大いなる陰謀

2008-04-29 23:24:37 | Weblog
アメリカ映画の定番かと時間つぶしのつもりで見てみたら、なかなか骨のある映画で驚いた。

アフガン問題に絡んだアメリカの現在はらむ病理を、いろんな立場からの登場人物のデイベイトで見せてくれるのだけれど、華々しさのかけらもないのに、最後まで緊迫感をもったまま目が離せなかった・・・・字幕読んで理解するのに追われたせいもあるけれど。

いろんな立場の人の気持ちや考えを偏らずに見せてくれるので、安っぽいプロパガンダ映画特有の不快さも感じなかった。

そして、誰もが平和を望みつつも真逆の方向に突き進んでしまう国家のあり様に深い問題意識を向けさせてくれる。どんな論戦も、前線で戦う兵士の現実を目の当たりにする時は、むなしいものとなるけれど、単純な反戦の論理では解決できない現実もまた見えてくる。

アメリカの苦悩は想像以上に深い。

日本は?

こんな世界情勢の中で、日本は限りなく暢気だ。

確かに日本の抱える問題など、まだまだ取るに足りないと思えてしまうほど、この映画は重かった。

そもそも、くだらない政争に時間を費やしていても国が成り立つんだから、日本はほんと幸せなんだ。

それとも着々と何かが裏で進んでいるのかもしれないのに、気がついていないだけなのか。

このまま日本が侵略されることがあったとしても、自業自得なのかもしれない。

現代の侵略とは、知らず知らずのうちに、自分とってはなはだしく不都合な社会システムを作られてしまうことでもある。

私たちは誰かに私たちの育てた作物を搾取されてはいないのか?血税は自分たちのためにほんとうに使われているのか?企業収益は労働者に正しく還元されているのか?いつのまにか他国の住人の働き蜂と堕していないのか?

もし間抜けにも、うたかたの豊かさに浮かれているうちに、抜け出せない不当なシステムに組み込まれていくとしたら、そもそもそれだけの甘い民族だったとあきらめるしかないのかもしれないが。

・・・・などとガラにもなく書いてしまうほど、映画の影響をもろに受けた私です。やくざ映画を見て、肩を怒らせて映画館を出てきたようなものかな。