ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

不足診療科のトップ、産科・婦人科 県民意識調査

2007年01月12日 | 飯田下伊那地域の産科問題

長野県で昨年2月に実施された県民意識調査の結果が報道されました。

調査の時期が昨年の2月ということで、ちょうどその頃、飯田下伊那地域では、3施設がほぼ同時に分娩取り扱いを中止することが市民に知れわたって、『今後、この地域の産科は一体どうなってしまうのだろうか?地域内の妊婦さん達の分娩場所はちゃんと確保できるのだろうか?』と、市民の産科医療に対する不安が一気にピークに達した時期と重なっています。また、上田小県地域でも、上田市産院存続問題で市民運動が盛り上がってピークに達していた時期です。特にこの2つの地域で、『産科・産婦人科が不足している』との回答が飛びぬけて多かったというのは十分に納得できます。

しかし、その後、産科医不足の問題は、その2地域だけにとどまらず、県内の他の地域にも急速に波及しつつあり、全県的な問題となってきています。

もしも現時点で同じ調査を行えば、おそらく、県内の他の地域でも『産科・産婦人科が不足している』との回答がもっと増えると予想されます。

****** 信濃毎日新聞、2007年1月12日

不足診療科のトップ、産科・婦人科 県民意識調査

 県は11日までに、保健や医療の現状に関する意識や今後の要望を尋ねた県民意識調査の結果をまとめた。住んでいる地域に不足していると感じる診療科(3つ以内)は産科・産婦人科が22・8%と最多で、特に飯田下伊那地域では50・0%、上田小県でも41・0%が「不足」と回答。地域によって充足感に大きな差が生じている。

 不足を感じる診療科は、産科・産婦人科に次いで耳鼻咽喉(いんこう)科22・3%、眼科20・8%。産科・産婦人科は上伊那でも31・3%が不足と答えた一方、諏訪(8・5%)、北信(15・5%)、松本(16・0%)などは平均を下回った。

 行政として対策に力を入れてほしい分野(3つ以内)は、がん対策が最も多く51・2%。次いで救急医療43・7%、脳卒中30・8%の順。年代別では、20代は救急医療、30代で小児医療、40代は救急医療とがん対策、50代以上はがん対策がそれぞれトップを占めた。

(以下略)

(信濃毎日新聞、2007年1月12日)