ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

女性医師 働き続けられる環境を

2007年01月15日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

昔の産婦人科医はほとんど男性ばかりでしたが、最近の若い産婦人科医は女性が非常に多いです。今まで産婦人科の医療現場で先頭に立って働いてきた男性医師達の高齢化が進んでいて、十年後にはその多くが引退しているはずです。今後は産婦人科医の中で女性医師の占める割合がますます増えていきます。従って、女性医師達が辞めないでもすむように職場環境を整えてゆくことが非常に重要です。

****** 信濃毎日新聞、2007年1月15日

女性医師 働き続けられる環境を

 産科や小児科を中心に医師不足が深刻だ。さまざまな対策が必要だが、とりわけ女性医師が働き続けられる環境を急いで整えたい。

 医師全体で女性は16・5%を占める。最近の医師国家試験では合格者の約3割に上り、女性医師は増えている。

 特に産婦人科は、20代後半の医師の7割近くが女性である。小児科は半数近い。いずれも同性としての視点を患者や家族と共有しやすい診療科で、女性医師が増えているのは当然だ。患者側の要望も高い。

 しかし、医師として経験を積むべき20代後半から30代は、出産や子育て時期に重なる。家族などの助けがないと、女性が宿直や緊急の呼び出しのある常勤医には戻りにくい。産休・育休明けの復帰をあきらめたり、非常勤を選ばざるをえない人は少なくない。

 こうした中、女性医師が働き続けられるよう支援する取り組みが県内でも始まっている。

 信大医学部は女性医師・医学生キャリア支援プロジェクトをスタートさせた。新年度から学生と学内外の医師を対象とした講座を開く。女性医師として働き続ける上で何が必要か、学生の時から考えるようにする。全国でも先進的な取り組みだ。

 このほかにも、職場復帰を支援する研修を開いたり、コーディネーターを置く。休職したり非常勤で働いている女性の状況を分析するほか、就業希望者を登録する人材バンクの設立も計画している。

 現場の工夫もある。長野市の総合病院では、小児科の常勤医師1人分の仕事を、女性2人で分担するワークシェアリングを行っている。

 県外の病院では、子育て中の女性医師に残業や当直のない短時間勤務を認めたり、24時間態勢の保育所を設置しているケースもある。女性が働きやすい病院を認定するNPO法人の取り組みも始まった。

 女性医師の支援は病院単位の取り組みにとどめず、県や市町村の協力を得ながら、より積極的に広めたい。併せて大切なのは一緒に働く人たちの意識を変えることだ。

 医療現場は多忙で、休日、夜間を問わない呼び出しや当直を含めた長時間勤務が当たり前とされてきた。“男性並み”に働けない女性医師が増えるのを、困ったことと受け止める雰囲気もまだある。それでは状況は変わらない。

 女性が働き続けられる病院は、男性を含めた労働環境改善につながる。全国的な医師不足の中、人材募集のPRにもなる。これからますます大事になる視点だ。

(信濃毎日新聞、2007年1月15日)