徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

機械式時計のぬくもり

2010年04月16日 06時46分17秒 | 日記
 ある心理学系の本を読んでいたら「ストレスを軽減する方法」という項目がありました。
 自分の気持ちが落ち着く習慣・きっかけ・おまじないを見つけましょう・作りましょう、と提案しています。
 例えば、緊張する場面では「の」の字を手のひらに書いて呑み込むとか、ある香水を嗅ぐと恋人との楽しい日々が思い出されて幸せな気分になれるとか(笑)・・・誰でも何かしら持っているとのこと。

 自分では何だろう。

 ふと、幼い日の記憶が蘇りました。
 私の父の乗っていた車のエンジン音と、腕時計の音。

 社用車の軽トラックを使用していたので、エンジン音は乗用車より低く大きめでした。
 夜、その音が聞こえてくると「お父さんが帰ってきた!」と安心したものです。
 残念ながら、これは再現不能。

 もう一つは、機械式時計の「チッチッチッ・・・」という時を刻む鼓動。
 父親があぐらをかいて座っていると、その中に滑り込んでちょこんと座る私。
 すると父の時計(確かセイコーの自動巻時計)の音がかすかに聞こえてきます。
 私にとって至福の場所と時間でした。
 安心感の象徴として、その音も体に刻まれたようです。

 さて、大人になって、私は昔の機械式時計を集め始めました。
 クォーツの方が安くて正確なのになぜ?
 自動巻時計は毎日つけていなければ止まってしまいます。
 手巻き式は毎日ゼンマイを巻かなければ止まってしまいます。

 不便なこと、この上なし。

 しかし気がつくと、手元には150年前のイギリスの鍵巻き式銀時計などもあります。
 昔の懐中時計は簡単に裏ぶたを開けて時計の内部を鑑賞することが可能、「少年DNA」が狂喜します。

 最近、私の左手首に鎮座するのは1970年頃作られたセイコーの手巻き時計「キングセイコー」。
 昭和30~40年代のサラリーマンに愛用されたモデルです。
 毎朝、この時計のゼンマイを巻くことで一日が始まります。
 1日1分くらい進んでしまいますが、まあ許容範囲でしょう(笑)。
 不便を愉しむのも、趣味の一つかと。

 というわけで、「この音に私の安心の原点があるんだ」と気づくに至りました。
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