徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナ対策は成功 → カゼ患者は激減 → 小児科開業医消滅の危機

2020年06月03日 10時54分04秒 | 小児科診療
“もう一つの医療崩壊”を紹介します。

新型コロナウイルス対策として、2020年3月からの休校要請で子どもの集団生活の機会がなくなりました。
すると、カゼが流行しなくなります。

「感染対策は成功!」
・・・と喜ばしいことなのですが、一方で副産物があります。
それは小児科開業医の患者数激減。

小児科開業医ではカゼの患者さんの占める割合が全外来数の7〜8割。
その患者さん達がスッと消えたため、単純に7〜8割減収。

零細企業ですから、テレビで放映される経営困難の店の例に漏れず、経営が傾きます。
メディアで話題になる医療崩壊とは真逆なので表に出しにくいのですが、
小児科開業医閉院が出始めた今、すでに問題は深刻です。
何らかの救済措置が必要と思われます。

新型コロナは解決したけど、あれ、小児科がなくなっている?
という現象も非現実的とは言えない状況なのです。


大阪の小児科“収入4割以上減”
新型コロナウイルスの影響で大阪府内の小児科のうち80%余りが、収入が4割以上減少したと回答していたことが大阪小児科医会の調査でわかりました。
この調査は大阪小児科医会が府内にある約690の小児科を対象にアンケートを行い、全体の44%にあたる300余りの小児科から回答を得ました。
それによりますと、ことし4月の収入が去年の同じ時期と比べてどれだけ減少したか尋ねたところ、
▽「4割から6割」
と回答したのが39%と最も多く、次いで
▽「6割から8割」
が28%
▽「8割以上」
が16%など全体の80%あまりが4割以上減少したと回答しました。
「8割以上減少した」と回答した23の小児科のうち、
2つの診療所が経営の悪化を理由に閉所したということです。
また、診療体制について尋ねたところ、
▽75%が「これまで通り維持している」
と回答した一方で、
▽「一部を休診した」や「診療時間を短縮した」
があわせて18%に上ったということです。
大阪小児科医会の松下享会長は「
予想以上の減収で、このままでは閉じる診療所が増え、地域の小児医療に大きな影響を及ぼすおそれがある。」と話しています。


<追記> 2020.7.1
少しずつ、「新型コロナの影響で開店休業状態の小児科開業医」が問題視されつつあります。

受診控え、病院直撃 患者減少、閉鎖の危機も 「医療機関の経営悪化」
 新型コロナウイルス感染症が医療機関の経営に深刻な打撃を与えている。地域の診療所では感染リスクを恐れた一般患者の受診控えが顕著となり、大病院では手術件数を減らすなどした結果、収入の落ち込みが続く。政府は新たな支援策を打ち出したが「閉鎖に追い込まれた医療機関もある」との訴えも出ており、経営悪化に歯止めがかかるかは不透明だ。
▽開店休業
 「開店休業状態の所もある。閉院せざるを得なくなる医療機関が出ないよう(政府は)配慮してほしい」。25日、東京都内で開かれた記者会見。東京保険医協会の須田昭夫(すだ・あきお)会長が窮状を訴えた。主に開業医でつくる同協会では5月以降、月に2~3のペースで閉院する医療機関が出ているという。
 日本病院会などの調査では、前年と比較ができる1203病院のうち、今年4月は3分の2に当たる66・7%(前年同月45・4%)が赤字に。コロナ患者を受け入れた病院に絞ると、赤字率は78・2%に跳ね上がる。受け入れていない病院でも62・3%に上る。
 感染を避けたい患者の受診控えが大きく響いたほか、院内感染を防ぐため病床数を減らしたり、不急の手術を先送りしたりしたことも一因となった。
 病床が20床未満の診療所でも、受診控えが深刻だ。日本医師会が3~4月に実施した調査では、昨年同期と比べて外来受診が減ったと回答した診療所は90・6%に上る。特に小児科(外来受診など)の減収は39・2%と突出した。
▽地域にダメージ
 こうした状況を踏まえ、政府は2020年度第2次補正予算で支援策を強化した。コロナ患者専用の病棟がある病院が空床を維持する際の収入減を補填(ほてん)するほか、院内を消毒する費用を補助。5月分の診療報酬を、通常より1カ月早く支払う措置も取った。
 ただ、コロナ患者を受け入れられる大病院への補助は手厚いが、開業医には届きにくいのが現状だ。東京保険医協会は「この状況が続けば多くのかかりつけ医が閉院に追い込まれ、第2波への備えが困難になる」と強調。新型コロナ患者を受け入れていない病院や診療所への減収補償を訴えている。
 協会の吉田章(よしだ・あきら)副会長は「新型コロナの患者を直接見ていない所への配慮は足りていない。一つの医療機関がなくなれば地域にダメージを与え、患者の行き場がなくなってしまう」と指摘した。

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