紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ジャズ、クラシックの枠を越えたピアニスト…ディープ・ブルー~松居慶子

2007-09-19 23:49:00 | ジャズ・ピアノ・コンボ
松居慶子…全米スムース・ジャズ賞を受賞した、ジャンルボーダーレスのピアニストであり、彼女の中でも評価が高いアルバムが、通算13枚目の、このアルバムです。
些少ですが、ジャンルはジャズ・ピアノにしましたが、私的には「イージー・リスニング」の方が良いのでは?と思います。

アルバムタイトル…ディープ・ブルー

パーソネル…松居慶子(p)  他

曲目…1.ディープ・ブルー、2.ウォーター・フォー・ザ・トライブ、3.アクロス・ザ・サン、4.トゥリーズ、5.メディテラニアン・アイズ、6.ローズ・イン・モロッコ、7.ムーン・フラワー、8.クレセント・ナイト・ドリームス、9.トゥ・ジ・インディアン・シー、10.ミスティック・ダンス、11.ミッドナイト・ストーン、12.ディープ・ブルー(pソロ)

2001年録音

PLANET JOY RECORDS 
CD番号…PJCD1002

演奏について…アルバムタイトル曲「ディープ・ブルー」は、とてもセンチメンタルなメロディの佳曲で、「松居」は「間」を上手く使い、グランドピアノを弾く。
バックのリズムは「打ち込み」のシンセがメインだが、とても絵画的な編曲で、映画音楽を連想させる。

2曲目「ウォーター~」も、リリカルな美音で、「松居」がテーマを弾いて、このメロディ…胸が張り裂けそうなくらい、深く美しい曲です。
中途からは、バックのベースが重厚にサウンドを形作ると、「松居」は華麗に、そしてどっしりと大地に根を生やした様に、グランドピアノの低音域を活かしたアドリブが、goodです。
カッ、カッと切れ味良く、決め手くれるパーカションの伴奏もとても効果抜群です。

3曲目「アクロス~」は、かつて流行ったフュージョン、「シャカタク」を彷彿させる、ラテンリズムにメランコリックなメロディを、華美にピアノの音符を飾りつけるサウンド・センスに脱帽する。
バックはエレクトリックベースとドラムスで、カチッとリズムを切れよく刻む。

ここまでの3曲、とても女性らしいジャズ世界を構築していて、私は大いに気に入っております。
ただ女性的に繊細なだけでなく、しっかりとスウィングしているのも買いでしょう。

4曲目「トゥリーズ」…癒し系環境音楽の様な、編曲・構成の曲に、心地よくピアノのソロがシンクロする夢想音楽世界で、あたかも蝶が舞うが如くの演奏です。
貴方も是非、「癒されて」下さい。

5曲目「メディテレニアン~」は、ギター・デュオ「デ・パペペ」が弾く軽やかでさわやかな音世界を、「松居」はピアノで演じていて、好感が持てる。
中途からは、リズムセクションが陽気に囃し立て、「松居」もそれを受けて、一層軽やかに鍵盤を跳ねる様に弾くのです。

6曲目「ローズ~」…異国情緒たっぷりの(モロッコ)の街中のバックセッションの合間を、ベールで顔を隠した東洋女性「松居」が、闊歩しているかの様な演奏。
中間からは、華麗にそして鍵盤上を縦横無尽に指先が舞う「松居」のアドリブの独壇場と化す。

7曲目「ムーン・フラワー」では「松居」の優しさを知り、8曲目「クレセント~」では、「松居」のハイ・ソサエティを堪能する。

そして9曲目「トゥ・ジ~」では、「松居」の慈愛に全てを委ねる事になる。
「尺八」と「シンセ」の異次元空間に、ダイナミズムを利かした「松居」のアドリブ・ソロと、メロディラインの美しさが眩しい演奏です。
ネオ・ジャポネスク・ジャズ(フュージョン)の誕生を見ることになる。

10曲目「ミスティック~」…いつまでも聴いていたい、とても美しいメロディ。
この甘さ、切なさ、美しさ、そして悲しみは、一体どこへ行こうとしているのか?
しかし、終盤にこの答がやって来る。
「松居」の奏でるメロディは、女々しくはなく、とても芯の強い愛だ。
ロシアの大地に咲く、一輪のバラの様だ。

11曲目「ミッドナイト・ストーン」のピアノソロ…狂おしい愛に飢えた男が、街を徘徊し、己の愚かさに、怒り、揮えて、凶器を手に持ってしまう…。
その後には、惨劇が起こり、男は自虐し呆然と立ち尽くす…。
眼を閉じると、愛ゆえに悲しい結末を迎えてしまう、モノクローム映画が眼前に浮かぶ。
美しさと悲しさが同居した、美演奏です。

12曲目…タイトル曲のソロなので、この演奏も間違い無い!!

「松居慶子」…ピアノで映画を作る、アーティストです。

今日は一寸、「ナオさん」」のポエムの世界が入っちゃいました。
「ナオさん」の様にはとても書けませんが、たまにはこう言うのも良いかもしれませんね。
でも、「ナオさん」の大変さ…身に沁みて、苦労が偲ばれます。
いつも本当にお疲れ様です。