ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

医者がいない!?~“医療難民”を防げ~ (ガイアの夜明け、番組紹介)

2007年01月02日 | 飯田下伊那地域の産科問題

長野県では、このガイアの夜明けという番組は真夜中にしか放映されてませんので、私は一度も見たことはありませんでした。担当ディレクターが病院にいらっしゃってお話した時に初めてその番組名を知りました。

開業医と勤務医とが連携して地域医療を守っている姿をドラマチックに撮りたいというようなお話でした。

一体全体どんな番組なんだろうか?とさっそく真夜中(11月13日24時45分)に番組を見てみましたところ、その時はマンション問題(「100年マンションを目指せ~永住時代の開発戦争~」)を取り扱っていました。医療問題に限らず、幅広くいろいろなテーマを取り扱っている番組のようです。そんなに変な番組ではなくて、むしろ非常に格調の高い番組だということがわかったので、取材には全面的に協力することにしました。

番組担当のディレクターとカメラマンは、最近2ヶ月間に何度も当地を訪れ、当地域の産婦人科事情を取材して行きました。開業の先生のクリニックでの妊婦検診の様子、開業の先生が当科での外来や手術を担当する様子、開業の先生達と当科スタッフのミーティングの様子などなど、地域の医師達が連携して診療している様子をいろいろ撮影して行きました。また、当科の助産師外来の様子なども撮影して行きました。

****** ガイアの夜明け(テレビ東京)

日経スペシャル「ガイアの夜明け」 第245回

医者がいない!? ~“医療難民”を防げ~

“医者不足”が各地で問題となりつつある。特に産婦人科やへき地の診療所など、医師の勤務実態の厳しい診療科や地域では深刻な状況となっている。その結果として、満足な診療が受けられない“医療難民”が出てしまう危険性が高まっている。なぜそうした事態が進行しているのか? 医者不足の現場を取材し、問題解決のために奮闘する人々の取り組みを追う。

******

【連携プレーで切り抜けろ】

各地で産科医療が崩壊の危機に瀕している。長野県飯田下伊那地域では2005年、この地域の2軒の産科開業医が相次いで出産の取り扱いを止めてしまった。

2軒の産科開業医がこれまで1年間に扱ってきた出産の数は、合計でおよそ570件。一方、地域の中核病院としての役割を担ってきた飯田市立病院が年間に扱ってきた出産の数はおよそ540件。2軒の開業医が取り扱いを止めた分、飯田市立病院が2倍の件数を抱え込むことになりパンクする恐れが出てきたのだ。

出産の取り扱いをやめた2人の開業医は「マンパワー」と「医療設備」の2つが不足しているという理由を挙げるが、実はそこには共通の問題が潜んでいる。訴訟問題だ。福島県のある病院で唯1人の産科医として勤務していた医師が、帝王切開手術で妊婦を失血死させたとして逮捕、起訴された。この事件は、この病院と同じように「医師1名体制」で同じレベルの「医療設備」で出産を扱っている全国の産科医だれもが起訴される可能性が示された事件として、飯田下伊那地域にも衝撃を与えたのだ。

産科医療体制の危機に直面した飯田下伊那地域では、出産の取り扱いを止めた2人の医師をはじめ、飯田下伊那の産婦人科医、医師会、行政が集まって「飯田下伊那産科問題懇談会」が組織された。そして、飯田市立病院を中核病院として開業医との「連携プレー」を行う体制を発足させた。この取り組みは、産科の医師不足の解決策となるのか?

(以下略)