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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

「運命」的音楽資料

2009-05-10 23:12:37 | 音楽・映画
ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェン
交響曲 第5番 ハ短調「運命」
交響曲 第7番 イ長調

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ

録音:1958年9月、10月

う~ん、良いところもあるし慣れなどもあるのだろうが、この「運命」の価値は?とまず考えた。これも商品なのだから一般論として価値が無いはずがない。子供の落書きでも、それがピカソの描いた絵なら価値がある。そういう意味で、この演奏は音楽そのものより、音楽を知るための資料としての価値が大きいのではないかと思う。あえて演奏内容について言うなら、非常に単調で無機的、まるでロボットが演奏してるかのような音楽(?)。威勢よくでかい音をガンガン出してくるが内容はどうにも薄っぺらい。初めは録音が古くて、有るべき音が消えてしまったのか?とも思ったが、いやいやそうではない。もっと音の悪いフルトベングラーのモノラル盤でも音楽は十分成り立っている。名曲、名演奏に関しては高級オーディオでもラジカセでも同じこと。つまり単なる音と音楽は別物で、音は物理現象、音楽は精神現象といえる。しかし実際はこの「運命」もショルテイとウィーン・フィルの協調という精神現象なのだから、もしこれが指揮者の要求したものなら、さぞかしオケは戸惑ったことだろう。オケが半ばヤケクソでになってるかのようにも聴こえてくる。直前にノイマンの非常にスタンダードな演奏を聴いていたので、ダメージがよけいに大きかったのかも知れない。とはいえ、もしこれが後々にクライバー等によって命が吹き込まれ、あの不動の名演につながる原型であったと考えるなら、世の中の目を開かせたという意味での功績は極めて大きいだろう。正に”運命”的演奏と言え登場してくれたことに大いに感謝したい。結論として、初心者の方々は言うに及ばず、もう何回も聴き込んだというベテランの方にもあまりお薦めしたくない。ただし、プロの演奏家や研究者あるいはマニアの方は必聴に値する一品かも知れない。聴けば話題が尽きることはないだろう。

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