紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

50年代西海岸を代表する女性ヴォーカルアルバム…アフター・ミッドナイト~ヘレン・グレイコ

2007-09-13 23:59:02 | ジャズ・ヴォーカル
ここの所、「夏のラテン」を数多く紹介して来ましたが、大分涼しくなってきたので、今日は「秋のジャズ・ヴォーカル」を紹介しましょう。

それも夜、じっくりと耳を傾けて聴く、ちょっとハスキー・ヴォイスが良いんじゃないかな。
ジャケットも飛切り美人じゃなくても、お洒落で「素敵」なのが良い。
てな、訳で今日はこのアルバムをチョイスしちゃいましょう。

アルバムタイトル…アフター・ミッドナイト

パーソネル…ヘレン・グレイコ(vo)
      ジャド・コンロン(指揮) オーケストラ 他

曲目…1.テイク・ミー・イン・ユア・アームス、2.ムード・インディゴ、3.グラッド・トゥ・ビー・アンハッピー、4.いつもさよならを、5.ホワイル・ウィ・アー・ヤング、6.ブラック・コーヒー、7.ユー・アー・マイ・スリル、8.グッド・モーニング・ハートエイク、9.また会う日まで、10.ラスト・ナイト・ホエン・ウィ・ワー・ヤング、11.ミッドナイト・サン、12.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ

原盤…VIK LX1066 発売…BMGビクター
CD番号…BVCJ-7362

演奏(歌)について…まず、一番良いと思うのは、1曲目「テイク・ミー~」は、オープニングから、スペードのエースを投入した、言うなれば「切り札」を使用した名歌唱。
ギターの調べと「グレイコ」のハスキー・ヴォイスが、そしてストリングス、ホーンが美しく溶け合って、素晴らしい絵画的な1曲を描いた。
正しく、総天然色に彩られた、黄金の50年代の絵画であり、「グレイコ」入魂の歌です。

2曲目…名曲「ムード・インディゴ」は、ハスキー・ヴォイスだが、甘ったるさ色香はあまり感じず、「グレイコ」は、比較的淡々と歌っていく。
バック陣では、ラグタイム調のピアノが、曲にアクセントをつけている。

3曲目「グラッド・トゥ~」は、アルバムにアクセントを付ける、ミュージカルの語り部的な序奏(序唱)から始まり、中途からはベースとピアノ、ヴァイブの小編成のコンボをバックに「グレイコ」が気だるく歌い込む。

4曲目「いつもさよならを」では、ストリングスをバックに、ここでも、語り部的に歌う。
その後、4ビートに変わりギター伴奏を中心として、「グレイコ」は歌の感情移入を見事に表現する。

5曲目「ホワイル~」…この曲ではとても女性らしい、可憐で可愛らしい優しい口調で歌って、「グレイコ」の別の魅力を出している。
そして、この曲では伴奏はピアノ一本で、題名通り「アフター・ミッドナイト」にぴったりの名唱、個人的にはベスト2に推薦したいです。

6曲目「ブラック・コーヒー」…何と言っても、そのものズバリの「ペギー・リー」の超絶的な名唱があるので、それと比べて…ってなってしまいそうになるが、あの名盤は置いといて、この歌唱も決して悪くはない。
アルバム随一「グレイコ」がフルヴォリュームで歌う箇所もあって、只の白人美人歌手ではなく、実力充分である事を再認識させられる。

7曲目「ユー・アー~」…この歌もとても良い。
非常に「わび・さび」の「曲間」が活かされた、歌とバックのセンスに脱帽する。
この様に、静かに歌うヴォーカルは、ジャズの女性物に良く合うねぇ。

9曲目「また会う日まで」…この曲もピアノ伴奏一本で序唱がなされて、その後ピアノ、ベース、ヴァイブがバランス良く絡み合う、編曲によりお洒落に仕上がっています。

10曲目「ラスト・ナイト~」…この曲も映画の挿入歌の様な、甘いメロディが「売り」の曲で、聴いた我々は「買い」の1曲と言えよう。
この歌での「グレイコ」は、渋さを出した助演女優賞が似合う。

11曲目「ミッドナイト・サン」では、ヴァイブが「ミルト」が敲いている様に、思える程、良い味を出している。
とてもジャジーな伴奏で「グレイコ」をケアーする、ギター&ピアノもgood。

ラスト「ユー・ドント~」…この曲は「コルトレーン」「ロリンズ」等、ホーンアルバムにも、半端じゃない超絶名演があるので、果たして「グレイコ」の唱はどうか?と思ったが、ベースをメインとした骨太のバックに「グレイコ」が渋く歌う。
女性の渋系ヴォーカルも良いもんだなぁ。

とにかく、名曲、名唱の、オン・パレードの様なアルバムをどうぞ…。。。

ユーロピアン・ジャズとカリビアン・リズムの融合…新たなフュージョンだ!~バプティステ

2007-09-12 23:49:47 | ワールド・ミュージック
今日紹介のアルバムは…うぅーん、カテゴリーが超難しいなぁ。
UKから発売された、ユーロピアンジャズなのだが、正統的なジャズとは程遠い。
所謂、アシッド・ジャズの様な要素も多分にある。
ジャズなのか、ラテンなのか、フュージョンなのか?はたまた…???
結局、色々なエッセンスが混じり、主役「バプティステ」が多くのジャンルから、音楽を吸収して、影響を受けたアーティストと言う事で、ワールド・ミュージックに入れる事にしよう。

アルバムタイトル…neuriba

パーソネル…David JeanーBaptiste(b-cl、tenor sax)
      Julian Joseph(p、key)
      Daniel Berdichevsky(g)
      Ricardo dos Santos(b)
      Kenrick Rowe(ds)
      Richard Ajileye(perc)
      Rowland Sutherland(fl)
      Sandra Phenis(vocal)
      Orphy Robinson(vib)
                         他

曲目…1.Fortune Smeiles、2.9 Prospect Avenue、3.Mysti、4.Un Cuore in Inverno、5.The Legacy、6.~10. EuroーCarib Classicism Suite《Neuriba、Outcome、State、Egyptian Goddess、Future Pace》

原盤…CANDID 発売…ewe レコード
CD番号…EWBC-79204

演奏について…まず、冒頭で解説したが、とにかくセンス抜群の様々な音楽が渾然一体となって、ネオ・フュージョン(ネオ・ジャズ)が繰り広げられる。
「バプティステ」は、クラシックの素養もあり、演奏技術は申し分無い。
バス・クラでもテナーサックスでも、一級の演奏技術を持ったマルチリード奏者である。

まず、1曲目「フォーチューン・スマイル」…楽しげなカリビアン・リズムにのって、「バプティステ」がクライネットを軽やかに吹く。
しかし、カデンツァに入ると、ラテンのリズムよりも遥か上空を、このクラリネットが飛び廻る。
真夏のカリビアン・ビートに降り注ぐ、クラリネット・シャワーの様な演奏だ。
これまた抜群のノリで、ラテンビートをぶちかます、ピアニストの「ジェセフ」も素晴らしい名演です。

2曲目は「9プロスペクト~」は、「バプティスト」のソロに多くの管楽器のソリストが、輪唱の如く絡みつく、とても印象深い演奏。
そうだ、一言で言うと、管楽器で歌うゴスペルから曲が始まる感じだ。
そのテーマが終わると、アシッド・ジャズ的、超カッコイイ、ベースで「サントス」が淡々と音を刻む。渋いが…この曲1番の聴き所でしょう。
中途で又、「バプティステ」のクラリネットを中心に、管楽器群が絡みつくのだが、またまた「サントス」が硬派のベースでぶちかまし、この曲では独壇場です。

3曲目「ミスティ」…では、例にもれず「サントス」の硬派ベース、ヴァイブの「ロビンソン」を中心に、骨太のリズムを柱にして、女性ヴォーカル「サンドラ・フェニス」が、とてもアンニュイ&ジャジーな色香たっぷりの黒人女性らしく歌う。
伴奏で盛り上げる「バプティステ」も壷を心得た演奏でgood。
夏の夕暮れ、或いは薄暮に聴いていたい、けだるい感じが堪らない魅力です。

4曲目「ウン・コーレ~」は、ピアノの「ジョセフ」が、いかにもラテンチックに、軽快に飛ばす快演が、とにかく気持ち良い。
この曲では、誰が何と言っても、主役はこいつだ!!
パーカションの「アジレイ」もこの演奏の心地よさに大きく貢献している。
そして勿論、「バプティステ」も、好フレーズを次々に吹き捲る。

5曲目「レガシィ」は、変則ラテンリズムに、やや不協和音的なユニゾンが特徴的な曲調で、ここではあえて全員が、音をチョイはずしの美学を追求する。
ドラム、ベースのバック陣営は、カチっと締ったリズムを刻み、崩し系ユニゾンの管楽器群を、上手に支える。
カッティング・ギターの「ベルデシェフスキー」も良い味出してるよ。
正しく、大人の快演奏だね。

6曲目~10曲目…このアルバム最大に聴き物「ユーロ・カリブ・クラシズム・組曲」が最高に決まった演奏。
6曲目の序奏では、またまた「フェニス」のアンニュイなヴォーカルに、フルートの「サウザーランド」が素晴らしいフルートで応戦する。
「バプティステ」の余裕充分なテナーも男らしくて気持ち良い。
この3人の人間模様は…なんてチョット、ミステリアスなフェードアウトで終わる所もにくい演出です。

7曲目はメチャ明るいカリプソで、さらっと行こうぜぇぃ。
8曲目「ステイト」は、6曲目の発展系で、「フェニス」のヴォーカル、いや「語り」が入っていて、メロディは6曲目のテーマの発展型です。
所謂、クラシックのソナタ形式を踏襲しているのです。
この辺があらゆる音楽のエッセンスを混ぜている所以だろうなぁ。

9曲目「エジプトの女神」…一言で好きだ。大好きだ。。
冒頭では「バプティステ」の哀愁タップリのクラリネットを囲って、「ジョセフ」がリストの曲調の様に、華麗なピアノを演奏して警護にまわる。
テーマが終わると、急速調にリズムが刻まれ、この哀愁曲はいつしか、いけいけの明るいラテンに変わっている。
上手と言うか、不思議と言うべきか、見事に転調している。
この後では、「バプティステ」は、「ドルフィー」の如く、クラリネットで絶叫して、とても感動的な演奏である。

そして〆の10曲目は、以前紹介した「デパペペ」の様なラテン調のデュオギターから、発展していき、クラブシーンでかかる、大人のジャジーな雰囲気の演奏に変わる。
「バプティステ」は、苦しさを感じさせない、余裕のソロで、ピアノ「ジョセフ」も流麗なブロックトーンで、エンジン全開になる。
エンディングに近づき、ギター「ベルデシェフスキー」が、フラメンコの様にかき鳴らし、皆の精神も最高揚を迎える。
しかし、熱く成り過ぎず、どこか空の上から、冷静にこの曲を傍観している演奏家達が多くいる。
そう、それは「バプティステ」自身を含めた、彼等ミュージシャンそのものです。
やはり、現代人は一歩冷めた自分を必ず持っているようです。

ブログ始まって以来初の一日で2曲目の紹介しちゃおう。クレンペラー~フィルハーモニア管弦楽団…大地の歌

2007-09-10 23:23:06 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
今月、来月、再来月と仕事で出張が沢山入っていて、ブログの更新率が間違いなく悪くなります。
そこで今日は、東京への出張から思いの外、早く帰宅できたので、1日で2枚目のアルバム紹介をしちゃいましょうか?
先ほどの軽やかで、さわやかなボサ・ノヴァとは、まるっきり正反対の、人間の苦悩を内面から抉り取った、歴史的な名曲、「マーラー」の交響曲「大地の歌」を紹介しましょう。

指揮は、ドイツの生んだ堅物職人的な名指揮者、「オットー・クレンペラー」で、演奏するオーケストラは、彼の手足として絶対的に機能するオケである、「フィルハーモニア管弦楽団」です。

歌う歌手は、男性パートがテノールの「フリッツ・ヴンダーリッヒ」で、女性パートは、「クリスタ・ルートヴィッヒ」です。

このアルバムは、交響曲「大地の歌」のステレオ期のベスト演奏に数多く選出されている、名盤の誉れが高い代表的な演奏です。
※モノーラルを含めると、ワルター/ヴィーン・フィルの初盤とベスト1を争うかもしれません。

アルバムタイトル…マーラー交響曲「大地の歌」

指揮…オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団(ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)

独唱…フリッツ・ヴンダーリッヒ(テノール)1、3、5曲目
   クリスタ・ルートヴィッヒ(メゾ・ソプラノ)2、4、6曲目

曲目…交響曲「大地の歌」
   1.第1楽章:現世の悲しみを歌う酒宴の歌(8分07秒)
   2.第2楽章:秋の日に独りありて(10分10秒)
   3.第3楽章:青春の歌(3分43秒)
   4.第4楽章:美しきものを歌う(7分47秒)
   5.第5楽章:春の日酔いて暮らす(4分43秒)
   6.第6楽章:告別(29分32秒)

1964年2月、11月 1966年7月 録音

原盤…英EMI 発売…東芝EMI
CD番号…TOCE-59020

演奏について…まぁ、演奏時間を見て頂くと、一目瞭然なのだが、長大な第6楽章の出来が、この曲の「優・良・可」判定の基準の大半を占めるのは事実だろう。
ですから、「ルートヴィッヒ」の双肩(歌の出来に)、この演奏の良否がかかっていると言っても過言では有りません。

しかし、その前に、奇数楽章を歌っているテノールの「ヴンダーリッヒ」についてだが、彼の歌の出来は、どの楽章においても非常に素晴らしい。
特に第1楽章でのブリリアントな歌声は、「素敵男子」の代表で、「クレンペラー」が鳴らす、「フィルハーモニアO」のフルパワーオーケストラにも、全く負けていない歌唱音量です。

先頃、3大テナーの一人、「ルチアーノ・パヴァロッティ」氏が亡くなられたが、この「ヴンダーリッヒ」も1930年生まれなので、このアルバム録音後の1966年9月に事故で急逝されなかったら、「パヴァロッティ」氏と5歳しか違わないこともあり、彼が世界3大テナーの一人に選ばれていたと思うのは、私だけであろうか?
個人的には、「ホセ・カレーラス」「プラシド・ドミンゴ」の現存するお二人の若い頃よりも、「ヴンダーリッヒ」の(この時代の)方が、歌は上手かったと思います。
この歌声を聴く度に、返す返す、「佳人薄命」が残念でなりません。

さて、「ルートヴィッヒ」の第6楽章「告別」の歌唱についてだが、非常に重々しく、沈潜する楽章なのだが、とにかく素晴らしい名唱が堪能できる。
内面から出る悲しみを見事に表現していて、前半のドラとハープがメインの楽器群の中で、深く深く心の暗い淵まで、浸透してくる歌唱をされます。
後半の際立って美しい弦楽器とのハーモニーも、勿論見事なんですが。
加えて「クレンペラー」の重厚で丁寧な棒捌きも、「ルートヴィッヒ」(の歌唱)を強力にアシストしている。
後半部分はオーケストラ演奏がメインになるのだが、「クレンペラー」は楽器を充分に鳴らしているのだが、音を出すと言うよりは、精神的な声を(楽器から)出させている指揮なので、全く五月蝿くは無いし、(オケのメンバー全員が)非常に高いステージに精神が有るのです。
重厚さを前面に押出した弦楽器群と、幾分暗さを持った(オーボエ等の)管楽器群が、神聖で見事なハーモニーを奏でる。
とにかく「クレンペラー」は、「マーラー」の苦悩を奥底まで掘り下げ、死の淵から一筋の明かりを…わずかな光明を見出して彷徨っているのを表現している、壮絶な演奏をしているのだ。

「ルートヴィッヒ」の第2、第4楽章も、勿論良い出来です。

ライトなボサ・ノヴァと、辛辣なマーラー…今夜のご注文はドッチ?
ちょっと古いなぁ(笑)。。。

このキリンのジャケットは有名だよね…アントニオ・カルロス・ジョビン~波

2007-09-10 21:59:20 | ラテン・インストゥルメンタル
こんばんわ。
あっ先日、カテゴリー欄をチョイ、カスタマイズしまして、少しだけですが前よりは、検索し易くなったと思います。
ジャズ・ホーンを、サックスとトランペットとその他に分けてます。
ジャズその他も、ベース、コンボ、その他に分け直しました。

さて、今日はボサ・ノヴァの超名盤、「アントニオ・カルロス・ジョビン」の「波」を紹介します。
先日書きましたが、ラテンは絶対に夏の音楽と自負してますので、できるだけ残暑の内に、紹介したいなぁなんて思っています。

アルバムタイトル…波(ウェイヴ)

パーソネル…リーダー;アントニオ・カルロス・ジョビン(p、g、harpsich)
      アービー・グリーン(tb)
      ジミー・クリーヴランド(tb)
      ジェローム・リチャードソン(fl、picco)
      ロン・カーター(b)
      クラウス・オガーマン(arr、cond) 他

曲目…1.波、2.赤いブラウス、3.ルック・トゥ・ザ・スカイ、4.バティディーニャ、5.トリステ、6.モハーヴェ、7.ディアローゴ、8.ラメント、9.アンティグァ、10.キャプテン・バカルディ

1967年5月22日~24日、6月15日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音

原盤…CTI 発売…ビクター・エンターテインメント
CD番号…UCCU-5007

演奏について…全編に吹く、カラッっとした季節風と青い空の如く、さわやかで軽快な「ジス・イズ・ザ・ボサ・ノヴァ」と言って良い名演奏に包まれたアルバムで、タイトル曲「波」では、「ジョビン」のピアノの流麗な音に幸せを感じる。

2曲目「赤いブラウス」では、「リチャードソン」のフルートが最高に聴き所。
同じフレーズを吹いているのだが、聴いているととてもハッピーになれて、サンパウロの風が、心地よく体に纏わりついて来る気分です。

3曲目「ルック・トゥ~」…ボサ・ノヴァのギターリズムに乗って、ストリングスとトローンボーン「グリーン」、「クリーヴランド」二人が軽やかなサウンドを奏でる。
聴いていると、正に題名通りの青い空と白い雲が眼前に浮かんでくる。

4曲目「バディーニャ」…この曲は一言で言おう。
極上のイージー・リスニングだ!!

5曲目「トリステ」…この曲も「ジョビン」のピアノ、アドリブセンスが抜群で、ストリングス、トロンボーン、ギター群と、ほのぼの系トーンで統一した演奏がウォームな雰囲気を醸し出す。

6曲目「モハーヴェ」も5曲目と同様のアプローチで、聴いた後に心が温かくなる事間違い無いでしょう。
「ジョビン」のボサ・ノヴァは、心底優しいサウンドです。

7曲目「ディアローゴ」はやや翳りと哀愁あるメロディが印象的なトラック。
輪唱の様に繰り広げられる「トランペット」、「トローンボーン」、「ストリングス」の調べが、美しい。

8曲目「ラメント」…良いです。goodです。
「ジョビン」の味わい深いヴォーカルが聴けちゃいます。
伴奏してくれる「トロンボーン」や「フルート」も、とてもハイセンスです。
それからベースの「カーター」がぶいぶい言わせているのも良い!!

9曲目「アンティグァ」…この曲もベース「カーター」がリズムを構築していて、ソフトな曲なのに、重厚感を残していて、軟派にしないのは流石の演奏。
ハープシコードでソロを取る「ジョビン」のアドリブは、とにかく気持ちが良い。
「フルート」はアンニュイな雰囲気を出していて、パーカッション群との絡みも行けてます。

10曲目「キャプテン~」は、ハイハットでシンバルを刻み続けるドラマーが良い仕事をしている。ところで演奏者は誰なんだろう?
ここでは、トロンボーンがメロディを吹いて、「カーター」が、ガッツリベースをかき鳴らして曲を〆てる。
「ジョビン」はピアノとギターの両方を弾いている様で、アシストに廻っている。
いずれにせよ、終曲を飾るのに相応しい、盛り上がり曲です。

ネオ・トラディショナルって言うのかな?矢野沙織 BEST~ジャズ回帰~

2007-09-09 11:50:26 | ジャズ・アルト・サックス
みなさん、お早うございます。
今日は、ベスト盤で恐縮ですが、(上原ひろみに続いて)又も、日本の元気娘ミュージシャンから、「矢野沙織」を取り上げたいと思います。

私は決して男尊女卑ではないのですが、どうしてもアーティストと言うと、男性ミュージシャンの方が、女性ミュージシャンよりも優れている方が多い様な気がしまして、…実際は女流でアーティストをなさっている方の絶対数が少ないので、有能な方も(絶対数が)少ないだけかもしれないのですが…。
そんな考えもあったのか、「矢野」の今迄出してきたアルバムを買った事がありませんでした。

しかし、2ヶ月前に彼女のベスト盤が出ると聞いて、一度聴いてみたいと思い、発売してすぐに購入に至ったわけなんです。

果たして(聴いた)結果は?
※大感激!とまではいかなかった物の、他のアルバムも聴いてみたいと思わせるレベルには充分有りました。

ただ、やはりルックス、ビジュアル、ファッション・センス、そして若き乙女と言うことで、特をしている所もある様な気も少しばかりは有ります。
ただし、「チャーリー・パーカー」への畏怖と敬愛を持っているジャズスピリットは、尊敬に値しますし「ビ・バップ」を得意の演奏としている所も「買い」と言って良いと思います。
また、オリジナル曲はどれもメロディアスで、もしかすると将来はコンポーザーの方が更に有名になるのでは?っと思いますね。

アルバムタイトル…矢野沙織 BEST~ジャズ回帰~

パーソネル…リーダー;矢野沙織(as)
      ランディ・ブレッカー(tp)
      スライド・ハンプトン(tb)
      エリック・アレキサンダー(ts)
      ハロルド・メイバーン(p)
      レイ・ドラモンド(b)
      ピーター・ベムスタイン(g)
      ジョー・ファムスワース(ds)
                     他 多数

曲目…1.Donna Lee、2.砂とスカート、3.Crazy He Calls Me、4.Rizlla、5.In A Sentimental Mood、6.Manteca、7.I&I、8.Greenism、9.My Ideal、10.How To Make A Pearl、11.Lover Man、12.Tico Tico、13.Open Mind

2007年3月30日 他

原盤…SAVOY 発売…コロムビアミュージックエンタテインメント
CD番号…COZY-263~264

演奏について…夜書きますので、お楽しみに…
さて、オープニング曲で、「矢野」のミュージシャンの原点、「C・パーカー」作曲の「ドナ・リー」良いねぇ。
流石のビバップ大得意少女?だけに、堂の入った音量とセンス有るフレーズをかまして、良い演奏をしている。
バックでは、オルガンの「ドネ」が優れた演奏で、「矢野」を好アシストしています。

2曲目「矢野」作曲の「砂とスカート」…おいらはとてもこの曲&演奏が気に入ったよ。
何回でも聴きたいねぇ。(実際繰り返し聴いているけどね…)
これが前説で言った「矢野」のコンポーザーとしての才能が有ると言った証拠の1曲で、超ハイセンスのボサノヴァリズムで、セクステットのノリも最高潮。
何と言ったって、ピアノはボサノヴァ名人「ハロルド・メイバーン」だ。
後半のアドリブなんか最高潮ですね。
「矢野」ちゃん、このメンバーにも恵まれているよね。
「ベムステイン」のギターも良いし、ベース「リーヴス」、ドラム「ファムスワース」もそれぞれ持ち味を出してる。
勿論、真打、「矢野」のサックスもgoodです。
「矢野」は、「パーカー」に多大な影響を受けたサックス吹きと言うが、彼女はこの曲の様に、ビバップにあまり捉われないで、自由に吹いた方が良いんじゃないかと思う。

3曲目スタンダード「クレイジー~」も素晴らしい演奏です。
ここでも1曲目同様、「矢野」以上にすごいアドリブを奏でて、バリバリに乗っているのが、オルガン「ドネ」と、ギターの「ベムステイン」ですね。
まぁ、色眼鏡的な見方を少しだけさせて頂くと、「可愛い子ちゃん」を目の前にして、「おじさん」達が実力をガッツリ見せちゃったってな感じなんだろうか?
しかし、「矢野」の適度に甘い音色で奏でるバラッドは悪くは無い。
彼女の数多ある才能の一つでしょう。

4曲目「リジラ」…これも「矢野」のオリジナル曲だが、ここで「矢野」は「パーカー」そっくりな音&フレーズでアドリブを演る。
当たり前だが、音量はパワー不足なものの、アドリブセンスは悪くない。
ここでも「メイバーン」おじさんが、可憐なまごの前で、頑張っちゃってます。
テナーバトルをイメージさせる、「矢野」と絡む「アレクサンダー」の出来栄えも良いです。

5曲目「エリントン」ナンバーの「イン・ア~」だが、この曲にはどうしても例の超名演(超名盤)が有るので、その演奏が耳に残っていて、ゴメンナサイって言う感じです。
しかし、この「コルトレーン&エリントン」の神の演奏をひとまず置いておけば、「矢野」の演奏も好演と言えるでしょう。
この邦人、ワンホーンカルテットのセンスは良いと思う。
各人が「矢野」の魅力を出すために、バックサポートに徹していて、しかしピアノの「今泉」はお洒落なフレーズが多いし、ベース「カミムラ」も渋いボウイングなんかも演ってくれます。
そして、ブラッシュ・ワークで終始通す「オサカ」も流石の貫禄。

6曲目「マンテカ」…比較的大人数のコンボ演奏で、ユニゾン演奏が主になるが、私は結構この編曲は好きですね。
5曲目の様に「今泉」のピアノは素敵だし、「ムーディ」のフルート、「ブレッカー」のトランペットなども、この曲を素敵に彩っている。
さて、肝心の「矢野」のアルトだが、こう言った一人で吹き続けずに、チョイ・アドリブで演奏するシチュエーションってのは、非常に彼女に合っている気がしますし、上手ですね。
一言で言うと、遊び心と寛ぎに溢れたハイセンス・ナンバーです。

7曲目「I&I」は、某CMで使用されている、耳慣れた佳曲ですが、流石に「矢野」は吹き慣れていて、好フレーズを連発して、バックメンバーもハイテンポでグングン突き進む。
正に「パーカー」を彷彿させる、エキサイティングな演奏です。

9曲目「マイ・アイディアル」…この曲は当然の事ながら、「K・ドーハム」の名演があるのだが、ペットでは無く、アルトで演るのも悪くない、いや合うなぁ。
ここで「矢野」は甘すぎないが、情感を込めて非常にバランスの良いアルトアドリブを吹き通す。
何度も言ってすみませんが、やはり「パーカー」を意識しすぎないで、今後は「矢野」独自の世界を、もっともっと追求していくと良いのでは?と再認識します。

ラテン掛かった急速調の10曲目「ハウ・トゥ~」も「矢野」のオリジナル曲で、ここでは「矢野」の「パーカー」調のアルトは良いねぇ。
オリジナルの場合、他に比べる物も無いので、かつての耳馴染みの名演が頭に無いので、「矢野」が「似非パーカー」を吹いても、彼女の個性として気になることもなく、真の実力として評価して良いと思う。

11曲目「ラヴァー・マン」も「パーカー」直系(縁)の曲だが、「矢野」は充分に、自分の曲として、こなしていて好感が持てる。
しかし、この曲でも「メイバーン」の名伴奏が、よりいっそう「矢野」のアルトを極立たせている。
勿論、とてもロマンティックなアドリブ、ソロも聴き物で、私から見ると、実は「メイバーン」が主役を喰っちゃてる気がする。

12曲目「ティコ・ティコ」は、ラテンの名曲だが、この曲は「矢野」に合うと思う。
と。言うのも「パーカー」はラテンを非常に得意にしていて、大好きだった。
ラテンは、先輩「ナベサダ」も十八番だが、アルトにパワー演奏を必要としていないので、ヤング「ペッパー」も、リリカル&ナイーヴな演奏で、得意にしていた。
「矢野」も演奏で言えば、ビバップをやりつつ、こう言うライトな演奏を突き詰めたら、もっと良い物が作れそうに思う。
それから、またまた「ドネ」がぶっ飛びオルガンを弾くのもgood。
それ以上に、終盤の「ファムスワース」のドラム・ソロは、この曲最大の聴き所です。

終曲「オープン・マインド」は、テレビ朝日のニュース・ステーションの曲でおなじみです。
皆さん、是非センス抜群の演奏に聴き入りましょう。

「矢野沙織」…今後も大きな期待が持てるアーティストなのは、間違い無いですが、「パーカー」他には、多かれ少なかれ、「人種差別」としての問題を悲しいかな演奏にも抱え込んでいたと私は思います。
また、その不遇から麻薬や酒に溺れた日々を過ごしてしまったのでしょう。
※「ミンガス」も「マイルス」も「コルトレーン」も多分そうだと思います。
ですから、彼等のアドリブフレーズの素晴らしさには、切なさ、情感を含めて、彼等が一生懸命生きてきた証として、血と汗と涙が眼で見えずとも、どっぷりと沁みついています。
彼等の演奏(音)(フレーズ)から、オーラをびんびんに発しています。
その時代背景を持たずに、生きる苦労とはおよそ縁遠かった彼女には、彼等の演奏を継承するのは、度台無理が有ると思います。
ですから、「矢野沙織」には、もっと現代に生きているレディースアルティストとして、ビバップの追求みたいな物は不必要ではないかと個人的には思います。
彼女には彼女らしい、個性を磨いて欲しいと願っています。


アイク・ケベックの送るブラック・フィーリングが香るボッサ・アルバム…ボサ・ノヴァ・ソウル・サンバ

2007-09-07 23:35:37 | ジャズ・アルト・サックス
昨日はものすごい台風で、ブログを書く所じゃなかったです。
それと、私の「バトン」いかがだったでしょうか?
あまり「大喜利」にはなっていなかった気がしますし、次の方への「バトン」のお題目「アンドレ・プレヴィン」が一寸、狭義すぎて失敗に終わったかも?って事が残念です。
しかし、これに懲りずに、またこの様な機会があったら、再チャレンジするかもしれません。
その時も宜しくお願いします。

さて、今日も飛び切りご機嫌な「ジャズ・ボッサ」アルバムを紹介しちゃいます。
ブルーノートが生んだ、渋いが愛すべきテナー・マン、「アイク・ケベック」が残した好アルバムです。

アルバムタイトル…ボサ・ノヴァ・ソウル・サンバ

パーソネル…リーダー;アイク・ケベック(ts)
      ケニー・バレル(g)
      ウェンデル・マーシャル(b)
      ウィリー・ボボ(ds)
      ガーヴィン・マッソー(chekere)

曲目…1.ロイエ、2.ロロ・トゥ・デスペディーダ、3.家路、4.ミー・ン・ユー、5.愛の夢、6.シュ・シュ、7.ブルー・サンバ、8.ファヴァーラ、9.リンダ・フロール

1962年11月5日

原盤…BLUE NOTE 発売…東芝EMI

CD番号…TOCJ-4114

演奏について…超お薦め曲は、このアルバムでナンバー1人気のオープニング曲「ロイエ」で決まり。
「バレル」が作曲した哀愁タップリの昭和歌謡的なメロディは、ボッサ・リズムに乗って、軽快にそして艶やかに「ケベック」が吹き通す。
強く吹き過ぎず、余裕を持たせた哀愁テナーに「ケベック」の男を見る。
支えるバックのリズムは、ソフトな雰囲気でとても良い味だしてる。
当然、作曲者「バレル」もロマンティックなトーンで、憂いのフレーズを弾いて、聴き所が満載です。
唯一難を言えば、まじに良い曲なのに、演奏時間が短すぎ…この(3分チョット)倍ぐらいは聴いていたいなぁ。

3曲目…一昨日書いた「クラシック」の好きな…の、お題に選んだ、「ドヴォルザーク」の交響曲第9番の第2楽章が、この曲「家路」ですが、これを選んだセンスが良いよねぇ。
クラシック曲をジャズ風に演じたって感じじゃなくて、まじめにジャズ(サンバ)になっていて、郷愁を誘う「ケベック」の啜る様なテナーに酔わされそうです。

4曲目「ミー・ン・ユー」は「ケベック」作曲の佳曲。
この曲も「ケベック」の哀愁が満ち溢れた、渾身のフレーズ盛り沢山の名演です。
「バレル」が完全にブラックいや、ブルーズに徹した黒い演奏も魅力たっぷり。
「マーシャル」「ボボ」「マッソー」出しゃばらない、控えめにバック&リズムに徹した演奏も◎です。

7曲目「ブルー・サンバ」…この曲こそ「ケベック」がこのアルバムのコンセプトで、正に言わんとしていた答えだろう。
1962年と言う、ボサ・ノヴァ隆盛期に、単なるコマーシャリズムではなく、いかにもブルーノートらしい、「ブルース」とのコラボが出来ないかと、考えた末に出た答え(曲)がこれなんだ。
「ケベック」の艶やかさと哀愁の混在した大人のテナーに、ブルース・フィーリング・ナンバー1の「バレル」のギターが良く絡み合う。
ここでもバック・リズム陣は、脇役に徹しまくる。

8曲目「ファヴァーラ」…マイナー佳曲大好きなおいらには、もう最初のフレーズが流れただけで、夢見心地になる良い曲だ。
「ケベック」…泣かせやがって、酔わせやがって、この野郎~。。
次いで「バレル」が…こいつも泣かせるフレーズを弾きまくりやがる…。
こつら二人、すすり泣きが上手な、…いや、泣かせ上手の大名優だ!!
いつまでも曲よ続いておくれと願ったけど、この曲も4分で終わっちゃった。
非常に残念!!もっと聴きたい~!!

9曲目「リンダ・フロール」は、エンディングをあえて、明るく楽しく好印象を残して終わらせる意図があるのか?とてもライトな曲調。
そして、この紹介した曲以外でも、とても聴き易く、しかしブルースのフィーリングもスパイスとして、効かされているので、最初から最後まで飽きずに楽しめます。
このアルバムを聴いて、台風一過の後の、このじめじめした天気を忘れましょう。

クラッシックと言うお題…

2007-09-06 00:49:05 | 独り言
私の敬愛するブロガーの、「加持顕」さんから、『バトン』なるものが廻ってきました。
加持さんによれば、『バトン』とは下記の内容の事だそうです。

以下…加持さんの『バトン』についてのコメントを拝借(コピー)させて頂きました。

《加持さんのコメント 》
『バトン』何のことか判らないので、時間を頂いて調べました。

起源はよく判りませんが、笑点の大喜利のようなものなんでしょうかねえ。
ルールは簡単。次の3項目をクリアしてお答えを出すというものらしいです。

1.まわってきた人以外、やっちゃいけない。
2.もらったお題を 「 」の中に入れて答える。
  1、好きな「 」 2、嫌いな「 」 3、最近思う 「 」
3.次にまわす人を三人決めなければいけない。

 それでは説明終わり(笑)、私の回答です。

※えりっく$Φより回答させて頂きます。

1.好きなクラシック…順位をつけましょうか?
  A)作曲家で言えば、①.J.S・バッハ、②.チャイコフスキー、③.ストラヴィンスキー
  B)演奏家なら、①.カルロス・クライバー、②.マウリツィオ・ポリーニ、③.グレン・グールド
  C)好きな曲なら、①.春の祭典、②.ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界から」③.ショスタコーヴィッチ交響曲第5番「革命」

好きな理由も言っておきましょう。
その前に、私自身はクラシックは、若かりし頃、レコード収集するきっかけになった最初のジャンルであり、今現在でもCDよりも遥かに多くLPを所有しています。
逆を返せば、ジャズにのめり込んでからは、クラシックの新盤は殆ど買っていません。
私の紹介するクラシックの曲は、古いレコーディングアルバム(名盤)ばかりである事もその一つの証拠になりますね。

そんな訳で、好きな演奏家や曲について言えば、多感な思春期に好きになって、その頃のめりこんだ物ばかりです。
特に好きな(曲)なんか、まるっきり昨日今日クラシックを好きになった(ド素人)が選曲した様な感じで、本当にお洒落じゃねぇなって自分でも思います。

それから、好きな演奏家ですが、これもジャズのミュージシャンと違って、こいつが一番って言うのは、正直いないなぁ。
クラシック好きな人の中には、指揮は「フルトヴェングラー」じゃなきゃ駄目だ!
いや、俺は絶対に「ハンス・クナッパーツブッシュ」だ!とか。
オペラなら「マリア・カラス」がヒロインじゃないと聴かない!なんて人もいるみたいだけど、私個人的に言えば、クラシックはジャズほど自由じゃないので、こいつと心中みたいなアーティストって余りいないんじゃないかな?って感じます。
ですから、ここでの順位は2~3年後には、劇的に変わっているかもしれないね。
ただ、一言だけ付け加えるなら、「バッハ」と「モーツァルト」は普遍で、どの時代になっても、永久に不滅なのは間違いないです。
それだけは「断言」出来ます。
次いで「ベートーヴェン」が準普遍かな。

2.嫌いなクラシック…これも答えるのは、以外に難しいぞ!
「何でもかんでも~」って言うブログを書いている私には、嫌いな作曲家や演奏家って言うのは、特にいないなぁ。
ただ、クラシックのジャンルとカテゴリーについて言えば、声楽曲と現代曲がきっと苦手分野だろう。
後は、長~いドイツェ・オペラ(ワーグナーのニューベルングの指環)なんかが滅多に聴かないな?「カラヤン」と「ショルティ」の全曲を持ってるけど…。

「デートリッヒ・フィッシャー=デュースカウ」が歌う「シューマン」や「ヴォルフ」の歌曲集全集も持っているが、多分今まで全曲は聴いていない。
って言うか、全曲を聴く気がしねぇな。

現代曲も「三枝成章」の「ラジエーション・ミサ曲」なんてすごーいの持ってるけど、一回聴いただけで、箪笥の肥やしになってるよ。
「シェーンベルグ」や「ヴェーベルン」ぐらいなら、たまに聴くけどね。

嫌いな(苦手な)クラッシックはこんなとこだろうね。

3.最近のクラシック…前文通り、今はクラシックは卒業して数十年になるので、雑誌の「レコ芸」や「音友」なんかは、年に数回立ち読みするくらいで、若手の有望アーティストとか、人気のアルバムなんかは興味も無いし、全然知りません。
最近どのアルバムが「レコ芸大賞」とか「ACCディスク大賞」とか、「ドイツ批評家賞」を取ったとかも知らないし…。

ただ、「のだめ」が流行って、若い人を中心にクラシックがブームになった事は、まじめに嬉しいし、本当に喜ばしいと思う。

私がクラシックを聴くようになった理由の一つとしては、通常の若いやつはそんな高尚な?音楽は聴かないので、クラシック好きなら所謂「知的人」になれそうと思った事なんかそういう下心が多分あったと思う。(かなり生意気なガキだ!)

それと、人と同じ事をしたくないと言う天邪鬼な所もあったと思う。

だから、今となっては当たり前だが、私は多くの成人男子が、タバコを吸うのが当たり前の時代に、タバコを一本も吸った事がなかった。(今も吸わないけど…)
別に二十歳になったからってタバコを吸う理由も必要もないし、1箱200円を煙に吸って消えてしまうのなら、10箱吸ったつもりでレコード1枚買った方が数百倍良かったってのも理由になるのかな。

何か自分のくだらない話ばかりでゴメンナサイ。

「のだめ」に戻るけど、クラシック…まじに良い音楽だよね。
先日書いたけど、「バッハ」の曲なんか聴くと、身も心もシャキっとするしね。
老若男女、クラシックを気軽に聴ける時代になったって事は、みんなも「知的人」に近づいているって事になんのかな?
いや、なんねぇよな。
別にクラシック聴いてるやつが偉いわけでも何でもないしね。

ただ、「音楽は国境レス」をテーマにブログを書いている私には、10年ぐらい前までなら、クラシックを聴くのが趣味なんて言うと、一寸近寄り難い人物に思われていた気がするんだけど、今は「お洒落~」みたいなノリで、かえって親近感を持たれたりするんだろうから、良い時代になったと思うし、そういう意味では「のだめ」に感謝しなきゃいけないんだろうな。

ってな訳で、「クラッシックと言うお題」の答えになったかどうか、自信ないけどこんな所で御開きとしましょう。

ちなみに私が次の方へ出す『バトン』のお題は、ずばり、『アンドレ・プレヴィン』です。

次の方々にバトンを渡したいと思います。
1.ナオさん、2.poohさん、3.ダンベルドアさん(garjyuさんのお友達)
皆様宜しくお願いします。

ボサノヴァ・ジャズの代表作…ボッサ・アンティグア~ポール・デスモンド

2007-09-04 23:20:11 | ジャズ・アルト・サックス
私の住んでいる神奈川県では、今日の天気もとても蒸し暑い「残暑」でしたが、夜吹いてくる風などは、大分秋の様相をしてきました。
私、変わり者かもしれませんが、ぎらぎらと「クソ暑い」、所謂、「真夏」が大好きなんです。
冷夏なんてもっての他、太陽さんが「ウルトラ元気」じゃないと、すごーく嫌なんですよ。
何で「真夏」が好きだと言うと、答えは単純明快で、太陽光線は人間が作り出せないからです。
まぁ、セレブみたいにお金があれば、冬になったら南半球にいけば良いんだけど、私には勿論、そんなお金は有りません。
ちなみに、ガキの頃は「夏」は一番嫌いな季節でした。
これも理由はしごく簡単、エアコンなんて完備な世の中じゃなかったので、冬は寒くても服を多く着るか、沢山動けば(運動等)暖かくなるが、夏は服を脱いでも、ちっとも涼しくなんかならないからでした。
おまけに夜は超寝苦しいしねぇ。
しかし、そんな悲喜こもごもの「夏」ですが、確実にその真夏は過ぎ去り、一寸寂しい今日この頃です。

さて、季節の話(特に夏)が多くなってしまいましたが、それにも理由が有るんです。
私はこのブログで色々なジャンルの曲を紹介していますが、大まかに言って、「ジャズ」が大黒柱(横綱)で、太刀持ち、露払いを「クラシック」と「ラテン」が受け持っています。

その中の「ラテン」ですが、「ラテン」は「絶対」に真夏に聴かなきゃ駄目な曲だと持論が有ります。
まぁ、実際は私は冬でも聴いてはいますが、「真夏」こそ「相応しい」と言った方が正確でしょうか?
そんな訳で、前置きが長くなりましたが、過ぎ去る「夏」に一抹の寂しさを感じつつ、今日は渋めの「ボサノヴァ・ジャズ」を紹介します。

アルバムタイトル…ボッサ・アンティグア

パーソネル…リーダー;ポール・デスモンド(as)
      ジム・ホール(g)
      ジーン・ライト(b)
      コニー・ケイ(ds)

曲目…1.ボッサ・アンティグア、2.夜は千の眼をもつ、3.オー・ガトー、4.サンバ・カンティーナ、5.悲しみのキュラソー、6.ア・シップ・ウィザウト・ア・セイル、7.アリアンサ、8.東9丁目の女

1964年7月28日、29日、8月20日、9月8日

原盤…RCA 発売…BMGビクター
CD番号…BVCJ-7340

演奏について…まず全編に渡って、「デスモンド」のクールなアルトと、「ホール」のほのぼの系ウォームなギターで、対照的な音色による絡みと、対比が趣深い演奏に仕上がっている。
リズムバックは名人「ケイ」と、渋い「ライト」が完全脇役に徹して、このフロント二人を見事にサポートしている。

さて、それぞれの曲の聴き所だが、印象的なギターのイントロと、上品なラテンリズムに乗って「デスモント」がメロディアスに吹き通す、オープニングの表題曲「ボッサ・アンティグア」は絶対聴かなきゃ損の1曲です。
スティックを敲いて、ラテンの香りを漂わせる「コニー・ケイ」のリズムの作り方は、すごくソフィストケイトされた、大人のドラム(スティック)ワークです。
勿論、「ジム・ホール」のソフトな口当たりのギターも行けてますよ。

2曲目の通称「夜千」…「デスモンド」の、とてもリラックスした大人の脱力感的演奏が、大いに曲の格調を上げていて、「ホール」の、でしゃばらないギター伴奏と、センス抜群のアドリブソロが、この演奏に更に高級感をもたらしている。
「コルトレーン」の「夜千」等とは対極にある名演奏です。

3曲目「オー・ガトー」は、「コニー・ケイ」の間を極限まで活かしたドラミングが最大の聴き所。
「デスモンド」と「ホール」は、輪唱的な演奏で、お互いのソロを競い合い、伴奏でサポートし合う、スポーツのダブルス見たいな演奏です。
個人的には、この寛ぎの演奏は、とても気に入ったよ!

4曲目「サンバ・カンティーナ」…リズムはハッキリと良く分かるサンバで、「ケイ」と「ライト」によって淡々と刻まれる。
ここでは「デスモンド」「ホール」とも、原曲のマイナー調で哀愁たっぷりのメロディーを活かしたアドリブソロが、とにかくお見事!!
曲の美しさも相成って、私が選ぶこのアルバムのベスト1演奏はこれでしょう。

5曲目の「悲しみのキュラソー」は「デスモンド」のオリジナル曲だが、流石に良く考えられた演奏で、二人の「癒し音楽」は、そろそろ頂点に達してきたようです。
特に「ホール」が堂に入ったアドリブソロを奏でています。

6曲目「ア・シップ~」は、ミディアム・スローテンポの、とても甘美なメロディ曲で、こう言った曲は「デスモンド」の十八番です。
寛ぎと余裕たっぷりの吹きっぷりは、素晴らしいの一言、一方「ホール」はマイナーフレーズを多めに使用して、曲に隠し味的なスパイスを効かす。

7曲目「アリアンサ」、8曲目「東9丁目~」も、ボサノヴァ・リズムで心が晴れ晴れする様な、明るくライトなサウンドで、「デスモンド」「ホール」とも快演をします。

全8曲とも、肩の凝らない「寛ぎ」&「癒し」演奏ですが、決して軟派な音楽では無く、軟らかさの中にピシッっと一本芯の通った、そうだなぁ、食べ物で言うと高級イタリアンの〆に出てくる、完全アルデンテのペペロンチーノみたいな演奏かな?
かえって、例えが分かり難いかな?

I氏に御悔みを…J.S・バッハ無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ~ヘンリク・シェリング

2007-09-03 23:36:58 | クラシック室内楽・器楽・オペラ・古楽
「大バッハ」芸術の金字塔の一つ、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)」を今日の紹介アルバムとし、私の敬愛するI氏に捧げましょう。

さて、今日は表題の様に、私がお世話になった(特に精神的に支えて下さった)知人I氏が、病気の為に亡くなられました。
享年52歳と言う若さでした。(佳人薄命でしょうか?)
病気をされていた事は聞いていたのですが、まさかこんなに病状が悪く、帰らぬ人になるなんて想像もしていませんで、結局お見舞いに行く事も出来ませんでした。
何か自分にとって、一生後悔が残りそうに落ち込んで、申し訳ない気持ちに苛まれています。
せめてもの御侘びに、I氏が天国に召される様に、心よりお悔やみ申し上げ、「J.S・バッハ」の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータをご供養代わりに捧げます。

演奏は稀代のバッハ弾き、多分、ヴァイオリニストの中では、史上最高のバッハ奏者と言っても良い、「ヘンリク・シェリング」の名盤をチョイス致します。

アルバムタイトル…J.S・バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲) BVW1001-1006

ヘンリク・シェリング(vl)

曲目…1.ソナタ第1番 ト短調 BVW1001 
   ①Adagio、②Fuga.Allegro、③Siciliano、④Presto
   2.パルティータ第1番 ロ短調 BVW1002 
   ①Allemande、②Double、③Courante、④Double Presto、⑤Sarabande、⑥Double、⑦Tempo di Bourree、⑧Double
   3.ソナタ第2番 イ短調 BVW1003 
   ①Grave、②Fuga、③Andante、④Allegro
   4.パルティータ第2番 ニ短調 BVW1004
   ①Allemande、②Courante、③Sarabande、④Gigue、⑤Chaconne
   5.ソナタ第3番 ハ長調 BVW1005
   ①Adagio、②Fuga alla breve、③Largo、④Allegro assai 
   6.パルティータ第3番 ホ長調 BVW1006
   ①Preludio、②Loure、③Gavotte en Rondeau、④Menuet Ⅰ/Ⅱ、⑤Bourree、⑥Gigue

1967年7月8~20日 スイス、ヴヴェイ劇場 録音

原盤…Deutsche Grammophon 発売…ポリドール
CD番号…F66G-20001~20002

演奏について…一言で言えば、亡き故人を畏怖、尊敬し、清々しいピュアな心で無心に祈りを込めるのに相応しい、尊厳ある名演奏がこのアルバムでなされている。

神の如く、シンプルだが無限の拡がりを見せる、「バッハ」の曲には、余計な考えや、計算は正直言って不必要である。

そこで「シェリング」は、何も余計な事には手を加えず、大バッハのスコアを忠実に楽器を演奏すると言う、至ってシンプルに音を出す事に終始して、時空を超えて「バッハ」が音楽によって語ろうとしている精神性を、逆に表現する事が出来たのである。

音色はどこまでも澄んで美しく、余計な力は必要以上には加えず、楽器から出る自然な音を心から喜んで、出して行く。
「バッハ」の曲はヴァイオリニストとしては、それ程、超絶技巧で無くとも演奏は可能だが、神の声(音)を弾きこなし、音を出す事は本当に難しい。
しかし、「シェリング」は「バッハ」を敬愛し、多くの曲を弾き込んで来たので、自然にその演奏が出来ている。

特にお薦めの曲(楽章)だが、やはり無伴奏全曲中、最も有名な「パルティータ第2番 ニ短調」を上げたい。
①~④までの特徴的な舞曲に加えて、長大な⑤曲目「シャコンヌ」に、「バッハ」ヴァイオリン曲のエッセンスが全部と言って良いくらい盛り込まれた、偉大な芸術家の集大成の楽章だ。
「シェリング」は、持てる技術の全てを駆使して演奏表現するが、これは上述の通り外面的な物で、この演奏の真髄は「大バッハ」の精神性をどこまで、表現できるかに有る。
己を出さずに、「バッハ」の神の声を楽器からそのまま出すと言う、シンプル・イズ・ベスト…実は最も難しい事を「シェリング」は、やり遂げている。
自然発生の表現(音)を出したとは言ったが、演奏の内容的にも、非の打ち所が無く、知・情・意のバランスも素晴らしく、魂の宿った演奏が、貴方の心を揺さぶるでしょう。

最後に…このアルバム(曲)聴き終えた時に、貴方の心は清らかに浄化され、一服の清涼剤を飲んだ様に、晴れやかな気分になる事でしょう。

I氏も、何も迷わずに天国に行って、この世界を見守って頂きたいと願っています。
I氏…お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。(合掌)。。。

ドルフィー不滅の傑作…エリック・ドルフィー・メモリアル・アルバム

2007-09-02 23:55:42 | エリック・ドルフィー
このアルバムは、「ドルフィー」を中心として、革新的なジャズを追求していく事になる、若手のミュージシャンが多数参加して、企画された演奏(アルバム)です。

勿論、「ドルフィー」の代表作の一つだが、このアルバムのライナーノートから「ドルフィー」の超大雑把なディスコグラフィーを書けば…「At the five spot」→「In Europe」→「本セッション」→「Out to lunch」→「Last date」との事である。

「ドルフィー」の油が乗り切った絶頂期の演奏を是非聴いて下さい。

アルバムタイトル…エリック・ドルフィー・メモリアル・アルバム

パーソネル…リーダー;エリック・ドルフィー(fl、b-cl、as)
      ウディ・ショウ(tp)
      クリフォード・ジョーダン(ss)
      プリンス・ラシャ(fl)
      ヒューイ・シモンズ(as)
      ボビー・ハッチャーソン(vib)
      リチャード・デイヴィス(b)
      エディ・カーン(b)
      J.C・モーゼス(ds)

曲目…1.ジターバグ・ワルツ、2.ミュージック・マタドール、3.アローン・トゥゲザー、4.ラヴ・ミー

1963年5月、6月 録音

原盤…フレッド・マイルス・レーベル 「conversation」FM308
→ヴィー・ジェイへ移行  発売…ファン・ハウス
CD番号…FHCY-1018

演奏について…1曲目「ドルフィー」の十八番、「ジターバグ・ワルツ」では、「ドルフィー」の飛翔するフルート演奏が堪能できる。
どこまでも飛んでいき、どれよりも美しい音色に心を洗われる。
「ハッチャーソン」の革新的ヴァイブも、曲にスパイスを効かせているし、もう一人の主役は、ガッツリとリズムを刻み、全員を推進していくベースの「カーン」である。
安定感のあるベースで、低音域をガッツリ支えて、ユニゾン演奏を司る中音域がその上に乗り、「ドルフィー」はその遥か上空を自由に飛ぶのである。

2曲目「ミュージック・マタドール」…曲名からして、ラテンの匂いがぷんぷんにただよう。
ここで「ドルフィー」はバスクラで、馬の嘶きを全開にするが、ただ叫ぶだけでなく、メロディアスなカデンツァも随所に吹いて、天賦の才能を見せ付ける。
ここでの副主役も実はベーシストで、「デイヴィス」が物すごい超絶技巧を見せる。
ヴァイオリンのピッチカートの様な、かなりの高音域で、ベースで爪弾いて、強烈に皆をドライヴィングして行く。
ドラムもこれに追従して、しっかりと「ドルフィー」をサポートする。
リズムはラテンで、曲調も明るめだが、演奏陣はシッカリと緊張感を持った演奏に終始しており、やはり「ドルフィー」がリーダーだと締るねぇ。

3曲目「アローン・トゥゲザー」…間違い無く、このアルバムの白眉の名演だろう。
序奏から最後までの十数分に渡って、バスクラを吹き続ける「ドルフィー」と、ベースの「デイヴィス」の二人が、すごいデュオ演奏、インプロビゼーション合戦を延々と演じて、聴き手は究極の緊張感を強いられる。
5~6分すぎて、初めて「ドルフィー」が、この名曲のメロディーを吹くまで、曲名を知らなければ、全く分からない程のアドリブだ。
しかし、「デイヴィス」は、「コルトレーン」楽団に在籍していた事もあって、やはりすごい名手だなぁ。
「コルトレーン」後期の、「トレーン」と「ギャリソン」のデュオを、彷彿させる素晴らしい演奏です。

エンディング「ラヴ・ミー」は、「ドルフィー」のアルト・サックス・ソロで演奏される曲です。
短い曲だが、「ドルフィー」のアドリブは、即興フレーズがシャワーの如く溢れ出して、聴き惚れてしまう。

全編で33分程の短いアルバムですが、とにかく最高ですよ。
絶対に聴いて下さいね。

帝王マイルスに多大な影響を与えた男…アーマッド・ジャマル~カウント・エム88

2007-09-01 23:55:26 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
かの、「マイルス」(キャノンボール)の枯葉のイントロは、「アーマッド・ジャマル」が弾いていたイントロを、「マイルス」が参考(拝借)した事は有名だが、
今日は、その「ジャマル」が初期に残した代表的なアルバムを紹介しましょう。

アルバムタイトル…カウント・エム88

パーソネル…リーダー;アーマッド・ジャマル(p)
      イスラエル・クロスビー(b)
      ウォルター・パーキンス(ds)

曲目…1.ヴォルガの舟乗り、2.グリーン・ドルフィン・ストリート、3.ハウ・アバウト・ユー、4.アイ・ジャスト・キャント・シー・フォー・ルッキン、5.スプリング・ウィル・ビー・アー・リトル・レイト・ディス・イヤー、6.ビート・アウト・ワン、7.マリアム、8.イージー・トゥ・リメンバー、9.ジム・ラヴ・スー

原盤…CHESS PRODUCING CORP? 発売…ユニバーサル・ビクター
CD番号…MVCJ-19181

1956年9月27日、10月4日 録音

演奏について…オープニングの「ヴォルガの舟乗り」…「エイコーラ」で有名な節(1小節)を、ラテン・リズムで演奏しているため、一聴するとチョット分かり難い所がミソですね。
しかし、良く聴くと繰り返し、「エイコーラ」を演っていて、オープニングに相応しい、とてもリラックスムードの、とても楽しい曲に仕上げています。

2曲目は、名曲「グリーン・ドルフィン・ストリート」…「レッド・ガーランド」が弾いていると錯覚しそうな、転がす様なシングル・トーンと的を射たブロック・コードを駆使して、「ジス・イズ・ピアノ・トリオ」の規範的な演奏がなされる。

3曲目「ハウ・アバウト・ユー」も2曲目と同様の演奏。
しかし、「ガーランド」は、我国で人気があり、とても評価されているのに、どうして「ジャマル」は過小評価されてしまったピアニストなんだろう。
こうして、聴いてみると日本人の琴線に触れる、素晴らしいアーティストである事が改めて分かる。
それから、バックの二人も「ジャマル」の考えを良く理解しており、ブラシをメインにセンス抜群のリズムを生む「パーキンス」と、ラインに忠実に、実直に伴奏をする「クロスビー」の二人は、「ジャマル」の良きサポーターになっていますね。

6曲目「ビート~」は、「ジャマル」のオリジナル曲で、高音域を活かした旋律と品の良いアドリブが、芳醇な香り漂う佳曲にしている。

7曲目「マリアム」も「ジャマル」の曲で、ここでは少しアンニュイな雰囲気の曲調で、しかしカデンツァに入ると、スローテンポながら鍵盤の全部を使用した様に、縦横無尽に駆け巡る指使いに、畏怖の念をを感じる。
「ジャマル」は、超絶技巧では無いが、ジャズ的技術(テク)は優れている。

8曲目「イージー~」も良いねぇ。
この曲では、「パーキンス」がアドリブソロを演奏しており、この演奏も中々上手く、聴き所になっている。
後半は「ジャマル」が木琴を敲く様に演奏する、一寸ラフなピアノタッチも個性的でgoodですね。

エンディング曲「ジム~」は、リズムをラテン調にして、オープニングのヴォルガと似せたコンセプトの演奏です。
アルバムの始まりと終わりを同じタッチにしていて、統一感を持たせている。
「ジャマル」はプロデューサー的な事も多分得意なんだろうなぁ。