つのが基本です。
ウイルスの種類により、少し病像が異なります。
エンテロウイルス71が流行する年は、中枢神経系の合併症の報告が多くなります。1990年代に台湾で数十人の子どもが脳炎で命を落としました(日本では話題にならず)。
2011年からコクサッキーA6という新しいタイプが散見されるようになりました。特徴として、手のひら/足の裏だけではなく手足全体に水疱疹が広がり、しかし口内炎は軽度で済む、といパターン。皮疹がひどいと治癒後に一過性の爪の変形が観察されます。
隔離期間が決められている感染症ではありませんが、やはり他人にうつります。感染経路は飛沫感染(唾など)+糞口感染で、症状が治まった後も便の中に数週間ウイルスが排泄され続けるのが特徴です。つまり、治った後も感染力が残るのですね。
登園できるようになってもオムツの処理は感染源として扱い、トイレに行った後はよく手を洗う、という一般的な感染対策はふだんから心がけましょう。
※ 園により「治癒証明」の発行を指示する施設がありますが、上記理由のため「感染力が無くなった」という意味の治癒証明は1ヶ月後でないと書けません。
より詳しく知りたい方は、当院HP「夏風邪」項目を御参照ください。
■ 手足口病大流行の兆し 予防策は
毎年夏場に流行する「手足口病」の患者が、東京都内で小さな子どもを中心に急激に増え、この時期としては、過去10年で最も多くなっています。
どんな注意が必要か、報道局の松岡康子記者が解説します。
◆ 手足口病大流行の兆し
手足口病は、その名のとおり、手や足、口の中などに発疹ができ、主に小さな子どもがかかるウイルス性の感染症です。
通常は1週間ほどで症状は治まりますが、まれに髄膜炎や脳炎を起こして重症化することがあります。
東京都によりますと、今月に入ってから患者が急激に増え、今月14日までの1週間に報告された患者数は、1つの医療機関あたり10.97人で、この時期としては、過去10年で最も多くなっています。大流行となった平成23年を超えるペースです。患者のほとんどは、6歳以下の子どもで、このうち3分の2は2歳以下だということです。
◆ 脱水に注意
手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが主な原因ですが、抗ウイルス薬はありません。
特別な治療を必要としないことがほとんどだということですが、三輪医師は「脱水」に注意が必要だと言います。口の中に発疹ができるため、痛みで食事や水分が取れなくなる子どもがいるためです。
この暑さの中で、脱水状態になって症状が悪化する子どももいるので、食事がとりやすいように、薄味にしたり、柔らかくしたりするなどの工夫をし、水分補給を心がけることが大切です。
◆ 感染を広げないために
手足口病は、患者のせきやくしゃみ、つばなどの飛まつやウイルスがついた手を介して広がります。
発疹などの症状が治まったあとも、3週間から1か月ほどウイルスは便の中に含まれ、体から出続けます。このことが感染をさらに拡大させる原因にもなっています。このため、手洗いを徹底し、おむつの取り扱いに十分な注意が必要です。
幼稚園や保育園など子どもたちが集団生活する場所で広がりやすく、おもちゃなどを通じて感染することがあります。
東京・中野区の保育施設では、感染を予防するため、手洗いやうがいを徹底するだけではなく、子どもたちが遊ぶおもちゃを消毒するなどの対策をとっています。
今月に入り2人の子どもが発症し、医師の許可が出るまで、休んでもらっていますが、予防するためのワクチンもないため、対策には限界があると考えています。
施設長の小林葉子さんは「早めに保護者に知っていただいて、まずは保護者のところで対応していただく。園としては、手洗いやうがいなど、できることをしっかりやっていくという対応策しかないです」と話しています。
手足口病は、例年、患者数がピークとなるのは、夏休みシーズンの7月下旬から8月上旬です。
東京都感染症情報センターの杉下由行課長は「過去10年、20年で、これほど増えたことはありませんので、今回、非常に大きな流行だと考えています。濃厚な接触によって、感染が広がりやすくなるため、家族内で感染を防ぐことも重要になります。タオルの共用を避け、こまめに手を洗うなど予防に努めてほしい」と注意を呼びかけています。
今週は当地域でも流行が始まり、複数の保育園で同時多発的に発生しています。
手足口病は夏に流行る風邪の一つで、その原因はウイルス感染です。
「手足口病ウイルス」という名前のものはなく、複数のウイルスが同じような症状を現すので症状でくくった病名となっています。
(例)コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71など
逆に言うと、1回だけではなく複数回かかることがあり得ます。
大人は滅多にかかりません。子どもの時に感染した免疫が残っているため。
ということで「夏風邪=子どもの風邪」です。
症状は文字通り、手と足と口に発疹が出ます。具体的には手のひら・足の裏に水疱を伴う赤い発疹が出ますが痒みはあまりありません。
口内の発疹(=口内炎)のひどさで重症度が決まります。つまり、口の中が痛くて飲み食いができなくなり、脱水傾向になるのですね。
熱は出ることも出ないこともある程度で、高熱が続くことはまれです。
特効薬はなく、抗生物質も無効です。症状を和らげる対症療法で治るのを待つのが基本です。
ウイルスの種類により、少し病像が異なります。
エンテロウイルス71が流行する年は、中枢神経系の合併症の報告が多くなります。1990年代に台湾で数十人の子どもが脳炎で命を落としました(日本では話題にならず)。
2011年からコクサッキーA6という新しいタイプが散見されるようになりました。特徴として、手のひら/足の裏だけではなく手足全体に水疱疹が広がり、しかし口内炎は軽度で済む、といパターン。皮疹がひどいと治癒後に一過性の爪の変形が観察されます。
隔離期間が決められている感染症ではありませんが、やはり他人にうつります。感染経路は飛沫感染(唾など)+糞口感染で、症状が治まった後も便の中に数週間ウイルスが排泄され続けるのが特徴です。つまり、治った後も感染力が残るのですね。
登園できるようになってもオムツの処理は感染源として扱い、トイレに行った後はよく手を洗う、という一般的な感染対策はふだんから心がけましょう。
※ 園により「治癒証明」の発行を指示する施設がありますが、上記理由のため「感染力が無くなった」という意味の治癒証明は1ヶ月後でないと書けません。
より詳しく知りたい方は、当院HP「夏風邪」項目を御参照ください。
■ 手足口病大流行の兆し 予防策は
(2013年7月18日:NHK)
毎年夏場に流行する「手足口病」の患者が、東京都内で小さな子どもを中心に急激に増え、この時期としては、過去10年で最も多くなっています。
どんな注意が必要か、報道局の松岡康子記者が解説します。
◆ 手足口病大流行の兆し
手足口病は、その名のとおり、手や足、口の中などに発疹ができ、主に小さな子どもがかかるウイルス性の感染症です。
通常は1週間ほどで症状は治まりますが、まれに髄膜炎や脳炎を起こして重症化することがあります。
東京都によりますと、今月に入ってから患者が急激に増え、今月14日までの1週間に報告された患者数は、1つの医療機関あたり10.97人で、この時期としては、過去10年で最も多くなっています。大流行となった平成23年を超えるペースです。患者のほとんどは、6歳以下の子どもで、このうち3分の2は2歳以下だということです。
◆ 脱水に注意
手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが主な原因ですが、抗ウイルス薬はありません。
特別な治療を必要としないことがほとんどだということですが、三輪医師は「脱水」に注意が必要だと言います。口の中に発疹ができるため、痛みで食事や水分が取れなくなる子どもがいるためです。
この暑さの中で、脱水状態になって症状が悪化する子どももいるので、食事がとりやすいように、薄味にしたり、柔らかくしたりするなどの工夫をし、水分補給を心がけることが大切です。
◆ 感染を広げないために
手足口病は、患者のせきやくしゃみ、つばなどの飛まつやウイルスがついた手を介して広がります。
発疹などの症状が治まったあとも、3週間から1か月ほどウイルスは便の中に含まれ、体から出続けます。このことが感染をさらに拡大させる原因にもなっています。このため、手洗いを徹底し、おむつの取り扱いに十分な注意が必要です。
幼稚園や保育園など子どもたちが集団生活する場所で広がりやすく、おもちゃなどを通じて感染することがあります。
東京・中野区の保育施設では、感染を予防するため、手洗いやうがいを徹底するだけではなく、子どもたちが遊ぶおもちゃを消毒するなどの対策をとっています。
今月に入り2人の子どもが発症し、医師の許可が出るまで、休んでもらっていますが、予防するためのワクチンもないため、対策には限界があると考えています。
施設長の小林葉子さんは「早めに保護者に知っていただいて、まずは保護者のところで対応していただく。園としては、手洗いやうがいなど、できることをしっかりやっていくという対応策しかないです」と話しています。
手足口病は、例年、患者数がピークとなるのは、夏休みシーズンの7月下旬から8月上旬です。
東京都感染症情報センターの杉下由行課長は「過去10年、20年で、これほど増えたことはありませんので、今回、非常に大きな流行だと考えています。濃厚な接触によって、感染が広がりやすくなるため、家族内で感染を防ぐことも重要になります。タオルの共用を避け、こまめに手を洗うなど予防に努めてほしい」と注意を呼びかけています。