紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ドルフィー不滅の傑作…エリック・ドルフィー・メモリアル・アルバム

2007-09-02 23:55:42 | エリック・ドルフィー
このアルバムは、「ドルフィー」を中心として、革新的なジャズを追求していく事になる、若手のミュージシャンが多数参加して、企画された演奏(アルバム)です。

勿論、「ドルフィー」の代表作の一つだが、このアルバムのライナーノートから「ドルフィー」の超大雑把なディスコグラフィーを書けば…「At the five spot」→「In Europe」→「本セッション」→「Out to lunch」→「Last date」との事である。

「ドルフィー」の油が乗り切った絶頂期の演奏を是非聴いて下さい。

アルバムタイトル…エリック・ドルフィー・メモリアル・アルバム

パーソネル…リーダー;エリック・ドルフィー(fl、b-cl、as)
      ウディ・ショウ(tp)
      クリフォード・ジョーダン(ss)
      プリンス・ラシャ(fl)
      ヒューイ・シモンズ(as)
      ボビー・ハッチャーソン(vib)
      リチャード・デイヴィス(b)
      エディ・カーン(b)
      J.C・モーゼス(ds)

曲目…1.ジターバグ・ワルツ、2.ミュージック・マタドール、3.アローン・トゥゲザー、4.ラヴ・ミー

1963年5月、6月 録音

原盤…フレッド・マイルス・レーベル 「conversation」FM308
→ヴィー・ジェイへ移行  発売…ファン・ハウス
CD番号…FHCY-1018

演奏について…1曲目「ドルフィー」の十八番、「ジターバグ・ワルツ」では、「ドルフィー」の飛翔するフルート演奏が堪能できる。
どこまでも飛んでいき、どれよりも美しい音色に心を洗われる。
「ハッチャーソン」の革新的ヴァイブも、曲にスパイスを効かせているし、もう一人の主役は、ガッツリとリズムを刻み、全員を推進していくベースの「カーン」である。
安定感のあるベースで、低音域をガッツリ支えて、ユニゾン演奏を司る中音域がその上に乗り、「ドルフィー」はその遥か上空を自由に飛ぶのである。

2曲目「ミュージック・マタドール」…曲名からして、ラテンの匂いがぷんぷんにただよう。
ここで「ドルフィー」はバスクラで、馬の嘶きを全開にするが、ただ叫ぶだけでなく、メロディアスなカデンツァも随所に吹いて、天賦の才能を見せ付ける。
ここでの副主役も実はベーシストで、「デイヴィス」が物すごい超絶技巧を見せる。
ヴァイオリンのピッチカートの様な、かなりの高音域で、ベースで爪弾いて、強烈に皆をドライヴィングして行く。
ドラムもこれに追従して、しっかりと「ドルフィー」をサポートする。
リズムはラテンで、曲調も明るめだが、演奏陣はシッカリと緊張感を持った演奏に終始しており、やはり「ドルフィー」がリーダーだと締るねぇ。

3曲目「アローン・トゥゲザー」…間違い無く、このアルバムの白眉の名演だろう。
序奏から最後までの十数分に渡って、バスクラを吹き続ける「ドルフィー」と、ベースの「デイヴィス」の二人が、すごいデュオ演奏、インプロビゼーション合戦を延々と演じて、聴き手は究極の緊張感を強いられる。
5~6分すぎて、初めて「ドルフィー」が、この名曲のメロディーを吹くまで、曲名を知らなければ、全く分からない程のアドリブだ。
しかし、「デイヴィス」は、「コルトレーン」楽団に在籍していた事もあって、やはりすごい名手だなぁ。
「コルトレーン」後期の、「トレーン」と「ギャリソン」のデュオを、彷彿させる素晴らしい演奏です。

エンディング「ラヴ・ミー」は、「ドルフィー」のアルト・サックス・ソロで演奏される曲です。
短い曲だが、「ドルフィー」のアドリブは、即興フレーズがシャワーの如く溢れ出して、聴き惚れてしまう。

全編で33分程の短いアルバムですが、とにかく最高ですよ。
絶対に聴いて下さいね。