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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

新型コロナ後遺症に起立性調節障害の要素あり

2023年06月20日 07時08分29秒 | 小児科診療
Long-COVID(コロナ後遺症)に対する有効な治療はあるのか?
医療分野では日夜この分析が進んでいます。
その可能性をほのめかす報告を扱った記事を紹介します;

Long COVIDは5タイプに分類できる―国内患者のクラスター分析
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を過ぎた後に何らかの症状が遷延する、いわゆる「long COVID」は、5タイプに分類可能であるとする論文が「Clinical and Experimental Medicine」に4月7日掲載された。聖マリアンナ医科大学総合診療内科の土田知也氏らによる研究によるもので、就労に影響が生じやすいタイプも特定された。
…まずlong COVIDをいくつかのタイプに分類して、それぞれのタイプを特徴付けるという試みが始まっており、海外発のそのような研究報告も存在する。ただし、QOL低下につながりやすい就労への影響という点を勘案した分類は、まだ提案されていない。
・・・
 2021年1月18日~2022年5月30日に同院のCOVID-19後外来を受診した患者のうち、PCR検査陽性の記録があり、感染後に症状が2カ月以上続いている15歳以上の患者497人(平均年齢41.6歳、男性43.1%)を解析対象とした。
・・・
 対象者には、23項目から成る自覚症状のアンケート(該当するものを○、強く該当するものを◎で回答する)と、慢性疲労症候群の評価に使われている9項目から成るパフォーマンスステータス(PS)質問票に答えてもらった。就労状況については、罹患前と同様に勤務継続、職務内容の変更、休職、退職という四つに分類した。
 結果について、まず自覚症状に着目すると、

<○または◎のいずれかが最も多かった症状>
 倦怠感(59.8%)
 不安(42.3%)
 嗅覚障害(41.9%)、
 抑うつ(40.2%)、
 頭痛(38.6%)
などだった。

<◎が最も多かった症状>
 倦怠感(40.2%)
 嗅覚障害(26.6%)
 味覚障害(18.1%)、
 脱毛(14.9%)、
 呼吸困難(13.7%)、
 頭痛(11.1%)
などだった。
 次に、特徴の似ているデータをグループ化するクラスター分析という手法により、long COVIDのタイプ分類を行った結果、以下の5タイプに分けられることが分かった。

(タイプ1)倦怠感が強いことが特徴で全体の21.8%が該当。
(タイプ2)倦怠感のほかにも呼吸困難、胸痛、動悸、物忘れを訴える群で14.9%が該当。
(タイプ3)倦怠感、物忘れ、頭痛、不安、抑うつ、不眠症、モチベーション低下を訴える群で20.8%が該当。
(タイプ4)倦怠感が少なく脱毛を主症状とする群で19.8%が該当。
(タイプ5)倦怠感が少なく味覚障害や嗅覚障害が主体の群で22.8%が該当。

 これらの群を比較すると、タイプ4は他群より高齢で、タイプ2や4は女性が多く、タイプ2はCOVID-19急性期に肺炎合併症を来していた割合が高いといった有意差が認められた。
 外来初診時のPSスコア(点数が高いほど生活の支障が強い)は、タイプ2が最も高く中央値4点(四分位範囲2~6)、続いてタイプ3が3点(同2~5)、タイプ1が2点(1~5)であり、タイプ4と5は0点(0~1)だった。症状発現から受診までの期間はタイプ5が最も長く、BMIについてはタイプによる有意差がなかった。
 就労状況に関しては、
発症以前と変更なしの割合がタイプ1から順番に50.0%、41.9%、43.7%、77.6%、84.1%、
職務内容の変更を要した割合は、24.1%、13.5%、9.7%、2.0%、7.1%、
休職中は20.4%、36.5%、39.8%、16.3%、7.1%、
退職に至った割合は5.6%、8.1%、6.8%、4.1%、1.8%であり、
タイプ2や3で休職中の割合が高く、タイプ4や5はその割合が低いという差が認められた。
 このほか、自律神経機能検査によって体位性起立性頻拍症候群POTS(立ち上がると脈拍が大きく変化する)〕と診断された割合が、自覚症状に倦怠感が含まれているタイプ1~3で高く、特にタイプ2では33.8%と3人に1人が該当することが分かった。
 以上を基に著者らは、「long COVIDはその臨床症状から5タイプに分類可能」と結論付け、また倦怠感を訴えるタイプにはPOTSが多く、POTSは治療により改善も認められるケースがあることから、「タイプ1~3に該当する患者では自律神経機能の評価が重要ではないか」と付け加えている。
・・・
<原著論文>
・Tsuchida T, et al. Clin Exp Med. 2023 Apr 7. [Epub ahead of print]

体位性起立性頻拍症候群(POTS)は小児では起立性調節障害のひとつに分類されている病名です。
難治性の起立性調節障害の1/3には心身症傾向が存在することが指摘されており、専門家でも治療に難渋します。

コロナ後遺症の新たな定義2023

2023年06月20日 06時48分30秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスに感染し、
急性期症状が治まった後も体調不良が続くことを、
「新型コロナ後遺症」とか「long-covid」、公的には「罹患後症状」
などと呼んできましたが、
その概念・定義は国により微妙に異なることが指摘されていました。
今回、日本ではそのあやふやな状況を打破すべく、
「定義」が提案されました。

コロナ後遺症の新たな定義
ケアネット:2023/06/01)より一部抜粋;
◆ 定義を明確にすべきという論調
日本ではCOVID-19後に持続的に起こる医学的な影響のことを「罹患後症状」と定めています。手引きでは「COVID-19罹患後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に明らかな原因がなく、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から新たに、または再び生じて持続する症状全般」と定義されています。
英語論文では、PASC(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection)、Long COVIDなどと呼ばれています。そもそもこの病態を明らかにするためには、コンセンサスある定義が必要なのですが、いまだにナラティブな位置付けになっています。信頼性の高いデータセットを用いてこれを提唱した報告がJAMAに掲載されました。
◆ 12症状をスコアリング
85施設において、SARS-CoV-2感染30日以内の2,248例、30日以降の6,398例、そして非感染の1,118例の合計9,764例が登録されました。年齢中央値は47歳(IQR 35~60歳)でした。頻度が2.5%以上だった37の症状について解析されました。
PASCスコアに寄与する症状を抽出し、LASSO回帰により1~8の範囲で重み付けを行い、対応スコアを有する12の症状を表のように定めました。脱毛は有意なスコア因子には含まれませんでした。


表. PASCスコア(参考資料2より引用)

感染から30日を超えた場合のPASCの割合は、オミクロン株流行期ではそれ以前よりも低いという結果でした(17%[95%信頼区間[CI]:15~18]vs.35%[95%CI:34~37])。また、オミクロン株によるPASCは、ワクチン接種を受けていない参加者よりもワクチン接種を完了した参加者のほうが低頻度でした(16% vs.22%)。
・・・

とにもかくにも、長引く体調不良に悩んで受診された患者さんが、
PASCの可能性が高いのかどうか、判断する材料が登場したわけです。

当院は小児科ながら「コロナ後遺症相談窓口」となっています。
なぜか当地域ではここ1件だけです。
つまり内科系医院は誰も手を挙げていません。
なぜかというと「診断しても治療法がない」からです。

新型コロナ禍では漢方医学が注目されています。
漢方医学は、患者さんが悩んでいる体調不良を、
「健康な状態からどんな要素がどれくらい偏っているか」
と複数の物差しで評価し、その歪みを漢方薬で健康な状態(中庸)に戻す医療です。

一方の西洋医学では「正体不明の感染症」に対して治療法はありません。
原因ウイルスがわかって初めて対策がとれるようになり、
そこにはどうしてもタイムラグが発生します。
さらに現時点ではPASCの病態解明が進んでおらず、
つまり西洋医学では手の出しようがないのです。

私は小児科医には珍しく漢方薬のメリットに気づいて使用してきたので、
患者さんの体調不良に沿った漢方治療を提案できます。


新型コロナワクチンは2023年秋、XBB株対応ワクチンへ変更

2023年06月20日 06時25分58秒 | 小児科診療
新型コロナウイルスは変異周期が速いことが特徴ですが、
2022年春に登場したオミクロン株が長らく流行の主役として君臨してきました。
しかし2023年に入り、XBB株がじわじわと増えてきて、
現在は流行の中心になってきています。

この流れに伴い、
「現行のオミクロン株ワクチンは有効なのか?」
という素朴な疑問が生まれ、
とうとうこの秋にXBB株対応ワクチンへ変更されることが発表されました。

もちろん、従来のワクチンが無効ということではないのですが…
ちなみに、7月に予定している私の5回目のワクチン接種はオミクロン株対応ワクチンです。

以上のことを扱った記事を紹介します;

XBB.1対応コロナワクチン、2023年秋接種から導入へ/厚労省
ケアネット:2023/06/20)より抜粋;
 厚生労働省は6月16日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、2023年度秋冬の接種に使用する新型コロナワクチンについて、XBB.1系統を含有する1価ワクチンを用いることが妥当であるという方針を示した。現在の主流であるオミクロン株XBB.1系統に対して、現行のBA.4/5対応2価ワクチンでは中和抗体価の上昇が低く、移行しつつある主流流行株に対してより高い中和抗体価を誘導するためには、最も抗原性が一致したワクチンを選択することが適切であるという。
 6月16日に国立感染症研究所が公表した、民間検査機関の検体に基づくゲノムサーベイランスによる系統別検出状況によると、
 XBB.1.16(25.13%)
 XBB.1.9.1(7.04%)
 FL.4(XBB.1.9.1の下位系統、5.53%)
といった、いずれもXBB.1系統が上位3位を占めている。今秋以降もXBB系統の流行が続くことが想定され、XBB.1系統内におけるさまざまな変異体の抗原性の差は小さいことがこれまでの調査で確認されていることから、本会議ではXBB.1系統を含むワクチンを用いることが妥当とされた。
 また、従来株成分の必要性については、免疫刷り込み現象を理由として従来株成分を排除すべき状況ではないものの、現時点では、今後にわたり、従来株を含める必要性はないため、新たなワクチンはXBB.1系統に対する1価でよいという見解が示されている。なお、今年度春開始の重症化リスクが高い者に対する接種では、重症化予防の観点から現在入手可能な既存の2価ワクチンを用いて引き続き実施される。
 XBB.1系統を含むワクチンに関する知見は限られているが、製薬企業から提出されたマウスを用いた非臨床試験によると、XBB.1.5の成分を含む1価ワクチンは、追加接種として、既存の2価ワクチンと比較して、XBB.1.5に対する中和抗体価が約4倍高かったという。
 今後のコロナワクチン接種についてXBB系統の使用を推奨する動きは、世界保健機関(WHO)や、欧州医薬品庁(EMA)/欧州疾病予防管理センター(ECDC)米国食品医薬品局(FDA)が、5月から6月にかけて相次いで出した声明にも同様にみられる。

まあ、その時に供給されるワクチンを粛々と接種し続けることが、自分と家族を守る最短距離であることに変わりはありません。


口コミに答えて(2023.6.14)

2023年06月12日 19時35分12秒 | 小児科診療
当院は小児科開業医です。
先日、某サイトに以下の口コミがありましたので紹介します;

「こどもの直腸脱でかかりました。 内科系疾患ではないため門前払いもあり得ると考え、症状を診ていただけるかの確認の電話を事前にしました。 受付の方から看護師に代わり、「診れると思いますよ〜」とのことだったので来院しました。(思います?大丈夫か?と思いつつ) 予約システムがあるので待ち時間は少なかったです。長所はそこだけですね。 診察では、紹介状を出すと言われました。そして最後に質問をすると「分かりませんね。そういう質問されたことないので」とぶっきらぼうな返しでした。絶句で、一言も返せず診察室を出ました。一応漢方が処方されました。診察内容から不安が残ったので薬局で聞くと、元気の出る薬だそうですw 最後にただ1人女性の方だけが親身になって診察室での件を謝罪してくださり、少し安心できました。他の方は受付含め特に愛想があるわけでもなく、もう行かないと思います。 そして口コミを全て読みましたが、私は元々愛想がなくうんたらかんたらと返信されていますが、こんなところで反論してるんだったら笑顔の練習1つでもしたらどうでしょう?1人でやってるんなら勝手に愛想悪くしてれば良いですが、ご自身の元で働いてくださってる従業員の生活もかかってるんですから。 今回の件を受けてもう行かないと思う私のような人間もいれば、口コミを見て行かないと決める方もいるでしょう。事前の電話確認も信じないほうがいいと思います。」

ひとことで言えば「クレーム」ですね(^^;)。
返信を書いたのですが、どうも消されてしまうシステムがあるらしく残らないので、
こちらのサイトに書き写すことにしました。

まずは不快な思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。
季節外れの風邪の流行で診療枠の2倍の患者さんを受け入れたため、
すでに1時間以上お待ちの方もいて、
説明は必要最低限にせざるを得ず、
言葉が足りなかったと反省しています。

さて、小児科開業医は、病気の種類にかかわらず、
子どもの健康に関する相談事に幅広く対応しています。
なので原則、当院では明らかな外科疾患でなければ相談事をすべて受け入れています。
実際に診療し当院で解決することがほとんどですが、
自分の専門外で診療経験のない病気であれば信頼できる専門家へつないでおり、
それが当院の役割の一つと思っております。

口コミを書いた方にも、問い合わせの電話の際に、
「診療して当院で解決できない場合は、
 専門施設へ紹介することがあります」
と説明があったはずですが、
不安から耳に入らなかったのでしょう、
「よかった、ここで解決できる」
と思い込んだ様子、これはよくあることです。

そして今回、診療の結果、
内科的には解決できず専門医につなげる必要があると判断し、
私は近隣の総合病院へ紹介状を書きました。

相談された病気は、おそらく他院を受診しても、
「うちでは診ることができません」
「他へ行ってください」
という類いのものです。

私は「他に行ってください」とは言わず、
「ここに行けば解決できます」という道案内をし、
責任を全うしたと考えています。

いくつか質問を受けましたが、
この病気の診療経験がない小児科医の私には答える知識がなく、
「わかりません」
「紹介先の専門医に聞いてください」
とコメントするしかありません。

それにお怒りのようですが、
わからないことをわかったようにごまかして説明することは、
私のポリシーに反すること。
熟知している病気については、
しつこいほど説明をすることたびたびありますが。

当院を受診され、専門医につながったことは、
お子さんにとってよかった。
紹介先で診療を受けて解決し、
ご家族に笑顔が戻ることを祈っております。

処方した漢方薬は「元気の出るくすり」として有名ですが、
肛門脱に有効な、数少ない漢方薬のひとつです。
薬局の薬剤師さんはそこまで知らなかったと思われます。
「肛門脱」「漢方」で検索していただければおわかりいただけると思います。



新型コロナワクチン接種スケジュール(2023年度)

2023年05月13日 06時53分51秒 | 小児科診療
新型コロナウイルス感染症の法律上の扱いが、
2類相当から5類相当へ変更された2023年5月現在、
ワクチンに対する興味が急速になくなってきている印象があります。

しかし「5類相当」というのは医療機関側の取り扱い方法で、
ウイルスが目の前からいなくなったわけではありません。
現時点でも、発症予防、重症化予防の手段は、ワクチンしかありません。

今、2023年度のワクチン接種スケジュールについて確認しておきましょう。
2023年度中は、自己負担なしで接種可能です。
なお、接種は義務ではありません。個人の判断によります。


6か月~4歳
・初回接種は3回で完了。
・従来型のみ接種可能です。
※ オミクロン株対応ワクチンは日本ではまだこの年齢に対する初回接種が認可されていません。


5歳~11歳
・従来型ワクチンの初回接種(1・2回目接種)または追加接種(3回目接種)を受けた方は、3月8日から開始されたオミクロン株対応2価ワクチンでの追加接種が延長されています。
・2023年度の新型コロナワクチン接種は通常、秋から冬にかけての『令和5年秋開始接種』の1回です。
・基礎疾患などを有する方は、さらに1回オミクロン株対応2価ワクチンの追加接種が可能です。
※ オミクロン株対応2価ワクチンは、少なくとも初回接種を完了した方が対象です。


12歳以上
・65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ重症化リスクが高い方などは、5月8日から8月末にかけての『令和5年春開始接種』と秋から冬にかけての『令和5年秋開始接種』の年2回の接種が望ましいとされています。
・それ以外の方は、『令和5年秋開始接種』で1回接種が可能です。

以上、年齢別の接種スケジュールを確認しました。


参考
▢ 「2023年度の新型コロナワクチン接種スケジュール」(2023年5月、ケアネット

最近、大人の食物アレルギーが増えています。

2023年04月28日 06時31分08秒 | 小児科診療
これはアレルギー学会でも話題になっています。
従来、食物アレルギーは“子どもの病気”というイメージがあり、
「食物アレルギー診療ガイドライン」も小児中心の記述でした。

しかし、大人の果物アレルギーが増えてきて、
今まで「特殊なタイプ」に分類されていたこの病気が、
「もはや特殊ではない」と認識されるに至り、
小児と併記されるよう改定されたのです。
                     ⇩⇩⇩


先日のNHKクローズアップ現代で、
「増加する大人のアレルギー」を取り上げていました。

▢ サーファーと納豆? 食物アレルギーを引き起こす意外な組み合わせ

キーワードは「交差反応」。
これは、あるアレルゲンに反応がする体質になると、
それと似た構造のアレルゲンにも「間違って反応」する現象です。
つまり、「誤認識&誤爆」ということ。

有名なのが、花粉症と果物です。
花粉症患者が増えるとともに社会問題化してきました。

例えば「ハンノキ花粉」に反応するアレルギー体質の人は、
下記のようにいろいろな果物に反応して口の中がかゆくなります。



当院ではアレルギー検査を受けた子どもに、
上記花粉アレルゲンが陽性に出ると、
「将来、果物を食べると口の中がかゆくなるかもしれないよ」
と説明を追加しています。

ただ、これらのアレルゲンの特徴として、
構造が似ているけど加工や消化液で簡単に分解されてしまうため、
加工品を食べても無症状だったり、
食べて消化吸収された後、強い全身が起こることはまれなこと(ゼロではありません)。

詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください;


さらに番組では、意外な交差反応の例にも言及していました。


サーファーと納豆?
ペットと肉?
医療従事者とバナナ、アボカド?

一見、関係なさそうな2つ事例、
実は以下のアレルゲンの交差反応でつながっているのです。
自然界の不思議ですね。

以前、調べてまとめました。
より詳しく知りたい方は、こちらをお読みください;


元々の原因アレルゲンを避けることで、症状は徐々に軽くなることがわかっています。






2023年春、スギ花粉飛散量は昨年の3倍(群馬県)でした。

2023年04月19日 07時16分48秒 | 小児科診療
今年のスギ花粉症はひどかった…
と昨年も書いたような気がしますが。

統計では昨年と比較して、
東京都では2倍、
群馬県では3倍、
飛散したそうです。

大量飛散の翌年は飛散量が減ることが多いので、
来シーズンは少し楽になるかもしれません。

当院では重症のスギ花粉症患者さんには、
「舌下免疫療法」という体質改善の治療を勧めています。
現在、数十人が治療中ですが、手ごたえは上々で、
今シーズンも皆さん症状が軽度で済んでいます。

ところがこの舌下免疫療法に異変あり!
なんと原料のスギ花粉が足りなくなって、
新規開始ができなくなる状況に陥りました。

▢  『シダキュアⓇスギ花粉舌下錠 2,000JAU』限定出荷に関する お知らせとお詫び

希望者が多く、需要と供給のバランスが崩れてしまったのですね。
今シーズンは新型コロナの影響で私が裏技的に処方している漢方薬も入手困難となり、
いろいろ想定外のことが起こります。

 今年の花粉飛散 群馬県内では去年の3倍に「症状つらい」も増加 民間気象会社まとめ
2023/4/18:群馬テレビ)より抜粋;
民間気象会社のウェザーニューズは、3月末までの花粉の飛散状況についてとりまとめ、中国四国地方から関東地方までの多くの地域でスギ花粉の飛散が終了したと発表しました。また独自の花粉測定器による調査の結果、東京では去年の2倍、群馬ではおよそ3倍の飛散量だったことが分かりました。
 ウェザーニューズの発表によりますと、群馬県を含む関東地方ではすでにスギ花粉は飛散のピークを越えていて、ヒノキの花粉についても3月の下旬をピークに減少をしており、今月末頃にはシーズンが終了するものと予想されています。 
・・・
 ウェザーニューズ独自の花粉測定器による観測では、3月末までの全国の花粉飛散量は昨シーズンのおよそ2.6倍だったことが分かりました。東北北部など昨シーズン並みととなったエリアもありましたが、徳島県など西日本の一部では7倍となった地域もありました。
・・・


思春期ニキビは皮膚疾患であり、保険診療できます。

2023年04月18日 15時05分25秒 | 小児科診療
小児科医の私ですが、
小さい頃から通っていた子どもが思春期になり、
ニキビができてきて相談を受けることがあります。

小児科や皮膚科に縁のない人は、
「ニキビは市販薬で治療するもの」
「どうしようもなくひどくなったら皮膚科へ行こう」
というイメージを持っていると思われます。

実は小児科の当院でも保険診療で治療可能です。
通う手間はありますが、
市販薬より効果が高く、費用は安く、満足度は高いと思います。

数年前に、最近のニキビ治療について一通り調べてみました。
すると近年、ニキビ治療が大きく変化していることがわかりました。

昔のニキビ治療は抗生物質とイオウ剤しかありませんでした。
効果は弱く一過性であり、
正直言ってあまり手応えを感じませんでした。
赤ニキビが少しよくなると治療を休み、
するとまた出てきてまた治療、の繰り返しです。

2008年に変革者が登場しました。
その名は「ディフェリン®ゲル」。

それまでの赤ニキビや黄ニキビの化膿・炎症を抑える治療で終わらず、
“ニキビ肌を治す”ことができるようになったのです。
つまり、
「できたニキビを治す」から「ニキビができない肌にする」
ことが可能になりました。

これを機に、欧米から遅れること10年、
日本皮膚科学会では「尋常性痤瘡治療ガイドライン2008」を作成しました。

その後、同様の塗り薬が次々と登場しました;
2008年:ディフェリン®ゲル(成分:アダパレン)
2015年:ベピオ®ゲル(成分:過酸化ベンゾイル)
2015年:デュアック配合ゲル(成分:過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
2016年:エピデュオ®ゲル(成分:アダパレン+過酸化ベンゾイル)

ガイドラインは更新を重ね、

さて、当院でも新薬を使ってのニキビ治療を始めました。
ただし、使うのは4つのうち「ディフェリン®ゲル」のみです。

他の新薬に入っている「過酸化ベンゾイル」は効果が早く優れた治療薬なのですが、
約3%にひどいかぶれ(接触皮膚炎)が発生し、
顔が真っ赤に腫れ上がることが報告されています。
そのような例に小児科医では対応しきれませんので、
手を出さないことにしました。

ディフェリン®ゲルは成分がアダパレンという薬で、
こちらは初期(使用開始後1-2週間)はヒリヒリ感が出るのですが、
保湿ローションを併用すればなんとか乗り気れるレベルです。

そして私は漢方薬を多用する珍しい小児科医であり、
例に漏れず、塗り薬と一緒に処方しています。

というか、当院に通院する価値はそこにあります。
逆に漢方治療を希望されない場合は、皮膚科の方がベターでしょう。

ただ、ニキビに使用する漢方薬は、
おしなべて“とても苦い”です。
炎症の熱を冷ます生薬は、みんな苦いのです。

「夏にビールが美味しい理由だよ」
と説明するのですが、
保護者の方は大きくうなずくものの、
子どもにはわかりませんよね。

実際にニキビ治療を始めてから数年経過しますが、
7割くらいの患者さんは手応えがあり、通院してくれます。
残りの3割は苦い漢方を飲めずに脱落した患者さんが多いですね。

ニキビに有効な漢方薬は1種類ではありません。
ニキビの状態と患者さんの体質で複数の方剤を使い分けます。

当院の漢方治療の方針とニキビ治療の具体的なことは、こちらをご覧ください。


ヒノキ花粉飛散もピークアウト(2023/4/17)

2023年04月17日 06時59分11秒 | 小児科診療
たくさんの日本人を苦しめた春のスギ/ヒノキ花粉症、
4月中旬を過ぎてようやく先が見えてきました。

花粉の本格的な飛散終了、東京など広範囲でヒノキのピーク過ぎる
・・・
これまでの花粉の飛散状況等から検討した結果、4月14日(金)頃までに東京や大阪など関東から西の太平洋側を中心に広範囲でヒノキ花粉のピークも過ぎ、今年の本格飛散は終了したとみられます。



東京では2月中旬にスギ花粉のシーズンに入り、特に2月下旬から3月中旬にかけて気温の上昇や強風によって大量飛散する日がありました。
3月中旬になるとヒノキ花粉が徐々に増加し、4月上旬にかけてはヒノキ花粉が主役となって飛散量が増加。ただ、ヒノキ花粉のピークはスギほど長くは続かず、4月中旬頃からは大量飛散が見られなくなり、晴れた日でもやや多く飛ぶ程度となっています。
・・・
これらの状況を踏まえて、東京などヒノキ花粉の飛散は少なくなっており、花粉の本格飛散は終了したと見て良い状況です。
・・・
2022年と2023年の東京都の花粉飛散量の累計ウェザーニューズ独自の花粉観測機「ポールンロボ」による観測では、3月末までの全国の花粉飛散量は、昨年の約2.6倍でした。


西日本の一部は飛散量が昨年の7倍前後に増えているエリアがありました。東京都では飛散量が昨年の約2倍となっています。
・・・
花粉飛散ピーク表本州の内陸や山間部ではもう少し、花粉の多くなることがある予想です。
また、東京や大阪などでもやや多い程度の飛散はある見込みで、症状の重い方は引き続き注意が必要です。

では、スギ/ヒノキ花粉以降はどうなるか?
GWを終えても症状が残る人、症状が再度悪化する人は、
北海道ならシラカバ花粉症、
それ以外ならイネ科花粉症(カモガヤ、ハルガヤなど)の可能性があります。


2023年5月から新型コロナの「隔離期間は5日間」へ、では濃厚接触者は?

2023年04月16日 19時12分57秒 | 小児科診療
2023年5月8日に、
新型コロナ感染症(COVID19)の隔離期間が7日から5日に短縮されます。
と聞くと、
「短くして大丈夫?」
と心配になりますね。

確か、当初10日間だった隔離期間が7日なった時も、
「短くして大丈夫?」
と話題になりました。

これは、武漢株→ アルファ株→ デルタ株→ オミクロン株という変異に伴い、
ウイルス排泄期間も変わってきたことが根拠となっています。

でも、7日間でも感染力はゼロではありません。
確か、まだ16%くらいの人が感染力を保持していたと記憶しています。

それでも短くできたのは、
ワクチン接種と感染対策が浸透したからです。

ワクチン未接種、かつマスク手洗いなしの状況では、
こうはできなかったと思われます。

今回、5日間で隔離解除になりますが、
「10日間は感染対策を続けましょう」
と呼びかけています。

それから、症状が続く場合はこの限りではありません。
「5日目に症状が続いている場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまで 外出を控える」という条件もクリアする必要があります。
この場合の「症状」はインフルエンザの時の「発熱」だけではなく、
痰やのどの痛みなども含むことが特徴です。
熱が下がっても、咳が続いていれば当然、
隔離期間は延長されるのです。




・とくに発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目(無症状の場合は検体採取日を0日目とする)として5日間は外出を控えること。
※この期間にやむを得ず外出する場合でも、症状がないことを確認し、マスク着用等を徹底する。
・5日目に症状が続いている場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ること。

・10日間が経過するまでは、ウイルス排出の可能性があることから、不織布マスクの着用や、高齢者等ハイリスク者と接触は控える等、周りの方へうつさないよう配慮する。発症後10日を過ぎても咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、マスクの着用など咳エチケットを心掛ける。  

では、濃厚接触者、具体的には感染者の家族はどういう扱いになるのでしょう。
なんと「隔離なし」です。

インフルエンザの時も本人は発症後5日間隔離ですが、
接触する家族全員隔離にはなりませんよね。
それと同じルールになります。
ただし、接触後7日間は感染対策(具体的にはマスク着用)が推奨されます。

5月8日を境に、ほかにどんなことが変わるのでしょう。
一覧表を見つけました。




この表を見て医療関係者の私は「?」と思うところがあります。
それは「対応する医療機関」が根拠なしに増えていることです。
新型コロナ関連の保険診療加算が消えていくため、
赤字覚悟でベッドを確保したり、
感染対策に注力する医療機関はむしろ減るのではないか、
特に入院を扱う病院レベルでは…と懸念しています。

それから群馬県では、
が公表されました。

小児科開業医の当院では従来から、
症状の長引く患者さんには漢方薬を中心に治療してきました。
なのでアンケートが来た時に「診療してます」とチェックしたところ、
当地域では当院一軒だけ、ということが判明して驚きました。
そうです、一般論として「手のかかることから人は手を引く」のです。


<参考>
■ 新型コロナの療養期間が短縮 なぜ「5日間」なのか? 現在の療養期間のまとめ
倉原優:呼吸器内科医
■ 新型コロナ、5類感染症変更後の療養期間を発表/厚労省
■ 感染症法上の位置づけ変更後の療養について