紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

帝王マイルスに多大な影響を与えた男…アーマッド・ジャマル~カウント・エム88

2007-09-01 23:55:26 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
かの、「マイルス」(キャノンボール)の枯葉のイントロは、「アーマッド・ジャマル」が弾いていたイントロを、「マイルス」が参考(拝借)した事は有名だが、
今日は、その「ジャマル」が初期に残した代表的なアルバムを紹介しましょう。

アルバムタイトル…カウント・エム88

パーソネル…リーダー;アーマッド・ジャマル(p)
      イスラエル・クロスビー(b)
      ウォルター・パーキンス(ds)

曲目…1.ヴォルガの舟乗り、2.グリーン・ドルフィン・ストリート、3.ハウ・アバウト・ユー、4.アイ・ジャスト・キャント・シー・フォー・ルッキン、5.スプリング・ウィル・ビー・アー・リトル・レイト・ディス・イヤー、6.ビート・アウト・ワン、7.マリアム、8.イージー・トゥ・リメンバー、9.ジム・ラヴ・スー

原盤…CHESS PRODUCING CORP? 発売…ユニバーサル・ビクター
CD番号…MVCJ-19181

1956年9月27日、10月4日 録音

演奏について…オープニングの「ヴォルガの舟乗り」…「エイコーラ」で有名な節(1小節)を、ラテン・リズムで演奏しているため、一聴するとチョット分かり難い所がミソですね。
しかし、良く聴くと繰り返し、「エイコーラ」を演っていて、オープニングに相応しい、とてもリラックスムードの、とても楽しい曲に仕上げています。

2曲目は、名曲「グリーン・ドルフィン・ストリート」…「レッド・ガーランド」が弾いていると錯覚しそうな、転がす様なシングル・トーンと的を射たブロック・コードを駆使して、「ジス・イズ・ピアノ・トリオ」の規範的な演奏がなされる。

3曲目「ハウ・アバウト・ユー」も2曲目と同様の演奏。
しかし、「ガーランド」は、我国で人気があり、とても評価されているのに、どうして「ジャマル」は過小評価されてしまったピアニストなんだろう。
こうして、聴いてみると日本人の琴線に触れる、素晴らしいアーティストである事が改めて分かる。
それから、バックの二人も「ジャマル」の考えを良く理解しており、ブラシをメインにセンス抜群のリズムを生む「パーキンス」と、ラインに忠実に、実直に伴奏をする「クロスビー」の二人は、「ジャマル」の良きサポーターになっていますね。

6曲目「ビート~」は、「ジャマル」のオリジナル曲で、高音域を活かした旋律と品の良いアドリブが、芳醇な香り漂う佳曲にしている。

7曲目「マリアム」も「ジャマル」の曲で、ここでは少しアンニュイな雰囲気の曲調で、しかしカデンツァに入ると、スローテンポながら鍵盤の全部を使用した様に、縦横無尽に駆け巡る指使いに、畏怖の念をを感じる。
「ジャマル」は、超絶技巧では無いが、ジャズ的技術(テク)は優れている。

8曲目「イージー~」も良いねぇ。
この曲では、「パーキンス」がアドリブソロを演奏しており、この演奏も中々上手く、聴き所になっている。
後半は「ジャマル」が木琴を敲く様に演奏する、一寸ラフなピアノタッチも個性的でgoodですね。

エンディング曲「ジム~」は、リズムをラテン調にして、オープニングのヴォルガと似せたコンセプトの演奏です。
アルバムの始まりと終わりを同じタッチにしていて、統一感を持たせている。
「ジャマル」はプロデューサー的な事も多分得意なんだろうなぁ。